第8章 製品開発・設計と生産技術(環境)
この章のねらい 運営管理・第I部(生産管理)の「入口」にあたる章です。ここまでの章で「生産のしくみ全体」を学んできましたが、 どんな製品も、まず"つくるものを決める(設計する)"ところから始まります。この章では、 ①製品をどう開発・設計するか(コンカレント・エンジニアリング、デザインレビュー、製品アーキテクチャ)、 ②価値を高める道具=VE(バリューエンジニアリング)、③設計・製造を助けるコンピュータ技術(CAD/CAM)、 ④近年ますます重要になる環境への配慮(3R・LCA・環境法規)を扱います。
過去問での出方:この章は運営管理で毎年ほぼ確実に2〜4問出ます。とくに VE(機能÷コスト)と製品設計・開発の用語(コンカレント/デザインレビュー/CAD・CAM・CAE)は ほぼ毎年の定番。さらに近年は環境(サーキュラー・エコノミー、カーボンニュートラル、食品リサイクル法、省エネ法)が 出題を伸ばしています。用語の"取り違え"を突く問題が中心で、言葉と意味を一対一で正確に覚えれば得点源になります。
8-0 この章の地図
この章は、「何をつくるか決める(設計)」→「価値を高める(VE)」→「道具でつくる(自動化)」→ 「環境に配慮してつくる」という流れで進みます。
8-1 製品開発・設計 … つくるものを決める
│ ・開発/設計のステップ(機能設計→構造設計→生産設計)
│ ・コンカレント・エンジニアリング(同時並行で開発)
│ ・デザインレビュー(設計を各部門でチェック)
│ ・製品アーキテクチャ(モジュラー ⇔ インテグラル)
│
8-2 VE(バリューエンジニアリング) … ★最頻出
│ ・価値=機能÷コスト
│ ・機能の分類/実施ステップ
│
8-3 生産の自動化 … コンピュータで設計・製造
│ ・CAD/CAM/CAE/CAI の区別
│ ・FA・FMS
│
8-4 環境配慮の生産 … 近年の頻出テーマ
・3R/LCA/カーボンニュートラル/CFP
・環境関連法規(省エネ法・食品リサイクル法・廃棄物処理法)
8-1 製品開発・設計
まず「設計の3ステップ」を押さえる
製品づくりは、いきなり工場で組み立てるのではなく、設計という準備段階から始まります。 設計は大きく次の3ステップで進みます(R04 第3問でも問われました)。
| ステップ | 何を決めるか | ひとことで |
|---|---|---|
| ① 機能設計 | その製品にどんな機能・性能を持たせるか | 「何ができる製品にするか」 |
| ② 構造設計 | その機能を実現する具体的な形・構造・部品 | 「どんな形・しくみで実現するか」 |
| ③ 生産設計 | 品質・生産量・納期を考え、つくりやすさを作り込む | 「どうやって安く・楽につくるか」 |
- 機能設計は「必要な機能を決めるところまで」。具体的な構造を決めるのは次の構造設計です。 → R04 第3問では「機能設計で"具体的な構造"まで決定する」という記述が誤りとされました(構造設計との取り違え)。
- 生産設計は、製品設計で決まった品質・量・納期をふまえ、工程表・工程図をつくり、 作業方法や生産設備を決める段階。「作りやすさ・コスト」を織り込むのがポイントです。
💡 覚え方:機能(何ができる)→ 構造(どんな形)→ 生産(どうつくる)の順。 「機能設計で構造まで決める」は言い過ぎ(=バツになりやすい)。
コンカレント・エンジニアリング(CE)=同時並行で開発する
従来の開発は、「設計が終わってから生産技術へ、それが終わってから調達へ…」と バトンリレーのように順番(直列)に進めていました。これだと後工程で問題が見つかると 手戻りが発生し、開発期間が長くなります。
そこで登場したのが コンカレント・エンジニアリング(Concurrent Engineering、CE) です。
コンカレント・エンジニアリングとは、製品の企画・設計・生産準備・販売などの諸活動を、 部門をまたいで並行(同時並行)に進める手法。「コンカレント」=「同時に起こる」という意味です。
