補助⾦の予算額・種類が膨張しており、補助⾦への偏重を脱却すべき@財務省

11/7 に、財務省から「国内投資・中⼩企業等」資料2が報告されています。中小企業支援のところをピックアップしました。
サマリ
中⼩企業⽀援について、コロナ禍において未曾有の⽔準まで増加した予算額は、依然、コロナ禍前の平時の⽔準に戻っていない。特に、補助⾦の予算額・種類が膨張しており、補助⾦への偏重を脱却すべき。
• 中⼩企業が賃上げを進める上では、経営⼒を強化し、⽣産性向上に取り組むことが重要だが、現状、⾃社の経営状況を⼗分に分析できていない企業も多く、投資に踏み切れずに現預⾦保有⽐率は上昇。
中⼩企業が経営⼒を⾼め適切なリスクテイクを⾏えるよう、きめ細やかな伴⾛⽀援、価格転嫁対策の更なる強化、⾦融⽀援の⼀層の活⽤等が必要。
• 補助⾦による⽀援が常態化することで、補助⾦依存の強まりやコスト意識の低下につながり、かえって、⽣産性向上や新陳代 謝を阻害することのないよう、真に必要な⽀援に重点化するべき
「国内投資・中⼩企業等」資料2 財務省 11/7
補助金の推移
コロナ禍の緊急避難的な補助金が増えたのは仕方ないとして、未だに補助金額は多いままですね。

金融支援をもっと活用する
補助金支援が適当なのかちゃんとチェックして、補助金を出すのではなく、金融支援をもっとやろうということでしょうかね。

中小企業支援の理念
中⼩企業政策の理念は、⼤企業と中⼩企業の「格差是正」から、⾃助努⼒を前提とした「多様で活⼒ある成⻑」の実現へと変遷しました。しかし、⽣産性や利益率の低い中⼩企業が残存し、分布が拡⼤する下で、中央値の伸びは緩慢となっている。このように、企業の新陳代謝を伴う形での「多様で活⼒ある成⻑」が実現しているとは⾔い難い状況、とのこと。
上位の頑張っている中小企業は伸びているが、下の方は伸びていないので成長が抑圧的ということでしょうか。

補助金への偏重
コロナ禍以前と⽐べ、補助⾦の予算額・種類が膨張。近年、⼤規模投資や省⼒化投資に係る補助⾦を⽴て続けに拡充してきている⼀⽅、コロナ禍前から続く補助⾦についても、⾒直しが⾏われないまま予算が⾼⽌まりしていると。
しかし補正予算+予備費の割合が高いですね。

金融支援をもっと活用しよう
成⻑投資にあたっての外部資⾦調達の活⽤は、単なる投資原資の確保に⽌まらず、株主を通じたガバナンスが効きにくい中⼩・中堅企業にとっては、⾦融機関が計画策定に関与することによる経営⾼度化等のメリットも存在。また、企業の成⻑段階に応じ、銀⾏借⼊だけでなく、外部資本を⼊れるエクイティ・ファイナンス、デットとエクイティの中間的な特徴を持つメザニン・ファイナンス(劣後ローン等)も、選択肢の⼀つとして、活⽤を促進していくべき。
政府による中⼩企業⽀援は、補助⾦に偏重することなく、これらの⾦融⼿法も⼀層活⽤していくべき。補助⾦による⽀援を⾏う場合でも、⾦融機関からの資⾦調達を要件化するなど、ガバナンス強化や市場育成につなげる必要。
劣後ローンを金融機関がもっとやれ!ってことでしょうかね。できるかしら。

補助金依存のマイナスが大きい
コロナ禍以降、補助⾦による⽀援が常態化する中で、企業からは「補助⾦ありきの設備投資となっている」との声もある。過⼤な公的⽀援は、補助⾦依存の強まりやコスト意識の低下につながり、かえって⽣産性向上や新陳代謝を阻害する恐れもある。先⾏研究では、コロナ禍での補助⾦がコロナ禍以前から経営難に陥っていた企業を温存し経済の停滞を招くリスクや、補助⾦による⾦銭的サポート⾃体は⽣産性等に有意な効果を持たない可能性を指摘する分析も存在している、と。

補助金が重複している
近年、既存の補助⾦を維持したまま、新たな補助⾦を⽴て続けに創設してきた結果、補助⾦の種類は⼤きく増加。制度上、売上規模や経営課題に応じた棲み分けが存在しているが、⼀部、類似した⽀援が複数の補助⾦で講じられている例も散⾒。過⼤な⽀援を招く恐れがあるほか、中⼩企業にとっても理解しづらい⾯があり、重複を排除すべき。予算措置額に対して採択が低調にとどまるなど、執⾏上の課題が⾒受けられる補助⾦も存在していると。

中小企業支援の課題
中堅企業(約9,000者)は、中⼩企業より経営基盤が強固であり、労働⽣産性の⽔準や伸びも⾼いため、中⼩企業と同じ⽀援は正当化されず、⽀援は真に必要なものに限るべき。しかし、現⾏の「中堅・中⼩企業⼤規模成⻑投資補助⾦」では、中堅企業と中⼩企業が区別されず、同じ要件で補助が受けられることとなっている。また、同じく⼤規模投資を⽀援する「中⼩企業成⻑加速化補助⾦」との類似点も多く、制度の統廃合も含め、⾒直しが必要ではないか。
中堅企業の最⼤の経営課題は、経営の⾼度化等に向けた⼈材確保。政府の⽀援も、⼈材マッチング等を通じた⼈材確保⽀援や、成⻑投資における⾦融⼿法の⼀段の活⽤など、補助⾦以外の政策⼿段を有効に活⽤していくべき。現⾏の中堅企業向け補助⾦については、出⼝に向けて厳格な絞り込みを⾏い、⽀援の軸⾜を⾦融⽀援等に切り替えていくべき。

そんなところで。

