第6問
いま、マネーサプライ(またはマネーストック)M が流通現金通貨C と預金D か ら構成され、 M =C +D とする。 また、ハイパワードマネーH は流通現金通貨C と準備預金(日銀預け金)R から 構成される。 H =C +R このとき、マネーサプライとハイパワードマネーとの間には、 M =C +D C +R H …… が成立し、分数部分について分母および分子を預金D で割ると、 M = C D + C D +R D H …… である。 このうち、C D を現金― 預金比率、R D を準備率とする。式は、貨幣乗数を通 じたマネーサプライとハイパワードマネーとの関係を表している。なお、過剰準備 が存在せず、準備率は法定準備率に等しいと仮定する。 このとき、式の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選 べ。 a 買いオペは、ハイパワードマネーを増加させ、マネーサプライの増加を生じさ せる。 b 貨幣乗数はより大きい。 c 公定歩合の引き下げは、ハイパワードマネーの減少を通じてマネーサプライの 減少を引き起こす。 d ハイパワードマネーが一定のもとで法定準備率を引き下げると、貨幣乗数が低 下しマネーサプライは減少する。 ― 8― ◇M1(557―10)
- ア aとb
- イ aとc
- ウ aとd
- エ bとc
- オ bとd
▼ 解答・解説を見る
正解:ア
解答:ア
〔リード〕貨幣乗数は M/H =(C/D + 1)/(C/D + R/D)と表される。現金‐預金比率を c(=C/D)、準備率を r(=R/D)とすると、貨幣乗数 =(c + 1)/(c + r)。ここで 0 < r < 1 なので分子の「1」>分母の「r」となり、貨幣乗数は必ず 1 より大きい。
- a(○):買いオペ(買いオペレーション)は中央銀行が市中から債券を買い、現金を供給する操作。ハイパワードマネー H が増加し、貨幣乗数倍だけマネーサプライ M が増加する。正しい。
- b(○):上記のとおり貨幣乗数(c + 1)/(c + r)は、1 > r より 1 より大きい。正しい。
- c(×):公定歩合の引き下げは金融緩和策であり、ハイパワードマネーおよびマネーサプライを増加させる方向に働く。「減少を引き起こす」は誤り。
- d(×):法定準備率 r を引き下げると分母(c + r)が小さくなり貨幣乗数は上昇する。H が一定でも M は増加する。「乗数が低下しマネーサプライは減少」は誤り。
正しいのはaとb。よって正解は ア。