第11章 マーチャンダイジング

この章のねらい 「運営管理」後半の店舗・販売管理分野の中心章です。マーチャンダイジング(MD)とは、 ひとことで言えば「何を・どれだけ・いくらで・どう並べて売るか」という、小売業の商品まわりの 意思決定をまとめて指す言葉です。この章では、①品揃え(幅と深さ)、②価格設定(値入率・粗利率)、 ③在庫の効率(GMROI・交差比率・在庫回転率)、④棚割とカテゴリーマネジメントという 4つの柱を学びます。

過去問での出方:この分野は毎年ほぼ確実に2〜4問出ます。特徴は、計算問題が必ず混じること。 「値入率」「GMROI」「交差比率」「相乗積」は、公式さえ体にしみ込ませれば確実に得点できる稼ぎ頭です。 逆に、値入率と粗利率の違い、原価ベースと売価ベースの取り違えなど、定義のあいまいさを突く引っかけが定番。 本章は「用語の暗記」より「手を動かして計算」を優先して仕上げましょう。


11-0 この章の地図

マーチャンダイジングは「商品計画のPDCA」と考えると流れがつかめます。 「何を仕入れるか(品揃え)→いくらで売るか(価格)→ちゃんと儲かって在庫は回っているか(指標)→どう並べるか(棚割)」 という順に進みます。

11-1 品揃え計画            … 「幅」と「深さ」/総合化と専門化
   │  (何を・どれだけ扱うか)
   ▼
11-2 価格設定              … 値入率・売価・粗利率(★計算頻出)
   │  (いくらで売るか)        値入と粗利の違い/ロスリーダー
   ▼
11-3 在庫管理指標          … GMROI・交差比率・在庫回転率(★計算頻出)
   │  (効率よく儲かっているか)  相乗積
   ▼
11-4 棚割・カテゴリーマネジメント … 棚割(プラノグラム)/カテゴリー戦略/PB・仕入形態
      (どう並べ、どう束ねるか)

💡 全体を貫く超重要ワード:この章は「原価(コスト)」と「売価(セリングプライス)」の 2つの目盛りを行き来します。どの数字がどちらの目盛りかを常に意識すると、計算ミスが激減します。


11-1 マーチャンダイジングと品揃え計画

マーチャンダイジングとは

マーチャンダイジング(Merchandising、MD)とは、 「適切な商品を・適切な数量/価格で・適切な時期/場所に提供するための、小売業の一連の活動」です。 アメリカ・マーケティング協会(AMA)の古典的定義では、しばしば 「5つの適正(ライト)」、すなわち 適正な商品・適正な数量・適正な価格・適正な時期・適正な場所として語られます。

かみくだくと、「お店の商品づくり全般」のことです。仕入れる商品を決め、値段をつけ、 棚に並べ、売れ行きを見て入れ替える——この一連の流れがマーチャンダイジングです。

品揃えの「幅」と「深さ」

品揃え計画のいちばんの基礎が、幅(width)深さ(depth)という2つのモノサシです。

モノサシ 意味 例(洋服店で考えると)
品揃えの幅 取り扱う商品ライン(種類)の数が多いか シャツもズボンも靴も帽子も…と種類を増やす
品揃えの深さ 1つのラインの中のアイテム(色・サイズ・銘柄)の数が多いか シャツ1種類でも色・サイズ・ブランドを豊富にそろえる
        ← 幅(ライン数:広い ⇔ 狭い)→
   シャツ    ズボン    靴      帽子      …
 ┌───────┬───────┬───────┬───────┐
↑│ 白S 白M │ 紺 30in │ 24cm  │ …     │
深│ 白L 青S │ 紺 32in │ 25cm  │       │
さ│ 青M 黒S │ 黒 30in │ 26cm  │       │
↓│ …      │ …      │ …    │       │
 └───────┴───────┴───────┴───────┘
   ↑1ラインのアイテム数=「深さ」
  • 幅を広げる=いろいろな種類を扱う → ワンストップで買えるが、1つ1つは浅くなりがち。
  • 深さを深める=1つの分野を掘り下げる → 専門店らしいが、扱う種類は絞られる。

