中小企業診断士試験の問題をAIは解けるか? ChatGPTのAIはどう答えて解説してくれるか?
AIが東大に合格できるようになるか?と言う記事もありましたので、診断士試験で試してみました。
企業経営理論の令和4年度 第3問について聞いてみる。
令和4年度 第3問
組織内外の環境を分析するための枠組み(フレームワーク)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「PESTフレームワーク」では、企業を取り巻く外部環境を、政治、経済、社会、技術の観点から分析する。
イ 「VRIOフレームワーク」によると、経営資源について、経済的価値が認められるか、希少性が高いか、模倣が困難であるか、その経営資源を活用できる組織能力があるか、という条件のうち、 1つでも満たされていれば持続的競争優位に資する経営資源と判断される。
ウ 「戦略分析の3C」はマーケティング環境を分析するための枠組みであり、資本、顧客、競合に着眼して分析を行う。
エ M.ポーターが提示した「価値連鎖(Value Chain)」は、価値がどの機能で生み出されるかを可視化する分析枠組みであり、購入物流、製造、出荷物流、サービスなどの主要活動と、技術開発、人事・労務管理、調達活動、販売・マーケティングなどの支援活動から構成される。
オ M.ポーターによる「5つの競争要因(Five Forces)」は、当該業界の成長性を決定する諸要因である。
設問文を少し変えてみる
組織内外の環境を分析するための枠組み(フレームワーク)に関する以下の5つの選択肢の中で、最も適切な選択肢を教えてください。また、誤っている4つの選択肢の誤っている内容も合わせて教えてください。
なお、令和4年度設問3の解答はアです。
chatGPT(無料版)に聞いてみる
質問した内容です。
chatGPTの回答
以下がchatGPTからの出力結果をそのままです。
正解:ア
誤解釈:
イ.「VRIOフレームワーク」は、経営資源の持続的競争優位性に関するフレームワークであり、持続的競争優位に資するためには、価値創造、稀少性、模倣の困難性、組織能力の4つの要件を満たす必要があります。
ウ.「戦略分析の3C」は、マーケティング環境を分析するためのフレームワークであり、企業の内外環境を分析するためのものではありません。3Cは、会社の顧客、競合、会社自身の分析を行います。
エ.「価値連鎖(Value Chain)」は、企業の活動をより効率的にする方法を特定し、顧客に提供する製品やサービスの価値を最大化するためのフレームワークです。業界の成長性についての分析は行っておらず、企業の内部プロセスに焦点を当てています。
オ.「5つの競争要因(Five Forces)」は、業界内での競争状況を分析するためのフレームワークであり、業界内での新規参入、代替品の脅威、既存の競合、顧客交渉力、サプライヤー交渉力の5つの要因に焦点を当てています。業界の成長性についての分析は行っていません。
ChatGPTの回答の中身を検証してみる
ということでまず正解でした。選択肢アでした。正解!
選択肢イ
chatGPTの解説 イ.「VRIOフレームワーク」は、経営資源の持続的競争優位性に関するフレームワークであり、持続的競争優位に資するためには、価値創造、稀少性、模倣の困難性、組織能力の4つの要件を満たす必要があります。
→1つではなくて4つとも満たせ!ということで適切な解説だとは思います。ただVRIとOは分けて説明しても良いかと思いました。
村上の解説 「VRIOフレームワーク」は、経営資源について、「価値:Value」「希少性:Rarity」「模倣困難性:Inimitability」「組織:Organization」の4つの視点で分析するものである。ただしそのうち1つでも満たされれば持続的競争優位となるのではなく、VRIの3つを満たしていれば競争的優位の源泉となりうる。さらに0の観点を満たしていれば持続的競争優位が構築できるため、不適切である。
選択肢ウ
chatGPTの解説 ウ.「戦略分析の3C」は、マーケティング環境を分析するためのフレームワークであり、企業の内外環境を分析するためのものではありません。3Cは、会社の顧客、競合、会社自身の分析を行います。
→これはちょっと不満ですね。「資本」がおかしいと明示してほしかった。また3Cは内外環境の分析も含まれるので、そこをズバッと否定されるのは違和感があります。
村上の解説 「戦略分析の3C」はマーケティング環境を分析するための枠組みであるが、「自社:Company」「顧客:Customer」「競合:Competitor」の3つに着眼して分析を行うため、不適切である。「資本」は含まれない。
選択肢エ
chatGPTの解説 エ.「価値連鎖(Value Chain)」は、企業の活動をより効率的にする方法を特定し、顧客に提供する製品やサービスの価値を最大化するためのフレームワークです。業界の成長性についての分析は行っておらず、企業の内部プロセスに焦点を当てています。
→成長性の分析というのは選択肢オのはなしなので、ここは設問を誤解しています。ここは主要活動と支援活動について触れるべきかと
村上の解説 「価値連鎖(バリューチェーン)」は、価値がどの機能で生み出されるかを可視化する分析枠組みである。価値を直接的に産み出す「主要活動」と主要活動を遂行する上で必要となる「支援活動」に分類されるところまでは正しい。ただし、「販売・マーケティング」は「主要活動」であるため、不適切である。
選択肢オ
chatGPTの解説 オ.「5つの競争要因(Five Forces)」は、業界内での競争状況を分析するためのフレームワークであり、業界内での新規参入、代替品の脅威、既存の競合、顧客交渉力、サプライヤー交渉力の5つの要因に焦点を当てています。業界の成長性についての分析は行っていません。
→選択肢エで間違えて取りあげていました、ここではバッチリ業界の成長性分析ではないと解説してくれています。
村上の解説 「 5 つの競争要因」は、当該業界の「成長性」を決定するものではなく、「収益性」を決定する諸要因であるため、不適切である。
感想
実は令和4年度の第1問をchatGPTに聞いてみると、解答を間違えていました。まだ全問正解というわけにはいかなさそうですね。
一方で、第3問は正解でしたし、解説もぼちぼち妥当なものでした。ただし選択肢の取り違えもあり、まとめてどーんと5つ選択肢を聞くのではなく、一つ一つの選択肢を分けて聞いてみると回答精度も上がるのではないかと思いました。
と思って試してみましたが、やっぱり間違っているw 販売・マーケティング!
そんなところで。