シェアリングエコノミーの本丸は規制緩和〜北海道天塩町とnotteocoがライドシェアで住民の移動手段に!

2023年2月5日

中小企業診断士の村上です。

シェアリングエコノミーについて取りあげられることが多くなっていますね。今週もこんな記事が出ていました。

http://jp.techcrunch.com/2017/03/06/ride-share-notteco-at-hokkaido-teshio/

地方では利用できる交通機関が少なく、買い物や病院に行くために都市に出るだけで数時間かかってしまうことも珍しくないだろう。北海道稚内から70km離れた天塩町もそんな課題を抱えている地域だ。本日、長距離ライドシェアサービスnotteco(ノッテコ)は北海道天塩町と相乗りサービスの実証実験を行うと発表した。3月12日から実証実験を開始し、今年の夏頃を目処に本格始動するという。

北海道天塩町・・・ ちょうど、私は隣の隣町の豊富町に春休みで滞在していましたので、ちょっとこの記事について調べてみました。天塩町は、北海道の道北、だいぶ先っちょにあります。(以下の地図の赤いマークのところ)天塩町から稚内まで近そうですが、70kmあります。

道北の現状

豊富町にいて思うことは、車がないとドコニモイケナイ。豊富町の温泉にいるわけですが、豊富駅や街の中心までも行けません。まだ夏なら、頑張れば歩けますけど、冬は遭難してしまいそうです。

車で移動すると天塩町から稚内市までは、70km程度で、1時間強かかりますね。

前回ブログで紹介したRESASで確認すると、天塩町の人口動態は以下のとおりです。3400人の人口(老齢人口比率32%)が2040年には・・・2100人強(老齢人口比率44%)

人口ピラミッドに至っては、2010年は、60代前後が中心だけど、90代超の女性人口が圧倒的・・ いずれにせよ、自分で運転してはいけない人もどんどん増えてくるわけです。 つうか、危ないから免許返納してー!って人が増えるわけですが、返納するとどこへもいけなくなるから、返納したくても返納できず。

じゃあ、電車はどうなのよと言うと、「北海道はまず、電車じゃなくて、汽車だ!」と言われます。

電車と汽車の違い (yahoo知恵袋より)

汽車は蒸気機関車(SL)の事です。
ただし実用的な汽車が消滅した事から気動車(内燃・軽油で動く)の事を現在の電車と区別する為に「汽車」と呼んでいるようです。
尚、路面電車がある地域ではJRと区別する為にJRの事を(電気で動く場合であっても)汽車と呼んだり、親が子供に「汽車」と教えたりしているようです。
北海道も電車はあります。北海道の人も汽車と呼ぶ比率が高い地域ですね。

それはさておき、道北の宗谷本線の駅は以下のような感じ。たくさん駅がありそうだけど、天塩町から稚内まで70kmあることを思うと、10kmに一つくらいしか駅がない。 そして天塩町の真ん中には全然電車汽車が走っていない。

そして、さらに追い打ちをかけるように、道北にいてテレビを見ていると、毎日のようにJR北海道のニュースが流れてきます。ダイヤ改正(本数が減る)、廃線する、このままだと◯年後に廃線・・・ JR東日本は助けてくれない・・・ まあ、JR東日本の社長としては他社のことだから助ける義理も理由もないですよね。でもまあ、最初からJR分割で北海道分ける必要なかったかなあ、なんて、今更ながら思います。

当然のように宗谷本線も廃線の対象になっています。

JR北海道は11月18日、「単独では維持困難な路線」として、10路線13区間のリストをあえて公表

そして、ライドシェア

ということで、車を持てる人が減る。電車もへる。バスも余り期待できない。の3重苦を解消するために、シェアリングエコノミー、ライドシェアに期待が集まるわけです。

nottecoのサービスをチョット見てみます。

関東から近畿へで探してみます。そうすると東京から兵庫へとか、東京から大阪へと言うのが何件かでてきました。同乗者を募集して3人集まれば、ひとり5,500円で帰れるわけですね。新幹線で12,000円と思うと、安くていいですね。

だた、知らない人と車で過ごせるのか・・・とかは心配ですね(^^;  あ、この人は喫煙だから、無しだなあ・・・ と条件を色々指定していくと、 まだ、あまりにも登録件数が少ないですね。

帰省カテゴリーで現在74件。 観光カテゴリーで34件。 全国通じてこの件数だと、自分に都合の良い同乗者を探すのは大変そうですね。 大阪ー東京とかといったメジャールートだと見つかるかもしれませんが。

それで、北海道の道北でnottecoは、やっていけるのか?

nottecoの北海道の帰省カテゴリを探してみましたが・・・5件。チョットだけですね。まだまだ利用促進が望まれます。 稚内から札幌行きで、1700円はいいですね。バスで行ったら6,000円。電車で行ったら10,000円。 notteco使ってみたくなりますね