総合化(フルライン)と専門化

幅と深さの組み合わせ方で、店の性格が決まります。

タイプ 深さ 代表例
総合化(フルライン) 広い 浅め 総合スーパー(GMS)、ホームセンター
専門化 狭い 深い 専門店(時計専門店、輸入食材店など)

中小小売店は経営資源が限られるため、幅を広げて大型店と正面から戦うより、 特定分野に絞って深さで勝負する(専門化)のが定石です。第1章で学んだ「選択と集中」の小売版といえます。

ラインロビング ― 品揃えの幅を広げる攻めの一手

ラインロビング(line robbing)とは、 これまで扱っていなかった商品カテゴリーを新たに品揃えに加えることです。 「ロビング(強奪)」の名のとおり、他の業態が扱っていた売上を奪いにいくイメージです。

  • 例:文房具店が「毎日は買われない文房具」の弱点を補うため、毎日買われる菓子・飲料を新たに扱う。
  • ねらいは主に来店頻度(来店回数)を増やすこと。毎日買う商品を置けば、お客が店に来る回数が増えます。
  • 新カテゴリー投入は、その商品を扱う近隣の競合店に影響を与え得る点も押さえておきましょう。

📝 過去問はこう出る(R04 第28問) 文房具店の店主と診断士の会話形式。設問1(関連購買の促進)の正解は 「デッサン用の鉛筆と一緒に使う鉛筆削りと消しゴムを同じ棚に陳列する」。 関連購買とは「一緒に使う商品を同時に買ってもらい、買上点数・客単価を高める」施策です。 スタンプカード(固定客化)や同一商品のまとめ買い(数量販促)は関連購買ではないのが引っかけ。 設問2(ラインロビング)の正解は「主目的は来店頻度を増やすことにある」。 「粗利益率を高めるため」「近隣商店に影響しない」は誤り。 → R04 第28問

⚠️ 混同注意:「関連購買」と「ラインロビング」 - 関連購買=一緒に使う関連商品を並べて同時購入を促す(買上点数↑・客単価↑) - ラインロビング新しいカテゴリーを追加する(来店頻度↑) どちらも「客単価を高める話」に見えて、ねらう指標が違います。


11-2 価格設定 ― 値入率・売価・粗利率

ここが本章最大の計算の山場です。ゆっくり、順番に押さえれば必ず取れます。 まず値入(ねいれ)という言葉から始めます。

値入(マークアップ)とは

値入額とは、売価と原価(仕入原価)の差、つまり「お店が上乗せする利幅」のことです。

売価(販売価格)
┌───────────────────────────┐
│  原価(仕入原価)    │  値入額(利幅)│
└───────────────────────────┘

$$値入額 = 売価 - 原価$$

この値入額を「何に対する割合で見るか」で、2つの値入率が出てきます。ここが最重要ポイントです。

呼び方 分母(何で割るか)
売価値入率 売価で割る 値入額 ÷ 売価 =(売価−原価)÷ 売価
原価値入率 原価で割る 値入額 ÷ 原価 =(売価−原価)÷ 原価

試験でほぼ必ず問われるのは「売価値入率」です。以下、特に断りがなければ売価値入率を指します。

売価を求める(値入率から逆算する)

売価値入率がわかっているとき、売価は次の式で求まります。

$$売価 = 原価 ÷(1 - 売価値入率)$$

なぜこうなるか。売価値入率が30%なら、値入額は売価の30%。ということは原価は売価の70%(=1−0.3)。 だから「原価÷0.7=売価」となります。

【ステップ計算例】仕入単価700円・売価値入率30%のときの売価は?(H27 第28問) - ステップ1:原価は売価の何割か → 1 − 0.30 = 0.70 - ステップ2:売価 = 原価 ÷ 0.70 = 700 ÷ 0.70 = 1,000円

検算:値入額=1,000−700=300円。300÷1,000=0.30=30% ✓

売価値入率を求める(複数商品・セットのとき)

複数の商品をまとめて扱うときは、個々の率を平均してはいけません必ず「売価の合計」と「原価の合計」を先に出してから、全体の率を計算します。

$$全体の売価値入率 =(売価合計 - 原価合計)÷ 売価合計$$

【ステップ計算例】3商品まとめての売価値入率は?(H28 第31問)

