第7章 品質管理

この章のねらい 運営管理(生産管理)のなかで、毎年ほぼ確実に2〜4問が出題される超頻出分野です。 テーマは大きく「考え方(TQM・QCサークル・PDCA)」「道具(QC七つ道具・新QC七つ道具)」 「数字で管理する(管理図・工程能力指数)」「できたモノを見る(検査・抜取検査・ISO9000)」の4本柱。 覚えることは多いのですが、道具の名前と用途を一対一で結ぶこと、計算はCp/Cpkの公式1本を 押さえることで、確実に得点源にできます。

過去問での出方:QC七つ道具・新QC七つ道具の「名称と特徴の対応」(R01・R04・R05・R07・H30ほか)が 最頻出。次いで管理図(種類と用途の取り違え)と工程能力指数の計算(R03・R06)、TQMの原則・推進段階 (H23・H25・H26)が定番です。ここは暗記+計算1問で乗り切れる、コスパの良い章です。


7-0 この章の地図

品質管理は、「心構え(考え方)」→「道具」→「数値管理」→「検査・規格」という順に進みます。 最初に全体像をつかんでおきましょう。

7-1 品質管理の考え方        … TQM・QCサークル・PDCA/品質は工程で作り込む
   │                        (心構え・進め方の土台)
   ▼
7-2 QC七つ道具/新QC七つ道具  … データを「見える化」する道具箱 ★最頻出
   │                        (数値データ用7つ+言語データ用7つ)
   ▼
7-3 管理図と工程能力指数     … 工程が安定しているか/実力があるかを数値で判定
   │                        (管理図の種類/Cp・Cpkの計算 ★計算)
   ▼
7-4 検査・抜取検査・ISO9000  … できあがったモノを見る/規格・仕組みで保証する

品質管理でいちばん大事な思想は、「品質は検査ではなく工程で作り込む」の一言に尽きます。 不良を後から見つけて捨てるのではなく、そもそも不良を出さない工程をつくる。 この発想が、7-1から7-4までのすべての底に流れています。


7-1 品質管理の考え方 ― TQM・QCサークル・PDCA

そもそも「品質」とは何か ― ねらいの品質とできばえの品質

品質管理を学ぶ前に、「品質」という言葉を2つに分けて整理します。ここはH25 第5問で問われました。

呼び方 別名 意味
設計品質 ねらいの品質 「こういう品質を目指す」という設計上の目標。仕様書に書かれた狙い
製造品質 できばえの品質(適合品質) 実際に作られたモノが、設計品質にどれだけ合っているか(適合の度合い)
  • 設計品質=ねらい製造品質=できばえ(適合)。この対応が入れ替わった選択肢が定番の引っかけです。
  • 代用特性:本当に測りたい品質特性を直接測るのが困難・不経済なとき、代わりに用いる測定可能な特性。 (例:ゴムの「耐久性」を直接測る代わりに「硬さ」を測る)
  • 品質特性:顧客の要求を、製品の技術的な特性に置き換えたもの。※製品価格は品質特性に含まれません(H25 第5問の引っかけ)。

品質は「工程で作り込む」

品質管理の最重要思想がこれです。

不良品を検査で見つけて取り除くのではなく、そもそも不良を出さない工程をつくる(=作り込む)。

  • 検査は「悪い物を後で選り分ける」だけで、不良そのものは減りません。しかもコストがかかります。
  • そこで、原因が生まれる上流(源流)でつぶすという考え方(源流管理)が中心になります。
  • 未然防止(起きる前に防ぐ)」「再発防止(同じ問題を繰り返さない)」もこの発想の仲間です。

