H21年度 A 経済学・経済政策
付加価値の計算
次の付加価値に関する文章中の空欄に入る最も適切な数字を下記の解答群から選
べ。
農家による「オレンジ」の生産が40万円であった。ただし、生産に必要とされ
る中間生産物などの投入費用はゼロとする。このうち、飲料メーカーに30万円
分を卸し、残りの10万円分を消費者に販売した。
飲料メーカーは農家から仕入れた30万円分の「オレンジ」で、「オレンジジュー
ス」50万円分を生産した。
スーパーマーケットは飲料メーカーから50万円分の「オレンジジュース」を仕
入れ、消費者への「オレンジジュース」の販売が60万円であった。
このとき、付加価値の合計は
万円に等しい。
#GDP・国民経済計算
世界の輸出市場と労働力人口
下図は、世界の輸出市場に参加する労働力人口を表したものである。この図によ
れば、新興工業国の経済発展とともに、世界の輸出に関わる労働力人口は、25年
間で約倍の伸びを示している。しかし、このうち、日本への輸出に関わる労働力
人口の増加は約倍の伸びにとどまっている。このため、少子化が加速する日本国
内では、グローバル化の効果を活用していないことが指摘される。
下図と関連して、次の文章中の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わ
せを下記の解答群から選べ。
少子化が加速し、労働が相対的に希少な日本では、グローバル化の効果として
A
が生じ、それに伴い、国内においては
B
圧力が掛かると考えら
れる。
#国際貿易理論
産業連関による生産誘発効果
下図は、最終需要項目単位の増加がどれだけ生産を誘発するかを、大企業と中
小企業に分けて表したものである。この図から、民間消費や公的固定資本形成の拡
大による生産誘発効果は、大企業よりも中小企業のほうが大きいことがわかる。
しかし、近年、中小企業が依存する民間消費は伸び悩み、それが中小企業の利益
率を低迷させていることが指摘されている。その理由として、最も適切なものの組
み合わせを下記の解答群から選べ。
a
家計部門の所得は急速に増加しているが、公共事業の縮小に伴う景気へのマイ
ナス効果が生じている。
b
正規雇用から非正規雇用への雇用形態のシフトに伴い、賃金を押し下げる要因
が作用している。
c
賃金が下降傾向にあり、家計部門の所得の伸び悩みから消費拡大のスピードが
緩慢になっている。
d
労働市場が迫し賃金は上昇傾向にあるが、家計部門の貯蓄の増大が著しい。
均衡GDPの決定と変動
次の均衡GDP の決定および変動に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。
右の図は、均衡GDP の決定を表したものである。
いま、総需要AD が消費支出C 、投資支出I 、政府支出G 、貿易収支(輸出X マ
イナス輸入M)から構成される経済モデルを想定する。
AD =C +I +G +X -M
また、消費関数、投資関数、輸入関数はそれぞれ、
C =C0+c(Y -T0)
I =I0-ir
M =M0+mY
として与えられる。各記号は、Y:GDP、C0:独立消費、c:限界消費性向(<c
<)、T0:租税収入(定額税)、I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子
率、M0:独立輸入、m:限界輸入性向(m >、c >m)である。なお、政府支出
G 、輸出X は与件であり、おのおのG =G0、X =X0とする。利子率も与件であ
り、r =r0とする。
このとき、総需要線は
AD =C0+c(Y -T0)+I0-ir0+G0+X0-M0-mY
である。
他方、図中の45度線はY =AD を描いた直線である。
ここで、
総需要線AD と45度線の交点において生産物市場が均衡し、均衡GDP
はY*の水準に決定される。
独立投資や輸出などの変化は乗数効果を通じて、均衡
GDP の水準に影響を及ぼすことになる。
― 4―
◇M1(557―6)
(
#GDP・国民経済計算#消費理論#乗数理論・45度線#国際マクロ・為替
景気動向指数(先行・一致系列)