商品 仕入単価 販売単価 数量 原価計 売価計
A 60 100 300 18,000 30,000
B 70 140 100 7,000 14,000
C 90 120 200 18,000 24,000
合計 43,000 68,000
  • ステップ1:原価合計=43,000円、売価合計=68,000円
  • ステップ2:値入額合計=68,000 − 43,000 = 25,000円
  • ステップ3:売価値入率=25,000 ÷ 68,000 ≒ 36.8%

⚠️ 引っかけの急所:原価率(43,000÷68,000≒63.2%)を答えさせようとする選択肢が必ず並びます。 「値入率」を問われているのに「原価率」を選ばないよう、最後にどの数字を答えるかを確認!

【ステップ計算例・応用】セット販売の売価値入率は?(H27 第28問・空欄B) 商品X(原価700円)を3個で1セットにし、セット売価2,500円で売るときの売価値入率は? - セットの原価=700 × 3 = 2,100円 - セットの値入額=2,500 − 2,100 = 400円 - セットの売価値入率=400 ÷ 2,500 = 0.16 = 16%

「値入」と「粗利益」はどう違う?(超頻出の落とし穴)

言葉が似ていて混同しますが、タイミングが違います

値入(マークアップ) 粗利益(売上総利益)
いつの話か 売る前(値付けの計画段階) 売った後(実績)
中身 予定した利幅 実際に得られた利幅
崩れる要因 値下げ(値引き)・ロス(万引き・破損)

値入は「予定の利幅」、粗利は「結果の利幅」です。当初の値入どおりに全部売れれば値入=粗利ですが、 途中で値下げしたり商品ロスが出ると、粗利は当初の値入より小さくなります

当初の値入額 ─── 値下げ・ロス ───→ 実際の粗利益
(予定の利幅)    (目減り分)      (結果の利幅)

$$粗利益率 = 粗利益(売上総利益)÷ 売上高$$ $$粗利益(売上総利益)= 売上高 - 売上原価$$

【ステップ計算例】値下げを含む粗利益率は?(H26 第28問) 仕入80円で1,000個。売価値入率20%で価格設定。800個は定価で、残り200個は10%値下げして完売。 - ステップ1:定価=80 ÷(1−0.20)=80 ÷ 0.80 =100円 - ステップ2:売上高=(100×800) + (100×0.9×200) = 80,000 + 18,000 =98,000円 - ステップ3:総原価=80 × 1,000 =80,000円 - ステップ4:粗利益=98,000 − 80,000 =18,000円 - ステップ5:粗利益率=18,000 ÷ 98,000 ≒ 18.4%

⚠️ 急所:当初の値入率は20%なのに、値下げのせいで実際の粗利益率は18.4%に下がる。 これがまさに「値入 > 粗利」を体感させる典型問題です。

ロスリーダー(特売の目玉商品)

ロスリーダー(loss leader)とは、 あえて原価すれすれ(時には原価割れ)の安値をつけて、集客の"目玉"にする商品のことです。

  • ねらいは、その商品で客を呼び込み、ついでに他の(利益の出る)商品も買ってもらうこと。
  • チラシの特売の目玉品がこれにあたります。「目玉商品」「特売の呼び込み役」と覚えましょう。
  • なお、原価を著しく下回る不当廉売は独占禁止法上問題となり得るため、実務では節度が必要です。

💡 覚え方ロスリーダー=損(ロス)してでも客を引っ張る(リード)先導役。 単品では損でも、店全体(客単価・買上点数)でプラスにするのが目的です。


11-3 在庫管理指標 ― GMROI・交差比率・在庫回転率

「品揃えして値段をつけた。では、その在庫はちゃんと効率よく儲けを生んでいるか?」を測るのがこの節です。 運営管理でいちばん計算問題が出やすいところなので、公式を確実に体にしみ込ませましょう。

まず土台:在庫回転率

在庫回転率(商品回転率)は、「在庫が1年間に何回入れ替わったか」を示します。回転が速いほど効率的です。

$$在庫回転率 = 売上高 ÷ 平均在庫高(売価)$$

  • 平均在庫高=(期首在庫+期末在庫)÷ 2 で求めるのが基本です。
  • ⚠️ 注意:回転率を「売価ベース」で計算するときは、分子(売上高)も分母(在庫)も売価にそろえます。

