中小企業診断士として独立する前にやっておいてよかった3つのこと

中小企業診断士になって10年が過ぎたので独立準備をテーマに振り返って見ようと思います。

独立して9年目です。独立した経緯などは、駆け出し診断士奮闘記で以前、たっぷりまとめましたが、それからだいぶ時間が経ったので、改めてまとめてみました。過去の記事とか読み返さずに書いたので、内容が美化されたり、している可能性もありますが。独立の経緯や準備について村上自身のことを、まとめてみたいと思います。

なお、IT中小企業診断士として、の仕事の取り組みは、こちらの記事にも書いています。記事というかプロフィール的なものです。

中小企業診断士取得の経緯

中小企業診断士を取得したのは、ほんの自己啓発のつもりでした。私が新卒で入社したのは大手のシステムインテグレータでした。IT系の人たちは、みんな勉強熱心で(多分(^^;)、資格取得に余念がないんです。

私は大学の時に情報処理2種を受けて落ちたというダメさでしたが、入社後に情報処理の2種と1種をとりました。そうすると次は高度情報処理ですね。当初、ネットワーク関連の部署に所属していたこともあって、ネットワークスペシャリストを取得しました。その後は、ベンダ系の資格ですね。ネットワークつながりで、Ciscoの資格をとり、ERPの部署に変わったので、現Oracleの資格(その時はPeopleSoftでしたが)とりました。

ネットワーク系の部署から、クラウドサービス(当時はASPと呼んでいましたが)の企画に携わりました。NPVという言葉をはじめて、サービスの企画書で見かけました。私自身は当時は、なんで割り引くってどういうこと???といったレベルでしたが。

立ち上げたクラウドサービスはうまくいかず、自分の力不足を感じたまま、次はERPの部署に移りました。そうすると、更に経営知識のなさが心配になってきます。周りの人達でも士業の資格を勉強している人たちをちらほら見かけました。そこで、ITの資格は大分溜まってきたので、次は士業を取ろう!と思いました。(ただの資格コレクターですね)

そして、何の士業を取るか迷いました。当時、私はERPの担当で人事や給与のモジュールを担当することが多かったです。そしてたまに会計分野も。

ということで、最初は給与計算について勉強していたので、社会保険労務士の本を買いました。そして少し読んでみたのですが、全く頭に入ってきません。一応、これでも給与や社会保険の計算方法をシステム的に勉強していたのですが、だめでした。 あとから気づいたのですが、私はどうやら法律を勉強するのは苦手のようです。 中小企業診断士試験でも、余裕の合格点をとったと思ったら、経営法務だけ足切りというひどくバランスの悪いありさまでした。

次に会計士の本を手にとりました。社労士の勉強より、少しはできそうな気がしましたが、当時は財務諸表の見方もろくにわかっていなかったので、やはりハードルが高いなあと感じました。

そして最後に手にとったのが中小企業診断士のテキストでした。企業経営理論だったと思います。そうすると圧倒的に、他の士業に比べてテキストの内容が興味深いのです。

経営ってかっこいい!

中小企業診断士を勉強しようと決めました。最初に手にとったのが、中小企業診断士の経営法務や財務・会計の科目のテキストであれば、まだ悩んでいたかもしれません。

当時は、教育訓練給付金が8割支給でしたので、資格予備校に40万円で申し込んでも、あとで30万円返ってくるということでしたので、同じ会社の友人を誘って早速申し込みました。

独立のきっかけ

そこから合格までは長かったです。1次試験は1回で通りましたが、2次試験は2回落ち、3年目の1次は前述の通り8科目全体で70%確保しているのに、1科目だけ足切り経営法務で落ちるという悲惨な有様でした。当時は8科目で科目合格はありませんでした。

本記事は、合格に向けての話ではありませんので、受験生活については他の記事に譲りますが、3年目の受験に落ちて悩みました。もう3年半も勉強したのに、資格一つ取れず無駄に時間を過ごしているのではないか、他のことをやったのほうがいいのだろうか、機会損失を発生させているのではないだろうか、と。

これ以上の勉強を続けるか否か、9月に落ちて、年末まで考えた結果、結論がでました。

自己啓発のつもりで始めた資格取得でしたが、これ以上、自分の資源を投入するなら、資格取得したあと独立につなげようと。そのためには、何年かかってもライフワーク的になってもいいから取得してやろうと。その後、5年目の受験で合格できたときは、それはそれは嬉しかったものです。