次の景気動向指数に関する文章中の空欄AおよびBに当てはまる最も適切なもの
の組み合わせを下記の解答群から選べ。
景気動向指数は、景気の現状分析や見通し、景気の局面や転換点の確認を行う上
で有効な指標である。このうち、先行系列は景気の予測に用いられ、
A
、
東証株価指数などが含まれる。一致系列は景気の現状を見る上で活用され、生産指
数(鉱工業)、
B
、中小企業売上高(製造業)などが含まれる。さらに、遅行
系列は景気の局面を把握するために用いられ、常用雇用指数(製造業)などが含まれ
ている。
#フィリップス曲線・失業#景気循環
貨幣乗数(信用乗数)
いま、マネーサプライ(またはマネーストック)M が流通現金通貨C と預金D か
ら構成され、
M =C +D
とする。
また、ハイパワードマネーH は流通現金通貨C と準備預金(日銀預け金)R から
構成される。
H =C +R
このとき、マネーサプライとハイパワードマネーとの間には、
M =C +D
C +R H
……
が成立し、分数部分について分母および分子を預金D で割ると、
M =
C
D +
C
D +R
D
H
……
である。
このうち、C
D を現金― 預金比率、R
D を準備率とする。式は、貨幣乗数を通
じたマネーサプライとハイパワードマネーとの関係を表している。なお、過剰準備
が存在せず、準備率は法定準備率に等しいと仮定する。
このとき、式の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選
べ。
a
買いオペは、ハイパワードマネーを増加させ、マネーサプライの増加を生じさ
せる。
b
貨幣乗数はより大きい。
c
公定歩合の引き下げは、ハイパワードマネーの減少を通じてマネーサプライの
減少を引き起こす。
d
ハイパワードマネーが一定のもとで法定準備率を引き下げると、貨幣乗数が低
下しマネーサプライは減少する。
― 8―
◇M1(557―10)
#乗数理論・45度線#財政・金融政策
貨幣の中立性と貨幣数量説
次の文章中の空欄に入る最も適切なものを下記の解答群から選べ。
古典派の貨幣数量説において、「貨幣の中立性」が成り立つ場合、名目貨幣供給が
n 倍になれば、
もn 倍になる。
#GDP・国民経済計算
IS-LM分析
次のIS ― LM 分析に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。
下図は、生産物市場の均衡を表すIS 曲線と、貨幣市場の均衡を表すLM 曲線を
描いている。
まず、生産物市場の均衡条件は
Y =C +I +G
で与えられる。ここで、Y:GDP、C:消費支出、I:投資支出、G:政府支出であ
る。
消費関数は
C =C0+c(Y -T0)
であり、C0:独立消費、c:限界消費性向(<c <)、T0:租税収入(定額税)で
ある。
また、投資関数は
I =I0-ir
であり、I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率である。
さらに、政府支出は与件であり、G =G0とする。
― 10―
◇M1(557―12)
この結果、IS 曲線は
r =-1-c
i
Y +C0-cT0+I0+G0
i
として導出される。
この式はIS 曲線の傾きや位置を示すものである。
次に、貨幣市場の均衡条件は
M =L
である。ここで、M:貨幣供給、L:貨幣需要である。
貨幣需要関数は
L =kY -hr
で与えられ、k:貨幣需要の所得感応度、h:貨幣需要の利子感応度である。
また、貨幣供給は与件であり、M =M0とする。
これらから、LM 曲線が導出され、
r =k
h Y -M0
h
として示される。
この式はLM 曲線の傾きや位置を表している。
(
#GDP・国民経済計算#消費理論#IS-LM分析
消費関数の諸仮説(恒常所得・ライフサイクル)
次の消費決定に関する文章中の空欄AおよびBに当てはまる最も適切なものの組
み合わせを下記の解答群から選べ。
恒常所得仮説では、
A
は消費の拡大に影響を与えないと考える。また、
ライフサイクル仮説では生涯所得の増加が消費の拡大に寄与するとされる。さら