PDCAサイクル ― 管理の基本の輪

品質管理に限らず、「管理」の基本動作は PDCA の輪を回すことです。

   ┌───→ Plan(計画:目標と方法を決める)
   │            │
Act(処置)      ▼
(標準化・        Do(実行:計画どおりやってみる)
 歯止め)         │
   ▲            ▼
   └─── Check(確認:結果を目標と比べ、差の原因を調べる)
  • P(計画)→ D(実行)→ C(確認)→ A(処置) を回し続けることで、品質をらせん状に向上させます。
  • A(処置)では、うまくいった方法を標準化して歯止めをかけ、次のPへつなぎます。 「やりっぱなし」で標準化しないと、また元に戻ってしまう(=歯止めがない)点が要注意です。

TQM(総合的品質管理)とは

TQM(Total Quality Management:総合的品質管理) とは、品質管理を製造部門だけの仕事にせず、 経営トップから全部門・全員が参加して、会社全体で品質を追求するマネジメント活動です。 (かつてのTQC=総合的品質管理が発展したもの)

TQMの3つの原則グループ(H25 第13問)を押さえましょう。

原則グループ ねらい 代表例
① 目的に関する原則 何を目指すか 品質第一、マーケットイン、重点志向
② 手段に関する原則 どう達成するか プロセス重視源流管理、再発防止・未然防止、事実に基づく管理
③ 組織運営に関する原則 実践を支える仕組み 標準化、教育・訓練の重視、QCサークル

⚠️ 混同注意:どれが「手段」か H25第13問は「②手段に関する原則」の組合せを選ばせました。正解は源流管理・再発防止・事実に基づく管理。 ・マーケットインは①目的の原則(②手段ではない) ・標準化・教育訓練の重視は③組織運営の原則(②手段ではない) 「マーケットイン=顧客起点で作る=目指すべき目的」「教育訓練=仕組みづくり=組織運営」と整理すると迷いません。

📝 過去問はこう出る(H25 第13問) 「②手段に関する原則」の組合せを選ぶ問題。正解は「源流管理、再発防止、事実に基づく管理」(ア)。 「教育・訓練の重視」(=③組織運営)や「品質第一・マーケットイン」(=①目的)が混ざった選択肢はバツ。 → H25 第13問

TQMの推進段階と活動要素

TQMの推進段階(H23 第13問)は、身近な問題から始めて外部比較へ深化する成熟の順序です。

① 具体的な個別問題の解決     … まず目の前の問題をQCサークル等で解決
   ▼
② 制度・運営面での問題の解決  … 仕組み・管理システムの問題に着手
   ▼
③ 潜在的な問題の抽出と解決    … 顕在化する前の問題を予防的に発掘
   ▼
④ 他社とのベンチマーキング    … 外部比較で世界水準を目指す

また、TQMの手法は関連する活動要素とセットで問われます(H26 第13問)。

TQMの手法 強く関連する活動要素
改善の手順(QCストーリー) 方針管理・小集団改善活動・品質管理教育
品質機能展開(QFD) 新製品開発管理・プロセス保証
プロセスフローチャート 標準化・日常管理

📝 過去問はこう出る(H26 第13問) 正解は「改善の手順 ― 方針管理・小集団改善活動・品質管理教育」(イ)。 QFDは新製品開発と結びつく手法なので、方針管理グループと組ませた選択肢(ウ)はバツ。 → H26 第13問

QCサークルと小集団活動

QCサークルとは、同じ職場の第一線の従業員が少人数のグループをつくり、 自主的・継続的に品質や職場の問題を改善していく小集団活動です。

  • 自主的(ボトムアップ)な活動であるのが特徴。トップが命令する管理ではありません。
  • メンバーの能力向上・やりがい・職場の活性化にもつながります。
  • 全社的なTQMを、現場レベルで支える"土台"の役割を果たします。

QCストーリー(QC的問題解決の手順)

現場の問題を、思いつきでなく筋道立てて解決する標準手順が QCストーリーです(H22 第12問)。

① テーマの選定    … 影響度・緊急度・効果からテーマを絞る(パレート図・マトリックス図)
② 現状把握        … チェックシートでデータを採り、層別して"くせ"をつかむ
③ 目標の設定
④ 要因の解析      … 特性要因図で要因を洗い出し、寄与率の大きいものを
                    層別データの比較や散布図で検証する
⑤ 対策の立案・実施
⑥ 効果の確認
⑦ 標準化・歯止め  … うまくいった方法を標準化し、元に戻らないようにする

