中小企業診断士の2次試験問題を生成AIに解いてもらう~NoteBookLMで合格できそうな雰囲気
最初に生成された第1問を比較します
いい感じの日本語で回答してくれていますが、ChatGPTは与件に忠実ではなく、NoteBookLMは設問に忠実でないように感じます。プロンプトでもう少し細かく指示をした方が良かったのかなあ、という印象です。私が採点するなら合格点には達しないかな、とも感じました。悪くないんですが、採点しづらい回答になっているのかも。
プロンプトを追加
設問文に忠実に答えて、というプロンプトを追加してみました。
以降、問題を読み込み、事例1をChatGPTとGeminiに回答させていきます。プロンプトは追加せずに、そのまま設問を聞いた内容を掲載しています。
生成AIに2次試験問題が読み込めるか?
2次試験は与件文が長く、そのまま読み込むと、トークンエラーになるかなあと思いながら、試してみます。
ところが、まずは、診断協会においてあるファイルは文字がコピーできないようになっているため、画像として読み込まして、文字起こしするところからお願いしてみました。 一言一句は確認していませんが、ちゃんと文字起こししてくれました。
PDFで置いときます。
ChatGPT-o1で読み込み
ChatGPT-o1に与件文を貼り付けました。全文読み込めました。与件文は、2500文字程度です。自分が合格とした時に平成19年事例1に取り組みます。
そして、1問ずつチャットで聞いていきます。生成AIの回答を貼り付けていきます。
考え方と、100文字以内での出力をしてくれています。文字数は中々伝わっておらず少し短めです。
出力された第1問の回答例
第1問(配点10点)設問文
バブル経済崩壊後、10年以上にわたって続いた長期景気低迷も、2003年以降回復傾向にある。A社も、そうした景気回復を追い風に業績を改善しつつある。しかし、活況を取り戻しつつあるとはいえ、今日の消費市場は、以前にも増して不透明さや複雑さが高まっている。A社が事業を展開している宝飾品市場は、どのような不透明さや複雑性を抱えていると考えられるか。100字以内で答えよ。
A社が事業を展開している宝飾品市場の不透明さや複雑性について、次のように考えられます。
宝飾品市場では、消費者の価値観やニーズが多様化し、価格に敏感でありつつも、ブランド力やストーリー性を求める傾向があります。また、競争が激化し、新規参入企業やオンライン市場の影響で、販売チャネルやマーケティングの複雑化が進んでいます。
(100字以内)
消費者の価値観の多様化、オンライン市場の台頭、競争激化により販売チャネルやマーケティングが複雑化し、価格競争とブランド力確立が求められる不透明な市場環境。 (77文字)
出力された第2問の回答例
第2問(配点15点) 設問文
A社は、主に百貨店やショッピングセンター内のインストアショップによる店舗展開を行ってきた。路面店と比較して、インストアショップによる店舗展開のメリットとデメリットについて150字以内で答えよ。
メリット
インストアショップは集客力の高い百貨店やショッピングセンター内に立地するため、安定した顧客流入が期待できる。また、運営コストが比較的低く抑えられ、効率的な経営が可能。
デメリット
百貨店やショッピングセンターのブランドイメージに依存し、独自性を確立しにくい。また、テナント料や販売促進費用が高額になる可能性がある。
(150字以内)
インストアショップは集客力が高く運営コストを抑えられるが、独自性の確立が難しく、テナント料や販促費が高額となる場合がある点が課題。 (65文字)
出力された第3問の回答例
第3問(配点15点)設問文
A社の唯一の直営路面店は、2005年に開店した。この店舗のA社の事業展開における戦略的位置づけと、それを達成するために必要だと思われる施策について、100字以内で述べよ。
戦略的位置づけ
A社の直営路面店は、ブランド認知度向上と高級感のあるイメージ構築を目的としている。
必要な施策
高品質な接客、商品ディスプレイの強化、イベント開催、SNSや広告を活用した集客施策により、顧客体験の向上を図る。
(100字以内)
直営路面店はブランド認知度向上と高級感構築が目的。高品質な接客やディスプレイ強化、イベント開催、SNSを活用し顧客体験を向上させる施策が必要。
出力された第4問(設問1)の回答例
A社が行った従業員の意識や満足度の調査結果について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