に、消費習慣仮説では、現在の消費は過去に到達した生活水準に依存すると考え、
所得が落ち込んだとしても消費は即座に減少しない。これを
B
効果と呼
ぶ。
#消費理論#消費者理論
輸入関税と生産補助金の経済厚生
次の輸入関税と生産補助金の効果に関する文章を読んで、経済厚生分析の説明と
して、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
下図は、輸入競争財市場(たとえば農産物)を描いたものである。いま、当該財の
国内需要曲線がDD で、国内供給曲線がS1S2で描かれている。ここで、自国は
「小国」であり、当該財の国際価格をPf とする。自由貿易下での消費量はQ1、生産
量はQ2であり、輸入量は(Q1-Q2)に等しい。
ここで、当該財の輸入にT の関税を賦課した場合、国内価格はPd(=Pf +T)に
上昇する。この結果、消費量はQ3に減少し、生産量はQ4に増加する。他方、生
産補助金を交付することで輸入関税の場合と同じ生産量Q4を実現することも可能
である。このとき、生産補助金の交付により、国内供給曲線はS1S2からS3S4に
平行移動する。
― 14―
◇M1(557―16)
#需要・供給と弾力性#余剰分析・厚生#国際貿易理論
比較優位と為替レート
下表は、国(日本とアメリカ)・財(X 財とY 財)モデルを前提として、各国
におけるX 財とY 財の生産費用をそれぞれの通貨で表示したものである。いま、
完全競争と自由貿易を仮定し、価格=費用が成立すると考える。現在、日本では、
X 財単位が500円、Y 財単位が1,000円で生産され、アメリカでは、X 財単
位が10ドル、Y 財単位がドルで生産されている。
このとき、下表から得られる説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の
解答群から選べ。
日
本
アメリカ
X財単位の生産費用
500円
10ドル
Y財単位の生産費用
1,000円
5ドル
a
アメリカはX 財、日本はY 財にそれぞれ比較優位を持つ。
b
為替レートがドル=50円からドル=200円の範囲内に決まれば、比較優
位に基づく貿易が可能となる。
c
為替レートがドル=250円の場合、日本はX 財とY 財をともに輸入するこ
とになる。
d
日本のX 財とY 財の価格がともに倍になれば、比較優位に基づく貿易を可
能とする為替レートはドル=100円からドル=400円の範囲内に決まる必要
がある。
#国際マクロ・為替#国際貿易理論
ヤードスティック競争
各事業者の効率化の度合いを相対的に評価し、効率的な事業者を基準に、非効率
的な事業者に対して適正な目標値まで効率化を進めるよう促す競争原理の考え方が
ある。この考え方は、規制下に置かれた産業への競争促進策として、これまで活用
されてきた。この競争原理を表す言葉として最も適切なものはどれか。
#不完全競争・ゲーム理論#情報の経済学・行動経済学
生産関数と総費用関数
生産関数ならびに総費用関数について、以下の設問に答えよ。
(
#生産者理論・費用
サーチコスト(探索理論)
人々は、さまざまな状況においてサーチ(探索)を行う。安い価格を提示するガソ
リンスタンド探し、魅力的な就職先探しなどである。このようなサーチのコストに
関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
サーチコストが高いときには、サーチ対象となる商品の価格分散が大きくなる。
b
サーチコストが高いときには、サーチ対象となる商品の価格分散が小さくなる。
c
商品の価格分散が大きいほど、よりサーチコストをかけるインセンティブが働く。
d
商品の価格分散が小さいほど、よりサーチコストをかけるインセンティブが働く。
#情報の経済学・行動経済学
金融商品の販売と合成の誤謬
サブプライムローンを組み込んだ金融商品は、そのリスクが十分に認識されない
まま、高いリターンを生むものとして積極的に販売された。販売する側にとって、
リスク性の認識にかかわらず売れる商品を積極的に販売することは合理的な選択で
あった。しかし、そのような金融商品の販売量が増大して、リスクが経済全体に蓄
