第12章 モチベーション(動機づけ)理論
この章のねらい ここからは第II部(組織論・人的資源管理)の中でも、毎年ほぼ確実に出題されるモチベーション(動機づけ)を扱います。 「どうすれば人はやる気を出すのか」を説明した理論群で、提唱者・キーワード・特徴を正確に紐づけられるかが勝負です。 大きく ①内容理論(何がやる気の源か) と ②過程理論(どういう心理プロセスでやる気になるか) の2つに分かれます。 この「2分類」の地図さえ頭に入れれば、どの理論がどの引き出しかで迷わなくなります。
過去問での出方:企業経営理論の第15〜20問前後で、ほぼ毎年1〜2問出ます(本章の対応過去問は23問)。 出題は「提唱者と説明の取り違え」(マズローとマクレランドを入れ替える等)や、 「理論の特徴の逆を書いた選択肢」(衛生要因で積極的にやる気が出る、など)を見抜く形が中心。 用語の定義を丁寧に固めれば、得点源にしやすい分野です。
12-0 この章の地図
この章は、まず「やる気の"中身"を説明する理論(内容理論)」を並べ、 次に「やる気になる"過程"を説明する理論(過程理論)」に進み、 最後に「仕事そのものの作り方でやる気を高める(職務設計)」へと展開します。
12-1 内容理論(What:何がやる気の源か)
マズロー欲求段階説/アルダファーERG/ハーズバーグ二要因/マクレランド欲求理論
│
12-2 過程理論(How:どういう心理プロセスでやる気になるか)
ブルーム期待理論/アダムス公平理論/ロック目標設定理論
│
12-3 職務設計と職務特性モデル(★頻出)
ハックマン&オルダム:5つの中核的職務特性 → 3つの心理状態 → 内発的動機づけ
│
12-4 職務拡大・職務充実・内発的動機づけ(デシ)/MBOとの関係
💡 まず覚える2分類 - 内容理論=「何がやる気を生むか(欲求・要因の"中身")」を説明。マズロー/ERG/ハーズバーグ/マクレランド。 - 過程理論=「どういう筋道でやる気が高まるか(心理のプロセス)」を説明。期待理論/公平理論/目標設定理論。 この2つの箱に理論を仕分けられれば、選択肢の"取り違え"にすぐ気づけます。
12-1 内容理論 ― 何がやる気の源か
内容理論は、人の内側にある欲求や要因に注目して「これが満たされるとやる気が出る」と説明する理論群です。
(1)マズローの欲求段階説(欲求階層説)
A. マズロー は、人間の欲求を5段階のピラミッドで整理しました。
┌─────────────┐
│ ⑤ 自己実現の欲求 │ ← 成長欲求(高次)
├─────────────┤
│ ④ 承認(尊厳)の欲求 │
├─────────────┤
│ ③ 所属と愛の欲求 │
├─────────────┤
│ ② 安全の欲求 │
├─────────────┤
│ ① 生理的欲求 │ ← 欠乏欲求(低次)
└─────────────┘
- 欲求は低次から高次へと順番に現れます。下の欲求がある程度満たされて、はじめて次の欲求が動機づけの力を持ちます。
- いちばん上の自己実現の欲求だけは、満たされてもさらに求め続ける特別な欲求とされます(=成長欲求)。
⚠️ つまずきポイント:マズローは「上位の欲求のほうが常に強く作用する」とは言っていません。 あくまで「低次が満たされて→次に高次が現れる」という順次的・段階的な理論です(H19 第15問の選択肢オ、H29 第16問の選択肢アがこの点を引っかけています)。
(2)アルダファーのERG理論
C. アルダファー は、マズローの5段階を3つに再構成しました(R06 第18問でそのまま出題)。
| ERGの欲求 | 読み方 | マズローとの対応(おおよそ) |
|---|---|---|
| E:存在欲求(Existence) | 生存欲求 | 生理的欲求+安全欲求の一部 |
| R:関係欲求(Relatedness) | 関係性欲求 | 安全欲求の一部+所属と愛+承認欲求の一部 |
| G:成長欲求(Growth) | 成長欲求 | 承認欲求の一部+自己実現欲求 |
マズローとの決定的な違いは次の2点です。ここが試験の狙い目です。
