第10章 店舗施設とレイアウト

この章のねらい ここからは運営管理の後半「店舗・販売管理」の入り口です。第10章では、お客さまが店に入って から出るまでの「歩く・見る・手に取る」を、店側がどう設計するかを学びます。具体的には、 ①店全体の区割り(ゾーニング)と人の流れ(動線)、②売場の並べ方(レイアウト)、 ③商品の見せ方(陳列・VMD)、④明かり・色・什器・店構え(照明・色彩・ファサード)です。

過去問での出方:この分野は運営管理でも最頻出のひとつです。ほぼ毎年、第25問〜第33問あたりで 3〜5問がまとまって出ます。とくに照明(照度・演色性・色温度)は数値まで問われることがあり、 陳列・VMDの用語は毎年のように顔を出します。用語の定義と「引っかけの言い換え」を押さえれば、 暗記でしっかり稼げる得点源です。計算はほぼ出ないので、恐れることはありません。


10-0 この章の地図

この章は、「店の外枠 → 中の流れ → 棚の見せ方 → 演出の細部」という、大きい方から小さい方へと ズームインしていく順で進みます。まず全体像をつかみましょう。

10-1 ゾーニングと動線      … 店を区割りし、客と店員の流れを設計する
   │                        (客導線を長く/作業動線を短く)
   ▼
10-2 売場レイアウト        … 棚の並べ方の4タイプ
   │                        (グリッド/フリーフロー/ワンウェイ/レジ前)
   ▼
10-3 陳列とVMD            … 棚の中の見せ方(★最頻出)
   │                        (補充型/展示型・ゴールデンゾーン・VP/PP/IP)
   ▼
10-4 照明・色彩・什器・ファサード … 演出の細部(照度は数値も暗記)

💡 全体を貫く1本の軸:この章のほとんどの論点は、 「客に、より長く歩いてもらい/より多く見てもらい/もう1品買ってもらう」ための工夫です。 迷ったら「その施策は"歩く距離・見る量・買う点数"を増やすか?」と自問すると答えを選びやすくなります。


10-1 店舗のゾーニングと客導線・作業動線

まず用語を分ける:ゾーニングと動線

  • ゾーニング:店の床面積を用途ごとの区画(ゾーン)に割り振ること。 「入口近くは季節商品、奥は生鮮、右奥はレジ」というように、どこに何の売場を置くかを決める作業です。
  • 動線(どうせん):人が店内を移動するときにたどる線のこと。動線には2種類あります。
動線の種類 誰の動きか 設計の原則 ねらい
客動線(顧客動線) お客さま できるだけ長くする 多くの売場を見せ、"ついで買い"を増やす
作業動線(従業員動線) 店員 できるだけ短くする 補充・レジなどの作業を効率化する

⚠️ 混同注意:客動線と作業動線は設計の向きが真逆です。 客は長く歩かせ、店員は短く動かす。「動線はすべて短くするのが良い」と書いた選択肢はバツになります。

客導線を「長くする」工夫

お客さまにできるだけ店内を大回り(回遊)してもらうと、目に触れる商品が増え、 来店前に予定していなかった非計画購買(衝動買い)が起こりやすくなります。代表的な工夫は次のとおりです。

【スーパーの典型:外周をぐるっと大回りさせる】

  入口 ──→ 青果 ──→ 鮮魚 ──→ 精肉 ──→ 日配 ──→ レジ
   │                                            ▲
   └── 中央(グロサリー=加工食品の島)────────┘
       ※牛乳・卵など「必ず買う目的商品」は"いちばん奥"に置く
  • ① 主通路を外周にとり、大回りさせる:入店客がまず店の外周(壁面沿い)を一周するように主通路を配置。
  • ② 計画購買品(目的買いの商品)を奥に置く:牛乳・卵など「これを買いに来た」という商品を店の奥に置くと、 客はそこまで歩き、その道中で他の商品も目にします(=動線が伸びる)。
  • ③ パワーカテゴリーは分散させる:集客力の強い主力カテゴリーは、1か所に集中させず売場の各所に散らす。 そうすると客は店内を広く回遊します(集中配置すると、そこだけで用が済んでしまう)。