一般的に、高級ブランドを取り扱っている店舗の従業員の満足度は、それよりも低い位置づけにあるブランドを扱っている店舗の従業員の満足度よりも高いと考えられる。しかし、A社では、高級アクセサリーのXブランドのみを取り扱っている店舗の従業員の満足度が相対的に低い傾向を示している。なぜ、そうした傾向がみられるのかについて、100字以内で説明せよ。
高級アクセサリーのXブランドを扱う店舗では、顧客対応や販売ノルマなどの業務負荷が大きく、また期待されるスキルや成果へのプレッシャーが高いため、従業員の満足度が低下していると考えられる。
出力された第4問(設問2)の回答例
A社が行った従業員の意識や満足度の調査結果について、以下の設問に答えよ。
(設問2)
直営店に比べてインストアショップの従業員の満足度が、相対的に低い傾向を示している。なぜ、そうした傾向がみられるのかについて、100字以内で説明せよ。
インストアショップの従業員は、直営店に比べて責任権限の委譲や意思決定の迅速性が低く、加えて店舗間の連携不足により働きがいを感じにくいため、満足度が低い傾向にある。
出力された第4問(設問3)の回答例
A社が行った従業員の意識や満足度の調査結果について、以下の設問に答えよ。
(設問3)
社歴の長い従業員の満足度が社歴の短い従業員の満足度より低くなる大きな理由は、自分自身の将来像やキャリアに対する不満と、上司に対する不満である。中でも、上司に対する不満が、インストアショップで相対的に高いことが分かった。不満の原因とそれを解消するために取るべき施策について、中小企業診断士として、どのようなアドバイスをするか。100字以内で答えよ。
上司に対する不満は、コミュニケーション不足やキャリア支援の欠如が原因。解消には、上司の研修強化、従業員との定期的なキャリア面談、評価制度の透明性向上を実施し、信頼関係の構築を図るべき。
出力された第5問の回答例
第5問(配点15点)設問文
A社は、年間約6億円の売上げをあげているにもかかわらず、営業利益は1,600万円で、売上高営業利益率は3%以下である。今後、A社の収益構造を改善していくためには、どのような施策を講じていくべきか。中小企業診断士としてアドバイスする具体的施策について、100字以内で答えよ。
高収益化には、高付加価値商品の販売強化、販売促進費の見直し、効率的な在庫管理、直営店の強化やEC販売の拡大による販路多様化、コスト削減施策の徹底が必要である。
NoteBookLMにあらかじめ与件文を読み込んでチャットで設問文を投げる
与件文だけ、PDFでアップロードしました。こちらの方が、与えられた与件だけで回答してくれそうな気がします。
そしてチャットで質問しました。
出力された第1問の回答例
宝飾品市場は、景気回復による需要増加が期待される一方で、消費者の価値観の多様化が進み、従来の高級志向だけでなく、個性や独自性を重視する傾向も強まっている。また、インポートブランドの市場拡大が顕著であることから、競争が激化している可能性もある。これらの要因により、宝飾品市場は将来予測が困難な状況に直面していると言える。
出力された第2問の回答例
路面店と比較したインストアショップのメリットは、集客力のある施設に出店することで、顧客獲得のための広告宣伝費などを抑えられること、百貨店やショッピングセンターのブランドイメージを享受できることである。 一方でデメリットは、テナント料や販売手数料などのコストがかかること、施設の営業時間に合わせた営業となり、自由度が低いこと、施設のイメージに合わせた店舗デザインや品揃えにする必要があり、独自性が出しにくいことなどが挙げられる。
出力された第3問の回答例
A社の唯一の直営路面店は、ブランドイメージを高め、認知度向上を図るための戦略的な拠点と位置づけられます。そのためには、顧客体験を重視した洗練された店舗デザイン、商品ラインナップの充実、質の高い接客サービスの提供などが必要です。これらの施策を通じて、路面店をA社のブランドを体現するフラッグシップショップとして確立することが重要です。
出力された第4問(設問1)の回答例
A社では、Xブランドのみを取り扱う店舗の従業員の給与水準や業績への給与の反映度に対する満足度が低いことが調査結果から分かっています。高級ブランドを取り扱う従業員は、それに応じた給与水準や業績評価を期待しているにもかかわらず、現状とのギャップが生じていることから、満足度が低いと考えられます。
出力された第4問(設問2)の回答例