⚠️ つまずきポイント:手法とステップの取り違え ・「テーマの選定」で使うのはパレート図・マトリックス図(×実験計画法。実験計画法は解析段階の道具) ・「特性要因図で要因を洗い出す」のは要因の解析段階(×現状把握段階) ・「解析」で寄与率の大きい要因を層別データ比較・散布図で検証する ← ここが正解肢の定番

📝 過去問はこう出る(H22 第12問) 正解(エ)は「解析では、特性要因図にあげた要因のうち寄与率の大きなものを、層別データの比較や散布図で検討する」。 手法とステップの対応が正しいのはこれだけ。 → H22 第12問

(参考)生産の管理目標 PQCDSME

品質(Q)は、生産管理の管理目標の1つです。全体像としてPQCDSMEを押さえておきましょう (H24 第2問ほか、頻出)。

記号 意味 主な評価指標
P Productivity(生産性) 労働生産性・設備生産性
Q Quality(品質) 不良率・不適合品率
C Cost(原価) 製造原価・原価率
D Delivery(納期・量) 納期遵守率・生産リードタイム
S Safety(安全性) 度数率・強度率・労働損失日数
M Morale(モラール) 職務満足度・団結感 ※顧客満足は含まない
E Environment(環境) 廃棄物の量・排出量

📝 過去問はこう出る(H24 第2問) 正解(イ)は「S(安全性)は、度数率・強度率・労働損失日数などで評価される」。 ・度数率=100万延べ実労働時間あたりの労働災害発生件数 ・強度率=1000延べ実労働時間あたりの労働損失日数 「M(モラール)を顧客満足で評価」「E(環境)を生産リードタイムで評価」は指標の取り違えでバツ。 → H24 第2問


7-2 QC七つ道具と新QC七つ道具 ★最頻出

品質管理は「事実(データ)に基づく管理」が基本。そのデータを見える化する道具箱が「七つ道具」です。 数値データ用の「QC七つ道具」と、言語データ用の「新QC七つ道具」の2セットがあります。

QC七つ道具(数値データを扱う7つ)

道具 何をする道具か(用途) ひとことで
パレート図 項目別の件数を大きい順(降順)に棒で並べ、累積比率を折れ線で示す 重点を絞る(重要な少数)
特性要因図 結果(特性)と要因の関係を魚の骨(フィッシュボーン)のように整理 原因を洗い出す
ヒストグラム 1つの計量値の分布・ばらつきを、区間ごとの度数で柱状に表す ばらつきを見る
散布図 2つの変数をXY軸に点で打ち、相関関係を見る 2変数の関係を見る
チェックシート 現場でデータを簡単に記録・集計し、事実を数値化する 記録・集計する
グラフ(管理図) 折れ線・棒などで傾向を見る/管理図は時系列で工程を管理 傾向を見る
層別 データを機械別・作業者別などのグループに分けて比較する グループ分けする
【パレート図のイメージ】       【特性要因図(魚の骨)のイメージ】
件数│■                          設備      作業     要因が
    │■ ■                          \       /       枝分かれ
    │■ ■ ■                          \     /
    │■ ■ ■ ■ ← 累積折れ線 ───→  ─────●──── 特性(結果)
    └─────────                     /     \
     A  B  C  D(大きい順)        材料      方法

⚠️ 混同注意:定番の引っかけ4連発パレート図は「降順(大きい順)」に並べる(×昇順)… R01第11問の誤り肢 ・散布図は「2つの対のデータをXY軸に表す」(管理図ではない)… R01・R04で頻出 ・特性要因図は「原因と結果を魚の骨で表す」(複雑に絡む因果を矢印で整理するのは連関図)… R04第11問 ・ヒストグラムは「分布・ばらつき」(時系列の折れ線はグラフ、工程管理は管理図)… R01第11問