📝 過去問はこう出る(H27 第30問) 「客の動線長をのばす施策」を選ぶ問題。正解は 「計画購買率の高い商品を店舗の奥に配置する」。目的買いの商品を奥に置くと、そこまで歩く分だけ動線が伸び、 途中での非計画購買も促せます。 一方、「特売品を入口付近に置く」(すぐ会計に向かい動線は短くなる)、「パワーカテゴリーを集中配置」 (そこだけで済んで回遊しない)は逆効果でバツ。「ゴールデンラインを複数設置」は棚の見やすさの話であって、 回遊距離を伸ばす施策ではないのがひっかけです。 → H27 第30問

通行量の比較はそのままではできない(フロアの補正)

複数階の店舗で「どの階のレイアウトが良いか」を判断するとき、各階の生の通行量をそのまま比べてはいけません。 上の階ほど客が減るシャワー効果や、エスカレーター・エレベーターの位置といった構造的な条件が 通行量を左右するからです。フロアごとの条件を補正してから評価する必要があります。

📝 過去問はこう出る(H19 第22問) 店舗レイアウトの考え方で「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(=正解)は 「すべての階の実際の通行量をそのまま比較すれば、どの階のレイアウトが良いか判断できる」。 生の通行量は階の構造条件に左右されるため、そのまま比較しても良否は判断できません。 なお「売場の括りは"売る立場"から"買う立場"へ変化」「まず外周を大回りさせる」「見やすく取りやすい通路設計」は いずれも正しい考え方です。 → H19 第22問


10-2 売場レイアウトの4タイプ

売場の棚(ゴンドラ)や什器の並べ方のパターンには、代表的な型があります。 業態(スーパーか、百貨店か)によって向き・不向きがあります。

タイプ 別名 棚の並べ方 向いている店 特徴
グリッド型 格子型 棚を碁盤の目のように直線・平行に配置 スーパー・ドラッグストア・ホームセンター 通路が分かりやすく大量陳列・効率補充に向く。目的の商品を探しやすい
フリーフロー型 自由回遊型 什器を曲線・自由に配置 アパレル・雑貨・百貨店 自由に見て回れ、ゆったり買い物できる。滞在時間を延ばしやすい
ワンウェイ(コントロール)型 一筆書き型 一方通行で店内を一巡させる 大型家具店・一部の量販店 客に全売場を必ず通らせる。露出を最大化し非計画購買を促す
レジ前 チェックアウト前 レジ手前の狭いスペース セルフサービス全般 会計待ちの"ついで買い"を狙う。ガム・電池など低単価の衝動品を置く
【グリッド型】通路が直線・平行     【フリーフロー型】曲線で自由に回遊
 ┌──┐┌──┐┌──┐              ○  ○
 │棚││棚││棚│               ○   ○   ○   ← 什器を点在
 └──┘└──┘└──┘                ○      ○
  ↓通路↓通路↓通路                ○   ○
  • グリッド型は、通路が規則的なので歩きやすく・補充しやすく・探しやすい反面、単調になりがちです。
  • フリーフロー型は、回遊性と滞在時間を高められますが、什器の配置に手間がかかり効率は落ちます。
  • ワンウェイコントロールは、動線を長くして全売場を通らせる手法です。 「動線を最短にする手法」だと書いた選択肢は誤り(→ R07 第29問)。

⚠️ ひっかけ:ワンウェイ=長い動線 ワンウェイコントロールは「客を計画的に店内全域へ回遊させ動線を長くする」手法です。 「客の動線を最短にするためにワンウェイにする」という記述は目的が逆でバツになります。

レジ前と売場づくりの基本(フェイス管理)

セルフサービス店(スーパー・ドラッグストアなど)の売場づくりでは、次の基本が繰り返し問われます。

  • フェイス(フェイシング):棚で商品を正面に見せる面のこと。フェイス数を増やすと露出・視認性が高まり、 欠品も起きにくくなって販売量が増える(=重点商品はフェイス数を増やすのが定石)。
  • レジ前:会計待ちの間の「ついで買い」を狙う場所。低単価の衝動購買品(ガム・電池など)を置くのがセオリー。

📝 過去問はこう出る(R07 第29問) セルフサービス店舗の売場づくりで「最も適切」を選ぶ問題。正解は 「重点商品の販売量を増やすために、商品棚の重点商品のフェイス数を増やす」。 誤りの選択肢が学びの宝庫です──「ワンウェイコントロールで動線を最短に」(目的が逆)、 「通路幅を狭くしてゴールデンゾーンを広げる」(通路幅とゴールデンゾーンは無関係)、 「パワーカテゴリーを1か所に集中」(回遊しなくなる)、「レジ前を高単価品に」(ついで買いは低単価品)。 → R07 第29問