しかし、合格したものの、独立するにはどうしたらいいのでしょうか? 妻無し子無し、一人暮らしの身軽な生活なので、すぐ収入がなくてもたいして困りませんが、さすがに無鉄砲に辞めてしまうのは気が引けました。

そこで始めたのは、ありがちですが、副業です。資格の予備校の講師をはじめました。土日に教えたり、平日の夜は作問したり、採点したりの生活を送りました。副業は楽しかったですね。なにか、会社の周りの人とは違うことをしているのが気分高揚につながります。多くないですが、収入も入ってきて、これなら独立しても無収入にはならないだろうと、自信がついてきました。

しかし、私は決断力があまりありません・・・2年間副業生活が続きました・・・

最終的な独立のきっかけは、他人頼りです。ある日、同じ予備校で講師をされていた中小企業診断士の先輩から電話をいただき、「4ヶ月後に1ヶ月の期間の研修の仕事があるんだけど、やらない?」といわれ、少し考えて引き受けることにしました。 当然、それまでに会社を退職して独立の準備をすることになりました。 時給4千円で1日7時間で20日でしたから、50−60万円の月収ですね。(準備が大変すぎて、あとから思うと全然割の合わない仕事でしたが、非常によいきっかけと経験になりました。)

両親に伝えても上司に伝えてもあまり引き止められませんでした。それはそれで寂しいことですが、そんな雰囲気をすでに出していたんでしょうね。

独立前にやっていてよかった3つのこと

そんなわけで独立を果たしました。もちろん、初年度、二年目と簡単だったわけではありませんが、ぼちぼち順調に進めた気がします。振り返ってみて、独立する前にやっておいてよかったなと思うことを3つにまとめてみました。ようやく、この記事の本題ですね。

①勉強会・研究会活動

研究会はたくさん入りました。6個だったかと思います。(もう数字はあやふやです) 独立直後は皆さんたくさんの研究会に入ると思いますが、ちょっとずつ活動するのはもったいないです。やるならどれも全力でやれる研究会活動をしたほうがいいでしょう。多く入る必要はないと思います。

わたしは、6個のうち2個は事務局の活動もやりました。場所確保したり、告知したりなどですね。残りの4つも積極的に発表を行いました。聞いて勉強するのって多少はインプット学習になるのですが、なにか退屈です。本を読んだほうが効率がいいくらいと思っています。聞いてるだけでなく一緒に活動してるなあ、と思える研究会活動の方が後々で役立ちました。

研究会は多くのところでは、メンバの誰かが発表をして、みんなで聞いたりワークしたりということが続きます。しかし、毎月研究会が開催されるとどこも発表するヒトやネタが切れてきます。ですから、発表したい!といえばたいていチャンスは回ってきます。私は独立前後の1年で、毎月のように研究会で発表を担当していました。

ITでのライフハックネタや、Facebook活用、スマホのアプリ紹介など・・・ITばっかりですね。やっぱり。

発表の資料を作ったりするのは大変ですし、もちろん参加者からお金ももらえません。しかし、発表の良い練習になりました。会社でもお客さま相手にプレゼンすることもありましたし、予備校講師として副業していたので、話すことはぼちぼちなれてきていた気もしますが、セミナのとても良い練習になりました。

実際に、この研究会で作った資料をベースに、はじめての商工会議所でのセミナをやらせてもらいました。

え?はじめての商工会議所のセミナはどうやって受注したかって?

勉強会の先輩に紹介してもらいました。勉強会は、中小企業診断士の受験勉強会です。先輩は、某商工会議所の中の人でした。合格した後輩には一度セミナの機会を提供してるとのことで、当時、同じ勉強会で同じ年に3人合格したのですが、順番にセミナの機会をいただきました。ありがたいことです。

また、Facebookが日本に入ってきた時に、Facebookを研究する会が1年限定で催されていたのですが、そこで研究した結果、Facebookセミナも開催することができました。最近では、Facebook単体でセミナすることはありませんが、ネット関連のセミナを実施する際にはFacebookネタが登場することも多いです。

