第6章 設備管理・保全

この章のねらい 工場の生産能力は、結局のところ「設備がどれだけ止まらず、速く、良品を作り続けられるか」で決まります。 この章では、その設備を壊れる前に守る/壊れにくく直すための考え方(保全の種類)と、 設備の実力を数字で測るモノサシ(設備総合効率MTBF/MTTR)を学びます。

過去問での出方:運営管理の生産管理パートで、ほぼ毎年1〜2問出る超・頻出分野です。 出方は大きく2つ。①保全の種類・TPMの用語を区別させる正誤問題(言葉の定義勝負)、 ②設備総合効率・MTBF・アベイラビリティを計算させる問題(電卓なしの算数)。 どちらもパターンが決まっているので、いったん型を覚えれば得点源になります。 逆に、用語(予防保全・事後保全・改良保全…)を曖昧にしたままだと毎年取りこぼす、コスパの分かれ目の章です。


6-0 この章の地図

設備管理は「守り方の種類(どう保全するか)」→「測り方(設備の実力を数字にする)」→ 「信頼性の理論(どれだけ壊れにくいか)」の順に進みます。まず全体像をつかみましょう。

6-1 保全の種類            … 予防保全/事後保全/改良保全/保全予防(★用語の土台)
   │   ├ 予防保全=時間基準(TBM)/状態基準(CBM)
   │   └ 維持活動と改善活動の区別
   │
6-2 TPMと設備総合効率      … 全員参加の生産保全/効率=時間×性能×良品(★計算頻出)
   │   └ 7大ロス・自主保全の7ステップ
   │
6-3 設備の信頼性          … MTBF・MTTR・アベイラビリティ/バスタブ曲線/直列・並列(★計算頻出)

6-1で「言葉」を固め、6-2と6-3で「計算」を手順化する――これがこの章の攻略ルートです。


6-1 保全の種類 ― 「守り方」を4つに分ける

まず大きな枠:保全は「維持」と「改善」の2グループ

設備保全(せつびほぜん)とは、ひとことで言えば 「設備が本来の機能を発揮し続けられるように面倒を見る活動」です。 この活動は、大きく次の2グループに分かれます(R06 第8問でこの区別がそのまま問われました)。

設備保全
 ├─【維持活動】今の状態を保つ
 │    ├ 予防保全(PM)… 壊れる前に手を打つ
 │    └ 事後保全(BM)… 壊れてから直す
 │
 └─【改善活動】設備そのものを良くする
      ├ 改良保全(CM)… 壊れにくいように直す・改造する
      └ 保全予防(MP)… 次の設備は壊れにくく設計する

💡 覚え方維持=予防保全+事後保全改善=改良保全+保全予防。 「今を保つ2つ」と「もっと良くする2つ」に分けると、4種類が頭に入ります。

① 予防保全(PM:Preventive Maintenance)=壊れる前に手を打つ

故障が起きる前に、点検・部品交換・調整をして故障を未然に防ぐ保全です。 予防保全は、「いつ手を打つか」の決め方でさらに2つに分かれます。ここが試験の急所です。

種類 何を基準に保全するか ひとことで 別名
時間基準保全(TBM) 時間・周期(例:3か月ごと) カレンダーで決める 定期保全
状態基準保全(CBM) 設備の状態・劣化の兆候 状態を見て決める 予知保全
  • 時間基準保全(TBM=Time Based Maintenance):「前回から○か月たったら交換」というように、 時間・稼働回数で区切って計画的に保全します。=定期保全
  • 状態基準保全(CBM=Condition Based Maintenance):振動・温度・音などを設備診断技術で監視し、 「劣化が進んできたな」という兆候をつかんでから保全します。=予知保全状態監視保全

⚠️ 混同注意:TBMとCBMの取り違え - TBM(時間基準)=時計・カレンダーで決める(まだ使えても周期が来たら交換) - CBM(状態基準)=状態を見て決める(診断技術で劣化を捉えてから交換。ムダな交換が減る) R04 第17問では「劣化傾向を設備診断技術で管理し保全時期を決める」=状態監視保全(予知保全)が正解でした。