10-3 陳列(ディスプレイ)とVMD ★最頻出

ここがこの章でいちばん出るところです。用語が多いので、まず大きな分類から押さえます。

陳列の2大分類:補充型と展示型

分類 別名 目的 代表的な手法
補充型陳列 オープンストック 定番商品を効率よく補充し継続販売する ゴンドラ陳列、前進立体陳列、先入れ先出し
展示型陳列 ショーディスプレイ 商品を魅力的に見せて提案する ステージ陳列、スタンド陳列、マネキン(ボディ)陳列
  • 補充型(オープンストック):購買頻度が高い定番商品を、効率的に補充しながら継続的に売るための陳列。 棚(ゴンドラ)で行うのが基本で、前進立体陳列(商品を手前に引き出して見やすく積む)や 先入れ先出し法(古い在庫から先に売る)を組み合わせます。
  • 展示型(ショーディスプレイ):商品を魅力的に見せて提案するための陳列。
  • ステージ陳列:ステージ状の台に、テーマに沿った商品を組み合わせて提案する。
  • スタンド陳列:スタンド什器を使って商品を立てかけ・吊るして見せる。
  • マネキン(ボディ)陳列:マネキンに衣料などを着せて見せる。

⚠️ 用語のすり替え注意(H23 第31問) 「マネキンに衣料を着せて展示する陳列」はマネキン(ボディ)陳列であって、スタンド陳列ではありません。 こうした「手法名と説明の入れ替え」が定番のひっかけです。 → H23 第31問

陳列手法とメリットの対応(暗記表)

個々の陳列手法は、「手法名 ↔ 特徴・メリット」の一対一で覚えます。

陳列手法 どんな並べ方か 主なメリット/注意
ゴンドラ陳列 棚(ゴンドラ)に整然と並べる フェイスをそろえやすい
ジャンブル陳列(投込み) カゴ等に無造作に入れる 手間がかからない・特売の安さ感を演出
カットケース陳列 段ボール箱を切り、箱ごと陳列 ボリューム感・低価格の大量販売(※高級感の演出には不向き)
ショーケース陳列 ケースに収める 商品が汚れにくく保護される
フック陳列 フックに掛けて吊るす 在庫量(残数)が一目で分かる

📝 過去問はこう出る(H24 第29問) 陳列手法とメリットの対応で「最も不適切」を選ぶ問題。誤り(=正解)は 「カットケース陳列には、高級感を出しやすいというメリットがある」。カットケース陳列は ボリューム感・低価格の大量販売を訴求する手法で、高級感の演出には向きません。 ゴンドラ=フェイスをそろえやすい、ジャンブル=手間がかからない、ショーケース=汚れにくい、 フック=在庫量が分かりやすい、はいずれも正しい対応です。 → H24 第29問

棚の中の"見やすい高さ":ゴールデンゾーン

棚には、客がもっとも見やすく・手に取りやすい高さの帯があります。これを ゴールデンゾーン(またはゴールデンライン)と呼びます。一般に床から約85cm〜150cm、 おおむね目線から腰の高さにあたり、ここに売りたい重点商品を置くのがセオリーです。

   ┌──────┐ ← 上段:手が届きにくい(見本・在庫)
   │      │
   ├──────┤ ← ゴールデンゾーン(約85〜150cm)
   │ ★重点 │    いちばん見やすく取りやすい → 重点商品
   ├──────┤
   │      │ ← 下段:かがまないと見えない(定番・重量物)
   └──────┘
  • ゴールデンゾーンは棚の"高さ方向"の話であり、通路幅とは無関係です (「通路を狭くするとゴールデンゾーンが広がる」は誤り→ R07 第29問)。
  • フェイス数(正面に見せる数)を重点商品で増やすと、露出が高まり販売増につながります。

棚割(プラノグラム)

棚割(たなわり)とは、限られた棚のスペースに、どの商品を・どこに・何フェイス並べるかを 設計することです。図面化したものをプラノグラムと呼びます。棚割の目的は フェイシングの工夫によって、売上高や商品回転率を高めることにあります。

  • バーティカル(垂直)陳列:同じグループの商品を縦方向に並べる。上下で見比べやすい。
  • ホリゾンタル(水平)陳列:同じグループの商品を横方向(同一段)に並べる。