📝 過去問はこう出る(R01 第11問) 正解(イ)は「特性要因図は、原因と結果の関係を魚の骨のように表した図である」。 「管理図=2つの対のデータ(→散布図の説明)」「パレート図=昇順(→降順が正)」 「ヒストグラム=時系列の折れ線(→グラフの説明)」はすべて定義のすり替えでバツ。 → R01 第11問

📝 過去問はこう出る(H30 第9問) 空欄補充。「不適合の重要項目を絞る」=パレート図、「重量のばらつきを見る」=ヒストグラム、 「加工速度と重量の関係を調べる」=散布図。用途と道具の対応がそのまま得点になります。 → H30 第9問

📝 過去問はこう出る(R04 第11問) 正解(エ)は「パレート図は、項目別に層別して出現頻度の高い順に並べ、累積和を表した図」。 「特性要因図=複雑に絡む因果(→連関図)」「連関図=魚の骨(→特性要因図)」の入れ替えがバツ。 → R04 第11問H23 第12問

ヒストグラムの形から異常を読む

ヒストグラムは、形(分布のかたち)から工程の状態を推理できます(R02 第6問)。

見た目 疑われる原因
一般型(正規型) 中央が高い左右対称の山 正常な状態
ふた山型 山が2つ 異なる2つの集団が混在(機械・ロットが違う等)→ 層別が必要
離れ小島型 本体から離れた小さな山 一部に異物・別工程の混入、測定ミス
絶壁型(歯抜け型) 片側が切り立って切れている 規格外品の選別・除去、測定・記録の偏り

📝 過去問はこう出る(R02 第6問) ヒストグラムの形と原因の対応を問う問題。「絶壁型(片側がそそり立つ)」は、 規格外品の選別・除去や測定の偏りで一方が削られたときに現れる、が正解の核。 → R02 第6問

新QC七つ道具(言語データを扱う7つ)

QC七つ道具が数値を扱うのに対し、新QC七つ道具は言葉(言語データ)を整理する道具です。 「意見・アイデア・複雑な関係」を扱うので、計画段階や問題の構造整理で活躍します。

道具 何をする道具か ひとことで
親和図法(KJ法) 言語データを似たもの同士でグループ分けし、問題の所在・形態を明らかにする まとめる
連関図法 原因と結果が複雑に絡み合う関係を矢線で結び、因果構造を整理する 因果をほぐす
系統図法 目的→手段を上位から下位へ樹形状に展開し、手段の候補を洗い出す 手段を枝分け
マトリックス図法 行と列の要素の交点で二元的な関連を整理し、着想・優先順位を得る 表で交差整理
アローダイアグラム法 作業の日程・順序を矢線で表す(PERT/CPMの図) 日程を組む
PDPC法(過程決定計画図法) 想定外の事態・不測の問題への対応をあらかじめ計画に織り込む 先を読む
マトリックス・データ解析法 数値化した多変量データを整理・分析する(唯一、数値を扱う) 多変量を要約

⚠️ 混同注意:新QC七つ道具の定番すり替え親和図法=言語データを親和性(似ている度合い)でグループ化(H21第5問で系統図と入れ替える引っかけ) ・系統図法=目的を達成する手段を上位→下位へ樹形展開(散布図とは別物) ・連関図法複雑に絡む因果を矢線で整理(親和図とは別。「まとめる」ではなく「ほぐす」) ・PDPC法想定外の事態に備える(マトリックス図や管理図とは別目的)

📝 過去問はこう出る(H21 第5問) 「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(正解)は「系統図法は…相互の親和性によって図を作成し…」(イ)。 これは親和図法(KJ法)の説明。系統図法は目的を達成する手段を樹形状に展開する手法です。 → H21 第5問

📝 過去問はこう出る(R05 第12問) 空欄補充。「問題と要因の関係を明らかにする」=連関図、「解決手段の候補を洗い出す」=系統図、 「想定外の事態に備える」=PDPC法。用途で使い分けます。 → R05 第12問R07 第5問


