経済産業省の考える 中小・中堅企業のデジタル化・DXの推進について

3/15に経済産業省におけるデジタル実装の取組についての資料が発表されていました。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai5/siryou12.pdf

中小・中堅企業のIT化支援の課題

結局、冒頭のこの2行に中小・中堅企業のIT化支援の課題は集約されると思います。

中小・中堅企業のデジタル化レベルは様々であり、デジタル化・DX実現に向けた支援にあたっては、企業のデジタル化レベルに応じた切れ目のない支援が重要。

そうなんですよ、企業によって違うんですよ。今までのITに対する取組状況が。

一般的には規模が大きいほどIT化は進んでおり、小さいほど遅れていることが多いです。

と入っても、数人の企業でも若い経営者が創業時からしっかりIT化を進めている企業も増えています。一方で、何十年と経営して、経営層の高齢化が進んでいるところは、IT化をすすめる意欲を持っていない企業も多いです。

中堅企業は、ある程度進んでいますが、やはり規模が大きくなるとIT化をすすめるのは数人の企業より難しくなりますし、以前に入れたシステムがあるからこそ、新しいシステムに入れ替えて更に効果を出していこうというのには、二の足を踏みがちです。

デジタル化のレベル(ステップ)

電子化の段階

すべての業務を紙で行っている企業にDXだー!といっても進む気がしません。この図表では、電子化→デジタル化→DXと段階を踏んで進んでいくイメージですね。

電子化は、まずは紙の資料をエクセルでもいいのでデータ化していくことですね。FAXもやめて、せめてメールでやる。メールにするだけで効率が上がるわけではないですが、最初からデータになっていることは大事ですね。さらに、対面の会議を減らして、オンラインの会議を増やす(必要に応じて使い分ける)。

デジタル化の段階

データ化が進んだら、次はデジタル化。いわゆるシステム導入の段階ですね。在庫システム、勤務管理システムなど、必要に応じてシステム化(デジタル化)をしていきます。最近はクラウドサービスを使うのが一般的になってきました。まずは、部門別でも、個別業務別でもデジタル化を図っていくわけです。

DXの段階

そしてDXでは、部門横断的、全社的に対応していきます。図表では新サービスを創出といった表現もあります。新しいサービスを立ち上げたからと言って、DXになるわけではないですが、デジタルを絡めた新サービスが立ち上がるとまさにDXということになるのでしょう。

AIやビックデータの活用による生産工程の全自動化や、顧客データを分析を通じた新サービスの開発などになっていくわけです。 (ぼちぼちハードルが高い)

もともとのDXの定義

今回の図表は、以前に発表されていたDXの定義を簡単に言い直したものですね。

「デジタルトランスフォーメーション レポート2中間とりまとめ」経済産業省から、オレンジ色の吹き出しは村上が追記したものです。

さすがにデジタイゼーション、デジタライゼーションというのは舌を噛みそうですので、データ化、デジタル化(システム化)、DXという三段階で表現していくことになります。

ステップごとに進める必要はない

そして大事なところでは、冒頭の説明にありますが、上記図表の、下から順に実施を検討するものではない、ということです。

データ化 → デジタル化 → DX
といったステップで進んでいくのが、よくある進み方です。

以前までは、紙中心の企業は、まずはデータ化するところからすすめるべきものだったでしょう。しかし、世の中も進み、いろんな進め方できるようになってきました。

例えば、小売業がネットショップを始めたら、それはいきなりDXだと言えるでしょう(全部ネットショップになれば)。つまり、データ化やデジタル化とともにDXまで一度に導入できており、下から順に実施するものではないと言えるでしょう。

ただし、小売の店舗は、まだまだアナログのままの可能性もあります。モバイルオーダーや、キャッシュレス、会計との連動まで進むと、全社的に小売業のDXを実現できることになるでしょう。

一方で、電話受注で紙伝票を起こしている卸売業が一足飛びにDXに進むのは難しいと思います。まずは最低限、紙伝票からデータ化をはかり、簡単な受注システムなどを導入し、その先にDXがあるのではないでしょうか。卸売業であれば BtoB ECまで導入できれば、取引先ともネットで繋がり、業務の効率化にもつながり、売上の向上にもなれば、立派なDXの実現と言えるのではないでしょうか。

主な取り組み

ということで、DXを企業規模やIT導入の進み方にあわせて実現していくことが、今年度のIT施策の大きな目標になりますです。具体的な主な取り組みが8個挙がっていました。

① 中小企業等に対する「気づき」の機会の提供
② 生産性向上に向けたITツールの導入支援
③ 電子受発注システム普及促進に向けた実証
④ 中小企業関係のデータ蓄積・利活用
⑤ 支援コミュニティの立ち上げ・活動支援
⑥ DX実現に必要な設備・機器の導入支援
⑦ 地域発デジタルイノベーションの創出支援
⑧ サイバーセキュリティ対策の促進

① 中小企業等に対する「気づき」の機会の提供

気づきということで、デジタル化診断ツールを開発されるそうです。今の事業や課題を登録することで、診断結果を提供するようなシステムサービスになるんでしょうかね。。。

ただ、すでに IT戦略ナビと言う仕組みがあります。

https://dx-ouen.smrj.go.jp/navi.html

質問に答えていくとIT戦略マップが表示され、どういったシステムを導入するかまで診断してくれます。これが、パワーアップするのか、別にできるのか、楽しみですね。

正直、ウェブの診断だけではあまり進展がないので、施策に書いてあるとおり、コールセンタでサポートして導入にまでつながるといいのですが。とはいっても、電話などのコールセンタだけでシステムが導入できるかと言うと大変な気もします(^^;

② 生産性向上に向けたITツールの導入支援

ここはIT導入補助金が中心になるでしょう。今年はインボイスに対応するために、「デジタル化基盤枠」というのができています。 詳しくは以下の記事を。

③ 電子受発注システム普及促進に向けた実証

これはまだ実証実験なのでしょうが、今後が楽しみです。

やはりインボイス制度、電子帳簿保存法の改正などがあり、企業間の受発注の仕組みはますます効率的に行っていかねばなりませんね。BtoB ECについては、今後ますます広がっていくことになるでしょうね。ガイドラインが整理されるということで、請求書のフォーマットの整備も進むでしょう。

請求書のフォーマットといってもエクセルなどの書式の話ではなく、請求書を先方からもらったら、そのまま読み込めて、買掛金として仕訳できて、請求書のファイルも添付されているような仕組みになるでしょう。

多くの中小企業が日々の受発注業務のやり取りだけでいっぱいいっぱいになっているケースも多いので、このあたりの規格がどんどん進んでいくと、受発注の効率化は劇的に進んでいくでしょうね。

ということで、今年度もいろんなIT施策が楽しみです。

そんなところで

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