📝 過去問はこう出る(H24 第31問) 「棚割の目的」として最も適切なものを選ぶ問題。正解は 「フェイシングの工夫により売上高や商品回転率を上げること」=まさに棚割の目的。 「客動線を長くする」は店舗全体のレイアウトの話(棚の中の話ではない)、垂直陳列・水平陳列の効果説明は それ自体は成り立っても「棚割の目的」を問う設問への答えとしてはずれる、というのがひっかけです。 → H24 第31問

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の3区分:VP・PP・IP ★最重要

VMDとは、商品を視覚的に分かりやすく・魅力的に見せて売る手法の総称です。 見せる範囲の大きさによって、次の3つの区分に分かれます。大きい方から VP → PP → IP の順です。

区分 略の意味 見せる場所・範囲 役割
VP Visual Presentation ショーウインドー・ステージなど店/売場全体 客の目をひきつけ、誘導する(店のコンセプト表現)
PP Point of Sales Presentation 売場ごと(マネキン・テーマ演出) 商品の特徴・機能を示し、選択のヒントを与えて立ち寄りを誘う
IP Item Presentation 個々の棚・単品 単品を分類・整理し、選びやすく並べて購買欲求を高める
【VMDはズームの3段階】

 VP(店全体でひきつける) ──→ PP(売場で立ち寄らせる) ──→ IP(棚で選ばせる)
  ショーウインドー            マネキン・テーマ演出            フェイスアウト・分類陳列
   「わあ、入ってみよう」       「この売場を見てみよう」        「これにしよう」
  • VP=店・売場全体の演出(コンセプト表現)。大型のプロップス(演出小道具)で世界観を作るのはVP。
  • PP売場ごとの提案。マネキンで関連商品を見せる/POPで季節感を出して立ち寄りを促すのはPP。
  • IP個々の商品の整理。フェイスアウト(前出し)でハンガー陳列し、選びやすくするのはIP。

📝 過去問はこう出る(R03 第29問 / R06 第32問) R03 第29問は VP・PP・IP の役割を対応させる問題。IP=単品を分類・整理し選びやすく陳列(記述c)、 PP=選択のヒントを与える、VP=ショーウインドー等で目をひき誘導、が正しい対応でした。 R06 第32問は IP の手法を問い、正解は「フェイスアウトでハンガー陳列し、選びやすくする」(IPの典型)。 「大型プロップスでコンセプト表現」はVP、「マネキンでテーマ演出」「POPで季節感」はPPで、いずれもIPではない、 というのが区分の見分けどころです。 → R03 第29問R06 第32問

ネガティブスペース(VMDの余白)

ネガティブスペースとは、VMDで意図的に設ける「余白・空間」のことです。商品を詰め込みすぎず 余白をとることで、次のような効果があります。

  • 一点一点が引き立ち、商品の価値・高級感を高く伝えられる。
  • 商品群の区切りが明確になり、グルーピングが分かりやすくなる。
  • 余白は商品を目立たせて視認率を高める(余白があると視認率が下がる、は誤り)。

📝 過去問はこう出る(R07 第30問) VMDのネガティブスペースで「最も適切」を選ぶ問題。正解は 「商品の価値を高く伝えるために、ネガティブスペースを活用する」。 「グルーピングに活用できない」「視認率が低下する」「プロップスで演出できない」はすべて逆・誤り。 ネガティブスペースは"偶然できる空き"ではなく意図的な余白である点が急所です。 → R07 第30問

インストア・マーチャンダイジング(ISM)と関連陳列

インストア・マーチャンダイジング(ISM)は、店内での売り方を工夫して客単価・買上点数を上げる考え方です。 売場づくりで頻出のキーワードを押さえましょう。

  • 計画購買:来店前から買うと決めている商品(目的買い)。
  • 非計画購買(衝動購買):店内で見て初めて買う商品。関連陳列や動線設計で増やせる
  • 関連購買:おつまみとお酒のように、関連する商品を一緒に買ってもらうこと。関連商品を近くに置くと促せる。
  • バラエティ・シーキング:同じカテゴリー内でいろいろな種類を試したいという欲求。 こうした商品は同じ売場にまとめて陳列すると、複数同時購入の機会が増える。