7-3 管理図と工程能力指数

ここは「工程が安定しているか(管理図)」「工程に実力があるか(工程能力指数)」という、 性格の違う2つの数値管理を扱います。計算問題(Cp・Cpk)は、公式1本を手順で当てはめれば必ず解けます

管理図とは ― 工程が「安定状態」かを時系列で見る

管理図とは、品質特性の値を時間の順(時系列)にプロットし、 中心線(CL)と上下の管理限界線(UCL・LCL)を引いて、工程が安定状態(管理状態)にあるかを判定する図です。

値│ ─────────── UCL(上方管理限界)
  │   ・     ・
  │ ・   ・ ・   ・  ─── CL(中心線)
  │       ・       ・
  │ ─────────── LCL(下方管理限界)
  └──────────────→ 時間(群の順)
   点が限界内でランダム=安定/限界を超えたり偏り=異常
  • 点が管理限界内にランダムに散らばっていれば安定状態
  • 点が限界線を超える、または一方に偏る・くせがあるなら、異常原因があると判断します。
  • 管理図の元祖は シューハート管理図(W. シューハートが考案)です(H29 第17問)。

用途による2種類:解析用と管理用

種類 目的
解析用管理図 集めた観測値から、工程が統計的管理状態にあるかを解析し、管理線を決める(最初に使う)
管理用管理図 決めた管理線で、工程を管理状態に保持する(日々の管理で使う)

⚠️ つまずきポイント:この2つは役割が逆に書かれた選択肢が頻出(H24第12問・H29第17問)。 「保持するのは管理用」「解析して管理線を決めるのは解析用」とセットで覚えます。

データの種類による分類:計量値と計数値

管理図は、扱うデータが計量値(連続量)計数値(数える量)かで種類が変わります。

分類 データの例 主な管理図
計量値(長さ・重さ・時間など連続量) 部品の長さ、温度 X̄–R管理図(群の平均X̄と範囲R)、X管理図(個々の値)、s管理図(標準偏差)
計数値(不良品の数など数える量) 不適合品数、キズの数 p管理図(不適合品)、np管理図(不適合品)、c管理図(欠点数・群一定)、u管理図(欠点数・群が不定)

⚠️ 混同注意:pとnp、cとuの区別(最頻出の引っかけ)p管理図=不適合品「率(割合)」/np管理図=不適合品「数(個数)」… H20第1問の誤り肢 ・c管理図=欠点数(群の大きさが一定)/u管理図=欠点数(群の大きさが不定)… H29第17問 ・計量値管理図(X̄–R等)は、データが正規分布に従うことを前提に管理限界を設計します。

📝 過去問はこう出る(H20 第1問) 「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(正解)は「p管理図は不適合品の数を管理する」(ア)。 p管理図が管理するのは不適合品「」。個数を管理するのはnp管理図です。 → H20 第1問H24 第12問H29 第17問

工程能力指数 Cp・Cpk ★計算

工程能力指数とは、「その工程が、規格(許容範囲)に対してどれだけ余裕をもって作れるか」を 数値で表したものです。ばらつきが小さいほど、値が大きく(=実力が高く)なります

両側規格の工程能力指数 Cp(工程の平均が規格の中心にあるとき)は、次の式で求めます。

      規格の幅        (上限規格 SU)−(下限規格 SL)
Cp = ────── = ─────────────────────
      6σ                    6 ×(標準偏差 σ)
  • 分子は「規格の幅(許容できる範囲)」、分母は「工程のばらつき 6σ(工程の実力)」。
  • 評価基準:一般に Cp ≧ 1.33 なら「十分な工程能力がある」と判断します。 (1.00未満=能力不足、1.00〜1.33=やや不足、1.33以上=十分)

【計算ステップ①】Cpを求める(R03 第20問タイプ)

