第4章 ラインバランシングとスケジューリング

この章のねらい 生産ラインを「どう組むか(ラインバランシング)」と、たくさんの仕事を「どんな順番で流すか(スケジューリング)」を学びます。 前者は流れ作業の効率を、後者は納期・待ち時間をコントロールする話です。 どちらも計算問題として出るのが最大の特徴で、公式を覚えて手を動かせば確実に得点できる分野です。

過去問での出方:運営管理ではほぼ毎年このテーマから出題されます。とくに 編成効率(バランス効率)の計算は超頻出(H22・H25・R03・R04・R05・R06…)。 スケジューリング(ジョンソン法・ディスパッチングルール)も数年に一度出ます。 用語(サイクルタイム・タクトタイム・バランスロス)の定義を問う問題(H28・R07)も定番です。 計算は「公式に当てはめるだけ」なので、苦手にせず取りにいくのが合格の近道です。


4-0 この章の地図

この章は、「1本のラインをどう組むか」→「複数の仕事をどう並べるか」→「プロジェクト全体をどう管理するか」の 順に進みます。前半(4-1)が計算の主戦場です。

4-1 ラインバランシング     … 1本のラインの中を"均等割り"する(★計算の主役)
   │  サイクルタイム/編成効率/バランスロス/ピッチダイヤグラム
   │
4-2 スケジューリング       … たくさんの仕事を"どの順で"流すか
   │  ジョンソン法(2工程の順序)/ディスパッチングルール(優先順位)
   │
4-3 プロジェクトの日程管理  … 大きな仕事全体の進み具合を管理する
      ガントチャート

💡 用語の交通整理:この章の主役は「時間」です。まぎらわしい3つの「◯◯タイム」を最初に区別しておきましょう。 - サイクルタイム=ラインから製品が1個出てくる時間間隔(=一番忙しい工程の作業時間) - タクトタイム=必要生産量から逆算した「1個をこの時間で作らねばならない」という目標ペース - ピッチタイム=サイクルタイムとほぼ同じ意味で使われる(=各工程に割り当てる基準時間)


4-1 ラインバランシング

そもそも「ライン生産」とは

ライン生産とは、ベルトコンベヤなどに沿って製品を流し、各作業者(または各工程)が 決められた作業だけを繰り返す生産方式です。自動車の組立ラインが典型例です。

このとき、ラインを構成する一つひとつの作業の単位をワークステーション(工程・ステーション)と呼びます。 問題は、各ステーションの作業時間をできるだけ均等にそろえることです。 なぜ均等が大事なのか——ここがラインバランシングの出発点です。

【均等でないライン】        【うまくバランスさせたライン】
工程1 ■■■■■(5分)         工程1 ■■■■(4分)
工程2 ■■(2分)  ← 手待ち   工程2 ■■■■(4分)
工程3 ■■■(3分) ← 手待ち   工程3 ■■■■(4分)
   ↑ 工程1がボトルネック       ↑ どの工程も同じ → ムダが少ない

作業時間がバラバラだと、一番遅い工程(ボトルネック工程)に他の工程が引きずられ、 早く終わった工程は手待ち(遊休)になってしまいます。この手待ちのムダを減らすために、 各ステーションの負荷(作業時間)をならして割り付けること——これがラインバランシング(LOB:Line of Balancing)です。

サイクルタイム ― ラインの「拍(はく)」

サイクルタイム(CT)とは、

ラインから製品が1個ずつ産出されていく時間間隔(=資材を投入する時間間隔)

のことです。ピッチタイムとも呼ばれます。ラインの「拍(リズム)」だと思ってください。 サイクルタイムは、一番作業時間の長い工程(ボトルネック工程)の作業時間で決まります。 どんなに速い工程があっても、ライン全体は一番遅い工程のペースでしか流れないからです。

