第15章 店舗・商業関連の法規

この章のねらい 運営管理(オペレーション・マネジメント)の第II部「店舗・販売管理」の総仕上げにあたる章です。 ここでは、店舗を「どこに・どんな規模で出せるか」を決めるまちづくり三法、店頭で商品を売るときに 守るべき表示・計量・景品・製造物責任のルール、そして売った後に出るゴミを減らすリサイクル関連法規を扱います。 生産管理の理論とちがい、計算はほとんどありません。「どの法律が・何のために・誰に・何を求めているか」を 一つひとつ整理して覚えるのが攻略の王道です。

過去問での出方:運営管理では、第21〜25問前後でまちづくり三法・建築基準法が、 第30〜32問前後で食品表示法・景品表示法が、そして環境系(第20問台後半)でリサイクル三法が、 ほぼ毎年顔を出します。第2部のなかでも出題数が安定して多く、暗記で確実に点が取れる得点源です。 法改正がからむ分野なので、本文では制度の考え方を中心に押さえ、細かな数値・年次は「※現行では」と注記します。


15-0 この章の地図

この章は、店舗のライフサイクル(出す → 売る → 片づける)にそって、大きく3つのグループに分けて進みます。 「どの場面の法律か」をまず頭に入れておくと、混乱しません。

【出す】店舗を出店するときの法律
15-1 まちづくり三法
   ├ 都市計画法        … 土地の使い方を区分する(ゾーニング)=出せる場所・規模
   ├ 大規模小売店舗立地法 … 大型店の「生活環境への配慮」を求める(≠需給調整)
   └ 中心市街地活性化法   … 衰退した中心市街地をまちぐるみで再生する
        ▲この3つが連携して「まちづくり」を支える

【売る】店頭で商品を売るときの法律
15-2 商品・表示の法規
   ├ 食品表示法    … 原材料・原産地・栄養成分・期限の表示ルール
   ├ 計量法        … 内容量を正しく計る・表示する
   ├ 景品表示法    … 不当な表示(誇大広告)と過大な景品を規制
   └ 製造物責任法(PL法) … 欠陥商品による被害と、小売業の責任

【片づける】売った後の廃棄物を減らす法律
15-3 環境・リサイクル関連法規
   ├ 容器包装リサイクル法 … 容器・包装(びん・缶・PET・紙・プラ)
   ├ 家電リサイクル法     … 家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)
   └ 食品リサイクル法     … 食品廃棄物の再生利用・食品ロス削減

15-1 まちづくり三法 ★最重要

まちづくり三法とは

まちづくり三法とは、店舗の立地とまちの環境を一体で考えるための、次の3つの法律の総称です。 バラバラの3法ではなく、「大型店の郊外進出でスカスカになった中心市街地を、まちぐるみで立て直す」という 共通の問題意識でつながっています。

法律 ひとことで言うと キーワード
都市計画法 土地の使い方を区分する(ゾーニング) 用途地域・市街化区域
大規模小売店舗立地法(大店立地法) 大型店の周辺の生活環境を守る 交通・騒音・廃棄物(≠需給調整)
中心市街地活性化法 衰退した中心市街地をまちぐるみで再生 基本計画・協議会

💡 「三法」の歴史をひとことで かつては大規模小売店舗法(大店法)が、中小小売業を守るために大型店の売場面積や営業時間を 経済的に規制(需給調整)していました。しかし規制緩和・国際的な批判の流れのなかで大店法は廃止され、 2000年に大店立地法(生活環境の保持へ発想を転換)へバトンタッチしました。 「需給調整はもうしない」という点が、後述のとおり試験の最大の急所です。


① 都市計画法 ― 土地の使い方を区分する

都市計画法は、無秩序な開発(スプロール)を防ぎ、計画的なまちづくりを進めるための土台の法律です。 店舗の立地を考えるうえで、次の2段階の区分がとくに重要です。

◆ 第1段階:区域区分(線引き)

都市計画区域を、開発を進める区域と抑える区域に分けます。

区分 意味
市街化区域 すでに市街地を形成している区域+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域 市街化を抑制すべき区域(=開発を原則抑える。「用途地域がない白地地域」の意味ではない)