GMROI(商品投下資本粗利益率)★最頻出

GMROI(ジーエムアールオーアイ/Gross Margin Return On Inventory Investment)は、 「原価で仕入れた在庫(投下資本)が、どれだけ粗利益を生んだか」を示す指標です。

$$\boxed{GMROI = 売上総利益(粗利益)÷ 平均在庫高(原価)}$$

ここが最大のポイント。分母は必ず「原価ベース」の平均在庫です。 「在庫というお金(原価で寝ているお金)が、どれだけ粗利を稼いだか」を見るので、原価で測るのが理にかなっています。

【ステップ計算例①】GMROIを求める(H24 第26問) 年間売上高2,900万円、期首在庫高(原価)800万円、期中仕入高1,600万円、期末在庫高(原価)700万円。 - ステップ1:売上原価=期首800 + 仕入1,600 − 期末700 =1,700万円 - ステップ2:売上総利益=売上2,900 − 売上原価1,700 =1,200万円 - ステップ3:平均在庫高(原価)=(800 + 700)÷2 =750万円 - ステップ4:GMROI=1,200 ÷ 750 =1.6 =160%

【ステップ計算例②】在庫が売価で与えられたとき(H21 第24問) 売上高1,500万円、売上原価1,050万円、期首在庫(売価)600万円、期末在庫(売価)400万円、売価値入率40%。 - ステップ1:売上総利益=1,500 − 1,050 =450万円 - ステップ2:平均在庫高(売価)=(600 + 400)÷2 =500万円 - ステップ3:在庫を原価に直す。原価率=1 − 値入率40%=0.60 → 平均在庫(原価)=500 × 0.60 =300万円 - ステップ4:GMROI=450 ÷ 300 =1.5 =150%

⚠️ 急所:在庫が売価で与えられたら、必ず原価に換算してからGMROIの分母に使う。 「原価率=1−売価値入率」の変換がこの問題の勝負どころです。

交差比率(交差主義比率)

交差比率は、GMROIと同じ「在庫の粗利獲得効率」を、売価ベースで見る指標です。

$$\boxed{交差比率 = 粗利益率 × 在庫回転率(売価ベース)}$$

  • 高いほど効率がよい(在庫が少ない元手でたくさん粗利を稼いでいる)。
  • 「回転は速いが薄利」の商品と、「高粗利だが回転が遅い」商品を、同じ土俵で比較できるのが利点です。

【ステップ計算例】交差比率を求める(H21 第24問・設問2) 上の②と同じデータ。粗利益率30%、平均在庫(売価)500万円。 - 在庫回転率=売上高1,500 ÷ 平均在庫(売価)500 =3.0回 - 交差比率=粗利益率30% × 3.0 =90%

📝 過去問はこう出る(R06 第31問) 商品分類別の表から「最も交差比率が低い分類」を選ぶ問題。 交差比率=粗利率 × 売上高 ÷ 平均在庫額(=粗利率×回転率)で各分類を計算して比較します。 「高いほど効率がよい」ので、低い=在庫効率が悪い分類を選びます。 → R06 第31問 / 同種の在庫指標問題:R02 第32問

⚠️ 混同注意:GMROI と 交差比率 どちらも「在庫の粗利効率」を測る兄弟指標ですが、在庫の目盛りが違うのが最大の急所。 | | 分子 | 分母(在庫) | |---|---|---| | GMROI | 粗利益(額) | 平均在庫高(原価) | | 交差比率 | 粗利益率 × | 回転率(売価ベース) | 問題文の在庫が「原価」か「売価」かで、どちらを使うか・どう換算するかが決まります。

相乗積 ― カテゴリー全体の粗利益率を分解する

相乗積(そうじょうせき)は、 「あるカテゴリーが、店全体の粗利益率にどれだけ貢献しているか」を示す指標です。

$$相乗積(%)= 売上構成比(%)× そのカテゴリーの粗利益率(%)$$

  • 各カテゴリーの相乗積を全部足すと、店全体の粗利益率になる——これが相乗積の最重要ポイントです。
  • 「よく売れる(構成比が高い)」だけでも、「粗利率が高い」だけでもダメで、両方の掛け算で貢献度が決まります。