例題:規格の中心2.05、規格下限1.8、規格上限2.3、標準偏差σ=0.05。Cpを求めよ(基準1.33)。

ステップ1:規格の幅を出す
   規格の幅 = 上限 2.3 − 下限 1.8 = 0.5

ステップ2:分母 6σ を出す
   6σ = 6 × 0.05 = 0.3

ステップ3:割り算する
   Cp = 0.5 ÷ 0.3 ≒ 1.67

ステップ4:基準と比べる
   1.67 ≧ 1.33 → 十分な工程能力があり、工程は満足な状態

📝 過去問はこう出る(R03 第20問) 上のとおりCp≒1.67。基準1.33を上回るので正解は「十分な工程能力があり、満足な状態」(イ)。 「1.33を下回る」とした肢は事実誤認、「上回るが改善が必要」も矛盾でバツ。 → R03 第20問

【計算ステップ②】σを逆算する(R06 第7問タイプ)

Cpの式は、σを逆算する形でも問われます。手順は同じ式を変形するだけです。

例題:当初、規格上限11.80・下限10.00でCp=1.0だった。σは変えず、規格を上限11.60・下限10.16に 変更するとCpはいくつになるか。

ステップ1:現状のσを逆算する
   当初の規格幅 = 11.80 − 10.00 = 1.80
   Cp=1.0 なので  1.0 = 1.80 ÷ 6σ  →  6σ = 1.80  →  σ = 0.30

ステップ2:変更後の規格幅を出す
   変更後の規格幅 = 11.60 − 10.16 = 1.44

ステップ3:同じσ=0.30 で Cp を計算
   Cp = 1.44 ÷(6 × 0.30)= 1.44 ÷ 1.80 = 0.8

⚠️ 超重要:Cpは「中心の偏り」を考えない Cpは工程の平均(μ)がどこにあるかを無視し、ばらつき(σ)だけを見ます。 だから平均値を調整してもCpは変わりません。Cpを上げるにはσを小さくするしかありません。 (R06設問2:Cpを1.2にするには σ=1.44÷(6×1.2)=0.20 に改善する必要がある、が正解)

📝 過去問はこう出る(R06 第7問) 設問1の正解はCp=0.8(ウ)。設問2は「σを0.20に改善すればCp=1.2を達成」(ウ)。 「平均μを調整してCpを上げる」肢はバツ(中心の偏りを見るのはCpであってCpではない=Cpkの役割)。 → R06 第7問

Cpk ― 中心の「かたより」も考える指数

Cpは平均が規格の中心にある前提でした。実際には平均がずれることもあります。 そこで、平均のかたよりも織り込んだのが Cpk(かたよりを考慮した工程能力指数)です。

        (SU − μ)      (μ − SL)
Cpk = min( ────────── , ────────── )
            3σ            3σ
   (=上側・下側それぞれの余裕を計算し、小さい方を採用)
  • 平均μが規格の中心にぴったりのとき、Cpk=Cp
  • 平均がどちらかに偏るほど、Cpk<Cp(=実質的な余裕は小さくなる)。

💡 覚え方Cp=ばらつきだけ(中心は無視)、Cpk=ばらつき+かたより(中心のズレも見る)。 「平均を動かして能力を上げたい」→ それが効くのはCpkの方、と結びつけて覚えましょう。


7-4 検査と抜取検査・ISO9000

品質検査の目的

検査とは、品物の品質特性を測定・試験し、規格と照合して適合/不適合を判定することです。 その目的はH19 第11問で問われました。

  • 不良品・不良ロットを次工程や顧客へ流出させない(=流出防止。検査の中心目的)
  • 検査で得た品質情報を関係部門にフィードバックし、不良の発生予防に役立てる
  • 納入者に良い品物を提供しようとする品質意識をもたせる

⚠️ つまずきポイント:検査の目的は「品質の良否判定」。 「要求された数量の存在を確認する」のは数量検収であって、品質検査の目的ではありません(H19第11問の誤り肢)。