⚠️ 混同注意:市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」です。「用途地域が定められていない白地地域」と すり替える選択肢が定番の誤りです(R06 第23問の選択肢イ)。

◆ 第2段階:用途地域(ゾーニング)

市街化区域には、住居系・商業系・工業系の用途地域を定めます。用途地域ごとに、建てられる建物の種類や 店舗の床面積の上限が決まっており、これが「どこに大型店を出せるか」を左右します。

住居系 ←────────────────────────→ 商業系・工業系
(規制きびしい/店舗小さめ)        (規制ゆるい/大型店OK)

第一種低層住居専用  … 小さな店舗のみ
第一種住居地域      … 店舗は床面積 3,000m² 以下   ← ここが頻出の線引き
準住居地域          … 床面積 10,000m² 以下
近隣商業・商業地域  … 床面積制限なし(大型店・映画館もOK)
準工業地域          … 床面積制限なし
  • 第一種住居地域は住環境を守るため、店舗は床面積3,000m²以下に制限されます。ここに5,000m²の 総合スーパーは建てられません(H23 第22問の急所)。
  • 商業地域・準工業地域は床面積の制限がなく、大規模なショッピングモールやシネコンも立地できます。

📝 過去問はこう出る(H23 第22問) 用途地域ごとの「立地可能な集客施設」を判定させる問題。 誤り(=正解)は「第一種住居地域に床面積5,000m²の総合スーパー」。第一種住居地域は店舗3,000m²以下なので立地できません。 準工業(20,000m²モール)・準住居(10,000m²SC)・商業(シネコン)はいずれも立地可能でマル。 → H23 第22問

📝 過去問はこう出る(R06 第23問) 都市計画法の用語の定義を問う問題。正解は「市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域および おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域である」(法どおりで正しい)。 「市街化調整区域=白地地域」「都市計画区域は市区町村が指定」などは定義のすり替えでバツ (都市計画区域の指定は都道府県、複数都府県にまたがる場合は国土交通大臣が行います)。 → R06 第23問


② 大規模小売店舗立地法(大店立地法)★最頻出

大店立地法は、店舗面積1,000m²超の大規模小売店舗を出店するとき、 周辺地域の生活環境の保持の観点から、設置者に「配慮」を求める法律です(※現行では店舗面積1,000m²超が対象)。

◆ いちばん大事な考え方:「生活環境の保持」であって「需給調整」ではない

旧・大店法は「中小小売業を守る(=競争制限=需給調整)」ための経済的規制でした。 これに対し大店立地法は、大型店が来ることで生じる交通渋滞・騒音・ゴミ・街並みの乱れといった 周辺住民の暮らしへの悪影響を抑えることが目的です。目的がまったく入れ替わった点が最重要です。

旧・大店法(廃止) 現・大店立地法
目的 中小小売業の事業機会の確保(需給調整 周辺地域の生活環境の保持
規制の性質 経済的規制 社会的規制
見るもの 売場面積・営業時間・休業日数 交通・駐車・騒音・廃棄物・街並み

◆ 配慮すべき事項(指針に挙げられている代表例)

経済産業省の指針が挙げる配慮事項は、すべて生活環境にかかわるものです。

○ 配慮する(生活環境の話)      ×配慮しない(経済規制・別の法律の話)
  ・駐車需要の充足など交通に係る事項   ・開店日/休業日数(=旧大店法的な需給調整)
  ・歩行者の安全確保                   ・地域商業の需給調整
  ・騒音の発生に係る事項               ・用途地域(=都市計画法の話)
  ・廃棄物に係る事項
  ・街並みづくりへの配慮

📝 過去問はこう出る(R07 第25問) 「配慮すべき事項の組み合わせ」を選ぶ問題。正解は「a 駐車需要の充足等交通に係る事項 と c 騒音の発生に係る事項」。 「b 開店日・休業日数」は旧大店法的な需給調整事項、「d 用途地域」は都市計画法の話で、いずれも大店立地法の配慮事項ではありません。 → R07 第25問

📝 過去問はこう出る(H24 第22問) 配慮事項として「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は「地域商業の需給調整への配慮」。 これは旧大店法の発想であり、大店立地法では配慮事項とされません。騒音・交通・廃棄物・街並みづくりはすべて適切(マル)。 → H24 第22問