📝 過去問はこう出る(R05 第28問) カテゴリー別の売上・粗利率の表から、設問1は「粗利益高(=売上高×粗利益率)の小さい順で2番目」を、 設問2は「販売計画の考え方」を問う問題。設問2の正解は 「カテゴリーB(全体より高い粗利益率)の売上高が2倍になると、全体の粗利益率は上昇する」。 全体の粗利益率は各カテゴリーの加重平均なので、高粗利カテゴリーの構成比が上がれば全体も上がる—— これが相乗積の考え方そのものです。 → R05 第28問 / 相乗積の類題:H29 第27問


11-4 棚割とカテゴリーマネジメント・PB

品揃えして値段をつけ、指標で管理する。最後は「売場でどう並べ、どう束ねて管理するか」です。

棚割(プラノグラム)

棚割とは、ゴンドラ(陳列棚)に、どの商品を・どこに・何フェイス並べるかを計画することです。 その設計図をプラノグラム(planogram)と呼びます。

  • 目的:限られた棚スペースで売上高や商品回転率を最大化し、生産性の高い売場をつくること。
  • フェイス(フェイシング):棚の最前列に見える商品の"顔"の数。フェイス数を増やすと視認性が上がり、 売上・回転率を高められます。フェイス数の調整(フェイシング)は棚割の中心的な手段です。

陳列の2大パターンも押さえましょう。

陳列 並べ方 効果
バーティカル陳列(垂直) 同じグループを縦に並べる 同一グループ内の商品比較がしやすい(一般に推奨)
ホリゾンタル陳列(水平) 同じグループを横一段に並べる 目線の高さ(ゴールデンゾーン)に置いた段が有利/端は見られにくい

📝 過去問はこう出る(H24 第31問) 「棚割(プラノグラム)の目的」を問う問題。正解は 「フェイシングの工夫によって売上高や商品回転率を上げることができる」。 「客動線を長くする」のは店舗レイアウトの話(棚割ではない)で引っかけ。 → H24 第31問 / 棚割改善の類題:H28 第29問

カテゴリーマネジメント

カテゴリーマネジメントとは、 商品を「カテゴリー(顧客から見た商品のまとまり)」という単位で束ね、1つの事業部のように管理する手法です。 ブライアン・F・ハリスが体系化したもので、小売業とメーカーが協力して進めるのが特徴です。

カテゴリーごとに「このカテゴリーは店の中でどんな役割を担うか(カテゴリー戦略)」を決めます。代表的な戦略は次のとおり。

カテゴリー戦略 ねらい 対応する商品の特徴
客数増大戦略 来店客を集める 標的顧客が好み、競合店も頻繁に販促する商品(=トラフィックビルダー)
利益貢献戦略 利益を稼ぐ 単品価格・値入率・ロイヤルティが高く、価格弾力性が低い商品
興奮増大戦略 売場を活気づける 新商品・季節性の高い商品・急成長商品
イメージ向上戦略 店の印象を高める 店舗テーマを強化し話題を提供する商品

📝 過去問はこう出る(H20 第34問) ハリスのカテゴリー戦略と「対応する商品の特徴」の正しい組み合わせを選ぶ問題。 「客数増大戦略 → 標的顧客が好み競合も頻繁に販促する商品」などの対応がポイントでした。 → H20 第34問 / カテゴリー分析の類題:H19 第26問

仕入形態と PB(プライベート・ブランド)

商品を"どういう契約で"仕入れるかで、所有権とリスクの持ち主が変わります。ここは正誤問題で頻出です。

仕入形態 所有権 売れ残りリスク ポイント
買取仕入 仕入時に小売店へ移転 小売店が負う 自由に値付け・値下げできる
委託仕入 供給側(委託元)に残る 供給側が負う 小売店は販売手数料(コミッション)を得るだけ/価格も委託元が決める
消化仕入(売上仕入) 売れた瞬間に移転 供給側が負う 売れた分だけ仕入計上。廃棄ロスが出にくい(百貨店で多用)