積していることがひとたび認識されるようになると、経済全体に大きな悪影響を与
えるようになった。このように、ミクロ(企業行動)の視点では正しいとしても、そ
れがマクロ(集計量)の世界では意図しない結果が生じることを表す言葉として最も
適切なものはどれか。
#情報の経済学・行動経済学
ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)
不景気になると、規模の経済性を獲得するための水平的な企業合併が盛んになる
ことが予想される。独占禁止法に照らして、水平的な企業合併が認められる際の判
断基準となるのが、競争を実質的に制限することになるかどうかである。これに関
連し、独占の程度に関する指標としてハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)
がある。各企業の市場占有率を小数点以下の数値(例えば、0.2)で表すと、HHI の
とりうる範囲はからの間の数値となる。このHHI に関する記述として最も適
切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
HHI は、当該業界のすべての企業の市場占有率の乗和で表される。
b
HHI は、当該業界の上位社の市場占有率の乗和で表される。
c
独占状態に近ければ近いほど、HHI の値はに近づく。
d
独占状態に近ければ近いほど、HHI の値はに近づく。
#生産者理論・費用#不完全競争・ゲーム理論
BIS規制(自己資本比率規制)と貸し渋り
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
株価下落や不良債権増大に直面した銀行は、中小企業を含む民間企業への貸し出
しを減らす必要に迫られる。健全な企業に対しても銀行側の都合で貸し出しが減少
するなど、貸し渋り、貸しはがしのような社会問題が発生した。
このような銀行の行動の背景には、銀行が国際取引を行う際の自己資本比率に関
する規制がある。その規制は、「自己資本比率が%以上でなければ、銀行は国際
的な業務ができない」というものである。
以下では、自己資本比率に関する規制について、次のような単純な構造を考え
る。
自己資本比率=自己資本÷貸し出し
自己資本=基本項目+補完項目
基本項目:資本金+法定準備金+剰余金など
補完項目:株式・社債の含み益(その45%を上限)など
ただし、補完項目の合計が基本項目の合計を超えてはならない。
ここで、次のような単純化された資本構成の銀行を考える。
基本項目は、36億円。
補完項目は、株式・社債の含み益のみで、その額は80億円。
貸し出しは、民間貸し出しのみ900億円。
この場合、自己資本比率は%である。
自己資本比率={36+80×(45/100)}÷900
=0.08
― 20―
◇M1(557―22)
(
リスク選好度
リスク選好度に関する下記の設問に答えよ。
(
#期待効用・リスク
リアル・オプション(投資の繰り延べ)
企業は、ある研究開発プロジェクトに関し、本格的な投資の意思決定の時期を遅
らせ、プロジェクトの進捗状況などの不確実性が軽減された段階で、意思決定を行
うケースがある。このケースでは、行おうとしていた投資のリターンが予想された
ほど高くないと判明した場合、投資を差し控えることができる。すなわち、ダウン
サイドのリスクをゼロにして、アップサイドの利益だけを享受できる。このような
考え方を表す言葉として最も適切なものはどれか。
#情報の経済学・行動経済学
予算制約と消費者の最適選択
ある合理的な消費者がX 財とY 財を消費するとしよう。X 財とY 財は、ともに
正常財である。ある価格の組み合わせのもと、下図では予算制約式A が表わされ
ている。一方、別の価格の組み合わせで予算制約式B が表されている。予算制約
式A において、この消費者は最も高い効用をもたらす点としてc 点を選んだ。こ
の消費者にc 点より高い効用を与える可能性のあるX 財とY 財の消費量の組み合
わせを表す点はどれか。最も適切なものを下記の解答群から選べ。
#消費者理論