📝 過去問はこう出る(H19 第11問) 「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(正解)は「要求された数量の存在を確認する」(イ)。 それは数量検収の話。品質検査は品質の良否を判定するのが目的です。 → H19 第11問

検査の分類

検査は、いくつかの切り口で分類されます。名称と意味を対応づけて押さえます。

切り口 種類 意味
調べる範囲 全数検査 すべての品物を検査(重要部品・少量・破壊しない場合)
抜取検査 ロットから一部(サンプル)を抜き取って検査し、ロット全体の合否を判定
検査する場所・段階 受入検査/工程(中間)検査/最終検査/出荷検査 材料の受入時/工程の途中/完成時/出荷時
性質 破壊検査/非破壊検査 検査すると壊れる(→抜取が必須)/壊さず調べられる

抜取検査 ― 一部を見て全体を判定する

抜取検査は、ロット(同じ条件で作った品物のまとまり)から一部を抜き取って検査し、 その結果でロット全体の合格・不合格を決める方法です。

  • メリット:全数検査より手間・コストが少ない破壊検査にはこれしか使えない。
  • デメリット:あくまで一部を見るので、判定に誤り(リスク)が生じる
  • 生産者危険(α):本当は良いロットを、不合格と誤判定してしまうリスク(作った側が損)
  • 消費者危険(β):本当は悪いロットを、合格と誤判定してしまうリスク(買う側が損)
  • OC曲線(検査特性曲線):ロットの不良率と「合格する確率」の関係を表す曲線。 抜取検査の「甘さ・厳しさ」を読み取れます。

💡 覚え方生産者危険=良品を捨てる(生産者が泣く)/消費者危険=不良品が通る(消費者が泣く)。 誰が損をするかで区別します。

ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム)

ISO9000シリーズは、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格群です。 「良い製品」そのものを保証するのではなく、良い製品を継続的に生み出す"仕組み"を保証する点が特徴です。

  • 中核となる要求事項の規格が ISO9001(日本ではJIS Q 9001)。第三者認証の対象になります。
  • 貫く思想は顧客重視・プロセスアプローチ・PDCAによる継続的改善

「改善」に関する要求事項の3本柱(H20 第2問)を押さえましょう。

要求事項 意味
継続的改善 品質方針・目標・監査・データ分析などを通じ、仕組みを絶えず良くする
是正処置 すでに起きた不適合の原因を除去し、再発を防止する
予防処置 起こり得る不適合の原因を除去し、未然に防止する

⚠️ 混同注意:トレーサビリティは「改善」ではない トレーサビリティ(製品の履歴・所在を追跡する識別管理)は「製品実現」の要求事項であって、 「改善」の要求事項ではありません(H20第2問の誤り肢)。「改善=継続的改善・是正処置・予防処置の3つ」と覚えます。

📝 過去問はこう出る(H20 第2問) JIS Q 9001の「改善」の要求事項として「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(正解)は「トレーサビリティ」(ウ)。 改善の3本柱は継続的改善・是正処置・予防処置です。 → H20 第2問

品質機能展開(QFD)と品質表

品質機能展開(QFD) は、顧客の要求(お客様の言葉)を、設計・製造の技術的な品質特性に 体系的に変換していく手法です。新製品開発で「顧客のニーズを設計に落とし込む」ときに使います(R02 第4問・H28 第13問ほか)。

その中核ツールが 品質表(二元表)です。

                品質特性(技術の言葉に翻訳)→ 表頭
              ┌──────┬──────┬──────┐
 要求品質     │ 形状寸法 │ 質量  │ 充電性 │
 (お客様の   ├──────┼──────┼──────┤
  言葉)      │  ◎    │  ○   │       │  ← ◎○で対応の強さを示す
 ↓表側       │  ○    │       │  ◎   │
              └──────┴──────┴──────┘
  • 表側(左)=要求品質(ユーザーの言葉)、表頭(上)=品質特性(技術の言葉/代用特性)。
  • 交点を◎(強い)・○(中)で結び、対応関係を見える化します。
  • 要求品質に重要度をつけ、◎=5点・○=3点などで重み付き集計すると、重視すべき品質特性が分かります。