【従来(直列)】 企画 → 設計 → 生産技術 → 調達 → 生産 … 時間が長い
↑後工程で問題→手戻り
【CE(並行)】 企画 ─┐
設計 ─┼─ みんなで同時に進める → リードタイム短縮
生産技術┤ (設計中から生産や調達も参加)
調達 ─┘
- ねらいは、リードタイム(開発期間)の短縮・コスト低減・品質向上。
- 設計の早い段階から生産・調達の視点を入れるので、後工程での手戻りが減るのが最大の効果。
📝 過去問はこう出る(H27 第7問) 「コンカレントエンジニアリングに関する記述として最も適切なもの」を選ぶ問題。正解は 「製品の企画段階から設計、生産、販売までの過程を統合化し、リードタイムの短縮を実現した」。 ひっかけの選択肢はそっくりな別用語とのすり替えでした。 - 「制約条件を発見しシステム改善」→ TOC(制約条件の理論) - 「資材供給から生産・流通・販売までをネットワークで統合」→ SCM(サプライチェーン・マネジメント) - 「製品ライフサイクルを通じた製品データを一元管理」→ PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント) → H27 第7問
⚠️ 混同注意:似た言葉の"すり替え"に注意 R04 第3問では「製品設計と生産設計を並行して行う手法をエンジニアリング・アプローチという」という 選択肢が誤り(正しくはコンカレント・エンジニアリング)。"それっぽい造語"に引っかからないこと。
デザインレビュー(DR)=設計を各部門でチェックする
デザインレビュー(Design Review、設計審査) とは、
設計の節目ごとに、関連する各部門(設計・生産・品質・営業など)の代表が集まって、 設計内容を検討し、矛盾や誤り・問題点を早期に洗い出す活動。
- 目的は、後の工程で問題が出る前に、設計段階で誤りをつぶすこと。
- 「みんなで並行して開発を進める」のがCE、「みんなで設計を審査(チェック)する」のがDR、と区別します。
📝 過去問はこう出る(R05 第4問) 記述と用語の対応を問う問題。「新製品の設計段階で、関連するさまざまな部門の代表者などが検討し、 設計の矛盾や誤りを排除した」=デザインレビューが正解の対応でした。 あわせて、「部品構成や部品表(BOM)などの情報を一元管理し、設計変更と履歴を追跡した」=PDM (Product Data Management)、「あらかじめ準備したユニットを要求仕様に合わせて組み合わせる」=モジュール設計 も同時に問われました。3つセットで覚えましょう。 → R05 第4問
⚠️ 混同注意:PDM と PLM と CAM - PDM:部品表・図面など製品データを一元管理(設計変更・履歴の追跡) - PLM:企画から廃棄まで製品ライフサイクル全体の情報を管理(PDMより広い) - CAM:コンピュータで製造(加工)を支援(→ 8-3) R05第4問では「aはCAMでは?」という引っかけが用意されていました。データ管理=PDM/製造=CAM。
製品アーキテクチャ ― モジュラー型とインテグラル型
製品アーキテクチャとは、「製品の機能」と「部品(構成要素)」をどう対応づけるかの基本設計思想です。 大きく2タイプに分かれ、対比で問われます。
| モジュラー型(組み合わせ型) | インテグラル型(すり合わせ型) | |
|---|---|---|
| 機能と部品の対応 | 1機能=1部品にきれいに分かれる | 1つの機能を複数部品が協調して実現 |
| 部品どうしの関係 | 独立性が高い(インターフェースが標準化) | 相互依存が強い(微調整=すり合わせが必要) |
| つくり方の特徴 | 部品を寄せ集めて組み合わせる | 部品をすり合わせて最適化する |
| 例 | パソコン、自転車 | 自動車、精密機械 |
| 強み | 多品種対応・分業しやすい・開発が速い | 総合的な性能・調和のとれた品質 |
- モジュラー型は、機能単位のかたまり(モジュール)を組み合わせて多品種をつくれるのが強み。 → モジュール設計(あらかじめ準備したユニットを要求仕様に合わせて組み合わせる設計)はこの考え方です。