② 事後保全(BM:Breakdown Maintenance)=壊れてから直す

故障が発生してから修理する保全です。「壊れるまで使い倒す」ように見えますが、 わざと事後保全を選ぶのが合理的な場面もあります。

  • 故障してもすぐ代替機に切り替えられる、修理も安いなら、予防にお金をかけるより事後保全が得(R04 第17問)。
  • 故障が頻発している状況では、保全費の多くが事後保全(修復)に使われます(R02 第19問)。

⚠️ 混同注意:予防保全(壊れる前)と事後保全(壊れた後)は時間の前後が逆。 「代替機を用意して故障後に直す方が安い場合に選ぶ」のは事後保全であって予防保全ではありません(R04 第17問アの引っかけ)。

③ 改良保全(CM:Corrective Maintenance)=壊れにくいように"直す・改造する"

故障の原因そのものを取り除くため、設備自体に改良を加える活動です。 単に元に戻す修理(事後保全)とは違い、「二度と同じ故障を起こさない」ように設備を作り変えるのがポイント。

  • 過去の故障が再発しないよう改善を加えるのは改良保全(R04 第17問イ)。
  • 初期故障期にある設備の弱点を除去するのに改良保全は妥当(H23 第18問イ)。

④ 保全予防(MP:Maintenance Prevention)=次の設備は"壊れにくく設計する"

いちばん上流の考え方です。過去の保全データ(どこがよく壊れたか)を 新しい設備の計画・設計段階にフィードバックして、最初から故障・トラブルの起きにくい設備を作り込む活動です。

  • 保全予防(MP)は、設計・製作段階で故障が起きにくいよう作り込む活動(H30 第19問イが正解)。
  • 過去の保全実績情報を計画・設計段階にフィードバックして将来の故障を未然排除(R07 第11問エが正解)。

💡 覚え方(4種類の一言タグ) - 予防保全=壊れる前に手当て(時間基準TBM/状態基準CBM) - 事後保全=壊れたら直す - 改良保全=壊れにくく直す - 保全予防=壊れにくく設計する(設備を"作る前"の話)

つまずきポイント:故障率曲線(バスタブ曲線)と保全方式の対応

設備の一生を通じた故障率の変化を描いたのが故障率曲線(バスタブ曲線)です(詳しくは6-3)。 時期ごとに「どの保全が向いているか」がセットで問われます(H23 第18問/R01 第18問)。

時期 故障の様子 向いている保全
初期故障期 設計・製作上の欠陥で故障が多い(故障率は減っていく) 改良保全で弱点除去/保全予防で未然防止
偶発故障期 故障がランダム・一定率で発生 事後保全が合理的(定期保全は効果が薄い)
摩耗故障期 劣化が進み故障率が上昇 予知保全(CBM)定期保全(TBM)

⚠️ 定番の引っかけ:「偶発故障期に定期保全(時間基準保全)を実施する」は不適切。 偶発故障期は故障がランダムなので、時間で区切る定期保全は効きにくく、事後保全のほうが合理的です(H23 第18問ア=正解=誤り)。

📝 過去問はこう出る(H23 第18問) 「生産保全の観点から見た保全活動」で最も不適切なものを選ぶ問題。正解(=誤り)は 「偶発故障期にある設備に定期保全を実施する」。他の肢(初期故障期に改良保全・保全予防、摩耗故障期に予知保全)はすべて妥当。 → H23 第18問R01 第18問R04 第17問


6-2 TPMと設備総合効率

TPM=全員参加の生産保全

TPM(Total Productive Maintenance=全員参加の生産保全)は、 「トップから現場の作業者まで、全部門・全員が参加して」、故障ゼロ・不良ゼロ・災害ゼロを目指す活動です。 過去問で繰り返し問われるTPMの特徴は、次の3点に集約されます。

  1. 全員参加:保全は保全部門だけの仕事ではない。生産部門を含む全部門が参加する。 → 「生産部門と独立して保全部門だけを強化」はTPMの趣旨に反するR04 第19問a=誤り)。
  2. 重複小集団活動:経営トップから現場まで、職制(組織階層)を基礎に重ね合わせた小集団で展開する。 → 職制にとらわれない自主的サークル活動(QCサークル)とは違う点に注意(R01 第20問c=誤り)。
  3. 設備のライフサイクル全体が対象:設計から廃棄まで、あらゆるロスを未然防止する。 → 「製品のライフサイクル全体」は誤り。正しくは「設備のライフサイクル全体」(R01 第20問a=誤り)。