しかし、nottecoをFacebookで登録しようとすると、友達リストと、タイムラインへの書き込み機能が求められました。これは、いやだな。

天塩から稚内に行くには❓

ということで、シェアリング・エコノミー、ライドシェアには、大きな可能性が感じられますが、それは遠距離で金額が高いからシェアできるという観点もあります。

天塩から稚内へは有料道路も通らないので、実費としては2,000円くらい。ライドシェアでシェアすると、二人で、行って1,000円ずつ。 4人のれば 500円ですね。

ビミョーな金額。

わざわざ乗り合わせて、1,000円もらって、知らない人乗せるかなあ。一方で、これが毎日のように稚内に行くので、毎日2,000円かかるところが、4人のって500円なら、ありがたいと思う気がします。

つまり、需要がどれくらいあるかにかかっているのではないか❓ 人口3,400人のうちで、どれくらいの人が利用するだろうか。 みんな使いたい気もするし、頻度は高くないようにも思えます。 買い物とか、病院に行くのに、週1回くらいなんでしょうかね。

そして、何より、ドライバーがどれくらいいるでしょうか? 500円や1,000円のために、他の人を拾ってくれる人が。もうチョットもらえたら、時間に余裕があるドライバーは、やってくれそうな気もします。2,000円とか3,000円とか。

なお、タクシーで行くと、21,790円かかります(>< (タクシー予約アプリはサービス対象外ですね)

2万円もらえるなら、そらいくらでも送迎したい人は多いでしょうが、そうすると、今度は乗る人がいなくなる。もちろん、タクシーは認可が必要ですから、勝手にやるわけにもいかないですしね。

じゃあ、Uberが始まれば、いいじゃないの・・・という気もしますが、まだ海外でもトラブルも多く、日本では、実証実験も苦戦しているようなので、いきなりは難しいのかもしれません。

課題

社会的な課題としては以下の通りで、

  • 電車、バスがどんどん少なくなる。
  • 車を運転できる人が高齢化で減っていく

ライドシェアをやっていくための課題としては以下のとおりでしょうか。

  • 実費だと安すぎてドラーバーがいないかも?
  • タクシーのような営業ベースだと高すぎて乗らないし、白タク的なことは規制があるからできない

結局、現在の規制では、実費以上出せないというのが問題のようですね。 規制緩和をしなければ。

2万円とは言わないけど、乗せてもらったことによるチップというか感謝の気持ちで1,000円くらい貰えれば、ドライバーも増えるでしょうか。 また、実費の考え方が、ガソリンだけではなく、車検や、オイル、タイヤなどの運用費も含めれば、もう少し大きくなるんでしょうかね。

1町ではなくて、広域で

1町だけでは、ちょっとしんどそうなので、もう少し広範囲の自治体が参加して、やっていければいいんでしょうかね。稚内に行かないと病院にもいけない範囲の自治体が協力してやっていけるものでしょうか。道路状況がよくわからないですが、途中途中で拾って行く仕組みができたらいいのか。ただ、待ち合わせの調整とか金額とか面倒になりそうですね。システム化で解消できるかな。まあ、乗り合い的なものなら、ミニバスとか走らしたほうが良いのでしょうが、バス会社も収益が確保できないから実現できないんでしょうし。

もっとわかりやすく、Uberで収益化できれば、進展するのか。実費の範囲内で維持可能なのか。悩ましいですね。先ほどの記事にも以下のような内容が記載されていました。

ライドシェアサービスと自治体の連携の事例としては、2016年5月にタクシー配車サービスUberが発表した京都府京丹後市との取り組みが記憶に新しい。Uberの取り組みとの違いは、nottecoでは地域内の移動ではなく、中長距離の都市間の移動であること、そして同乗者はドライバーに実費のみを払うためタクシーとして営業しているわけではないことと担当者は説明している。この取り組みでも現時点でマネタイズは行っていないが、自治体からサービス利用料を得る形などを検討しているそうだ。この実証実験がうまく行けば、天塩町と同じ課題を抱える国内の自治体と協力していくことも考えているという。

 

一方で、天塩町の隣の隣、現在、私が滞在している豊富町は、長期滞在の湯治客がたくさんいます。湯治客は、基本的に暇です(^^; 温泉入って養生しているわけですが、たまには、チョット観光もしてみたいし、たまにはチョット働きたい人もいそうです。

もちろん、湯治客の多くは車を持っていないので、レンタカーや町が用意した車などでドライバーができる人もいそうです。

  • 規制に引っかかる、収益モデルじゃない範囲での、謝礼制度
  • 天塩町だけじゃない広域連携
  • 移住者や長期滞在者が多い豊富町の活用

この3つが、どうやら、道北でのライドシェアの成功へのポイントになりそうですね。

そんなところで