エクセルの中でAIを使ってみる〜CopilotProはMicrosoft365の中で力を発揮するか?
最初の失望
CopilotProが2024年の初頭に中小企業ライセンスでも使えるようになり、早速契約して使い始めたものの、正直期待していたようなレベルには到達していませんでした。もちろん文章生成やイラスト生成という面ではChatGPTと同じように使えます。Copilotの中でもChatGPTが動いているので当然といえば当然ですね。
だからこそCopilotに期待するのは、Microsoft365の中でAIが使えるようになることです。ブラウザ上でAIを使って、別途オフィスの文書ファイルに戻ってくるのは面倒です。さらにWordの中で文章だけで書式も一緒に作ってくれたりExcelの中でグラフを書いてくれたりというのは期待大だったわけです。
そして体験したときの内容を記事にまとめた結果です。
しかし、2024年初頭の段階で使ってみたときの失望感は大きかったです。え、これ月額の3200円を徴収するサービスなの?β版どころか、α版レベルで、新しいもの好きのユーザに試しに使ってもらうレベルの製品ではないの・・・と
特にエクセルについてはがっかりしました。まだ当時は英語版のみでしたし、できることが少なすぎる。ということでCopilotProとのファーストコンタクトは苦いもので終わりました。
セカンドインパクトなるか?
そしてあれから3ヶ月ほどが経ち、エクセルが日本語でもCopilotが使えて、ちょっと進化しつつあるという話を聞いて、再びエクセルでCopilotがどれくらい使えるのか体験してみました。
使ってみた結果を動画にまとめました。
動画の内容を記事でも紹介します
やってみたのは、エクセルでサンプルデータを作って、分析して、グラフの作成依頼です。
サンプルデータの作成依頼
エクセルの実習や、開発のテストなどでサンプルデータを作ることがありますが、こういうのは生成AIいいですね。飲食店の10店舗の売上と客単価と席数のサンプルデータを作ってくださいとお願いしました。店名も山手線の駅名からつけてくださいと頼みました。
そうすると、データを作成してくれます、ありがたや。
しかし残念なことに、このデータはエクセルではダウンロードできません。
エクスポートボタンをおしてもExcelアイコンは出てきません。(なおGoogleGeminiではスプレッドシートで出力できます)
さらに無駄に罫線も入ってるので、コピペしてエクセルに貼り付けることもできません。
そこで次は、Tab区切りで作ってとお願いしました。
そうするとコピーして貼り付けられる形式になりました。ようやく、ここでエクセルに移動です。そうなんです、こういったデータ生成はエクセルではできません。ブラウザで使うCopilotで実施してそれからです。この辺が不満ですね。アプリケーション間を言ったり来たりの手間は意外と大きいものです。
Excelへ移動してここから分析です
その前に、Copilotで分析するためには。OneDriveでの自動保存が必要になります。
そしてCopilotの対象はテーブル形式のみです。単にデータを貼り付けただけではテーブル形式になりませんので、テーブル形式に変換します。テーブル形式への変換はCopilotに変換ボタンがでてきて、スムーズにすすみました。
テーブル形式になりました。そうするとプロンプトの例が出てきます。
”データの分析情報を表示する”を試しました。15秒ほどで結果がかえってきます。データ数が多いともっと時間がかかるんでしょうか。
最初に出てきたグラフは席数の棒グラフです。え?それだけ、と思いますよね。データは3つあるのに、なぜ1つだけでグラフを作る必要があると思ったのでしょう。
仕方がないので次のプロンプトにいきます。 ”すべての分析情報をグリッドに追加する”を試してみました。
そうすると次は売上と客単価の散布図が出てきました。これはこれでありがたいですが、どうせなら、客単価と席数、売上と席数の3つとも散布図を出してくれた良いのにと思います。
なお、すべての分析情報を出すのは、データ数とか出る内容はときによって異なりました。
さらにこの散布図は間延びしているので、軸の調整をしたいです。例えばY軸を300−700に変更するなどですが、そのような指示はCopilotではできません。無念。
本当はどんな分析をしてほしかったのか?
売上、客単価、客数で分析といえばバブルチャートを作ってほしかったです。
なおCopilotでバブルチャートを作って!と頼むと、断られました。なぜか散布図は作れませんと言われましたが。。
なお、バブルチャートって、エクセルの標準機能で作れるんですよね。でも作ったことはわかると思いますが、軸やバブルサイズの調整や、表示する名称の調整とか色々手間がかかるのです。先程のバブルチャートを作るのに5分くらいはかかったかもしれません。毎日バブルチャートをつくっていたら2−3分ではできそうですが、それでもひと手間かかります。このあたりこそAIが解決してくれたら良いのにな、とは思います。
感想とサードインパクトは来るのか?
ということで、現状ではCopilotをエクセルで使うのは実務では無理です。エクセルで通常のグラフ機能を使うほうがよっぽど迅速に作業できます。もちろんまだまだ進化するでしょうから、引き続きもっと使いやすくなればなあと思います。
ただ正直、エクセルの操作を補佐するのはもしかして無理なのかもと思いました。初めてエクセル使う人が操作を調べるよりはちょっと早くなることもあるけど、結局、細かい調整はエクセルの機能を使うことになるのかなと思います。
AIの使い所はエクセルの操作性のアップだけではなくて、たくさんあるエクセルのデータから必要な情報をまとめ直したり、チャットで回答したりということを期待していました。そこまで進むのは茨の道なのか・・・それともあっという間に進化するのか。
有料版でこの機能を提供したMicrosoftの姿勢には疑問を抱きますが、絶望はせずに、次の機能アップを待ちたいと思います。
そんなところで