自主保全 ― 作業者が自分の設備を守る

TPMの中核が自主保全(じしゅほぜん)です。「自分の設備は自分で守る」を合言葉に、 オペレーター(作業者)自身が日常の清掃・点検・給油を行い、設備の劣化を防ぎます。

  • 自主保全の基本は、清掃・給油・増し締めの3項目(=劣化を防ぐ「基本条件の整備」)(R05 第19問a)。
  • 自主保全がねらうのは、無理な使い方や放置による強制劣化を防ぐこと。 時間経過で必ず進む自然劣化そのものを止める活動ではないR05 第19問b=誤り)。
  • 改良保全(設備自体を改善する活動)は主に保全部門が担い、オペレーター主体の自主保全の役割ではない(R05 第19問e=誤り)。

自主保全の7ステップ(順番がそのまま問われます。H25 第19問/R05 第19問):

① 初期清掃(清掃・点検)        ← 第1ステップは必ずコレ
② 発生源・困難箇所対策
③ 自主保全仮基準の作成          ← 「仮基準づくり」は第3ステップ
④ 総点検                      ← 総点検は第4ステップ(最初の3つには入らない)
⑤ 自主点検
⑥ 標準化
⑦ 自主管理の徹底

⚠️ 定番の引っかけ:「自主保全の最初のステップは仮基準の作成」は誤り。 最初は必ず①初期清掃。仮基準づくりは、総点検はです(R05・R07・H25で繰り返し出題)。

設備総合効率(OEE)― 設備の実力を測る一本の数字 ★計算頻出

設備総合効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)は、設備がどれだけ有効に使われているかを 1つの数字で表す指標です。設備の効率を下げる7大ロス(故障・段取など)を数値化したものと言えます。 計算式は必ず暗記してください。

設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率

3つの要素は、それぞれ違う種類のロスに対応しています。

要素 計算式 何のロスを測るか
時間稼働率 稼働時間 ÷ 負荷時間
=(負荷時間−停止時間)÷ 負荷時間
停止ロス(故障・段取・立上りなど)
性能稼働率 (基準サイクルタイム × 加工数量)÷ 稼働時間 速度ロス(チョコ停・空転・速度低下)
良品率 良品数量 ÷ 加工数量
= 1 − 不良率
不良ロス(不良・手直し)

⚠️ 混同注意:どのロスがどの率に効くか(R02 第20問がこれを直撃) - 段取時間の短縮・立上り短縮 → 停止が減る → 時間稼働率が向上 - チョコ停(小停止)の削減 → 速度ロスが減る → 性能稼働率が向上 - 不良率の改善良品率が向上 「チョコ停削減で時間稼働率が向上」などの取り違えが定番の誤り選択肢です。

⚠️ よくある勘違い:「付加価値率」は設備総合効率の要素ではありません。 必要なのは時間稼働率・性能稼働率・良品率の3つ(H19 第8問の正解は「付加価値率が不要」)。

設備総合効率の計算ステップ(H29 第18問の数字で練習)

例題:負荷時間1,000時間、稼働時間800時間、加工数量18,000個、 基準サイクルタイム2分/個、不適合品率(不良率)20%。設備総合効率は?

Step1 時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間
      = 800 ÷ 1,000 = 0.8

Step2 性能稼働率 =(基準サイクルタイム × 加工数量)÷ 稼働時間
      ※分母の稼働時間を「分」にそろえる:800時間 = 48,000分
      =(2分 × 18,000個)÷ 48,000分
      = 36,000 ÷ 48,000 = 0.75

Step3 良品率 = 1 − 不良率 = 1 − 0.20 = 0.8

Step4 設備総合効率 = 0.8 × 0.75 × 0.8 = 0.48(=48%)

