中小企業白書2024年版の概要案が出ました〜白書の中でデジタルについてはどのように取り上げられたか?
サマリ
2部の大テーマは「環境変化に対応する中小企業」となっています。
総論として、テーマが10+8個挙げられています
比較のため、2023年と2024年(案)の総論を掲載していますが、以前までは3つくらいで絞った大テーマの提示でしたが、今年からは10個の項目でテーマを挙げており、より具体的な内容になっていると思います。
2023年の総論
2024年の総論
10個かと思いきや、ページの後半になって続きが登場しましたね。
◯総論
【テーマ①】令和6年能登半島地震の影響
【テーマ②】新型コロナウイルス感染症の振り返り
【テーマ③】足下における現状認識
【テーマ④】人手不足
【テーマ⑤】賃上げ
【テーマ⑥】省力化投資と生産性の向上
【テーマ⑦】海外需要と日本企業の決算状況
【テーマ⑧】価格転嫁
【テーマ⑨】事業承継
【テーマ⑩】経営改善・再生支援
◯中小企業の成長
【テーマ⑪】中小企業の成長
【テーマ⑫】中小企業の成長投資
【テーマ⑬】中小企業の成長投資のための資金調達
【テーマ⑭】中小企業の成長に向けたM&A
◯小規模事業者の持続的発展
【テーマ⑮】小規模事業者の経営課題
【テーマ⑯】小規模事業者の売上げの確保に向けた取組
【テーマ⑰】起業・創業による新たな担い手
◯中小企業・小規模事業者に向けた支援
【テーマ⑱】中小企業・小規模事業者を支える支援機関
それぞれのテーマで気になった点を以下ピックアップしていきます。
小規模企業ほど従業員の高齢化が進んでいる
4人以下の小規模企業では40%弱の従業員が60歳以上です。5〜19人の企業でも25%程度が60歳以上です。高齢者が多いと新しい取り組みへの転換は難しくなるでしょうし、デジタル活用も躊躇してしまいがちです。
省力化投資
人手不足への対応策として、 採用等の人材確保に加えて省力化に向けた設備投資も必要としています。規模の小さな企業ほど省力化投資が進んでおらず、省力化の取組余地が大きいようです。また、省力化投資は人手不足緩和だけでなく売上高増加にもつながることが期待されています。
ただ、図表を見ると、省力化投資、外注、下請化がまとまった項目になっています。はたして規模の小さな企業は省力化投資の取り組み余地が大きいと言えるのか?というのはこの図表からだけではわかりにくいですね。外注、下請け化とは分けて考えるべき項目なのかもと思います。
また省力化投資を実施他企業は売上増加の効果も期待できるとしています。図表の結果を見れば省力化投資を実施した企業のほうが売上高の変化率は高いので事実ではあると思います。
が、売上が上がっているから、投資余力があり省力化投資を行ったや、売上が上がって業務量が増えたから省力化投資を行った可能性もあるでしょう。因果関係を考慮せねばなりません。
今年実施される省力化投資の補助金のためにこのデータを作った感はありますが、いずれにせよ省力化投資の重要度は高まっているでしょう。
生産性を高めよう
すごい急上昇カーブですね。
欧米と同等の成長を実現するために +1.9%経済成長して、2.1%生産性向上が求められるとのこと。
価格転嫁率
価格転嫁率の細かい定義は掲載されていませんが、”直近6か月のコスト上昇分のうち、何割を価格転嫁できたか”ですね。コスト全体では45%は転嫁できて、労務費や、エネルギー費は33%、つまり上昇分の1/3しか転嫁できていないということでしょうか。
ただ全体で45%転嫁となっており、原材料は45%、労務費37%、エネルギー費34%なので、全体と整合していないデータのようにも見えます。
ソフトウェア投資比率
この図はよいですね。設備投資のうち、ソフトウェアに何%投資したかです。日本企業は海外企業に比べるとソフトウェア投資が少ないです。さらにその中でも中小企業はさらに少ない状態にあります。
ただ、2年前のデータでは、中小企業のソフトウェア投資比率は5.6%でしたが、今回は8.0%と上昇。
この2年間でソフトウェアの値段も上がったからなあ、とは思いますが、ハードの費用も上がっていることから、ソフトへの投資割合が増えてきているのは間違いないでしょう。
小規模企業の現状と課題
販路開拓と資金繰りが常に上位だった経営課題に、人手不足や人材育成の割合が増えてきていますね。
デジタル・DXを課題に感じているのは2.7%と少しさみしいですが。
支援機関の役割
企業だけではなく、支援人員も不足しています。そもそも支援ノウハウ・知見の不足という状態ですね。
デジタル支援に限っても同様のことが言えるのだと思います。
全般を通じて、コロナ禍からのデジタル対応の重要性についての項目は減ってきていますね。省力化は大事!もっとIT投資しよう!というあたりが少し登場しているくらいでしょうか。
概要版は32ページですので、もっと細かいところが見れる、本番の白書登場を楽しみに待ちたいと思います。
そんなところで