H21事例3の考察~生産形態
過去問分析の材料の一つになれば、幸いです。
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さて、平成21年事例3は
第4問
「C社の見込生産と受注生産の違いを・・述べよ」
この問題に集約されるのかもしれない。
生産事例は、現場コテコテの改善事例の頻度は多くない。(昔に比べて)
戦略の方向性提示にシフトしてきたのも事実だけど、
生産形態について、問われている問題が増えている。
いや、明確に生産形態と言われているのは多くはないと思いますが、
生産形態、特に時期(見込生産/受注生産)かは強く意識しないといけないし、
片方だけでなく、混在する課題にいかに対応していくが重要になると思います。
経営資源の乏しい中小企業、特に小企業などでは、
見込み品であっても、受注生産しているところは多々有ります。
とは言っても納期がある。さてどうしようということになります。
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JIS:「生産形態」とは
与えられた市場、経営、技術などの環境条件のもとで生産を行う形態である。
ま、これだけでは何だという感じだけど、
生産時期:受注生産、見込生産
生産品種・生産量:多種少量、中種中量、少種多量、変種変量
生産指示:押出し型、引取り型
加工品の流れ:フロー型、ジョブショップ型など
生産方式:個別生産、ロット(バッチ)生産、連続生産
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平成17年の事例3でも、標準品生産をする際の生産体制を
どうしますか?という問題がありました。
「標準品だから、見込みで連続でラインで生産すればよい。」
というのも知識的にはOKだと思いますが、
設備や在庫や色々とリスクが大きくなるのも事実です。
そこで、後工程起点のプル生産、JIT、BTOなどのキワードが出てくる
のだと思います。
もちろん、中小企業に対して、JITだ!、BTOだ!とキワードで
提案しちゃうのは、オーバースペックに見られがちなので、
気をつけないといけないですが。
そして、平成21年の事例3
第2問
在庫の問題ですが、生産形態が大きく影響している問題だと思います。
生産現場のロットサイズに合わせて発注しているので、
需要より多くの在庫を抱えている一方で、
多品種化により、すべての在庫を持てなくなり、
在庫切れも起こしている。
→じゃあ、「生産現場ではなくて、実需に合わせた発注をしよう」
というのはあまりにも短絡的になってしまいます。
→与件の問題点を裏返すだけでは、点数は取れても
合格点には達しないと思います。
生産現場に合わせた発注ロットサイズになっていたのは
理由があるはずです。適当に増やしたわけではないです。
そこを、単に、実需に合わせてしまうと、生産性の低下などを
引き起こしかねません。
→ではどうするのか?
やはり、小手先ではなく、
生産形態からしっかり見なおしていくべきではないでしょうか?
なぜ、C社は在庫が増えているのか?
もちろん管理面や発注面の不備もありますが、
品種が増えていることの影響が大きいと思います。
1品種で在庫がN個必要だと、
170品種だと170N個の在庫が必要になるわけです。
そうすると、170N個も在庫は保管できず、
売れていない製品は在庫を持てず、欠品にも繋がってしまう。
じゃあ、品種を減らせばいいかというと、消費者ニーズに対応できなくなる
リスクがある。
(GTとかで、なんとか少し減らしたいとも思いますが)
170アイテムの中身は、
材質、塗装の色違いです。
材質は仕方ないとしても、塗装の色塗りは、工程の最後の方でできそうです。
そうすると、色を塗装する前まで、仕掛在庫を保有して、
注文がきたら、機動的生産体制で色だけ塗って出荷することも考えられます。
(塗装を乾かすのとかある程度時間はかかりそうですが、
1ヶ月ということはないと思いますし)
もし、色の種類が10種類あれば、それだけで在庫は17N個まで減ることになり、
仕掛在庫を持ったとしても、在庫の総量は減らせるはずです。
第2問の論点で記載してきましたが、この内容は、第3問にもつながるはずです。
与件の単純なコピペでなく、1歩踏み込むことで、
設問間のつながりも、わかりやすくなる可能性がありますね。
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