IT導入補助金2021の公募要領(3/15公開)を読み解く

2021年3月19日

3/15に IT導入補助金2021のA・B類型型と、低感染リスク型ビジネス枠(特別枠C・D類型)の交付規程(暫定版)と公募要領が公開されました。その内容を確認していきます。

A・B類型

あくまで情報は抜粋なので、抜粋部分だけで判断せずに、公募要領全文を読んで判断することをおすすめします。

事業目的

本事業は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改 革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事 業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等の経費の一部を補助等することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とする。

事業スキーム

基本的には変わらず、IT導入支援事業者と中小企業・小規模事業者が一緒になって申請する形式です。

スケジュール

スケジュールはこれからどんどん明確になっていくでしょう。まずはITベンダはツールの登録申請が3/25から始まりますから準備が必要ですね。

事業者のみなさんは、4月上旬受付スタートの予定です。今のうちに導入するITツールを決めて、申請する準備をしておかねばなりません。まずはITベンダさん選びからですね。 (ITベンダ=IT導入支援事業者)

事業実施期間は基本的には6ヶ月です。 採択が決まったら、6ヶ月以内に導入して報告する必要があります。

細かいスケジュールはわかりませんが、例えば

  • 4月公募開始
  • 6月公募締め切り
  • 7−8月採択発表
  • 翌 2−3月までにITツールを導入して報告する

といった感じになるのでしょう。このひとくくりの流れが、何回か繰り返されることになります。今年は何次公募までされるのでしょうか。 ちなみに去年(2020年)のスケジュールを掲載しておきます。

スケジュール

IT導入補助金の対象となる事業者

中小企業・小規 模事業者が対象です。(細かい定義は公募要領に掲載されています)なお、NPOや事業協同組合も申請が受け付けられたことはあります。ただ、法人格のない任意団体は対象外です。(例)同窓会、PTA、サークル

申請できる要件

これはたくさんありますが、主なものを抜粋します。

  • gBizID プライムを取得
  • SECURITY ACTIONの宣言
  • 労働生産性の伸び率向上 :1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上の数値目標
  • B類型の場合
    • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
    • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+3 0円以上

なお、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できていない場合は、補助金の全部の返還を求める場合がある。ということで、しっかり給与総額を上げられる計画にしておかねばなりません。

補助対象経費

他の補助金では、補助対象経費はややこしいです。人件費が入る入らない、原価は入る入らないなど。その点、IT導入補助金はかんたんです。

あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用 です。あくまで事前登録のITツールの導入費用です。

補助対象となるITツールの分類

大枠は去年と変わっていませんが、中身の項目名称はかなり変わりましたね。

ITツールとは大分類I「ソフトウェア」、大分類II「オプション」、大分類III「役務」の3つのいずれかに分類されます。 これはITベンダ側が予め整理して登録しておきますので、事業者側は選ぶだけです。選ぶだけと言っても多分ややこしくて選べないので、ITベンダさんに説明してもらいながら一緒に選ぶことになるでしょう。

さらに上記図表の カテゴリー1 単体ソフトウェアは以下に分類されます。

このプロセスが何にきいてくるかというと、A類型、B類型がこれで別れます。プロセス数が1個ならA類型です。在庫管理がやりたい!という単一のプロセスの要望であれば、B類型は申請できません。A類型になります。 (あとの、C,Dはまた別の話)

B類型は4つ以上のプロセスですね。これは、販売、在庫、調達、物流などを総合的に入れるような場合ですね。いわゆるERP、基幹システム的なものを入れる場合がB類型になるわけです。

A類型は補助率が1/2以内なので、60万円のITツールを導入すると、30万円補助されます。(下限60万、上限300万くらいまでのソフトウェアですね。もちろん上限は超えても150万未満しか出ません)

B類型は 300万円から900万円くらいまでのITツールの導入が対象になるわけです。

事業実施報告

2023 年から 2025 年までの 3 回となります。3年後、4年後、5年後の生産性や給与支給総額を報告せねばなりません。

補助対象外となる経費

これも要注意ですね。たくさんありますので、抜粋です。 全文をチェックするのもお忘れなきよう。

  • すでに購入済のソフトウェアに対する増台や機能の追加、バージョンアップの費用または、 追加購入分のライセンス費用
  • ホームページと同様の仕組みのもの。 ただし、分析機能や指示機能、演算処理、制御などのプログラムは対象となる。
  • ホームページ制作ツールやブログ作成システム等のCMSで制作した簡易アプリケーショ ン。
  • 一般市場に販売されていないもの。特定の顧客向けに限定されたもの。
  • スクラッチ開発が伴うソフトウェア 
  • ハードウェア
  • ECサイト制作
  • 広告宣伝費

ホームページ制作とか、ECサイト制作とか、検索広告の費用とかは対象になりませんからね!