💡 計算のコツ①(単位そろえ):性能稼働率の計算で、サイクルタイムが「分」なら 稼働時間も「分」に直す(1時間=60分)。ここの単位ミスが失点の最大要因です。

💡 計算のコツ②(約分で速く):3つの率を全部展開すると 設備総合効率 =(基準サイクルタイム × 良品数量)÷ 負荷時間 に約分できます。 途中で「稼働時間」と「加工数量」が消えるので、必要なデータは実は 基準サイクルタイム・良品数量・負荷時間の3つだけ(H26 第19問の正解の考え方)。

📝 過去問はこう出る(H29 第18問) 上の数字で設備総合効率を計算させ、正解は0.48。手順どおり ①0.8 ②0.75 ③0.8 を掛けるだけ。単位(時間→分)のそろえさえ外さなければ確実に取れます。 → H29 第18問R04 第18問R02 第20問

📝 過去問はこう出る(R04 第19問) TPMの記述の正誤を組み合わせる問題。a(保全部門だけ強化)=誤りb(MTBFを短く・MTTRを長く)=誤り(後述のとおり逆)、 c(設備総合効率=7大ロスを数値化)=正しいd(全員参加・重複小集団)=正しい。 → R04 第19問R01 第20問R07 第11問


6-3 設備の信頼性 ― MTBF・MTTR・アベイラビリティ

3つの用語(まず定義を固める)★計算頻出

設備が「どれだけ壊れにくく、壊れてもどれだけ早く直せるか」を測る指標です。 MTBF・MTTR・アベイラビリティの3点セットは、計算問題で毎年のように出ます。

指標 読み・意味 計算式 大きい方が良い?
MTBF 平均故障間隔
(Mean Time Between Failures)
総稼働時間 ÷ 故障回数 長いほど良い(壊れにくい)
MTTR 平均修復時間
(Mean Time To Repair)
総修復時間 ÷ 修復回数 短いほど良い(すぐ直る)
アベイラビリティ 可用率(使える割合) MTBF ÷(MTBF+MTTR) 高いほど良い
  • MTBF=「故障と故障の間、平均どれくらい動き続けられるか」。長いほど信頼性が高い。
  • MTTR=「壊れてから直るまで平均どれくらいかかるか」。短いほど保全性が高い。
  • アベイラビリティ(可用率)= 全時間のうち使える状態だった割合。稼働時間 ÷ 総時間 でも同じ。

⚠️ 混同注意(毎年の引っかけ): - アベイラビリティ = MTBF ÷(MTBF+MTTR)。分子はMTBF。 分子をMTTRにした「MTTR÷(MTBF+MTTR)」は不稼働の割合R06 第8問e=誤り)。 - 故障ゼロを目指すなら MTBFは長く・MTTRは短く。 「MTBFを短く・MTTRを長く」はで誤り(R04 第19問b/R07 第11問オ)。

信頼性指標の計算ステップ(H24 第17問の数字で練習)

例題:設備を300時間使ったところ、稼働と修復を次のように繰り返した。 稼働:0〜80/95〜170/195〜280、修復:80〜95/170〜195/280〜300。

Step1 総稼働時間と故障回数を数える
      稼働= 80 + 75 + 85 = 240(時間)、故障(稼働区間)= 3回

Step2 総修復時間と修復回数を数える
      修復= 15 + 25 + 20 = 60(時間)、修復= 3回

Step3 MTBF = 総稼働時間 ÷ 故障回数 = 240 ÷ 3 = 80(時間)

Step4 MTTR = 総修復時間 ÷ 修復回数 = 60 ÷ 3 = 20(時間)

Step5 アベイラビリティ = MTBF ÷(MTBF+MTTR)
      = 80 ÷(80+20)= 80 ÷ 100 = 0.8

答えは MTBF=80、MTTR=20、可用率=0.8

💡 図から読むコツ:帯グラフ問題(H24 第17問・R03 第19問)は、 ①稼働の帯を全部足す=総稼働時間、②修復の帯を全部足す=総修復時間、③帯の本数=回数、 の3つを数えるだけ。2台を比べる問題(R03 第19問)でも、稼働の帯が長い方がMTBFもアベイラビリティも高いと考えれば早いです。