研究会活動では、ネットワークのほか、セミナの実験の場として非常に役に立ちました。

②副業

最初は講義の企画

すでに何度か登場していますが、副業はしていて良かったです。会社員として13年働いたわけですが、大手の安定した会社です。会社の名前で仕事はとれても、独立して自分の名前で仕事が取れるとは思えませんでした。そんなとき、やはり、中小企業診断士の受験勉強会の別の先輩から、講師が不足しているので、やらないか?と誘われて予備校の講師をはじめました。 講師になるのに採用試験的なものがなくてよいのか、不安になるくらいでしたが。その予備校には通ったこともなかったので。

予備校の講師となって、最初に、主任講師に言われたのは、策問や採点をやりつつ、「2時間の講義を一つ作って」ということでした。一般的なものでも好きなものでも良いとのことでしたが、せっかくなので、誰もやっていない特徴のあるのをやろうと思いました。どの科目にするかも色々と悩みましたが、やはり得意の経営情報の中から作ることにしました。

もう、正確なタイトルは忘れましたが、「統計学を2時間の勉強で8点をとる!」 といった講義です。

作り始めてから気が付きましたが、私、統計学は特に得意というわけではありませんでした。ですから、めちゃめちゃ時間がかかりました。過去問を平成13年から19年くらいまで分析して、この範囲なら点数をとれるという講義をつくりました。8点というのは、統計学はいつも2問出題されていたので、1問4点で8点ということです。

自分で言うのもなんですが、なかなかの大作で出来も良かったと思います。・・・今となってはいろんな統計の範囲から出題されるので、この内容は、現在の試験対策には使えないでしょうが(^^;

講義を作ってそれだけでは終わりませんでした。その結果、あまり他の中小企業診断士が取り組んでいる分野ではないので、その後、月刊企業診断で、統計学の記事の執筆を依頼され、さらにその内容をKindleで発刊したところ、1万部を越えて、当時のKindle全体で売上1位を4日とって、その結果、紙の本の出版につながり、その結果、たまに統計学の研修をしています。

いろんなことに取り組んで見るものですね。

Kindle本     紙の本

 

はなしまくる

予備校の講義って、1本は90分とか120分でしたが、当時は急速に動画撮影が進んでいました。なので、1日に3本撮りなどで、6時間、休憩とか含めると8時間位撮影室にこもってひたすら喋りまくるという体験をしました。ときどき意識朦朧となっていたことがあるくらいに(^^;

今でも、一方的にたくさんしゃべるまくってしまう講師のスタイルは、その時にできたのかもしれません。・・・あんまりいいことではないかもしれませんが。

ただ、教室講義も多数あったので、受講生とのコミュニケーションの図り方も(少しは)学べたかなと思います。

話す体験をたくさんしたことで、うまくなったというわけではありませんが、場数を踏んで、場馴れができたのは大きかったと思います。人前で話すことにあまり緊張しなくなりました。(今でも、新作ネタのセミナはドキドキしてますが)

 

副業の収入面では?

副業のおかげで、中小企業診断士内ですこしは顔が広くなり、新しい取り組みもでき、そしてなにより少しではあるものの収入が得られたことです。当時のサラリーマン時代の年収の12%くらいの収入がありました。 一方で会社での残業は削減していましたので、得た収入分くらいの残業代は減っていました。結局、収入的には「行って来い」ではありましたが、複数のところから収入が得られるというのは自信になりました。

 

なお、中小企業診断士活動としての、つまりコンサルティングなどの副業は行なえませんでした。無料診断や実務補習的なものはやりましたが、どうしても、ちょっとした体験程度に留まってしまいました。一応、会社ではコンサルティングを冠した部署にいたので、本業ではコンサルティング(ITコンサルティング)をやっていました。

ということで、副業により、「話す」力をかなり得られたと思います。

③ブログを含めた執筆活動

書籍を書く

先程も統計学の執筆でも記載しましたが、たくさん文章を書くことを実施しました。個人的には話すことより文章を書くことに苦手意識を感じていました。小学生の時も、夏休みの宿題の殆どは7月中に終えてしまうのに、読書感想文だけはどうしても最後までできない子供でした。なお、子供時代からかなりの読書家でした。今もビジネス書書評のサイトを運営しています。それでも書くのは苦手でしたね。 中小企業診断士の受験のおかげで、文章がうまいかどうかは、さておき、「たくさん速く書く」というのは苦痛でなくなりました。誤字が多いのが課題です(><