📝 過去問はこう出る(H26 第22問) 具体的な出店事例(第一種住居地域・1,600m²・自動車分担率60%・休日にピーク)で、大店立地法上の対応の適否を問う応用問題。 正解(=不適切)は「平日のピークを基本に必要駐車台数を算出した」。来店客が最大となるのは休日なので、 駐車台数は混雑のピーク(休日)を基本に算定しないと過小評価になり、路上駐車など生活環境の悪化を招きます。 → H26 第22問

⚠️ 混同注意:大店立地法と都市計画法の役割分担 - 「大型店をどこに・どんな規模で出せるか」=都市計画法(用途地域・床面積制限) - 「大型店が来ることで生じる生活環境への影響をどう抑えるか」=大店立地法(交通・騒音・廃棄物) 「用途地域」を大店立地法の配慮事項に混ぜる引っかけ(R07)は、この役割分担が分かれば見抜けます。


③ 中心市街地活性化法

中心市街地活性化法は、大型店の郊外進出などで空洞化した中心市街地を、 商業の活性化と都市機能の集約を一体的に進めて再生するための法律です。

◆ 支援の枠組み(誰が何をするか)

国:政府が基本方針を定める
   ↓
市町村:基本計画を作成 → 内閣総理大臣が認定
   ↓          ▲認定するのは「内閣総理大臣」(≠経済産業大臣)
   │           作成・申請するのは「市町村」(≠都道府県)
中心市街地活性化協議会:商工会・商工会議所などが組織
   ↓
中心市街地整備推進機構:情報提供・相談・援助などを担う

◆ 「中心市街地」の3要件(すべて満たす)

法が支援対象とする「中心市街地」は、次の3つをすべて満たす必要があります(1つでは足りません)。

  1. 集積性・中心性:相当数の小売商業者が集積し、市町村の中心的役割を果たしていること
  2. 活力低下のおそれ:都市活動の確保・経済活力の維持に支障が生じ(またはそのおそれ)
  3. 広域的な有効性:一体的な推進が市町村やその周辺の発展にとって有効・適切であること

📝 過去問はこう出る(H24 第23問) 中心市街地の要件を問う問題。正解は「a・b・cすべての要件を満たしていること」。 「いずれか1つ」や「2つだけ」では要件を満たしません。集積性・活力低下・広域的有効性の3点セットで覚えます。 → H24 第23問

📝 過去問はこう出る(R04 第23問) 中心市街地活性化法の記述を選ぶ問題。正解は「中心市街地整備推進機構の役割の1つは、情報の提供・相談・その他の援助である」。 「基本計画を作成し認定申請するのは市町村・認定は内閣総理大臣」(→ 都道府県・経済産業大臣とする選択肢はバツ)、 「大型店周辺の生活環境保持を目的とする」(→ それは大店立地法)などが定番の引っかけです。 → R04 第23問

📝 過去問はこう出る(H28 第23問) 平成26年改正前の認定中心市街地の「状況」を問う報告書ベースの問題。正解は 「目標達成率は『通行量』『施設入込数等』が比較的高く、『空き店舗等』が低かった」。 集客・回遊はある程度改善したが、空き店舗対策が進まなかったことが改正の背景になった、という文脈で押さえます。 → H28 第23問

⚠️ 混同注意:立地適正化計画は別の法律居住誘導区域・都市機能誘導区域」は、中心市街地活性化法ではなく都市再生特別措置法(立地適正化計画)の 概念です(R04で引っかけに使われました)。名前が似ているので取り違えないようにします。


15-2 商品・表示の法規

店頭で商品を売るときには、「正しく表示する」「正しく計る」「過大に釣らない」「欠陥で人を傷つけない」という 4つのルールがあります。それぞれ担当する法律を押さえましょう。


① 食品表示法

食品表示法は、食品の表示ルールを一本化した法律です(※かつて食品衛生法・JAS法・健康増進法に バラバラだった表示規定を、2015年に統合しました)。具体的なルールは食品表示基準で定められます。