- インテグラル型は、部品どうしを細かく調整(すり合わせ)して全体最適を図るタイプ。日本の自動車産業が得意とされます。
モジュール生産方式
設計思想としてのモジュラー型を、生産のやり方に落とし込んだのがモジュール生産方式です。
モジュール生産方式とは、あらかじめ複数種類の部品(モジュール)を組み立てておき、 注文を受けてからそれらを組み合わせて多品種の最終製品をつくる方式。
- メリット:①多品種の最終製品に対応できる、②組立工程の部品点数が減り工程が短くなる(リードタイム短縮)、 ③外部へのモジュール単位の発注でサプライヤー数を絞れ、管理負担が軽くなる。
📝 過去問はこう出る(H29 第4問) 「モジュール生産方式に関する記述として最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「製造設備の使用日程・資材の使用予定にオーダーを割り付け、納期通りに生産する方式」という記述。 これは生産スケジューリング(生産計画・日程計画)の説明であって、モジュール生産方式の定義ではありません。 → H29 第4問
⚠️ デザインイン:部品メーカーが完成品メーカーの設計段階から参画して共同開発し、 自社の部品を採用してもらう活動。R07 第1問でも「正しい記述」として登場しました。
8-2 VE(バリューエンジニアリング)★最頻出
VEとは ― 価値=機能÷コスト
VE(Value Engineering、価値工学) は、この章でいちばんよく出るテーマです。 まず、たったひとつの式を覚えてください。
機能(Function)
価値 = ─────────────
コスト(Cost)
Value = Function / Cost
VEとは、製品・サービスが果たすべき必要な機能を、最も低いコストで実現することを目指し、 価値(=機能÷コスト)を高める組織的な活動。
価値(V)を高める方法は、この式から4通り考えられます。
| やり方 | 機能(F) | コスト(C) | 価値(V) |
|---|---|---|---|
| ① 機能を上げ、コストは維持 | ↑ | → | ↑ |
| ② 機能は維持、コストを下げる | → | ↓ | ↑ |
| ③ 機能を上げ、コストも下げる | ↑ | ↓ | ↑↑ |
| ④ 機能を大きく上げ、コストは少し上げる | ↑↑ | ↑ | ↑ |
- 「価値=機能÷コスト」が絶対の基本。「機能÷顧客満足度」ではない(R07第2問のひっかけ)。
- VEの対象はモノ(製品)だけでなくサービスも含む(R07第2問のひっかけ)。
- 機能の表し方:VEでは機能を「○○を…する」のように名詞+動詞で簡潔に定義します(機能定義)。
📝 過去問はこう出る(R07 第2問) 「価値工学(VE)に関する記述として最も適切なもの」。正解は 「VEにおいて、製品の機能は『○○を…する』のように、名詞と動詞で表す」。 ひっかけの急所: - 「価値=機能÷顧客満足度」→ 誤り(正しくは機能÷コスト) - 「VEの価値にサービスは含まれない」→ 誤り(サービスも対象) - 「材質の見直しにVEを使うのがゼロルックVE」→ 誤り(セカンドルックVE) - 「商品企画段階で使うのがセカンドルックVE」→ 誤り(ゼロルックVE) → R07 第2問
💡 VEをかける段階(ルック)の覚え方 - ゼロルックVE:企画・構想段階(まだ製品がない段階) - ファーストルックVE:設計段階 - セカンドルックVE:既存製品の改良段階(材質の見直しなど) 「ゼロ=企画、セカンド=既存改良」の対応が入れ替えられて出ます。
機能の分類 ― 3つの切り口
VEでは、製品の機能を3つの切り口で分類します。ここは穴埋め・正誤でよく問われます。
| 分類の切り口 | 分かれ方 | 意味 |
|---|---|---|
| ① 性質で分ける | 使用機能 ⇔ 貴重(魅力)機能 | 使用機能=使用目的に関わる機能/貴重機能=形・色などデザイン的特徴 |