📝 過去問はこう出る(H24 第17問) 帯グラフからMTBF・MTTR・アベイラビリティを求める頻出型。正解は①80 ②20 ③0.8。 アベイラビリティを0.2(=1−0.8)と取り違える肢が引っかけ。分子は必ずMTBFです。 → H24 第17問R03 第19問

MTBFを「期待値」で求めるタイプ(H20 第8問)

故障までの月数と、その確率が表で与えられたら、MTBFは期待値(月数×確率の合計)で求めます。

例:故障までの月数 1/2/3/4/5/6 か月、
   確率        0.15/0.05/0.10/0.15/0.20/0.35 のとき

MTBF = Σ(月数 × 確率)
     = 1×0.15 + 2×0.05 + 3×0.10 + 4×0.15 + 5×0.20 + 6×0.35
     = 0.15 + 0.10 + 0.30 + 0.60 + 1.00 + 2.10
     = 4.25(か月)

📝 過去問はこう出る(H20 第8問) 故障分布(確率)が与えられ、MTBF=約4.25か月。「月数×確率の合計=期待値」が解法です。 → H20 第8問

故障率曲線(バスタブ曲線)

設備の一生を通じた故障率の移り変わりを描くと、浴槽(バスタブ)を横から見た形になります。 横軸が時間、縦軸が故障率です。

故障率
 高 │\                                      ╱
    │ \_                                 ╱
    │   \________________╱
 低 │                                      
    └─────────────────────────────────────→ 時間
     [初期故障期]     [偶発故障期]      [摩耗故障期]
      故障率↓減少      故障率一定・低      故障率↑増加
  • 初期故障期:使い始め。設計・製造の欠陥が原因で故障が多いが、だんだん減っていく。 → バーンイン(ならし運転)で初期故障をあぶり出して取り除く(H26 第18問エの背景)。
  • 偶発故障期:安定期。故障はランダム・一定率でまれに起きる。→ 事後保全が合理的。
  • 摩耗故障期:末期。摩耗・劣化で故障率が上がっていく。→ 予知保全・定期保全で対応。

⚠️ 定番の引っかけ:故障率は使い始めが高く、減っていく(初期故障期)。 「徐々に増加し、その後減少」は推移がで誤り(R01 第18問ウ)。

信頼性を高める設計の考え方(用語問題)

H26 第18問では、信頼性・安全性を高める設計用語の定義の正確さが問われました。混同注意です。

用語 意味
フェールセーフ 故障しても安全側に移行させる(例:信号機が故障したら赤で停止)
フールプルーフ 人が操作を間違えても、事故・誤動作が起きないようにする(例:ドアを閉めないと回らない電子レンジ)
ディレーティング 部品・設備を定格(最大能力)より低い負荷で余裕をもって使い、故障率を下げて寿命を延ばす
バーンイン 本稼働前にならし運転して初期故障を顕在化させ取り除く

⚠️ 混同注意フェールセーフ(故障時に安全側へ)とフールプルーフ(誤操作しても安全)は よく入れ替えて出題されます。「故障が生じても安全を確保」=フェールセーフ、 「人為的な誤操作があっても問題が生じない」=フールプルーフ(H26 第18問ア・イはこの取り違えで誤り)。

📝 過去問はこう出る(H26 第18問) 信頼性・安全性向上策の用語問題。正解はディレーティング(定格より低い負荷で使い信頼性向上・寿命延長)。 フェールセーフとフールプルーフを入れ替えた肢が引っかけ。 → H26 第18問

直列システムと並列システム(信頼性の合成)

複数の部品・設備を組み合わせたシステムの信頼性(故障せず動き続ける確率)は、 つなぎ方で計算が変わります。各要素の信頼度(動く確率)を R とします。

■ 直列システム(どれか1つでも壊れると全体が止まる)

 入力 ─[ R₁ ]─[ R₂ ]─ 出力
  • 全部が正常なときだけ動くので、信頼度は掛け算Rsystem = R₁ × R₂ × …
  • 例:R₁=0.9、R₂=0.9 → 0.9 × 0.9 = 0.81
  • 要素が増えるほど、全体の信頼度は下がる(掛け算だから)。

■ 並列システム(1つでも生きていれば全体は動く=冗長化)

