適格請求書発行事業者の義務の総論

目次

問 15 適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。 また、交付義務が課されない場合はあるのですか。

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等(注1、2)を行った場合に、相手方 (課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています (新消法 57 の41)。
なお、適格請求書発行事業者は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録 を提供することができます(新消法 57 の45)。
ただし、次の取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付するこ とが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令 70 の92)(適格請求書の交 付義務が免除される取引の詳細については問 23 から問 29 までをご参照ください。)。

  • 1 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
  • 2 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸 売の業務として行うものに限ります。)
  • 3 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売 (無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
  • 4  3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
  • 5 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

(注)1 課税資産の譲渡等に係る適用税率は問いませんので、標準税率の取引のみを行っている場合でも、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときは、適格請求書の交付義務があることにご留意ください。
2 免税取引、非課税取引及び不課税取引のみを行った場合については、適格請求書の交付義務は課されません。

問 16 適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。

適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う次の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交 付することができます(新消法 57 の42、新消令 70 の 11)。

  • 1 小売業
  • 2 飲食店業
  • 3 写真業
  • 4 旅行業
  • 5 タクシー業
  • 6 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
  • 7 その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業なお、適格簡易請求書についても、その交付に代えて、その記載事項に係る電磁的記録を提 供することができます(新消法57の45)。

問 17 適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。

適格請求書の様式は、法令等で定められていません。 適格請求書として必要な次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)
であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します(新消法57の41、インボイス通達3 -1)。

  • 1 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 2 課税資産の譲渡等を行った年月日
  • 3 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲 渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  • 4 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  • 5 税率ごとに区分した消費税額等
  • 6 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

問 18 当店は、現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。 適格請求書等保存方式の導入後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。

手書きの領収書であっても、適格請求書として必要な次の事項が記載されていれば、適格請求書に該当します(新消法57の41、インボイス通達3-1)。

  • 1 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 2 課税資産の譲渡等を行った年月日
  • 3 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  • 4 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  • 5 税率ごとに区分した消費税額等
  • 6 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

なお、適格簡易請求書を交付する場合の記載事項については、問 37 をご参照ください。

問 19 返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています(新消法57の43)。 ただし、適格請求書の交付義務が免除される場合と同様、次の場合には、適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消令70の93)。

  • 1 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
  • 2 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
  • 3 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
  • 4 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
  • 5 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。) なお、適格返還請求書の記載事項については、問38及び問39をご参照ください。

問 20 当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、 この請求書データを適格請求書とすることができますか。

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁 的記録を提供することができます(新消法57の415)。
したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、 適格請求書の交付に代えることができます。

ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データを電磁的に保存しようとする場合には 一定の要件を満たした状態で保存する必要がありますが、その具体的な内容については、問47 をご参照ください。
(参考) 電磁的記録による提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次の方法があります(インボイス通達3-2)。

  • 1 EDI取引(注)における電子データの提供
  • 2 電子メールによる電子データの提供
  • 3 インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注) EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商 取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等を いいます。

問 21 交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合

(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)においては、これらの書類の記載事項に誤 りがあったときには、これらの書類を交付した相手方(課税事業者に限ります。)に対して、修 正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法 57の445)。

(注) 記載事項に誤りがある適格請求書の交付を受けた事業者は、仕入税額控除を行うため に、売手である適格請求書発行事業者に対して修正した適格請求書の交付を求め、その 交付を受ける必要があります(自ら追記や修正を行うことはできません。)。

問 22 適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対しては、その旨が書面で通知されるそ うですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求 書の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付しています。改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。

ご質問の場合、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取引について、相手方に交付した

請求書は、登録番号、税率ごとに区分した消費税額等の記載がなく適格請求書の記載事項を満 たしていません。

この場合、通知を受けた後、登録番号や税率ごとに区分した消費税額等を記載し、適格請求 書の記載事項を満たした請求書を改めて相手方に交付する必要がありますが、通知を受けた後 に登録番号などの適格請求書の記載事項として不足する事項を相手方に書面等(注)で通知する ことで、既に交付した請求書と合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができます(イン ボイス通達2-4)。

(注) 既に交付した書類との相互の関連が明確であり、書面等の交付を受ける事業者が適格請 求書の記載事項を適正に認識できるものに限ります。