| ② 重要度で分ける | 基本機能 ⇔ 二次機能 | 基本機能=最も目的的な機能/二次機能=それを達成する手段的・補助的な機能 |
| ③ 必要性で分ける | 必要機能 ⇔ 不必要機能 | 顧客が必要とするか・しないか |
┌ 性質で … 使用機能 / 貴重(魅力)機能
機能 ──┼ 重要度で … 基本機能 / 二次機能
└ 必要性で … 必要機能 / 不必要機能
📝 過去問はこう出る(R05 第3問) 空欄補充。「使用目的に関わる=使用機能」「形・色などデザイン的特徴=貴重(魅力)機能」 「最も目的的な=基本機能」「手段的・補助的な=二次機能」の対応を問う問題でした。 「基本/二次」は"重要度"の分類語であって、"性質"(使用/貴重)の分類には入りません。ここが混同ポイント。 → R05 第3問
📝 過去問はこう出る(H22 第5問) 「VEの機能に関する記述として最も不適切なもの」。正解(=誤り)は 「基本機能は、必要機能と貴重機能に分類される」。 基本機能は重要度の分類語であり、これを「必要機能・貴重機能に分ける」とするのは分類軸の取り違えで誤り。 正しい記述(使用機能=基本+二次、貴重機能=デザイン的特徴、使用機能=使用目的)は覚えておきましょう。 → H22 第5問
VEの実施ステップ
VEは「機能の定義 → 機能の評価 → 代替案の作成」という基本手順で進めます。 このうち中間の「機能評価」ステップは、次の3つから構成されます。
【VE基本手順】
機能の定義 → 機能の評価 → 代替案の作成(アイデア発想・具体化)
│
├ ① 機能別コスト分析(機能ごとに現状コストを割り当てる)
├ ② 機能の評価(機能の価値を金額で見積もる)
└ ③ 対象分野の選定(改善すべき対象を絞る)
📝 過去問はこう出る(H26 第3問) 「機能評価」ステップの構成要素を問う空欄補充。正解は「機能別コスト分析」。 - 「アイデア発想」→ 機能評価の後の「代替案作成」段階 - 「機能の定義」→ 機能評価の前の独立した基本ステップ - 「分析対象の情報収集」→ さらに前段階 「機能評価の中身は、①機能別コスト分析・②機能の評価・③対象分野の選定」とセットで覚えます。 → H26 第3問
8-3 生産の自動化(CAD/CAM・FA・FMS)
コンピュータ支援技術 ― CAD/CAM/CAE/CAI の区別
設計・製造をコンピュータで支援する技術は、頭文字が似ていて取り違えを突かれる定番テーマです。 JIS用語の定義に沿って、一対一で覚えましょう。
| 略語 | 正式名 | 何を支援するか | ひとことで |
|---|---|---|---|
| CAD | Computer Aided Design | 設計(形状などのモデルを作成・解析して設計) | 設計 |
| CAM | Computer Aided Manufacturing | コンピュータ内のモデルから生産に必要な情報(NCプログラム等)を作成し、製造を進める | 製造 |
| CAE | Computer Aided Engineering | 製品を解析・評価(強度・熱・流体など)する | 解析・評価 |
| CAI | Computer Aided Instruction | 設備・システムの運用管理などを教育・学習する | 教育・学習 |
📝 過去問はこう出る(H24 第5問) 「生産活動におけるコンピュータ支援技術の記述として最も適切なもの」。正解は 「設備・システムの運用・管理などをコンピュータ支援のもとで教育・学習する方法は CAI」。 ひっかけは定義のすり替えです。 - 「コンピュータ内のモデルから生産に必要な情報を作成し生産を進める」→ CAM(CADではない) - 「形状などのモデルを内部に作成し解析・処理して進める設計」→ CAD(CAEではない) - 「製品品質・製造工程を統合的に解析評価する」→ CAE(CAMではない) → H24 第5問
