もっと働きたいの?働きたくないの?どっちなんだいっ?〜厚生労働省の働き方改革関連法案 5年後の総点検調査結果

発表データ
もっと働きたい方はいるでしょうし、一方で、めちゃ働かされて辛い人もいるでしょう。
働く側の立場、雇う側の立場、それぞれのデータを厚生労働省が発表しています。
「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の調査結果を公表します (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00060.html
サマリー
本資料は、働き方改革関連法施行後5年が経過したことを受け、労働基準法制の見直しに向けた検討材料として実施された「労働時間等に関する労働者の意識・意向調査(令和7年10月)」および「企業・労働者へのヒアリング調査」の結果を網羅的にまとめたものである。
主要な分析結果として、労働者の約6割(59.5%)が現状の労働時間の維持を望んでおり、ワークライフバランスの定着が伺える。一方で、労働時間を「減らしたい」とする層が30.0%に上る一方で、収入確保を主目的として「増やしたい」と考える層も10.5%存在し、個人の経済状況や価値観によるニーズの二極化が浮き彫りとなった。
企業側では、過半数(201社)が現状維持を支持しており、その背景には業務量との適合性に加え、長時間労働が人材確保や定着に及ぼす悪影響への強い懸念がある。しかし、建設業や運輸業を中心に、業務の特殊性(天候や受発注構造)や人手不足を理由に、規制枠内またはそれを超える労働時間の延長を求める声も根強く残っている。
労働者の労働時間に対する意識・意向の現状

労働時間の過不足感と今後の意向
3,000人を対象としたアンケート調査の結果、労働時間の長さおよび今後の希望について以下の傾向が確認された。
| 項目 | 多い・増やしたい | ちょうどよい・現状維持 | 少ない・減らしたい |
|---|---|---|---|
| 労働時間の認識 | 26.3% (多い・やや多い) | 59.7% | 13.9% (少ない・やや少ない) |
| 今後の希望 | 10.5% (増やしたい・やや増やしたい) | 59.5% | 30.0% (減らしたい・やや減らしたい) |
- 現状維持の理由: 「仕事と生活のバランスを変えたくない(44.3%)」「収入を維持したい(32.0%)」が上位を占める。
- 減らしたい理由: 「自分の時間を持ちたい(66.7%)」が圧倒的であり、次いで「自身の健康維持(39.6%)」「収入が割に合わない(30.0%)」と続く。
- 増やしたい理由: 「たくさん稼ぎたい(41.6%)」および「残業代がないと家計が厳しい(15.6%)」という経済的動機が主である。

妥当と考える時間外労働時間
労働者が「妥当」と考える月間の時間外労働時間は、「0時間超~20時間以下」が約44%で最多となっている。
- 45時間以下を妥当とする累計割合:93.0%
- 80時間超の長時間労働を妥当と考える割合:2.3%(極めて少数)
企業から見た労働時間の実態と課題

ヒアリング調査(327社)の結果、企業が考える労働時間のあり方は、人材戦略と密接に関連していることが判明した。
企業の希望状況とその背景
- 現状のままがいい(201社):
- 現在の業務量に適している。
- 労働時間を増やすと、採用難や離職(特に若手・家庭持ち)に直結する。
- DX化や多能工化を推進しており、長時間労働に頼らない体制への転換を図っている。
- 減らしたい(73社):
- 人材の確保・定着を最優先とする。
- 人件費の抑制および労働者の健康確保。
- 増やしたい(53社):
- 建設業における天候不順による工事遅延の回復。
- 人手不足により受注を制限せざるを得ない状況の解消。
- 「もっと稼ぎたい」という一部の労働者(トラックドライバー等)のニーズへの対応。

割増賃金の設定状況
295社が法定通り設定しているが、一部の企業では以下のような独自設定が見られた。
- 一律引き上げ: 法定を上回る30%~50%の設定。
- 負荷に応じた設定: 特別条項適用時や月45時間超、または深夜業に対して、身体的負荷への配慮として割増率を高く設定(例:深夜50%など)。
働き方改革関連法施行後のポジティブな変化
企業・労働者の双方から、法改正を契機とした労働環境の改善事例が報告されている。
- 意識改革: 経営トップによる「売上重視から利益・質重視」への方針転換。定時退社を奨励する文化の醸成。
- 勤怠管理の高度化: 残業時間が一定ラインに達した際のアラート機能導入により、迅速な業務調整や人員配置が可能となった。
- DX・ICTの活用: 測量、点検、書類作成のデジタル化、電子決裁の導入、テレワークの実施により、通勤時間の削減と生産性向上が実現。
- 柔軟な制度利用: フレックスタイム制や時間単位年休の活用により、子育てや介護、自己研鑽の時間確保が可能となり、モチベーション向上に寄与。
制度運用における課題と要望
労働基準法制の複雑性
- 制度の簡素化: 小規模事業者を中心に、現行の制度(裁量労働制、変形労働時間制、副業・兼業の通算ルール等)が複雑すぎて理解や対応が困難であるとの指摘が多い。
- 周知の徹底: 法改正時のパンフレット配布や、オンラインでの届出様式の一覧化、監督署による親身な個別指導が求められている。
取引慣行の影響
- 発注者への働きかけ: 特に建設業や運輸業において、民間工事の短工期発注や荷待ち時間が長時間労働の元凶となっている。受注者の努力だけでは限界があり、行政から発注者や荷主への適正工期・価格転嫁の要請を強めるべきとの声が根強い。
個別制度に対する意見
- 副業・兼業: 労働時間の通算管理が大きな負担となっており、副業を解禁したいが労災責任や割増賃金の算出に不安を感じる企業が多い。
- 裁量労働制: 対象業務の拡大や、本人同意手続きの簡素化(自動更新等)を求める意見がある。
- 変形労働時間制: 猛暑対策としての1日の所定労働時間の柔軟化や、特定期間設定の通知期限の緩和などが挙げられた。
労働者の属性別・状況別特徴(補足データ)
- 産業別: 情報通信業(17.9%)や学術研究(19.6%)、医療・福祉(14.3%)で「減らしたい」とする意向が全体平均より高い傾向にある。
- 実労働時間別: 週の労働時間が60時間を超える層では、約35%~42%が「減らしたい」と回答しており、長時間労働が不満の直接的な要因となっている。
- 年収別: 年収200万円未満の層では「増やしたい」理由として「稼ぎたい」という回答が目立ち、経済的自立の必要性が伺える。
そんなところで