📝 過去問はこう出る(H28 第27問) 「小売店の商品仕入」の正誤問題。正解は 「消化仕入では、商品の販売時に小売店に所有権が移転する」。 「委託仕入で店頭在庫の所有権は小売店にある」(→実際は委託元)などが引っかけ。 → H28 第27問 / 委託仕入の類題:R01 第30問 / 消化仕入:H24 第39問

💡 委託仕入の3点セット:①所有権は供給側に残る、②小売は手数料を得る、③値下げは自由にできない。 この3つを覚えれば委託仕入の正誤問題はほぼ落とせません。

PB(プライベート・ブランド)は、小売業が自ら企画・開発し、自社ブランドで販売する商品です。 これに対し、メーカーのブランドで売られる商品をNB(ナショナル・ブランド)と呼びます。

PB(プライベート・ブランド) NB(ナショナル・ブランド)
企画・ブランド 小売業 メーカー
一般的な価格 安め 標準
小売の粗利益率 高くしやすい(中間コスト削減) 相対的に低い
認知度・広告 低め(自店中心) 高い(メーカーが広告)
  • PBは中間マージンや広告費を抑えられるため、小売店の粗利益率を高めやすいのが最大のメリット。
  • 一方、売れ残りリスクや在庫責任は小売店が負う(買取が基本)点はデメリットです。

この章のまとめ(試験直前チェック)

  • ☐ マーチャンダイジング=適正な商品・数量・価格・時期・場所(5つの適正)で提供する小売の商品活動
  • ☐ 品揃えの幅=ライン(種類)の数深さ=1ラインのアイテム数/中小店は専門化(狭く深く)が定石
  • ラインロビング=新カテゴリー追加(来店頻度↑)関連購買=関連商品を並べ同時購入(買上点数↑)
  • 売価値入率 =(売価−原価)÷ 売価売価 = 原価 ÷(1−売価値入率)
  • ☐ 複数商品の値入率は合計してから割る(個々の率を平均しない)/原価率と取り違えない
  • 値入=売る前の予定利幅粗利=売った後の実績利幅(値下げ・ロスで粗利は値入より減る)
  • ロスリーダー=損してでも集客する目玉商品
  • GMROI = 粗利益 ÷ 平均在庫高(原価)←分母は原価ベース!(売価で与えられたら換算)
  • 交差比率 = 粗利益率 × 在庫回転率(売価ベース)/高いほど効率よい
  • 原価率 = 1 − 売価値入率(GMROIの在庫換算で使う)
  • 相乗積 = 売上構成比 × 粗利益率/各カテゴリーの相乗積の合計=店全体の粗利益率
  • 棚割(プラノグラム)の目的=フェイシングで売上・回転率を上げる(客動線はレイアウトの話)
  • カテゴリーマネジメント(ハリス):客数増大・利益貢献・興奮増大・イメージ向上の戦略
  • ☐ 仕入形態:買取=小売に所有権委託=供給側に所有権・手数料・値下げ不可消化=売れた瞬間に移転
  • PB=小売企画の自社ブランド(粗利率を高めやすいが在庫責任は小売)/NB=メーカーブランド

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H21 第24問 GMROI・交差比率の計算 問題
H24 第26問 GMROIの算出 問題
H27 第28問 売価値入率と販売価格の計算 問題
H28 第31問 全体の売価値入率の計算 問題
H26 第28問 値下げを含む粗利益率の計算 問題
R02 第30問 売価値入率と粗利益額 問題
R06 第31問 交差比率の比較 問題
R02 第32問 在庫管理指標(交差比率等) 問題
R05 第28問 カテゴリー別の相乗積 問題
H29 第27問 カテゴリー別の売上・粗利と相乗積 問題
H24 第31問 棚割(プラノグラム)の目的 問題
H20 第34問 カテゴリー・マネジメント 問題
R04 第28問 品揃え計画・関連購買・ラインロビング 問題
H28 第27問 小売店の商品仕入(仕入形態) 問題
R01 第30問 委託仕入 問題

次章予告 ▶ 第12章「店舗・売場マネジメントとインストア・マーチャンダイジング(ISM)」 本章で「何を・いくらで・どう並べるか」を学びました。次章は視点を売場そのものに移し、 客動線・レイアウト、ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)、そして インストア・マーチャンダイジング(ISM)——売場での販売促進と陳列で売上を伸ばす技術を扱います。