📝 過去問はこう出る(R07 第1問) 設計・開発の合理化に関する正誤組合せ。CAE=解析・評価、CAM=生産に必要な工程・加工情報を生成、 コンカレント・エンジニアリング=並行開発でリードタイム短縮、デザインイン=部品メーカーが設計段階から参画。 このうち「CAEで機械加工工程の自動編成・自動手順設計を行う」という記述が誤りでした (それはCAPP=コンピュータ支援工程設計の役割で、CAEは解析・評価が本分)。 → R07 第1問
💡 CAD/CAM 統合:CADで設計したデータをそのままCAMに渡して加工まで一貫化するのが CAD/CAM。 設計(CAD)→ 解析(CAE)→ 製造(CAM)と流れをイメージすると混同しません。
FA と FMS ― 工場全体を自動化する
| 用語 | 正式名 | 意味 |
|---|---|---|
| FA | Factory Automation | 工場の生産活動を自動化する総称(産業用ロボット・自動搬送・自動倉庫などを含む広い概念) |
| FMS | Flexible Manufacturing System(フレキシブル生産システム) | NC工作機械・自動搬送・コンピュータ制御を組み合わせ、多品種少量生産に柔軟に対応する自動生産システム |
- FMSのキーワードは「フレキシブル(柔軟)=多品種少量への対応」。 段取り替えを自動化し、いろいろな品種を効率よくつくれるのが特徴です。
- FAはもっと広い「工場自動化」の総称。FMSはFAを実現する具体的なシステムの一つ、という関係です。
8-4 環境配慮の生産(3R・LCA・環境法規)
近年、運営管理では環境の出題が増えています。用語(3R・LCA・カーボンニュートラルなど)と 環境関連法規(省エネ法・食品リサイクル法・廃棄物処理法)を、意味を取り違えないよう整理します。
3R ― 循環型社会の基本
廃棄物を減らし資源を循環させる基本が 3R です。優先順位が大事です。
① Reduce(リデュース) … そもそも"減らす"(発生抑制) ← 最優先
② Reuse(リユース) … "繰り返し使う"(再使用)
③ Recycle(リサイクル) … "資源として再生"(再生利用)
- 優先順位は Reduce > Reuse > Recycle。まず「減らす」、次に「再使用」、最後に「再生利用」。
- 近年は3Rに Renewable(再生可能な資源への切り替え) を加えた 「3R+Renewable」 が、 サーキュラー・エコノミー(循環経済) 推進のキーワードとして登場します(R04第21問)。
環境配慮の重要用語 ― 取り違えを突かれる
環境テーマは、似た用語の"入れ替え"で正誤を問うのが定番です。1語ずつ正確に。
| 用語 | 意味(これだけは正確に) |
|---|---|
| 製品ライフサイクル | 1つの製品が原材料→生産→使用→廃棄に至るまでの一連の流れ |
| LCA(ライフサイクルアセスメント) | 原材料採取から製造・使用・廃棄・リサイクルまで(ゆりかごから墓場まで)の環境負荷を総合的に評価する手法(ISO 14040) |
| サーキュラー・エコノミー(循環経済) | 資源を循環利用する経済のしくみ(=評価手法ではない) |
| カーボンニュートラル | 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ差し引きゼロにする取り組み |
| カーボンフットプリント(CFP) | 原材料調達から廃棄・リサイクルまでの温室効果ガス排出量をCO2排出量に換算して算定したもの |
📝 過去問はこう出る(R06 第20問) 環境配慮型生産の正誤組合せ。正解は a:正、b:誤、c:誤、d:正。急所は用語の取り違えです。 - b(誤):「環境負荷を総合的に評価する手法」はLCAであって、サーキュラー・エコノミーではない。 - c(誤):「排出量と吸収量を均衡させる」のはカーボンニュートラルであって、LCAではない。 - d(正):CO2換算で算定するのはカーボンフットプリントで正しい。 → R06 第20問