- ① 複数の欲求が同時に働きうる(マズローは「一段ずつ」だが、ERGは同時併存を認める)。
- ② 退行(フラストレーション・退行)を認める:高次の欲求(成長欲求)が満たされないと、 より具体的で確実な下位の欲求(関係欲求)の充足に向かう、という"逆戻り"を想定する。
📝 過去問はこう出る(R06 第18問) マズローとERGの違いを問う問題。正解は「成長欲求が満たされない場合、より具体的で確実性の高い目標を志向する関係欲求を満たそうとする」=まさに退行の考え方。 「関係欲求は生理的欲求の一部と安全欲求…に対応する」は対応づけが不正確でバツ。 「欲求段階説は4カテゴリー」も、マズローは5段階(承認欲求を含む)なのでバツ。 → R06 第18問
(3)ハーズバーグの二要因理論(動機づけ要因・衛生要因)
F. ハーズバーグ は、「満足」と「不満足」は別々の要因が生む、という調査結果を示しました。
| 要因 | 別名 | 何に関わるか | 例 | 欠けると/満たすと |
|---|---|---|---|---|
| 動機づけ要因 | 満足要因 | 仕事そのものの内容 | 達成感・承認・仕事のやりがい・責任・昇進・成長 | 満たすと積極的な満足・やる気が生まれる |
| 衛生要因 | 不満足要因 | 仕事の環境・条件 | 給与・作業条件・対人関係・会社の方針・監督 | 満たしても不満が消えるだけ(やる気にはつながりにくい) |
- ミソ:衛生要因(給与や職場環境)をいくら改善しても、不満が減るだけで、積極的なやる気は生まれにくい。 やる気を高めたいなら、仕事の内容そのもの(動機づけ要因)に働きかける必要がある――これが職務充実(12-4)の理論的な土台です。
- 2つの要因は独立しており、「相関が高い」わけではありません。
📝 過去問はこう出る(H29 第16問) 各理論を正しく当てはめる問題。正解(適切)は 「ハーズバーグの二要因理論では、衛生要因の不満を解消しなくても、動機づけ要因によってモチベーションを高めうる」。 一方、ブルーム期待理論を「期待値の総和」と書いた選択肢はバツ(正しくは積=掛け合わせ)。 → H29 第16問
⚠️ 混同注意:H19 第15問では「動機づけ要因と衛生要因には高い相関があり、衛生要因を充足しなければ動機づけは起こらない」という選択肢がバツでした。 両者は別個・独立、が正解の急所です。
(4)マクレランドの欲求理論(達成・権力・親和)
D. マクレランド は、後天的に学習される欲求を3つに分けました。
| 欲求 | 中身 |
|---|---|
| 達成欲求 | 高い目標を自力で成し遂げたい。適度に困難(挑戦的だが達成可能)な課題を好む |
| 権力欲求 | 他者に影響を与えたい・動かしたい |
| 親和欲求 | 人と良好な関係を築きたい・仲良くしたい |
⚠️ 超頻出の引っかけ:「達成欲求の高い人が優れた管理職になる」は誤りです。 マクレランドは、優れた管理職に必要なのはむしろ(社会的)権力欲求だとしました(H19 第15問の選択肢エがこれ)。 また達成欲求の高い人は「自分の能力を超えた課題」ではなく「挑戦的だが達成可能な課題」を好みます(H29 第16問の選択肢ウ)。
💡 X理論・Y理論(マグレガー)も内容理論の仲間 D. マグレガー は、管理者が部下に対して持つ人間観を2つの理念型で示しました。 - X理論:人は本来なまけたがる → アメとムチで管理する - Y理論:人は条件次第で自律的に働く → 部下を意思決定に参加させると意欲が高まる H19 第15問の正解(ウ)が、まさに「Y理論に立てば部下を意思決定に参加させるほうが意欲が高まる」でした。 → H19 第15問
12-2 過程理論 ― どういう筋道でやる気になるか
過程理論は、欲求の"中身"ではなく、やる気が生まれる心理のプロセス(筋道)を説明します。
(1)ブルームの期待理論
V. ブルーム は、やる気の強さを次の掛け算で表しました。
モチベーション = 期待 × 用具性(道具性) × 誘意性
│ │ │
努力→成果は 成果→報酬に その報酬は
