デジタル化・AI導入補助金の登場〜IT導入補助金の名称が変わる!?

令和7年度補正予算が発表されました。
前回の記事で内容をまとめています。
その中で個人的に一番気になる「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」すなわち、「デジタル化・AI導入補助金」についてまとめてみます。中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する制度です。
個人的には、もうさすがにインボイス支援への制度は終わりなのかなと思っていましたが、未だあるようですね。現状のIT導入補助金も7年の間に色々実施されてきました。例えばEC(ネットショップ)の仕組みの申請はできなくなりました。当初、この制度が登場したときには、多くの事業者がECを構築するのに申請していました。そのため、ECばかりの申請に嫌気が指して、制度変更されたのだと思います。
小規模持続化補助金でもホームページやECやネット広告の申請が多く、今では申請総額の1/4までしか、ネット関連費用は認められなくなりました。
そういった意味では、今回はどのように変わるのでしょうか? 名前の通り「AI」というキーワードが入っていますので、登録分野でAIが登場すると思います。ただ、多少心配なのは、AI関連のアプリは多岐にわたります。メジャーなものから、怪しいものまでたくさんあります。AIだからといってなんでも申請が通るようでは困ります。
導入後の検査も大変になりそうですね。基幹システムなら、流石にちゃんと導入したかどうかを確認するのは、やりやすいと思います。一方でAIソフトは、実際ちゃんと使われているのかを確認しづらいものが多いでしょう。昨年度はIT導入補助金での不正が大量にありました。ITベンダーと事業者がグルになって、ソフトを導入したように見せかけて、補助金を不正受給するものです。おかげで、本年度は、IT導入補助金の採択率が大きく下がりました。AIについても注視が必要でしょう。
補助金が関係なくても、AI議事録スタートアップとして「オルツ」社は実際導入していないの導入したふりで循環取引を繰り返して、急成長を装い、その後バレて破綻しましたね。
【令和7年度補正予算】デジタル化・AI導入補助金 調査レポート
デジタル化・AI導入補助金の概要と背景
「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的として長年実施されてきた「IT導入補助金」の後継および名称変更となる制度です。
2025年(令和7年)12月に議論されている「令和7年度補正予算案」において、経済産業省・中小企業庁の事業名としてこの名称が登場しました。政府が「AI(人工知能)」の活用を中小企業の成長の鍵と位置づけ、単なる「IT化」から一歩進んだ「AI活用・省力化」を強力に推し進める姿勢を明確にしたものと言えます。
これまでの経緯
- 〜2025年(令和6年度補正まで)
- 「IT導入補助金」として実施。会計ソフトや受発注システムなどの導入を支援。インボイス制度対応などもカバー。
- 2025年11月〜12月 (現状)
- 政府の経済対策および令和7年度補正予算案の閣議決定において、本事業が含まれる「中小企業生産性革命推進事業」に約3,400億円(昨年度と同規模)が計上されるとともに、「デジタル化・AI導入補助金」という新名称が示されました。
2. 制度の詳細(IT導入補助金からの変更点)
現時点(2025年12月中旬)では詳細な公募要領は発表されていませんが、予算案の概要やこれまでの傾向から以下の内容になると考えられます。なお考えているのはGeminiです。実際にどうなるのかは、今後の予算案、公募要領の確認が必要です。
主な支援内容
基本スキームは従来の「IT導入補助金」を踏襲する見込みです。
- 対象者: 中小企業・小規模事業者
- 補助対象経費: ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費
- 申請方法: 「IT導入支援事業者」として登録されたベンダーとパートナーシップを組んで申請
「AI」名称追加による影響・変更予想
名称変更に伴い、以下の点が強化される可能性が高いと分析されています。
- AIツールが「主役」に
- これまでもAI機能付きソフトは対象でしたが、ChatGPT等の生成AIを活用した業務効率化ツールや、AIによる需要予測・自動応答システムなどが、より審査で評価されやすくなる(加点対象になる)可能性があります。
- インボイス枠の継続
- 「インボイス枠」はデジタル化基盤導入枠として形を変えつつも継続される見込みですが、ハードウェア(PC・タブレット)の補助については要件が厳格化、あるいは維持されるか注視が必要です。
- 審査のポイント
- 単に「ソフトを入れます」ではなく、「AIを使ってどう生産性を上げるか」「データをどう活用するか」というストーリーが重視されるようになります。
3. 予算規模と補助額の目安
本補助金が含まれる「生産性革命推進事業」全体の予算は約3,400億円です。これは「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」との合算ですが、例年通りであれば、このうちの相当額がデジタル化・AI導入支援に割り当てられます。
想定される補助額・補助率(従来の例) ※正式発表前のため、参考値です。
| 枠組み(想定) | 補助額 | 補助率 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万〜450万円 | 1/2 | 業務効率化ツールの導入(AIツール含む) |
| インボイス対応類型 | 〜350万円 | 2/3〜4/5 | 会計・受発注・決済ソフト + PC・レジ等 |
| セキュリティ対策枠 | 5万〜100万円 | 1/2 | サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用 |
4. スケジュール(今後の見通し)
補正予算の成立から公募開始までの一般的なタイムラインは以下の通りです。
- 2025年12月: 補正予算案 閣議決定(完了)
- 2026年1月〜2月: 通常国会にて補正予算成立
- 2026年2月頃: 事務局の公募・決定、公式サイトオープン
- 2026年2月〜3月: 「IT導入支援事業者(ベンダー)」および「ITツール」の登録開始
- 2026年3月〜4月: 第1回 公募受付開始
5. 似ている補助金との違いに注意
今回の補正予算では、「AI」や「省力化」に関連する似た名称の補助金が存在します。混同しないよう注意が必要です。
| 補助金名称 | 対象・特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(本件) | ソフトウェア中心 | 会計ソフト、業務システム、生成AIツールなどの「ソフト」導入。事務作業の効率化向き。 |
| 中小企業省力化投資補助金 | ハードウェア中心 | 配膳ロボット、清掃ロボット、券売機などの「物理的な省力化機器」の導入。人手不足解消向き。 |
6. 今、事業者が準備すべきこと
来春の公募開始に向けて、以下の準備を進めておくのが得策です。
- 「gBizIDプライム」アカウントの取得: 電子申請には必須です。取得には2週間程度かかる場合があるため、早めの発行をおすすめします。
- 導入したいAI・ITツールの検討: 「どの業務をAIで自動化できるか」を洗い出しておきます。
- ベンダー(支援事業者)への相談: 本補助金はベンダーとの共同申請が必須です。「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使って導入したい」とITベンダーに早めに相談しておくと、ツール登録等の準備がスムーズに進みます。
※本レポートは2025年12月14日時点の公開情報および予算案概要に基づいています。正式な要件は、今後中小企業庁から発表される「公募要領」を必ずご確認ください。
そんなところで

