デジタル田園都市国家構想で何が変わる?~2022年のITに関する中小企業施策
田園都市ってなんですか!? 令和3年度の補正予算の事業内容を確認しています。いろんな施策が山のようにありますが、やはり私は仕事からIT関連施策だけは詳細に把握しておこうと思い、毎年、予算資料のITに関連しそうなところはチェックしています。今年も確認していきたいと思います。主に経済産業省系の話を書いていきたいと思いますが、IT関連の施策は、他の省庁でもあります。例えば厚生労働省系の予算であれば、テレワークに関する施策がそれなりに登場します。そのあたりは、別の日のブログで取り上げたいと思います。
今回は、以下の経済産業省資料をのぞいていきます。
田園都市とは・・・
そしていきなりびっくりします。デジタル田園都市国家構想! デジタル国家構想と言わればわからないわけではないですが、田園都市を入れる理由は何だったんでしょうね。
ウィキには以下のように書かれています。
田園都市(でんえんとし、英:Garden city)には、「豊かな自然環境に恵まれた都市」という一般的な意味と、1898年にイギリスのエベネザー・ハワードが提唱した新しい都市形態という、2つの意味がある。後者のハワードの提案は、その後の都市計画、とくに住宅地計画に対して大きな影響を与えることとなり、第二次世界大戦後のイギリスのニュータウン政策のみならず、日本をはじめとする世界各地における郊外型の都市開発などにも大きな影響を与えた
wiki
あまり、本来の意味の田園都市とは関係ないのかもしれませんね。ただ、郊外型の都市開発ということで、地方創生も踏まえ、地方も含めたデジタル化を目指したいという意思なんでしょうか。
内閣官房のページにはデジタル田園都市国家構想実現会議の議事録などが残されています。
デジタル庁の牧島大臣提示の資料を覗いてみます。
デジタル田園都市構想の成功の5つの鍵
デジタルの力で、「暮らし」「産業」「社会」を変革し、地域を全国や世界と有機的につなげていく取組だそうな。国が整備するデジタル基盤の上に、共助の力を引き出し、各地域で全体最適を目指したエコシステムを構築し、常時発展・改革していくためにも、知の中核として大学を巻き込み、関係者全員でEBPM※を実践することが必要ということです・・・
※EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)
① 人の一生涯の暮らしや生きがいと、地域の新たな産業をデジタルでフル・サポート。
② そのため、国、自治体、市民、大学、産業など関係者の力を特定ビジョンの下に総動員。
③ 社会活動に必要な機能を近接した空間に集め、その関係性を深めるよう、地域の空間全体も再設計。
④ 参加する全関係者がEBPMのサイクルを共有し改善の有無を検証し、取組の方向性を確認。
⑤ 構造化されたデジタル共通基盤(インフラ、データ連携基盤・公共メッシュ、サービス)の整備・浸透。
①②の内容は、やはり地方の支援でしょうか。地方自治体のデジタル化が進むといいですね。コロナでの補助金・給付金の支給ですら自治体にはとてつもない作業負荷でした。そんなイレギュラー処理はさておき、通常の業務も効率が悪いものも多そうですもんね。
地方自治体ではシステムなんか持たず、全て国が一律の行政サービスクラウドを提供すればいいのに・・・なんて、思うこともありますが、実際に、1000人にも満たない自治体と、100万人規模の自治体が同じ仕組みで回るわけもなく、ある程度の規模に応じた、段階的なクラウドサービスが提供されるといいのでしょうか。地方ごとの特徴なんかもあるでしょうが、そこはこだわらずに標準化できればいいのですが。自治体システムの標準化なんて何十年言い続けられて、実現されていないので、むつかしいのでしょうね。
(やはり、今の自治体の仕組みをみなおして、道州制なのか、少なくとも一定の規模サイズで統一した地方自治運営になれば、もう少しスムーズに進むんだろうなあ、と思いつつ、それはまた、違う話題になると思うのでおいておきます)
いずれにせよ、ゆりかごから墓場までの田園都市ということで、さまざまな行政サービスが、誰でもかんたんに使える状態を目指すようです。
5つの方針
- デジタル庁が主導して、自治体クラウドや5G、データセンターなどのデジタル基盤を整備
- デジタル基盤を活用した、遠隔の医療、教育、防災、リモートワークなどを地方における先導的なデジタル化の取組として支援
- 地方創生のための各種交付金のほか、今回の経済対策で新しく創設するデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用
- デジタル田園都市国家構想関連地方創生交付金(仮称)〔660億円〕
- デジタル臨調やGIGAスクール、スーパーシティ構想、スマート農業等の成果も活用
- 誰一人取り残さないよう、デジタル推進委員を全国に展開
誰一人の取り残さない、というのは強調されていますね。そのとおりだと思う気持ちと、それってできるのだろうかなんて、思ったりもいます。年末に実家に帰って、高齢の母のパソコンとかスマホの相談を受けると、ほんと、理解が進まなくてイライラしたりします(^^;
以下のようなサポート体制がとっても大事だと思うのですが、そもそもシステム自体が簡単でないと、サポートはしてもしきれないでしょう。 e-taxなんかがいい例ですよね。以前に比べて簡単になったとはいえ、ほんとに毎年使うのが大変です。e-taxというより確定申告自体の複雑さでしょうね。
システムを簡単に使えるようにするには限度があります。やはり仕組みや制度自体が簡単じゃないと、システムではサポートしきれません。確定申告のやり方がもっともっと簡単になれば、みんながスマホで簡単にe-taxを使う時代が来るのだと思います。今の制度のままだと、くるしいでしょうね。
とにかくシステムを入れる前に、ビジネスプロセスを見直すのが、民間では基本になります。公共でも、システムを考える前に業務プロセスの見直し、その前に制度の見直し(シンプル化)が最も大事になると思います。
(軽減税率のような、政治の結果による仕組みなんかは、さっさとやめちゃえばいいのにと思ったりします。)
肝心の中小企業施策は?
デジタル田園都市国家構想を実現するためには、施策が必要です。
それでは令和3年度の補正予算の事業概要では、どのような施策が記載されているでしょうか?
以下のとおりです。
各施策については、次回以降のブログで紹介していきたいと思います。
そんなところで