出せそうか つながるか 自分に魅力的か
| 要素 | 英語 | 中身(何の見込みか) |
|---|---|---|
| 期待 | expectancy | 努力すれば成果をあげられるか、の見込み |
| 用具性(道具性) | instrumentality | 成果をあげれば報酬につながるか、の見込み |
| 誘意性 | valence | その報酬が自分にとってどれだけ魅力的か |
- 掛け算なので、どれか1つでもゼロに近いと全体もゼロになります。 「頑張っても成果が出ない」「成果を出しても報われない」「報酬に魅力がない」――どれか1つでも欠けるとやる気は出ません。
- リーダーがこの3要素を高める働きかけをする、と発展させたのが経路目標理論(第13章リーダーシップ論)です。
📝 過去問はこう出る(R02 第19問) 「期待理論がモチベーションを規定する要因として最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(不適切)は 「他者の報酬と比較した自身の報酬に対する認知」。これは次に学ぶアダムスの公平理論の概念で、期待理論の要素ではありません。 残る「成果→報酬の認知=用具性」「努力→成果の期待=期待」「報酬の満足の程度=誘意性」はすべて期待理論の要素で適切。 → R02 第19問
📝 過去問はこう出る(H25 第13問) 期待理論に基づくリーダーシップ行動を問う問題。正解は 「目標実現で得られる報酬がいかに魅力的かを説得する」=誘意性を高める働きかけ。 逆に「報酬を目標達成と切り離す」は用具性を弱めるのでバツ。 → H25 第13問
(2)アダムスの公平理論(衡平理論)
J.S. アダムス は、人は自分の「投入(努力)と成果(報酬)の比率」を、他者のそれと比較して、 不公平を感じると、それを解消しようとして行動を変える、と説明しました。
自分の報酬 他者の報酬
──────── を ──────── と比べる
自分の投入 他者の投入
→ 不公平(もらいすぎ/もらわなすぎ)を感じると…
・投入(努力)を増減させる
・報酬の変更を求める
・比較対象を変える/認知をゆがめる 等で解消しようとする
- ポイントは「他者との比較」。報酬の絶対額ではなく、"あの人と比べて公平か"が動機づけを左右します。
- R02 第19問で「他者の報酬と比較した自身の報酬への認知」が期待理論の要素ではない(=公平理論の概念)と問われたのは、この対比です。
(3)ロックの目標設定理論
E. ロック と G. レイサム が体系化した理論で、「どんな目標が努力・成果を引き出すか」を明らかにしました。
やる気を引き出す目標の特徴は、次のようにまとめられます。
| 目標の特徴 | 中身 |
|---|---|
| 具体的である | 「頑張る」ではなく「◯◯を△件」のように明確 |
| 適度に困難である | 本人が受容できる範囲で挑戦的(易しすぎず、不可能でもない) |
| 本人が受容している | 押しつけでなく、自分で納得・目標設定に参加している |
| フィードバックがある | 達成度合いが本人に返ってくる |
📝 過去問はこう出る(R01 第16問) ロック&レイサムの目標設定理論で「努力・成果を引き出す目標の特徴」を選ぶ問題。正解は 「目標の達成度合いについてのフィードバックが得られること」。 引っかけは、「目標が抽象的であること」(正しくは具体的)、「達成困難度が顕著に高い」(正しくは受容できる範囲での適度な困難)、 「目標と報酬の関係の明示」(これは期待理論寄りの話)など。 → R01 第16問 / R05 第17問
💡 覚え方(目標設定理論):やる気の出る目標は「具体的・適度に困難・受容・フィードバック」の4点セット。 「抽象的」「不可能なほど高い」は正反対なので即バツにできます。
⚠️ 混同注意:H19 第17問は過程理論の"束"で出る 動機づけの過程理論(目標設定・公平・期待理論)をまとめて問う問題も出ます。 それぞれのキーワード(目標設定=具体性/困難/受容/フィードバック、公平=他者比較、期待=期待×用具性×誘意性)を切り分けられれば対応できます。 → H19 第17問