サイクルタイムは、必要な生産量から逆算して求めることもできます。

サイクルタイム = 正味稼働時間 ÷ 生産量

例えば、正味8時間(=28,800秒)で480個作りたいなら、CT=28,800÷480=60秒。 「60秒に1個ずつ完成させれば間に合う」という意味です。

💡 タクトタイムとの違い(R07 第7…ではなく第21問で出題) タクトタイムは「必要生産数から逆算した目標ペース」で、計算式はサイクルタイムと同じ (=稼働可能総時間 ÷ 必要生産数)。実務では「これを目標にラインを組む」というあるべき値をタクトタイム、 「実際に組んだ結果のラインの拍」をサイクルタイムと呼び分けます。試験の計算では同じ割り算でOKです。

📝 過去問はこう出る(R07 第21問:タクトタイム) 「20日/月・7時間/日・稼働、月2,000個必要」のときのタクトタイムを求める問題。 ステップで計算します。 1. 総稼働時間=20日 × 7時間 = 140時間 = 140 × 3,600 = 504,000秒 2. タクトタイム=504,000秒 ÷ 2,000個 = 252秒/個 答えは「200秒以上300秒未満」の範囲。時間の単位を秒にそろえるのがポイントです。 → R07 第21問

編成効率(バランス効率)― 最頻出の計算

ラインがどれだけうまくバランスできているかを示す指標が編成効率(バランス効率)です。 この章で一番よく出る計算なので、公式を完全に覚えてください。

編成効率 = (各工程の作業時間の総和) ÷ (工程数 × サイクルタイム)

= Σ作業時間 ÷(n × CT)  ※n=工程数(ワークステーション数)

なぜこの式になるのか(イメージ):分母の「工程数 × サイクルタイム」は、 「全工程がサイクルタイムいっぱいまでフル稼働したと仮定した場合の総時間」=理論上の最大の作業容量です。 分子は実際に仕事で埋まっている時間。だから「埋まっている割合=効率」になるわけです。

                 実際の作業(Σ作業時間)
編成効率 = ────────────────────────────
            工程数 × サイクルタイム(=容量の箱の大きさ)

   工程1 [■■■■□]  □=手待ち(バランスロス)
   工程2 [■■■■■]  ← ボトルネック(=CTを決める工程。手待ちゼロ)
   工程3 [■■■□□]
        └─CT─┘

計算の手順(H22 第8問で確認)

H22 第8問は、サイクルタイム50・工程数5・作業時間の合計235のケースでした。 手順は次の3ステップです。

  1. Σ作業時間を出す:各ステーションの作業時間をすべて足す → 235
  2. 分母を計算:工程数 × CT = 5 × 50 = 250
  3. 割り算:編成効率 = 235 ÷ 250 = 0.94(94%)

📝 過去問はこう出る(H22 第8問:編成効率) 正解は0.94。ひっかけの選択肢(0.90・0.92・0.96)は、Σ作業時間を225・230・240と 読み違えた場合の値です。足し算のミスさえしなければ確実に取れます。 → H22 第8問

サイクルタイムを自分で求めてから編成効率を出すパターン(R03 第5問)

問題によっては、サイクルタイムが直接与えられず、自分で計算する必要があります。 R03 第5問がこのタイプでした。

  1. 利用可能時間を出す:8時間 × 60分 × 25日 × 稼働率0.9 = 10,800分
  2. サイクルタイムを出す:10,800分 ÷ 864個 = 12.5分/個 (これは一番長い工程3の12.5分と一致 → ボトルネックがCTを決めている確認)
  3. 総作業時間を足す:11.3+11.2+12.5+11.5 = 46.5分
  4. 編成効率:46.5 ÷(4 × 12.5)= 46.5 ÷ 50 = 0.93(93.0%)

📝 過去問はこう出る(R03 第5問:編成効率の範囲) 答えは「90.0%以上」。サイクルタイム=ボトルネック工程の時間という理解ができていれば、 与えられた稼働条件からCTを逆算できます。 → R03 第5問

混合品種ラインは「加重平均」で(H25 第9問)

1本のラインで複数種類の製品を作る混合品種組立ラインでは、 製品ごとに総作業時間が違います。この場合、生産量で加重平均した「平均総作業時間」を分子に使います。

平均総作業時間 = Σ(製品の総作業時間 × 生産量)÷ Σ生産量

H25 第9問(CT150秒・10ステーション)の計算:

  1. 分子の合計=(1,450×1,000)+(1,450×1,000)+(1,400×2,000)=5,700,000
  2. 生産量の合計=1,000+1,000+2,000=4,000個
  3. 平均総作業時間=5,700,000 ÷ 4,000 = 1,425秒
  4. 編成効率=1,425 ÷(150 × 10)=1,425 ÷ 1,500 = 0.95

📝 過去問はこう出る(H25 第9問:混合品種の編成効率) 正解は0.95。単純に3製品の作業時間を平均するのではなく、生産量の多い製品を重く見る(加重平均)のがカギ。 → H25 第9問

バランスロス ― 手待ちの割合

バランスロス(バランスロス率)は、編成効率の裏返しで、手待ち(遊休)の割合を表します。

バランスロス率 = 1 − 編成効率

編成効率が0.875(87.5%)なら、バランスロス率=1−0.875=0.125(12.5%)。 「12.5%は手待ちでムダになっている」という意味です。

📝 過去問はこう出る(R05 第6問:バランスロスと生産量) 4工程・総作業時間105秒・CT30秒のライン。ステップは次の通り。 - ⓐ バランスロス:編成効率=105 ÷(4×30)=105÷120=0.875 → バランスロス=1−0.875=12.5% - ⓑ 1時間の生産量:CT30秒で連続生産 → 3,600秒 ÷ 30秒 = 120個/時 「1時間=3,600秒」をサイクルタイムで割ると生産量が出ます。セットで覚えましょう。 → R05 第6問

最小工程数 ― 「最低いくつの工程が必要か」

サイクルタイムが決まると、理論上の最小工程数も計算できます。

最小工程数 = 総作業時間 ÷ サイクルタイム(端数は切り上げ)

例えば総作業時間17分・CT6分なら、17 ÷ 6 ≒ 2.83 → 切り上げて3工程。 「割り切れなくても切り上げる」のがポイントです(3工程より少ないと入りきらないため)。

⚠️ 混同注意:最小工程数の分母は「サイクルタイム」 H28 第6問では、「最小工程数=総作業時間 ÷ 生産速度」という選択肢が誤りとして出ました。 割るのはサイクルタイムであって生産速度ではありません(生産速度はサイクルタイムの逆数で、単位が合わない)。

📝 過去問はこう出る(R01 第5問:CTと最小工程数の組合せ) 「生産計画量380個・稼働40時間(=2,400分)」から、まずCTの上限を出します。 1. CT ≤ 2,400分 ÷ 380個 ≒ 6.3分 → 実行可能なCTは6分(9分では266個しか作れず380個に届かない) 2. 最小工程数=総作業時間17分 ÷ 6分 ≒ 2.83 → 切り上げて3工程 正解は「CT6分・最小工程数3」。必要量を満たせるかでCTを絞り込むのが解法の肝です。 → R01 第5問

ピッチダイヤグラム ― バランスを「見える化」する図

ピッチダイヤグラムとは、横軸に工程(ステーション)、縦軸に作業時間をとり、 各工程の作業時間を棒グラフで並べ、そこにサイクルタイム(ピッチタイム)の高さの線を引いた図です。 ラインバランシングの状態を一目で把握できます。

作業時間
  │
CT┤─────────────────────────  ← サイクルタイム(ピッチタイム)の線
  │ ┌─┐       ┌─┐   ┌─┐
  │ │ │ ┌─┐  │ │   │ │
  │ │ │ │ │ ┌┴┐│ │   │ │
  │ │A│ │B│ │C││D│   │E│
  └─┴─┴─┴─┴─┴─┴┴─┴───┴─┴──→ 工程
      工1  工2  工3    工4  工5

 CTの線と棒の頭のすき間(□の部分)=手待ち=バランスロス
  • 棒がCTの線をはみ出す工程があってはいけません(そこが処理しきれずライン全体を止める)。
  • 線と棒のすき間の合計が、そのままバランスロス(手待ちの総量)を表します。
  • 割付を工夫してすき間を小さくする(=棒の高さをそろえる)のがラインバランシングの目的です。