📝 過去問はこう出る(R05 第29問) 酒販店の売場づくりを題材に、ISMの考え方を問う会話形式の問題。「おつまみをお酒と一緒に買ってもらう」= 関連購買を促す商品配置が買上点数増に効果的、バラエティ・シーキングされやすい商品は同一売場にまとめる、 といったISMの定石が問われました。「歩く距離・見る量・買う点数を増やす」という本章共通の軸で解けます。 → R05 第29問


10-4 照明・色彩・什器・ファサード

演出の細部です。とくに照明は数値まで問われるので、ここは腰を据えて暗記しましょう。

照明の3つの性質:照度・光色・演色性 ★数値注意

照明を語る用語は、明るさ・色み・色の見え方の3つに整理できます。混同を狙う問題が定番です。

用語 何を表すか 単位・指標 ひとことで
照度 照らされた面の明るさ ルクス(lx) どれだけ明るいか
光色(色温度) 光源そのものの色み 色温度=ケルビン(K) 電球色〜昼光色
演色性 光が物の色をどれだけ忠実に見せるか 平均演色評価数(Ra) 自然光に近いほど高い
  • 照度=明るさ。単位はルクス(lx)。ワット(W)は消費電力の単位で、照度ではありません(ひっかけ定番)。
  • 光色(色温度)=光源の色み。色温度が低いと赤みの電球色(暖かい雰囲気)、高いと青白い昼光色(さわやか)。 =色温度が高いほど青白く、低いほど赤い。感覚と逆になりやすいので注意。
  • 演色性=物の色の見え方。指標は平均演色評価数(Ra)で、100に近いほど自然光に近く、色が忠実に見えます。

JISの維持照度・演色性の推奨値(暗記)

場所 照度(維持照度の推奨値) 演色性(Ra)の推奨最小値
商店(一般共通事項)の重要陳列部 750 ルクス 80
大型店(百貨店・量販店)の重要陳列部 2,000 ルクス 80

📝 過去問はこう出る(H27 第25問 / H30 第24問) H27 第25問は用語の穴埋め。「明るさ=照度」「光源の色み=光色」「物の色の見え方=演色」の 組み合わせ(=A照度・B光色・C演色)が正解でした。 H30 第24問数値まで問う問題。照度の単位はルクス(ワットではない)、大型店の重要陳列部は 2,000ルクス(商店の750より高い)、色の見え方の指標は平均演色評価数(Ra)("平均光色評価数"は誤り)。 数値と単位をセットで覚えておくと確実に取れます。 → H27 第25問H30 第24問

⚠️ 混同注意:「光色」と「演色」 - 光色光源そのものの色み(電球色・昼光色)。指標は色温度(K)。 - 演色=光が照らした物の色の見え方。指標は平均演色評価数(Ra)。 「物の色の見え方」を"光色"、「光源の色み」を"演色"と入れ替えるのが定番のひっかけです。

色彩の基礎:三属性・進出/後退・膨脹/収縮・見つけやすさ

色はPOP・売場演出で問われます。用語を正確に。

  • 有彩色/無彩色:赤・青・黄など色みを持つ色が有彩色、白・灰・黒など色みのない色が無彩色 ("多彩色"という用語は誤り)。
  • 色の三属性=色相・明度・彩度。このうち無彩色にも「明度」はある(白〜黒の段階)。 無彩色に無いのは色相と彩度
  • 進出色/後退色:手前に進出して見える色が進出色(暖色・高明度・高彩度)、 奥に後退して見える色が後退色(寒色)。
  • 膨脹色/収縮色:実際より大きく見える色が膨脹色(明度が高い・暖色)、小さく見えるのが収縮色。
  • 可読性:文字と背景の明度のコントラスト(差)を大きくするほど、可読性は向上します(下げると読みにくい)。

見つけやすさ・分かりやすさの用語(混同注意)

用語 意味
誘目性 特に探していない人の注意を、思わず引きつける目立ちやすさ
視認性 探している人が、遠くからでも見つけやすい・際立って見える性質
明視性 形や細部が認めやすく、意味・情報が判別しやすい性質
識別性 複数の対象を見分けやすい性質

📝 過去問はこう出る(R07 第27問 / H29 第30問) R07 第27問は色彩の基礎用語。正解は「明度が高い色は大きく見える=膨脹色」。 「有彩色を"多彩色"」「進出色と後退色が逆」「無彩色に明度が無い」「コントラストを強めると可読性が低下」は すべて誤りでした。 H29 第30問は「注意を向けている人が遠くからでも見つけやすい=視認性」「細部・情報が判別できる=明視性」。 誘目性(探していない人を引きつける)との違いが急所です。 → R07 第27問H29 第30問