12-3 職務設計と職務特性モデル ★頻出
ここからは、人の欲求ではなく「仕事(職務)そのものの作り方」でやる気を高める話です。 ハックマン&オルダムの職務特性モデルは本章で最頻出なので、丁寧に押さえます。
5つの中核的職務特性 → 3つの心理状態 → 内発的動機づけ
J.R. ハックマン と G.R. オルダム は、「仕事そのものが持つ5つの特性が、 働き手の3つの心理状態を生み、それが内発的動機づけ・満足・成果を高める」と説明しました。
【5つの中核的職務特性】 【3つの重要な心理状態】 【成果】
技能多様性 ┐
タスク完結性 ├→ 仕事の有意味感 ─┐
タスク重要性 ┘ │
自律性 ───→ 結果への責任の実感 ├→ 内発的動機づけ・
フィードバック → 結果の理解 ────┘ 満足・高い成果
(※成長欲求の強さが「調整変数」として関係の強さを左右)
5つの中核的職務特性の定義は、試験で取り違えが頻出です。正確に覚えましょう。
| 中核的職務特性 | 定義(何の程度か) |
|---|---|
| ① 技能多様性 | 職務遂行に多様なスキル・才能の発揮が必要とされる程度 |
| ② タスク完結性(職務同一性) | 仕事を始めから終わりまで一貫して担当し、全体像がつかめる程度 |
| ③ タスク重要性 | その仕事が他者や社会に与える影響の大きさ |
| ④ 自律性 | 遂行の方法・手順・スケジュールを自分で決められる裁量の程度 |
| ⑤ フィードバック | 仕事の遂行そのものから成果の情報が直接得られる程度 |
3つの重要な心理状態は次のとおりです。
- 仕事の有意味感(有意義感)… ①技能多様性・②タスク完結性・③タスク重要性が高いほど強まる
- 結果への責任の実感 … ④自律性が高いほど強まる
- 結果の理解 … ⑤フィードバックが高いほど強まる
⚠️ 定義の取り違えに注意(頻出) - 自律性=方法・スケジュールを自分で決められる程度(「自ら仕事を選ぶこと」ではない) - タスク完結性=仕事を最初から最後まで担当する程度(「自律性」と取り違えやすい) - タスク重要性=他者・社会への影響(「自分にとって重要」ではない) - フィードバック=仕事の遂行そのものから得られる情報(「専門部局から与えられる情報」に限らない)
📝 過去問はこう出る(R05 第16問) 職務特性モデルの記述を選ぶ問題。正解は「技能多様性・タスク完結性・タスク重要性が高いほど、仕事の有意味感が高まる」。 引っかけは「心理状態が職務特性を介して成果に影響」(因果が逆。正しくは職務特性→心理状態→成果)、 「スケジュールを自分で決められる程度=タスク完結性」(自律性の定義との取り違え)など。 → R05 第16問 / H26 第16問
📝 過去問はこう出る(R02 第20問) 正解は「有意義感の実感・責任の実感・結果の理解という3つの心理状態がそろうと、内発的動機づけが高まる」。 引っかけは「自律性が高ければフィードバックが低くても動機づけが高まる」(×。フィードバック=結果の理解も必要)、 「成長欲求は職務特性と無関係に動機づけを高める」(×。成長欲求は関係の強さを左右する調整変数)。 → R02 第20問
💡 成長欲求=調整変数(モデレーター) 職務特性モデルでは、成長欲求が強い人ほど、自律性の高い仕事から強い責任感・やる気を得ます。 成長欲求は職務特性と心理状態の関係を強める(調整する)変数であって、動機づけを直接生むわけではない、という点が急所です。
12-4 職務再設計・内発的動機づけ/MBOとの関係
職務再設計の3手法 ― 職務拡大・職務充実・職務転換
仕事の中身を組み替えて動機づける方法を職務再設計と呼びます。似た用語の方向(水平か垂直か)で区別します。
| 手法 | 方向 | 中身 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| 職務拡大(job enlargement) | 水平的拡大 | 担当するタスクの数・種類を増やす。単調さを減らす | 横に広げる |