◆ 押さえどころ

  • 栄養成分表示(義務5項目):一般用加工食品では、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の 5項目の表示が義務。ビタミン・ミネラルは任意です(義務に混ぜる引っかけに注意)。
  • 適用範囲:食品表示基準は容器包装に入れられた加工食品等が対象。店頭のPOPやポスターなど 容器包装以外の表示には、食品表示基準は適用されません
  • 原産地表示:複数産地の同種農産物を混ぜて売るときは、重量割合の高い順にすべての産地を表示します (最も多い産地だけを代表表示、はNG)。
  • 賞味期限の年月表示:製造・加工日から賞味期限までが3か月を超える加工食品は、賞味期限を「年月」で 表示できます(3か月以内は「年月日」)。
  • 保健機能食品は3種類:機能性を表示できる食品は、特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品・機能性表示食品の 3つ。「トクホだけ」ではありません。

💡 覚え方:栄養成分の義務5項目ねっ・たん・し・たん・しお」=量・たんぱく質・質・水化物・(食塩相当量)。 この順番はラベルに表示する順番でもあります。

📝 過去問はこう出る(R01 第32問) 栄養成分表示の問題。正解は「店頭のPOPやポスターなど容器包装以外のものに表示する場合、食品表示基準は適用されない」。 「義務成分にビタミンが含まれる」(→ 義務は5項目でビタミンは任意)、「生鮮食品の栄養表示は認められない」(→ 任意で可能)はバツ。 → R01 第32問

📝 過去問はこう出る(R05 第30問) 食品表示法・食品表示基準の正誤組合せ問題。正解は「a:誤/b:誤/c:正」。 a(複数産地は代表表示でよい)は誤り=重量順に全産地を表示、b(機能性表示はトクホだけ)は誤り=トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品の3種、 c(3か月超は年月表示可)は正しい。 → R05 第30問


② 計量法

計量法は、取引や証明で使う「計る」行為を正しく行わせ、消費者が不利益を受けないようにする法律です。

  • 特定商品(食肉・野菜・惣菜など)を内容量で販売するときは、法で定めた誤差(量目公差)の範囲内で 正確に計り、内容量と表示者の氏名・名称を表示する義務があります。
  • 取引・証明に使うはかりは、検定に合格したものを使い、定期検査を受けなければなりません。
  • 単位は国際単位系(SI)(メートル・キログラムなど)を用います。

💡 実務のイメージ:スーパーの精肉・惣菜コーナーで「100gあたり◯円」「内容量◯g」と正しく量って ラベルを貼るのは、計量法(+食品表示法)に基づく対応です。「はかりのごまかし」を防ぐのが計量法の役割です。


③ 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

景品表示法(景表法)は、一般消費者の利益を保護するため、①不当な表示②過大な景品の2つを 規制する法律です。

◆ ①不当表示(誇大広告)の2類型

類型 中身
優良誤認 品質・内容を実際より著しく良く見せる 根拠なく「日本一の品質」
有利誤認 価格・取引条件を実際より著しく有利に見せる 根拠のない「二重価格表示」
  • 二重価格表示(「通常価格◯円→◯円」)は、比較対照とする価格が実際に相当期間販売されていた価格でないと 有利誤認になります。「1日だけ販売した価格」を比較対象にするのは不当表示にあたりえます。
  • 表示の責任は、その表示を行った小売店自身が負います。「仕入先の誤情報だから小売店は無関係」とはなりません。

◆ ②過大な景品の規制(総付景品の限度額)

商品購入者全員に景品を提供することを総付(そうづけ)景品(ベタ付け景品)といい、限度額があります。

取引価額 景品類の最高額(※現行の総付景品の限度)
1,000円未満 一律 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2(20%)

💡 覚え方:総付景品は「1,000円が境目」 1,000円未満なら景品は200円まで、1,000円以上なら取引価額の2割まで。 「5,000円が境目」とすり替える選択肢が定番の誤りです。

📝 過去問はこう出る(H29 第32問) 総付景品の限度額を問う問題。正解は「取引価額が1,000円未満の場合、景品類の最高額は200円である」。 基準額を「5,000円」とする選択肢はすべて誤り。境目は1,000円です。 → H29 第32問