作業の割付 ― 先行関係を守る(R02・R04・R06)

各作業をどのステーションに割り付けるかは、自由には決められません。 「この作業が終わってからでないと次の作業ができない」という先行関係(順序の制約)を守る必要があります。 そのうえで、各工程の作業時間がサイクルタイムを超えないようにまとめます。

📝 過去問はこう出る(R04 第2問:割付と編成効率) 先行関係を守りつつ各工程をCT(7.0分)以内に割り付ける問題。正しい割付は 「第1:a・b=6.7/第2:c・e=3.7/第3:d=5.7/第4:f・g=6.7/第5:h=4.9」。 誤りの選択肢は先行関係違反CT超過のどちらか。編成効率=27.7 ÷(5×7.0)≒79%。 → R04 第2問

📝 過去問はこう出る(R06 第4問:作業の入れ替えでボトルネック改善) 3工程(第1=10分がボトルネック、第2=7分、第3=9分)のライン。編成効率=26 ÷(3×10)≒86.7%。 ポイントは「ボトルネック工程を軽くしないとサイクルタイムは縮まない」こと。 第2工程のCを増やしてもボトルネックは第1工程のまま → スループットは変わらない(誤り選択肢)。 正解は「作業A(4分)とC(3分)を交換」で第1工程が9分になり、CTが10→9分に短縮されるケース。 → R06 第4問

📝 過去問はこう出る(R02 第16問:生産量が最大になる作業分担) ラインの生産量は一番負荷の重い作業者(ボトルネック)の作業時間の逆数で決まります。 だから「最大作業者時間が最小になる案」が生産量最大。各案の最大作業者時間を比べ、55が最小の案が正解。 ボトルネックに注目するという考え方はライン問題すべてに共通します。 → R02 第16問

📝 過去問はこう出る(H28 第6問:用語の正誤) ラインバランシングの用語・公式の正誤問題。誤りは 「最小工程数=総作業時間÷生産速度」(正しくは÷サイクルタイム)。 一方「サイクルタイム=正味稼働時間÷生産量」「バランスロス率=1−編成効率」は正しい。 定義を正確に覚えていれば解けます。 → H28 第6問


4-2 スケジューリング

スケジューリングとは ― 「どの順で流すか」

スケジューリング(日程計画)とは、複数の仕事(ジョブ、オーダー)を どの機械で・どんな順番で・いつ処理するかを決めることです。 順番を変えるだけで、全部が終わる時間(総所要時間)や納期遅れ、待ち時間が大きく変わります。

まず、生産現場の並び方(工程構成)の2タイプを押さえます。

意味 イメージ
フローショップ すべてのジョブが同じ順序で工程を通る 直列のライン(工程1→工程2→…)
ジョブショップ ジョブごとに通る順序が違う(多品種少量向け) 機械の間を製品が行ったり来たり

ジョンソン法 ― 2工程フローショップの順序決め

ジョンソン法(ジョンソンのアルゴリズム)は、 2つの工程を直列に通る複数ジョブについて、総所要時間(メイクスパン)を最短にする投入順序を求める手法です。

手順(ステップで覚える):

① 全ジョブ・全工程の作業時間の中から、最も短い時間を探す
② その最短時間が…
   ・第1工程にあれば → そのジョブを「できるだけ前」に置く
   ・第2工程にあれば → そのジョブを「できるだけ後ろ」に置く
③ 置いたジョブを除外し、残りで①②を繰り返す
④ 前と後ろから順に埋めていき、全ジョブの順序が決まったら完成

💡 覚え方:「第1工程で短い仕事は先に、第2工程で短い仕事は後に」。 前工程で早く終わる仕事を先に流せば、後工程を早く動かし始められ、 後工程で早く終わる仕事を最後に回せば、ライン全体の"しっぽ"が短くなる——という発想です。