| 職務充実(job enrichment) | 垂直的拡大 | 計画・実施・評価など権限・責任を与える(自律性を高める) | 縦に深める |
| 職務転換(job rotation) | ― | 同レベルの別の職務へ配置換えし、スキルを広げる | 配置を換える |
- 職務拡大=水平(横)、職務充実=垂直(縦)、の対比がいちばんの急所です。
- 職務充実は、ハーズバーグの二要因理論(動機づけ要因=仕事そのもの)を土台にした考え方です。
📝 過去問はこう出る(H27 第17問) 職務拡大の説明を選ぶ問題。正解は「個人が行うタスクの数や種類を増やし、職務に多様性を持たせること」=水平的拡大の定義。 引っかけは、「計画・実施・評価を自分で管理できるようにする」(=職務充実の説明)、 「同レベル・同スキルの職務への配置換え」(=職務転換/ローテーションの説明)など。 → H27 第17問
内発的動機づけ(デシ)
- 外発的動機づけ:報酬や罰など、外から与えられるものでやる気を出すこと。
- 内発的動機づけ:仕事そのものの面白さ・有能感・達成感など、自分の内側からわいてくるやる気。
E. デシ は、自己決定(自分の裁量で好きにやれること)が内発的動機づけの鍵だとしました。 やらされ感ではなく、自分で選んで取り組むことが大切だ、という考え方です。
💡 アンダーマイニング効果(デシ) 内発的に楽しんでやっていた活動に金銭などの外的報酬を与えると、かえってやる気(内発的動機づけ)が下がることがあります。 「報酬でつる」と、自分から楽しむ気持ちが薄れてしまう、という現象です。研究員が自発的に取り組む研究(H25 第16問)などが典型例です。
内発的動機づけの代表的な論者は、デシのほかにも押さえておきましょう。
| 論者 | キーワード | 中身 |
|---|---|---|
| デシ | 自己決定 | 自分の裁量で取り組めることが内発的動機づけの源 |
| ホワイト | コンピテンス(有能感) | 環境とうまく関われた「できた」という感覚自体が動機づけになる |
| チクセントミハイ | フロー | 活動に没頭し我を忘れる状態。外的報酬と無関係に生じる |
📝 過去問はこう出る(H30 第15問) 内発的動機づけの論者の説明で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(不適切)は 「ホーソン実験で作業条件を自分たちで決めて内発的に動機づけられたことをホーソン効果と呼ぶ」という記述。 ホーソン効果は正しくは「注目・観察されていること自体が生産性に影響する効果」を指すので、呼び方が不正確でバツ。 デシ(自己決定)・ホワイト(コンピテンス)・チクセントミハイ(フロー)の説明は適切でした。 → H30 第15問 / H25 第16問
MBO(目標による管理)との関係 ― 「目標設定が動機づけになる」
MBO(Management By Objectives=目標による管理)は第1章(1-4)で経営計画の手法として扱いましたが、 本章の観点では「目標設定そのものが動機づけになる」点が重要です。
- MBOでは、上司と部下が話し合って目標を設定し、部下が自己統制しながら達成を目指します。
- これは、ロックの目標設定理論(具体的で受容された目標がやる気を高める)そのものの応用です。 本人が目標設定に参加し、達成度のフィードバックを受ける仕組みが、動機づけにつながります。
- つまりMBOは、「管理の手法」と「動機づけの手法」の2つの顔を持ちます(H26 第17問の正解がこの点)。
⚠️ 混同注意:「MBO」は2つある(第1章の再掲) - Management By Objectives=目標による管理(本章・ドラッカー。動機づけの手法) - Management Buyout=経営陣による買収(M&Aの一種。H29 第6問) 同じ略語でも全く別物。問題文の文脈で判断します。 → H26 第17問 / H29 第6問