📝 過去問はこう出る(R02 第31問) 店頭販促物(POP)の表示の適否を問う問題。正解は「『価格は店員に御相談ください』と価格交渉に応じる旨を併記しても不当表示に該当しない」。 「仕入先の誤情報なら小売店は規制対象外」(→ 表示した小売店が責任を負う)、「1日でも販売すれば二重価格表示は適法」(→ 有利誤認になりうる)はバツ。 → R02 第31問


④ 製造物責任法(PL法)― 小売業の関わり方

製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥によって消費者の生命・身体・財産に被害が生じた場合、 製造業者等に損害賠償責任を負わせる法律です。ポイントは無過失責任です。

  • 無過失責任:被害者は「メーカーに落ち度(過失)があったこと」を証明しなくても、 ①製造物に欠陥があったこと、②その欠陥により損害が生じたことを示せば賠償を求められます (通常の不法行為より被害者救済が手厚い)。
  • 責任を負うのは原則メーカー(製造業者・輸入業者等)。単に商品を仕入れて売っただけの小売業者は原則対象外です。
  • ただし、自社ブランド(PB)として自らを製造業者と表示した場合などは、小売業者もPL法上の責任を問われえます。 PB商品を扱う小売業にとっては見過ごせない論点です。
  • 対象は「製造または加工された動産」。未加工の農水産物や、不動産・電気・ソフトウェア単体などは原則対象外です。

⚠️ 混同注意:景品表示法とPL法 - 「表示(広告・値札)がウソ・大げさ」→ 景品表示法 - 「商品そのものの欠陥で人がケガをした」→ PL法 どちらも消費者保護ですが、問題にするのが「表示」か「モノの欠陥」かで区別します。


15-3 環境・リサイクル関連法規

大量生産・大量消費・大量廃棄を見直し、循環型社会をつくるためのルール群です。 小売業は「売った後のゴミ」を減らす主役の一つとして、これらの法律に関わります。 3つの法律は、「誰が・何を・どう分担するか」の違いで整理すると覚えやすくなります。

リサイクル三法の役割分担(イメージ)
┌───────────────┬────────────────┬──────────────────┐
│ 容器包装リサイクル法 │ 家電リサイクル法    │ 食品リサイクル法       │
├───────────────┼────────────────┼──────────────────┤
│ びん・缶・PET・   │ 家電4品目          │ 食品廃棄物・食品ロス   │
│ 紙・プラの容器包装 │ (エアコン/テレビ/  │                        │
│                   │  冷蔵庫/洗濯機)     │                        │
├───────────────┼────────────────┼──────────────────┤
│ 消費者:分別排出   │ 消費者:料金負担    │ 事業者:発生抑制・再生 │
│ 市町村:分別収集   │ 小売業:引取り・運搬 │ 利用(メタン・飼料等) │
│ 事業者:再商品化   │ メーカー:再商品化   │                        │
└───────────────┴────────────────┴──────────────────┘

① 容器包装リサイクル法

容器包装リサイクル法(容リ法)は、家庭ごみの大きな割合を占める容器・包装の分別・リサイクルを 促進する法律です。特徴は、3者の役割分担です。

主体 役割
消費者 分別して排出する
市町村 分別収集する
特定事業者(容器包装を利用・製造する事業者) 再商品化(リサイクル)の義務を負う
  • 対象は、びん・缶・ペットボトル・紙製容器包装・プラスチック製容器包装など。
  • 小売業(スーパーなど)も、容器包装を用いて商品を販売する立場から特定事業者として再商品化義務を負い、 店頭での自主回収(レジ袋削減・トレー回収など)にも取り組みます。

💡 覚え方:容リ法は「出す人(消費者)・集める人(市町村)・作り直す人(事業者)」の三役分担。 消費者にリサイクルそのものの義務を課すのではなく、分別排出という入り口を担わせるのがポイントです。