   ┌─[ R₁ ]─┐
 入力┤     ├─ 出力
   └─[ R₂ ]─┘
  • 全部が同時に壊れたときだけ止まるので、「1−(全部が壊れる確率)」で計算: Rsystem = 1 −(1−R₁)×(1−R₂)×…
  • 例:R₁=0.9、R₂=0.9 → 1 −(0.1 × 0.1)= 1 − 0.01 = 0.99
  • 並列(冗長)にすると全体の信頼度は上がる。予備を持つ=信頼性を高める設計です。

💡 覚え方直列は掛け算(下がる)/並列は「1から引く」(上がる)。 「大事な設備は並列(冗長化)にして止まらないようにする」とイメージすると式を忘れません。


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • ☐ 保全は維持活動(予防保全+事後保全)改善活動(改良保全+保全予防)の2グループ
  • 予防保全は「壊れる前」/事後保全は「壊れた後」(時間の前後が逆)
  • ☐ 予防保全は時間基準(TBM=定期保全)状態基準(CBM=予知保全)に分かれる
  • 改良保全=壊れにくく直す保全予防(MP)=設計段階で壊れにくく作り込む
  • ☐ バスタブ曲線:初期故障期→改良保全・保全予防、偶発故障期→事後保全、摩耗故障期→予知・定期保全
  • ☐ 「偶発故障期に定期保全」は不適切(ランダムなので効きにくい)
  • TPM=全員参加・重複小集団活動・設備のライフサイクル全体が対象(製品ではない)
  • ☐ 自主保全=作業者主体。清掃・給油・増し締めが基本。強制劣化を防ぐ(自然劣化を止める活動ではない)
  • ☐ 自主保全7ステップの第1は初期清掃(仮基準は第3、総点検は第4)
  • 設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率(付加価値率は不要)
  • ☐ 時間稼働率=停止ロス/性能稼働率=速度ロス(チョコ停)/良品率=不良ロス
  • ☐ 計算は単位(時間↔分)をそろえる。約分すると(基準CT×良品数)÷負荷時間
  • MTBF=総稼働時間÷故障回数(長いほど良い)/MTTR=総修復時間÷修復回数(短いほど良い)
  • アベイラビリティ=MTBF÷(MTBF+MTTR)(分子はMTBF。MTTRにすると逆)
  • ☐ 故障確率が表で与えられたらMTBFは期待値(月数×確率の合計)
  • フェールセーフ(故障時に安全側)/フールプルーフ(誤操作しても安全)/ディレーティング(低負荷で使う)
  • 直列=信頼度の掛け算(下がる)/並列=1−(1−R)…(冗長化で上がる)

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H19 第8問 設備総合効率(必要な項目) 問題
H20 第8問 MTBF(期待値計算) 問題
H21 第19問 設備総合効率の計算式 問題
H23 第18問 保全活動とバスタブ曲線 問題
H24 第17問 MTBF・MTTR・アベイラビリティ 問題
H25 第19問 自主保全の7ステップ 問題
H26 第18問 信頼性・安全性の向上策 問題
H26 第19問 設備総合効率に必要なデータ 問題
H29 第18問 設備総合効率の計算 問題
H30 第19問 JISの設備故障と保全活動 問題
R01 第18問 生産保全(保全活動) 問題
R01 第20問 TPM 問題
R02 第19問 保全体制と保全費 問題
R02 第20問 設備総合効率とロスの対応 問題
R03 第19問 MTBF・MTTR・可用率の比較 問題
R04 第17問 生産保全の保全活動 問題
R04 第18問 設備総合効率と改善施策 問題
R04 第19問 TPM(全員参加の生産保全) 問題
R05 第19問 TPMの自主保全 問題
R06 第8問 設備管理(総合効率・保全・可用率) 問題
R07 第11問 TPM(保全概念の定義) 問題

次章予告 ▶ 第7章「資材・在庫管理」 本章で「設備を止めない」ことを学びました。次は「モノを切らさず、かつ余らせない」管理へ。 発注方式(定量発注・定期発注)、経済的発注量(EOQ)の計算、ABC分析、在庫回転率など、 運営管理のもう一つの計算頻出テーマを扱います。