中小企業診断士としての執筆の最初は、「ふぞろいな合格答案」でした。 (受験生時代に、ふぞろいの前作でである「続々80分間の真実」が執筆としては、はじめての体験でしたが。) 2018年には「ふぞろいな合格答案11」が出ていますが、あれからもう11年もたったのかと思うと感慨深いものがありますね。

実は、副業としては、この本の執筆が最初でした。(ほとんど、お金はもらえませんが)はじめて、社外の人と一緒に仕事をしたのは新鮮でした。この人すごいなあ!というヒトもいるし、このヒト雑だなあ!っていう人もいるし。

オープンイノベーションではないですが、社外の人と連携して働く、そしてネットワーク上で働くっていう体験は、今でも生きています。そして、当時の執筆の仲間は、今でも大切な仲間だったりしています。

雑誌で書く

雑誌の初めては、やはり同友館さんです。これは、現在も開催されているマスターコースの「夢カナ」で、コース内で、編集長をお呼びして、執筆企画のプレゼンをするというものです。その際は、「事業承継」をテーマに提案をして、全6回の連載をすることができました。

執筆はいいですね。執筆をすると頭の中がすごく整理されます。そのため、執筆をすると、その内容でセミナを話すのがやりやすくなります。今でも、新しいテーマについて取り組むときは、まず執筆にとりくみ、情報を整理するところから始めます。

また、月刊企業診断で書くと、中小企業診断士の中での知名度は(多少)上がりますので、「あの内容書いてたね、今度話してくれない?」といった依頼につながることも多々あります。

ブログを書く

そして、今も書いていますが、ブログです。ブログは、2007年から書き始めています。といっても当時は受験生でしたから、勉強結果や、作成した過去問の答案をアップしたり、愚痴ったりという、いかにもブログ!という内容でした。

中小企業診断士に合格して、2009年ごろからWebサイト化してプロフィールを載せたりと独立を意識するようになってきました。でもね、実績がなくて困ります。独立していないので、書ける実績が無いのです。しかしここでも副業が役に立ちました。ただ実績が書ける!とはいっても、所詮、予備校での実績ですから、コンサル実績とか中小事業者向けのセミナ実績ではないわけです。

そこで、なにか読者に役に立つ記事を書こう思いました。ほとんどITネタですが、ちょっと自分で使い方がわからなかったソフトについて調べて書いたり、新しいガジェットを試したりとそんな内容が多かったと思います。

そんなIT系のブログってはいて捨てるほどありますが、中小企業診断士サイトとしては、多くはありません。その結果「中小企業診断士 IT」で検索すると、常に上位表示されます。そんなキーワードで探すヒトは多くないと思いますが、自分自身を特徴づけるのに役立ったと思います。 ITのことだったら、村上に相談だ!と。

この記事も、「中小企業診断士 独立」で順位が上がらないかなあ、なんて思っています。 2018/11/11時点で、Googleの検索順位は27位でした。

独立する前からブログを書いて、Webサイトにしたのも、独立2年前です。その結果、独立した頃には、中小企業診断士という狭い世界の中では、積極的に情報発信しているヒト!という認識を植え付けることができたのかと思います。

最近でも、キャッシュレスのセミナをやって、そのセミナ資料をそのまま掲載したりしています。そうすると、同じ内容でやってくれという依頼がたくさん来ました。 オープンでやっていくことも大事なんだんと思います。

なお、キャッシュレスは時事ネタなので、作った資料は1年後には役に立たない資料になってしまいます。そういった時事ネタセミナの資料は、出来る限りオープンマインドで外出しすることで、新しいきっかけになるんだと思います。

 

まとめ

中小企業診断士として独立する前にやっておけばよかったことは、①勉強・研究会、②副業、③ブログなどの執筆です。ありきたりといえばありきたりです。でも、そのそれぞれに全力でやったことが、将来の独立にむけて有効でした。村上の場合は。

独立・起業することは、新しいことを始めることに違いありませんが、いきなりはじめてやります!では仕事になりません。やはり過去の経験や準備の上に仕事って成り立っていくんだなあ、と今更思います。

過去の延長に未来はあるのかなと。

そんなところで (執筆時間 120分)