ホームページ、お問い合わせ機能をちょこっと改造して、制御プログラムあります!ってのも事前に弾かれますからね!

IT導入補助金で、ホームページとかEC作るのはだめですからね! (何回も言った!)

交付申請フロー

フローもIT導入補助金は独特ですね。他の補助金と比べて。下図のとおり、事業者は、IT導入支援事業者を通して申請します。なので、最初にどのIT導入支援事業者(ITベンダ)とタッグを組むか、決める必要があります。 そのため、この間に、補助金申請コンサルタントが入る必要は基本的にはありません。

申請に必要な資料

法人の場合は、 
履歴事項全部証明書(発行から 3 ヶ月以内のもの)、直近分の法人税の納税証明書(「その 1」 もしくは「その 2」)

個人事業の場合は、
運転免許証もしくは運転経歴証明書もしくは住民票 (発行から 3 ヶ月以内のもの)、直近分の所得税の納税証明書(「その 1」もしくは「その 2」)、税務署が受領した直近分の確定申告書 B の控え

C・D類型 低感染リスク型ビジネス枠

A・B類型と異なるポイントを整理ししていきます。

C・D類型の概要

生産性の向上だけではなく、業務の非対面化に取り組むITツールの導入になります。

令和2年度第三次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金) 低感染リスク型ビジネス枠(「特別枠 C 類型・D 類型」と)では、新型コロナウイルス感染症の流行が継続している中で感染拡大を抑えながら経済の持ち直しを図り、中小企業のポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現させるため、令和2年度第一次・二次補正で措置した特別枠を改編し、現下及びポストコロナの状況に 対応したビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上とともに感染リスクに繋がる業務上での対人接触の機会を低減するような業務の非対面化に取り組む中小企業・小規模事業者等の積極的なIT導入を優先的に支援する。

また、C・DではA・Bと異なり、ハードウェアレンタルも対象となります。

この特別枠(C 類型・D 類型)においては、通常枠(A類型・B類型)では補助対象とならないハー ドウェアレンタルも、役務の一つと認める

ただ、去年の状況から考えるとハードウェアレンタルは結構ハードルが高いです。なぜなら、通常ITベンダはハードウェアを持っていません。そのため、ITベンダとハードベンダがコンソーシアムを組んでということを事前にしておく必要があったので、思ったよりハードウェアレンタルは使われなかったのではないかと推定します。

CとDの違い

Dはテレワークに関するものですね。といってもZoomやTeamsのみというわけではなく、給与計算を社員がテレワークでやるためであれば給与計算ソフトでもいいわけです。ただし、テレワークでやるためにはインストール型ではなく、クラウド型のサービスである必要があるわけです。

「C 類型(低感染リスク型ビジネス類型:複数のプロセス間で情報連携されるツールを導入し複数のプロセスの非対面化や業務の更なる効率化を行うことを目的とした事業)」

「D 類型(テレワーク対応類型:テレワーク環境の整備に資するクラウド対応ツールを導入し複数のプロセスの非対面化を行うことを目的とした事業)」

 補助率等

その分、C・D類型は 2/3補助なので、できればC類型を使いたいですが、プロセス数が2以上で、非対面のツールである必要があります。 単に在庫システムでは対象にならないですね。

類型判別チャート

非対面であるか否かで、A/BとC/Dで分類されますね。あとは金額です。

何れにせよ、事業者さんはそんなに気にする必要はなくて、事前にITツールが登録されるときにA/B/C/Dと別れているので、どうしてもCが使いたい!と思っても、購入したいITツールがCでなければ、無理なわけです。

遡及できる (さかのれる)

補助金は通常、採択されて、それ以降の実施期間に使ったお金しか対象になりません。

採択前に、対象になるというのは、珍しいもので、コロナ対応の所以でしょう。

ただし、公募開始前の遡及申請可能期間は決まっています。2021年1月8日(金)以降から交付決定前までの期間です。

良い制度であるとは思いますが、そんなに遡れないので、可能であれば、採択されてから購入するほうが良いでしょう。

補助対象外となる経費

多くはA/B類型と同じですが、 業務の非対面化ということで、 ECは対象になります。HPは対象外です。

製品が完成されておらず、スクラッチ開発が伴うソフトウェアは対象外です。過去に特定顧客向けに開発したコード(開発実績)を他の顧客に再利用し、その顧客の要件に合わせ追加スクラッチ開
発を伴うものも対象外ですが、EC サイト制作は対象になるため、この内容はECからは除かれます。

そんなところで

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