② 家電リサイクル法

家電リサイクル法は、廃棄される家電から有用な部品・材料を回収し、廃棄物を減らすための法律です。 対象は家電4品目に限られます。

家電4品目(覚え方:「エ・テ・冷・洗」) アコン / レビ / 蔵庫・冷凍庫 / 濯機・衣類乾燥機

◆ 役割分担と費用負担

主体 役割
消費者(排出者) リサイクル料金と収集運搬料金を負担する
小売業者 買い替え・過去に販売した製品の引取りと、指定引取場所への引渡し
製造業者等(メーカー) 引き取った家電の再商品化(リサイクル)
  • 容リ法との最大の違いは、リサイクル費用を消費者が負担する点です(排出時に料金を支払う)。
  • 小売業者には、自分が販売した製品や買い替え時に引き取った製品を引き取り、メーカーへ渡す義務があります。

⚠️ 混同注意:パソコンは家電4品目に入らない パソコンは資源有効利用促進法に基づく別の回収スキーム(PCリサイクルマーク)です。 家電リサイクル法の対象はエアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(乾燥機)の4品目に限られます。


③ 食品リサイクル法 ★近年頻出

食品リサイクル法は、食品の製造・流通・外食などで生じる食品廃棄物の発生を抑え、 再生利用(肥料・飼料・メタン化など)を進めるための法律です。近年は食品ロスへの注目もあり、頻出です。

◆ 業種別の再生利用等実施率の目標

主務大臣が定める基本方針では、食品関連事業者4業種に業種別の目標が設定されています。

業種 再生利用等実施率の目標(※現行では2024年度目標) イメージ
食品製造業 95%(最も高い) 廃棄物が均質で再生利用しやすい
食品卸売業 75%
食品小売業 60%
外食産業 50%(最も低い) 分別が難しく異物混入も多い
  • 食品製造業が最も高く(95%)、外食産業が最も低い(50%)という高低の関係が繰り返し問われます。
  • 食品廃棄物等多量発生事業者(年間発生量100トン以上)は、発生量・再生利用等の実施量を 都道府県別・市町村別に区分して国(主務大臣)に報告する義務があります。「すべての食品関連事業者」ではありません。

◆ 食品ロスとの関係(※現行の新基本方針)

  • 令和元年(2019年)の新基本方針では、基本理念に「食品ロス」が明記され、 食品関連事業者・消費者それぞれの食品ロス削減の役割が示されました。
  • 事業系食品ロスは、2030年度までに2000年度比で半減する目標が設定されています (「2050年度」ではありません。年次のすり替えに注意)。

📝 過去問はこう出る(R05 第24問) 業種別目標と報告義務の空欄補充問題。正解の組合せは「A=食品製造業(95%)/B=外食産業(50%)/C=食品廃棄物等多量発生事業者」。 最も高いのは食品製造業、最も低いのは外食産業。報告義務を負うのは「すべての事業者」ではなく多量発生事業者。 → R05 第24問

📝 過去問はこう出る(R03 第25問) 令和元年の新基本方針の正誤組合せ問題。正解は「a:正/b:誤/c:正」。 a(基本理念に食品ロスを明記)は正しい、b(事業系食品ロスの目標年次が2050年度)は誤り=正しくは2030年度に2000年度比半減、 c(多量発生事業者が都道府県別・市町村別に国へ報告)は正しい。 → R03 第25問

💡 リサイクル三法の「費用と主役」まとめ - 容リ法:消費者は分別排出、事業者が再商品化(費用は事業者側中心) - 家電リサイクル法消費者が費用負担、小売が引取り、メーカーが再商品化 - 食品リサイクル法事業者が発生抑制・再生利用(業種別目標/多量発生事業者の報告)