📝 過去問はこう出る(H30 第4問:フローショップのスケジューリング) 2工程フローショップで、投入順序ごとに第2工程の完了時刻をガントチャートで追い、 総所要時間と納期遅れを判定する問題。正解の記述は 「第1工程の作業時間が短い順(B→C→A)に並べると総所要時間は15時間」。 誤り選択肢は総所要時間の数値誤り(14時間)や、「納期遅れがなくなる」という誤った断定。 ガントチャートで完了時刻を1つずつ追うのが確実な解き方です。 → H30 第4問

ディスパッチングルール ― 優先順位のつけ方

ディスパッチングルール(優先規則)は、 機械の前に仕事が複数たまったとき、次にどれを処理するかを決める簡単なルールです。 「何を最小化したいか(目的)」によって、選ぶルールが変わります。代表的なものを覚えましょう。

ルール 略称 内容 得意なこと(目的)
最小加工時間順 SPT 加工(作業)時間が短い順に処理 平均待ち時間・平均流動時間の最小化
最長加工時間順 LPT 加工時間が長い順 (待ち時間は逆に増える)
最早納期順 EDD 納期が早い順に処理 最大納期遅れの最小化
先着順 FCFS 到着(受注)が早い順 公平だが最適化はしない
スラック最小順 余裕時間(納期−残作業)が小さい順 納期遅れの抑制

⚠️ ここが引っかけ:目的とルールの組合せ - 待ち時間・流動時間を最小にしたい → SPT(最小加工時間順) - 納期遅れを最小にしたい → EDD(最早納期順) この2つの取り違えが定番の引っかけです。「待ち時間ならSPT、納期ならEDD」とセットで暗記しましょう。

📝 過去問はこう出る(R05 第9問:待ち時間最小のルール) 1台の設備で複数ジョブを連続処理するとき、待ち時間合計(平均流動時間)を最小にするルールを問う問題。 正解はSPT(最小加工時間順)。1機械問題では、短い作業を先に出すほど後続すべての待ちが小さくなるため、 SPTが総待ち時間を最小にすることが理論的に証明されています。 LPT(長い順)は逆に待ちが最大化、EDD(納期順)は「納期遅れ」用で目的が違う、という切り分けがカギ。 → R05 第9問

(参考)小売・物流のLSP ― 人の作業スケジューリング

スケジューリングの考え方は、工場だけでなく小売店・物流センターの人員配置にも使われます。 LSP(Labor Scheduling Program:労働(力)スケジューリング)は、 作業量を予測し、それに見合う作業時間・人員を割り当てる仕組みです。

  • 作業を標準化・計測して標準時間を設定し、必要人時(にんじ)を見積もる。
  • 作業量は売上・来店客数・入出庫量に連動して変動する → 販売・仕入計画と連動させる必要がある。
  • ねらいは人件費削減だけでなく、品切れ防止やレジ待ち短縮など顧客サービス改善にもある。

📝 過去問はこう出る(H19 第24問/H23 第38問:LSP) H19 第24問(店舗)は「最も不適切」を選ぶ問題で、誤りは 「LSPの作業量は販売・仕入計画と連動しなくともよい」。 LSPは売上・仕入量に応じて必要人時が変動するため、連動が前提です。 H23 第38問(物流センター)は、LSPに必要な情報でないものを選ぶ問題で、正解は 「配送先の立地情報」(=センターの輸配送の話で、センター内作業の要員計画には不要)。 入出庫予定数量・作業の標準時間・保管ロケーションなどは必要な情報です。 → H19 第24問H23 第38問


4-3 プロジェクトの日程管理 ― ガントチャート

ラインやジョブの順序決めに対し、建設・システム開発・新製品開発のような「大きな1回限りの仕事(プロジェクト)」では、 全体の進み具合を管理する道具が必要です。その代表がガントチャートです。