💡 報酬制度は「どの理論」と結びつくか(H22 第14問) - 業績連動の変動給(利益分配など)=期待理論(努力→業績→報酬の結びつきを明確にする=用具性を高める)と最も整合的。 - 公平理論は、貢献に応じて報酬が変わる制度と整合的(固定給とは結びつきにくい)。 「どの給与制度が、どの動機づけ理論のロジックに合うか」を対応させる出題です。 → H22 第14問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ モチベーション理論は 内容理論(何が源か) と 過程理論(どんな筋道か) の2分類でとらえる
- ☐ マズロー=5段階(生理的・安全・所属と愛・承認・自己実現)。低次→高次へ順次的(上位が常に強いわけではない)
- ☐ アルダファーERG=存在・関係・成長の3つ。マズローと違い同時併存と退行(フラストレーション退行)を認める
- ☐ ハーズバーグ二要因=動機づけ要因(仕事そのもの/満足) と 衛生要因(環境・条件/不満) は独立。衛生要因はやる気を積極的には生まない
- ☐ マクレランド=達成・権力・親和。優れた管理職に必要なのは権力欲求(達成欲求ではない)
- ☐ マグレガー=X理論・Y理論。Y理論なら意思決定への参加で意欲が高まる
- ☐ ブルーム期待理論=期待 × 用具性 × 誘意性(掛け算)。1つでもゼロなら全体もゼロ
- ☐ アダムス公平理論=自分と他者の「報酬/投入」比率を比較。不公平を解消しようと行動を変える
- ☐ ロック目標設定理論=やる気の出る目標は具体的・適度に困難・受容・フィードバック(抽象的/不可能なほど高い、は逆)
- ☐ ハックマン&オルダム職務特性モデル=5つの中核的職務特性 → 3つの心理状態 → 内発的動機づけ(因果の向きに注意)
- ☐ 5特性=技能多様性・タスク完結性・タスク重要性・自律性・フィードバック(定義の取り違えに注意)
- ☐ 成長欲求は関係の強さを左右する調整変数
- ☐ 職務拡大=水平(横/タスク増)、職務充実=垂直(縦/権限・責任)、職務転換=配置換え
- ☐ デシ=自己決定が内発的動機づけの鍵/外的報酬で内発的動機づけが下がるアンダーマイニング効果
- ☐ MBO(目標による管理)は目標設定理論の応用=管理+動機づけの2つの顔(≠経営陣による買収)
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H19 第15問 | 欲求理論(マズロー・ERG・マクレランド・マグレガー) | 問題 |
| H19 第17問 | 動機づけの過程理論(目標設定・公平・期待) | 問題 |
| H22 第14問 | 動機づけ理論と報酬制度 | 問題 |
| H23 第13問 | 職務特性モデル | 問題 |
| H25 第13問 | 期待理論に基づくリーダーシップ | 問題 |
| H25 第16問 | 内発的動機づけ(自発的研究) | 問題 |
| H26 第16問 | 中核的職務特性 | 問題 |
| H26 第17問 | 目標による管理(MBO) | 問題 |
| H27 第17問 | 職務拡大 | 問題 |
| H29 第16問 | モチベーション理論(総合) | 問題 |
| H30 第15問 | 内発的動機づけ(デシ・ホワイト・チクセントミハイ) | 問題 |
| R01 第16問 | 目標設定理論 | 問題 |
| R02 第19問 | 期待理論 | 問題 |
| R02 第20問 | 職務特性モデル(ハックマン&オルダム) | 問題 |
| R05 第16問 | 職務特性モデル | 問題 |
| R05 第17問 | 目標設定理論 | 問題 |
| R06 第18問 | マズローの欲求段階説とアルダファーのERG理論 | 問題 |
次章予告 ▶ 第13章「リーダーシップ論」 本章の期待理論を土台にした経路目標理論をはじめ、リーダーシップのさまざまな理論を扱います。 特性論・行動論(PM理論・マネジリアル・グリッド)から、条件適合理論(フィードラー、SL理論)、 そして変革型リーダーシップまで、"人を動かす"理論の系譜を整理します。