📝 過去問はこう出る(R04 第21問) 環境問題の正誤組合せ。正解は a:正、b:誤、c:誤。 - a(正):循環経済への移行には「3R+Renewable」の促進が重要。 - b(誤):エコアクション21(中小事業者向けの取り組みやすい環境経営システム/PDCA)は、 環境会計の公表を義務付けてはいない。 - c(誤):カーボンニュートラルのキーテクノロジーは「水素」であって「酸素」ではない。 → R04 第21問
LCA(ライフサイクルアセスメント)の4段階
LCAはISO 14040で規定され、次の4段階からなります。
① 目的及び調査範囲の設定
↓
② インベントリ分析(LCI) … 資源消費・排出物などの入出力データを収集・定量化
↓
③ ライフサイクル影響評価(LCIA)… 環境影響を分類・特性化して評価(※目的に応じ実施)
↓
④ ライフサイクル解釈 … 結果を目的・範囲に照らして検討し結論・提言を導く
📝 過去問はこう出る(H25 第21問) ISO 14040のLCAに関する問題。正解は「ライフサイクル影響評価(LCIA)は必ずしも行う必要はない」。 - LCAは「使用に至るまで」ではなく廃棄・リサイクルまでを対象(ア=範囲が不完全で誤り)。 - 特性化を行うのは影響評価(LCIA)であり、インベントリ分析(LCI)ではない(イ=誤り)。 - 「解釈」は結論・提言を導く段階であり、規格適合を検証するのはクリティカルレビュー(エ=誤り)。 → H25 第21問
環境関連法規(生産面)
生産・事業活動に関わる環境法規は、「誰に・何が義務づけられているか」を正確に押さえます。
① 省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)
- 管理対象のエネルギーは、燃料のほか、それを熱源とする熱・電気も含む (「化石燃料と非化石燃料の2つだけ」という二分は誤り)。
- 非化石エネルギーには水素・アンモニアなどが含まれる。
- 一定規模以上の特定事業者には、中長期計画の提出・定期報告などが求められるが、 削減目標の達成そのものは"努力義務"(達成が法的に義務づけられているわけではない)。
- 連携省エネルギー計画の認定を受けた事業者は、連携で削減した量を事業者間に分配して報告できる。
📝 過去問はこう出る(R05 第20問) 改正省エネ法の正誤組合せ。正解は a:誤、b:正、c:誤、d:正、e:正。 「削減目標の達成は義務」=誤り(努力義務)、「エネルギーは化石・非化石の2つだけ」=誤り(熱・電気も含む)が急所。 → R05 第20問
② 食品リサイクル法
- 主務大臣が基本方針を定め、業種別(食品製造業・食品小売業・食品卸売業・外食産業)に 再生利用等の目標を設定。
- 2024年度目標の再生利用等実施率は、食品製造業が最も高く(95%)、外食産業が最も低い(50%)。 (製造業は廃棄物が均質で再生しやすく、外食は分別が難しいため。)
- 都道府県別・市町村別の発生量等の報告義務を負うのは、食品廃棄物等多量発生事業者(年間100トン以上)。 「すべての食品関連事業者」ではない。
📝 過去問はこう出る(R05 第24問) 空欄補充。A=食品製造業(95%)/B=外食産業(50%)/C=食品廃棄物等多量発生事業者。 「製造業がいちばん高く、外食がいちばん低い」「報告義務は"多量発生事業者"」の2点が決め手。 → R05 第24問
③ 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
- 産業廃棄物は20種類が定義され、排出量の多寡にかかわらず法律が適用される。
- 産業廃棄物の運搬・処分を他者に委託する場合は、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が義務。
- 紙くずなどは、特定業種(製紙業など)から排出されれば産業廃棄物、それ以外(飲食店など)は一般廃棄物。
- 排出事業者が自ら運搬する場合は、収集運搬業の許可は不要。