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • まちづくり三法=都市計画法・大店立地法・中心市街地活性化法(郊外化と中心市街地空洞化への対応)
  • ☐ 都市計画法:市街化区域=おおむね10年以内に市街化市街化調整区域=市街化を抑制(白地地域ではない)
  • ☐ 用途地域:第一種住居地域は店舗3,000m²以下/商業・準工業は床面積制限なし
  • 大店立地法=生活環境の保持(交通・騒音・廃棄物・街並み)。需給調整・開店日休業日数・用途地域は配慮事項でない
  • ☐ 大店立地法の対象は店舗面積1,000m²超(※現行)/駐車台数はピーク(休日)基準で算定
  • ☐ 中心市街地活性化法:市町村が基本計画→内閣総理大臣が認定/中心市街地の3要件はすべて充足
  • ☐ 「居住誘導区域・都市機能誘導区域」は立地適正化計画(都市再生特別措置法)であり中心市街地活性化法ではない
  • ☐ 食品表示法:栄養義務5項目=熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量(ビタミンは任意)
  • ☐ 食品表示:POP・ポスターには食品表示基準は適用されない/機能性表示食品はトクホ・栄養機能・機能性表示の3種
  • ☐ 賞味期限:3か月超は「年月」表示可/複数産地は重量順に全産地表示
  • ☐ 景品表示法:優良誤認・有利誤認の2類型/表示責任は小売店自身が負う
  • ☐ 総付景品:1,000円未満は200円まで/1,000円以上は取引価額の2割まで(境目は5,000円ではなく1,000円)
  • ☐ PL法:製造物の欠陥に対する無過失責任/原則メーカーの責任だがPBなら小売業も責任を負いうる
  • ☐ 容リ法:消費者=分別排出/市町村=収集/事業者=再商品化(びん・缶・PET・紙・プラ)
  • ☐ 家電リサイクル法:4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)/費用は消費者負担/小売は引取り・メーカーは再商品化(PCは対象外)
  • ☐ 食品リサイクル法:製造業95%(最高)・外食50%(最低)多量発生事業者が国へ報告/事業系食品ロスは2030年度に2000年度比半減

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
R07 第25問 大規模小売店舗立地法(配慮事項) 問題
H24 第22問 大規模小売店舗立地法(需給調整は対象外) 問題
H26 第22問 大規模小売店舗立地法(出店事例・駐車台数) 問題
H23 第22問 都市計画法・用途地域と立地可能施設 問題
R06 第23問 都市計画法(区域区分・地域地区の定義) 問題
H24 第23問 中心市街地活性化法(中心市街地の3要件) 問題
R04 第23問 中心市街地活性化法(枠組み・推進機構) 問題
H28 第23問 中心市街地活性化法(平成26年改正の背景) 問題
R01 第32問 食品表示法(栄養成分表示) 問題
R05 第30問 食品表示法・食品表示基準 問題
H29 第32問 景品表示法(総付景品の限度額) 問題
R02 第31問 景品表示法(店頭販促物・二重価格) 問題
R05 第24問 食品リサイクル法(業種別目標・報告義務) 問題
R03 第25問 食品リサイクル法(新基本方針・食品ロス) 問題

🎉 全15章、おつかれさまでした

これで運営管理(オペレーション・マネジメント)の全15章を走りきりました。 第1章から第7章までの生産管理(工場・ものづくりの理論と計算)、第8章から本章までの店舗・販売管理(小売の 現場と法規)を通して、「モノをつくる → 運ぶ → 売る → 片づける」という一連の流れを一望できるようになったはずです。

  • 生産管理では、生産形態・レイアウト・生産計画・在庫(EOQ)・IE(工程分析・稼働分析)・品質管理(QC七つ道具)・ 設備管理(設備総合効率)といった、計算と用語の両輪を鍛えました。
  • 店舗・販売管理では、店舗立地・マーチャンダイジング・商品予算・棚割・物流・商品コード(JAN/GTIN)・ そして本章の法規まで、実務に直結する知識を積み上げました。

最後は、知識を「使える形」に固めるために、次の付録も活用してください。

付録のご案内 ▶ - 付録A 重要計算問題ドリル:EOQ・編成効率・設備総合効率・在庫回転率など、手が覚えるまで反復するための計算問題集です。 - 付録B JIS用語・数値一問一答:生産形態の定義、QC七つ道具、法規の数値(1,000m²・3,000m²・200円・95%…)など、 直前に高速で回すための一問一答集です。 - 付録C 年度別・論点別 頻出マップ:過去問(H19〜R07)を年度×論点で俯瞰し、どこが繰り返し出ているかを 一目で確認できる総まとめです。

本試験まで、テキスト本編と付録を行き来しながら、「地図で全体像 → 節で理解 → 過去問で確認 → 付録で定着」の サイクルを回していきましょう。あなたの合格を心から応援しています。おつかれさまでした!