📝 過去問はこう出る(R02 第4問) 品質表の空欄補充。正解(ウ)は「A:要求品質/B:品質特性/C:形状寸法」。 表側が要求品質、表頭が品質特性という配置を取り違えた肢はバツ。 → R02 第4問


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • ☐ 品質は検査で選り分けるのでなく工程で作り込む(源流管理・未然防止・再発防止)
  • 設計品質=ねらいの品質製造品質=できばえ(適合)の品質(入れ替え注意)
  • PDCA:計画→実行→確認→処置。Aで標準化して歯止めをかける
  • TQMの3原則:①目的(品質第一・マーケットイン)②手段(源流管理・再発防止・事実に基づく管理)③組織運営(標準化・教育訓練)
  • QCサークル=現場の自主的・継続的な小集団改善活動(トップダウンではない)
  • QC七つ道具(数値):パレート図(降順+累積)/特性要因図(魚の骨)/ヒストグラム(分布)/散布図(2変数)/チェックシート/グラフ・管理図/層別
  • 新QC七つ道具(言語):親和図法(まとめる)/連関図法(因果をほぐす)/系統図法(手段を樹形展開)/マトリックス図法/アローダイアグラム/PDPC法(想定外に備える)/マトリックス・データ解析法
  • 引っかけ:パレートは降順(×昇順)、特性要因図=魚の骨(複雑な因果は連関図)、系統図≠親和図
  • 管理図:中心線+上下管理限界線で工程の安定状態を判定。解析用(管理線を決める)と管理用(保持する)
  • p=不適合品率/np=不適合品数c=欠点数(群一定)/u=欠点数(群不定)
  • Cp=規格の幅÷6σ。基準1.33以上で十分Cpは中心の偏りを見ない(σだけ)
  • Cpkかたより(中心のずれ)も考慮。平均が中心ならCpk=Cp、偏るほどCpk<Cp
  • 品質検査の目的は良否判定・流出防止(数量確認は検査の目的ではない)
  • 抜取検査:生産者危険α(良品を落とす)/消費者危険β(不良を通す)/OC曲線
  • ISO9001の「改善」=継続的改善・是正処置・予防処置(トレーサビリティは改善ではない)
  • QFD(品質機能展開):顧客の要求品質→技術の品質特性へ変換。品質表は表側=要求品質・表頭=品質特性

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H19 第11問 品質検査の目的 問題
H20 第1問 管理図(p/np管理図) 問題
H20 第2問 ISO9001・改善の要求事項 問題
H21 第5問 新QC七つ道具 問題
H22 第12問 QC的問題解決手順 問題
H23 第12問 QC手法と分析内容 問題
H23 第13問 TQM推進の段階 問題
H24 第2問 生産の管理目標(PQCDSME) 問題
H24 第12問 管理図(解析用・管理用) 問題
H25 第5問 設計・製造段階の品質 問題
H25 第13問 TQMの原則 問題
H26 第13問 TQMの活動要素 問題
H29 第17問 シューハート管理図 問題
H30 第9問 QC七つ道具 問題
R01 第11問 QC七つ道具 問題
R02 第4問 品質表(品質機能展開) 問題
R02 第6問 ヒストグラムの原因分析 問題
R03 第20問 工程能力指数 問題
R04 第11問 QC七つ道具・新QC七つ道具 問題
R05 第12問 QC七つ道具・新QC七つ道具 問題
R06 第7問 工程能力指数(Cp) 問題
R07 第5問 QC七つ道具・新QC七つ道具 問題

次章予告 ▶ 第8章「設備管理と保全」 モノを作る"設備"に目を向けます。設備の一生をコストで見るライフサイクルコスティング、 故障を防ぐ予防保全・事後保全、そして頻出の設備総合効率(時間稼働率×性能稼働率×良品率)の計算を扱います。