📝 過去問はこう出る(R06 第21問) 産業廃棄物に関する問題。正解は 「運搬・処分を他者に委託する場合、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付することが義務」。 「基準値以下なら適用されない」「自ら運搬にも専用許可が必要」などは誤り。マニフェスト=委託時に交付を核に覚えます。 → R06 第21問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 設計の3ステップ=機能設計(何ができる)→ 構造設計(どんな形)→ 生産設計(どうつくる)
- ☐ コンカレント・エンジニアリング=諸活動を並行して進め、リードタイム短縮(≠TOC・SCM・PLM)
- ☐ デザインレビュー=設計を各部門の代表が審査し誤りを排除(並行開発のCEとは別物)
- ☐ PDM=部品表など製品データの一元管理/PLM=ライフサイクル全体/CAM=製造(混同注意)
- ☐ 製品アーキテクチャ:モジュラー型=組み合わせ(1機能1部品・独立)/インテグラル型=すり合わせ(相互依存)
- ☐ モジュール生産方式=あらかじめ組んだモジュールを組み合わせ多品種生産(≠生産スケジューリング)
- ☐ VE:価値=機能÷コスト(÷顧客満足度ではない/サービスも対象/機能は"名詞+動詞")
- ☐ VEのルック:ゼロ=企画、ファースト=設計、セカンド=既存改良(入れ替え注意)
- ☐ VE機能分類:性質(使用/貴重)・重要度(基本/二次)・必要性(必要/不必要)
- ☐ VE機能評価の中身=機能別コスト分析・機能の評価・対象分野の選定
- ☐ CAD=設計/CAM=製造/CAE=解析評価/CAI=教育学習(定義すり替えに注意)/FMS=多品種少量に柔軟
- ☐ 3R=Reduce>Reuse>Recycle(+Renewableで循環経済)
- ☐ LCA=環境負荷の評価手法/カーボンニュートラル=排出と吸収を均衡/CFP=CO2換算で算定(取り違え注意)
- ☐ LCAは廃棄・リサイクルまで対象/LCIA(影響評価)は必須ではない
- ☐ 省エネ法:削減目標達成は努力義務/食品リサイクル法:製造業95%が最高・外食50%が最低/廃棄物:委託時マニフェスト交付
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| R07 第1問 | 製品設計・開発の合理化(CE・CAE・CAM・デザインイン) | 問題 |
| R07 第2問 | VE(価値=機能÷コスト・機能定義・ルック) | 問題 |
| H27 第7問 | コンカレントエンジニアリング(TOC・SCM・PLMとの区別) | 問題 |
| R05 第4問 | 製品開発・設計活動(PDM・モジュール設計・デザインレビュー) | 問題 |
| R05 第3問 | VEの機能分類(使用・貴重・基本・二次) | 問題 |
| H22 第5問 | VEの機能(分類軸の取り違え) | 問題 |
| H26 第3問 | VEの機能評価ステップ(機能別コスト分析) | 問題 |
| H29 第4問 | モジュール生産方式 | 問題 |
| H24 第5問 | コンピュータ支援技術(CAD/CAM/CAE/CAI) | 問題 |
| R04 第3問 | 製品設計(機能設計・生産設計・環境配慮) | 問題 |
| R06 第20問 | 環境配慮型生産(LCA・カーボンニュートラル・CFP) | 問題 |
| R04 第21問 | 環境問題(サーキュラー・エコノミー・水素) | 問題 |
| H25 第21問 | LCA(ISO 14040の4段階) | 問題 |
| R05 第20問 | 省エネ法(エネルギー使用合理化法) | 問題 |
| R05 第24問 | 食品リサイクル法(業種別目標) | 問題 |
| R06 第21問 | 廃棄物処理法(産業廃棄物・マニフェスト) | 問題 |
次章予告 ▶ 第9章「店舗立地と商圏(ここから第II部 店舗・販売管理)」 ここまでの第I部で「モノをどうつくるか(生産管理)」を学びました。第II部からは視点が変わり、 「つくったモノをどう売るか」=店舗・販売管理に入ります。第9章では、その出発点となる 店舗の立地選び・商圏分析を扱います。小売業のオペレーションを支える基礎知識です。