什器(じゅうき)とファサード

  • 什器:商品を陳列するための器具・備品の総称(ゴンドラ、ショーケース、ハンガーラック、スタンドなど)。 売る商品と業態に合わせて選びます(例:見せて売る商品はショーケース、大量販売はゴンドラ)。
  • ファサード:店の正面・店構えのこと。看板・入口・ショーウインドーなど、店の"顔"です。 通行客に「入ってみよう」と思わせる第一印象を担い、VP(Visual Presentation)とも密接に関係します。

💡 覚え方:この章の細部は「明かり(照明)→ 色 → 器(什器)→ 店構え(ファサード)」の順で、 お客さまが店に近づき、中に入り、商品を手に取るまでを演出する道具だてだと捉えると整理しやすくなります。


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • 客動線は長く/作業動線は短く(設計の向きが逆。全部短く、はバツ)
  • ☐ 客動線を伸ばす=計画購買品を奥に置く/パワーカテゴリーは分散/外周を大回り
  • ☐ 各階の生の通行量はそのまま比較できない(シャワー効果など構造条件を補正)
  • ☐ レイアウト4型:グリッド(格子)/フリーフロー(自由回遊)/ワンウェイ(一方通行)/レジ前
  • ワンウェイ=動線を"長く"して全売場を通らせる("最短"にする、はバツ)
  • 重点商品はフェイス数を増やす(露出↑・欠品↓ → 販売増)
  • ☐ レジ前は低単価の衝動品(ついで買い)
  • ☐ 陳列2分類:補充型(オープンストック)=定番の効率補充/展示型(ショーディスプレイ)=提案
  • ☐ マネキンに着せる=マネキン(ボディ)陳列(スタンド陳列ではない)
  • カットケース陳列=ボリューム・低価格(高級感ではない)
  • ゴールデンゾーン=棚の見やすい高さ(約85〜150cm)。通路幅とは無関係
  • 棚割(プラノグラム)の目的=フェイシングで売上・回転率を上げる
  • VMDの3区分:VP(全体で誘引)→ PP(売場で立寄)→ IP(棚で選ばせる)
  • ネガティブスペース=意図的な余白(価値訴求・グルーピング明確化・視認率↑)
  • ☐ ISM:関連購買・非計画購買・バラエティ・シーキングで買上点数を増やす
  • ☐ 照明3性質:照度=ルクス(lx)/光色=色温度(K)/演色性=Ra
  • ☐ JIS:商店の重要陳列部750lx、大型店2,000lx、演色Ra80
  • 色温度は高いほど青白く、低いほど赤い
  • ☐ 色:有彩色/無彩色、三属性=色相・明度・彩度(無彩色にも明度あり)、膨脹色=高明度、コントラスト大で可読性↑
  • 誘目性(探してない人を引く)/視認性(探してる人が見つけやすい)/明視性(内容が分かる) の区別

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H19 第22問 店舗レイアウトの考え方(通行量の補正) 問題
H27 第30問 客の動線長をのばす施策 問題
R07 第29問 セルフサービス店舗の売場づくり(フェイス管理) 問題
H23 第31問 補充型陳列と展示型陳列 問題
H24 第29問 商品陳列方法とメリット 問題
H24 第31問 棚割(プラノグラム) 問題
R03 第29問 VMDの3区分(VP・PP・IP) 問題
R06 第32問 VMDにおけるIP(アイテム・プレゼンテーション) 問題
R07 第30問 VMDとネガティブスペース 問題
R05 第29問 インストア・マーチャンダイジング(売場づくり) 問題
H27 第25問 店舗照明(照度・光色・演色) 問題
H30 第24問 照明の基礎知識(照度の数値) 問題
R07 第27問 売場の色彩(POP・演出) 問題
H29 第30問 売場の色彩(視認性・明視性) 問題

次章予告 ▶ 第11章「店舗立地と商業集積・法規制」 本章では店舗の"内側"(施設・レイアウト)を扱いました。次章は視点を店の"外側"へ広げ、 どこに店を出すか(立地)と、それを取り巻くルールを学びます。頻出の 大規模小売店舗立地法(大店立地法)用途地域と建築できる店舗商店街・商業集積、 そして防火管理などの法規制を、過去問に沿って整理します。