A社の調査結果では、インストアショップの従業員は責任権限の委譲や部門間連携、意思決定の迅速性といった項目で、直営店に比べて満足度が低いという結果が出ています。これは、インストアショップでは百貨店やショッピングセンターなどの施設側に合わせた運営が必要となり、従業員の裁量権が制限される場合が多いことが要因と考えられます。
出力された第4問(設問3)の回答例
インストアショップでは、施設の営業時間や規則に合わせた店舗運営となり、従業員の裁量権が制限されることで、上司の指示が細かく、業務の自由度が低いと感じている可能性があります。この点を改善するため、上司は従業員に権限を委譲し、自主性を尊重するように指導する必要があります。 また、定期的な面談でキャリア目標や課題を共有し、従業員の成長を支援することで、将来像に対する不安を解消するべきです。
出力された第5問の回答例
A社は、ニッチブランドであるため、ブランド力の強化が重要です。そのためには、直営路面店をフラッグシップショップとして、顧客体験を重視した洗練された店舗デザインや質の高い接客サービスを提供し、ブランドイメージの向上を図るべきです。さらに、従業員の給与水準や業績への反映度を見直し、従業員満足度を高めることで、より質の高いサービス提供体制を構築し、収益構造の改善につなげることが重要です。
NoteBookLMはどの文章のところから出力されたのかソースを確認できるのがいい
当時(H19)に自分が作った再現答案の骨子です
再現答案が見つからなかったので(ふぞろいの初号に載ってますが)、当時の骨子だけ残っていたので掲載して見比べてみます。
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第1問(10点)
不透明性
・ジュエリー業界は長期的には需要変動が大
・国内と海外でのブランド認知が異なる
複雑性は、
・販売チャネルが混在
・海外との輸入取引実施
第2問(15点)
メリット
・ショッピングセンターの集客活用
販促コストコストを抑制
・土地等の資本コスト抑制
デメリット
・ショッピングセンターの集客の影響
・ショッピングセンターの中で埋没
独自の店舗作りができない制約
→ブランドイメージを訴求できない点
第3問(15点)
位置づけ:日本でのX・Yブランドの発祥の地
→ブランド力向上に活用
施策
・ここでしか手に入らない独自性と
海外の知名度を活かした販促
・社長直轄組織として各店の優秀な人材を配置する。
第4問(45点)
(設問1)
・売上高がYブランドより高い→でも評価されてない
・X販売店舗は経験豊かな社員が多→高評価をとりづらい、
・評価基準が合意されていない
(設問2)
直営店に比べて満足度が低い理由は、
・百貨店等の担当者/中間管理職が間に入る
・百貨店等の担当者がいるので現場の権限が小さい
・他店との情報共有連携ができない
→意思決定が迅速にできず、
魅力的な店舗作りに制約があるため不満
(設問3)
原因
・将来像が見えない
・能力開発されていない
施策は、
・CDPを明確にする
・体系的教育とOJT
・ジョブローテーション
第5問(15点)
事業と組織構造を見直す
・各店でX・Yの両ブランドの販売→売上の向上
・ブランド力の向上 →利益率の向上
・X・Y混在の要員配置を実施する
→従業員の不満の解消と販管費の削減
感想
ChatGPTの出力に対して
まずChatGPTの解答ですが、与件文以外の内容からも答えており、自分の業界の既存知識を組み込んで解答するといった、一番やってはいけないことをやっていると思います。
あとは、そもそも組織事例という意識が薄く、マーケティング事例のような解答が目立ちました。これはプロンプトの指示の仕方で内容も変わってくるのではないかと思います。
NoteBookLMの出力に対して
こちらは読み込んだ与件文のPDFからだけ回答しているので、ChatGPTの単純な出力よりは、点数が良い回答になりそうです。
ただこちらも、多少組織事例の意識が薄い印象です。プロンプトで組織事例を意識してと入れればいいのだろうか。ただそうすると組織によりすぎる回答になるかもしれませんね。
まとめ
文字数はさておきですが、読み取って与件を拾って回答するのはいい感じに対応してくれていますね。知識系の問題も悪くはないですね。ただ、組織事例なのか流通事例なのか、事前の意識が足りなかったので、そのあたりをもう少し指示すれば合格できる答案は作成できるように思います。
後、自分が知ってる問題だったら、なんとなく出力例の適切さが判断できるかと思いましたが、もう昔過ぎて全然思い出せなくて、どこまで適切な回答例だったかは自分では判断できませんでした(^^;
ぜひ有識者の方に意見をもらいたいところです。
そんなところで。