ガントチャート(バーチャート)とは

ガントチャートとは、横軸に時間、縦軸に作業(タスク)をとり、 各作業の開始から終了までを横棒(バー)で表した図です。バーチャートとも呼ばれます。

作業        | 4/1   4/5   4/10  4/15  4/20
────────────┼──────────────────────────────
設計 A      |■■■■
部品調達 B  |    ■■■■■■
組立 C      |            ■■■■■
検査 D      |                  ■■■
            |  ↑今日     予定と実績を並べて進捗を確認
  • 長所:作りやすく、進捗が一目でわかる(誰でも読める)。予定と実績を上下に並べて遅れを可視化できる。
  • 短所:作業と作業の前後関係(依存関係)が表現しにくい。 「どの作業が遅れると全体が遅れるか(=クリティカル・パス)」がわからない。

⚠️ 混同注意:ガントチャート と PERT/CPM のすり替え これは第1章(企業経営理論)でも出た定番の引っかけです。 - ガントチャート=単純な横棒の進捗図。作業の前後関係やクリティカル・パスは示せない。 - PERT/CPM(アローダイアグラム)=作業を矢印でつなぎ、クリティカル・パス(最長経路=全体の所要期間を決める経路)を求める手法。 「コンピュータでクリティカル・パスを明らかにする…」と書いてあれば、それはPERT/CPMの説明であって ガントチャートではありません。クリティカル・パス=PERT/CPMと紐づけて覚えましょう。 (PERT/CPMそのものの詳しい計算は、日程管理の応用論点として別途扱われます。)


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • サイクルタイム(CT)=製品が1個出てくる時間間隔=一番遅い工程(ボトルネック)の作業時間
  • ☐ CT=正味稼働時間 ÷ 生産量でも求められる
  • タクトタイム=稼働可能総時間 ÷ 必要生産数(計算はCTと同じ/単位を秒にそろえる)
  • 編成効率 = Σ作業時間 ÷(工程数 × サイクルタイム)(★最頻出)
  • バランスロス率 = 1 − 編成効率(=手待ちの割合)
  • 最小工程数 = 総作業時間 ÷ サイクルタイム(端数は切り上げ/分母は"生産速度"ではない)
  • ☐ 混合品種ラインは生産量で加重平均した平均総作業時間を分子に使う
  • ☐ 1時間の生産量=3,600秒 ÷ サイクルタイム
  • ☐ 作業割付は先行関係を守り、各工程をCT以内にまとめる
  • ピッチダイヤグラム=工程別作業時間の棒グラフ+CTの線(すき間=バランスロス)
  • ジョンソン法=2工程フローショップの総所要時間最短化(第1工程で短い→前、第2工程で短い→後ろ)
  • SPT(最小加工時間順)=待ち時間・流動時間の最小化EDD(最早納期順)=納期遅れの最小化(取り違え注意)
  • LSP=作業量予測に基づく人員スケジューリング(売上・入出庫量に連動/配送先立地は不要)
  • ガントチャート=横棒の進捗図(前後関係・クリティカル・パスは示せない)/クリティカル・パス=PERT/CPM

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H19 第14問 フローショップのサイクルタイム(ブロッキング) 問題
H19 第24問 労働スケジューリングプログラム(LSP) 問題
H22 第8問 ラインバランシングの編成効率 問題
H23 第38問 LSP(物流センター)に必要な情報 問題
H25 第9問 混合品種組立ラインの編成効率(加重平均) 問題
H28 第6問 ラインバランシング(用語・公式の正誤) 問題
H30 第4問 フローショップのスケジューリング(順序) 問題
R01 第5問 サイクルタイムと最小作業工程数 問題
R02 第16問 作業分担と生産量(ボトルネック) 問題
R03 第5問 ライン編成効率の範囲 問題
R04 第2問 作業割付とライン編成効率 問題
R05 第6問 バランスロスと生産量 問題
R05 第9問 ディスパッチングルール(待ち時間最小=SPT) 問題
R06 第4問 ライン編成(ボトルネックの改善) 問題
R07 第21問 タクトタイム 問題

次章予告 ▶ 第5章「生産現場の管理(IE・作業研究)」 本章では「ラインをどう組み、仕事をどう並べるか」を学びました。次章では、その一つひとつの作業を どう測り、どうムダを省くか——IE(インダストリアル・エンジニアリング)の世界に入ります。 作業研究(方法研究・作業測定)、標準時間、稼働分析など、現場改善の道具箱を扱います。