書き方

2次試験の解答は、7つの型で書ける

このページのねらい

2次試験で「何を書くか」は分かっていても、どう書き出し、どう並べ、どう締めるかで手が止まる——これは独学者に共通するつまずきです。用語集は語彙、フレームワーク集は考える枠組みを扱いますが、日本語の組み立て方を扱ったページはこれまでありませんでした。

そこで、当サイトに掲載している事例Ⅰ〜Ⅲ13年分・218の解答例を機械的に抽出し、書き出し・接続・文末のパターンを集計して、7つの型に整理しました。各型には骨格テンプレートと、過去問の解答例を実例として添えています。

型は、覚えるものではなく迷ったときに戻る場所です。演習のたびに型と照らし合わせれば、本番で書き出しに迷う時間がなくなります。

目次

  1. 数字で見る解答文
  2. すべての型に共通する3原則
  3. 7つの型とテンプレート
  4. 字数別の要素数の目安
  5. 事例別・締めの語彙
  6. やってはいけない書き方

1. 数字で見る解答文当サイト掲載の事例Ⅰ〜Ⅲ13年分を集計

218解答例
(事例Ⅰ70・Ⅱ75・Ⅲ73)
89平均字数
(中央値97字)
73設問文に
「助言」を含む問題
7解答文の型

設問文に含まれる語を数えると、助言73問、理由24問、強み24問、課題20問、要因11問、効果10問、メリット8問、問題点7問。2次試験の設問は、この数語のどれかで題意が決まります。まず設問文からこの語を拾い、対応する型を選ぶのが解答作成の第一歩です。

2. すべての型に共通する3原則

① 書き出しで題意に直答する

「理由は」「課題は」「施策は」と、設問の語をそのまま使って書き始める。採点者に「題意を理解している」と最初の5字で伝わります。

② 因果でつなぐ

218例中30例が「〜ため」を使用。根拠 → 打ち手 → 効果を「〜により」「〜ことで」でつなぎ、単語の羅列にしないこと。

③ 効果で締める

打ち手を並べて終わらせない。最後の一文を効果に使うと、因果が閉じて解答が完成します。

複数要素を書くときは、①②③で番号を振るのも共通の作法です(218例中18例)。採点者に要素の数が見え、書く側も字数配分を管理しやすくなります。

3. 7つの型とテンプレート

型 1理由・要因型

設問文に「理由」24問・「要因」11問

「なぜそうしたのか」「なぜそうなったのか」を問う型。もっとも題意を外しやすく、助言を書いてしまう事故が多い。

骨格
理由は、【与件の事実・制約】であり、【それが生んだ作用】のためである。
過去問の解答例
令和3年度 事例Ⅰ 第1問 の解答例理由は、印刷機の普及で印刷が安価・大量化し設備投資の負担と価格競争が激化したため。設備を持たず外部の専門協力企業に各工程を委託し、高品質な美術印刷に特化して差別化を図る狙いである。この問題を見る →
平成26年度 事例Ⅰ 第4問 の解答例要因は、より高精度な製品への進化に伴い高い製造技術が求められた事を契機に、博士号取得者の採用や研究室開設で研究開発力を強化し、製造設備の改良と製造技術の向上を進め、高度な加工精度を実現できた事である。この問題を見る →
書くときの注意
  • 打ち手を書かない。「〜すべきである」と書いた時点で題意から外れる。
  • 与件の時制に注意する。過去の経緯を問われているのか、現在の状態を問われているのか。
  • 「〜ため」「〜からである」で明確に理由の形にして終える。

型 2課題・問題点型

「課題」20問・「問題点」7問

現状と、あるべき姿とのギャップを指摘する型。多くは「課題(問題点)+その対応策」をセットで書かせる。

骨格
課題は【ギャップ】。対応策は、①【打ち手】②【打ち手】。これにより【効果】
過去問の解答例
平成30年度 事例Ⅲ 第3問 の解答例問題点は、生産を原則週1回計画しロットを受注量より大きく設定するため製品在庫が過大になる点。改善策は、計画策定を日次など短サイクル化し、段取り短縮を前提にロットを小さくして生産頻度を上げ、納品数量に合わせ作り過剰在庫を削減する。この問題を見る →
平成27年度 事例Ⅲ 第2問 の解答例問題点は、鋳造の能力過剰で後工程の機械加工工程がネックとなり、仕掛品が滞留して運搬や加工を妨げ、製造リードタイムが長期化し納期遅延を招く点。改善策は機械加工工程の能力増強と仕掛品削減で工程を同期化する。この問題を見る →
書くときの注意
  • 「課題」と「問題点」は書き分ける。問題点は現状のまずさ、課題は解決すべきテーマ。設問の語をそのまま使う。
  • 対応策まで求められているかを確認する。求められていなければ課題だけで止める。
  • ギャップは与件の記述で裏づける。一般論の問題点は加点されにくい。

型 3強み・特徴型

「強み」24問

SWOT分析や、企業の特徴・優位性を問う型。字数が短いことが多く、要素を詰め込む必要がある。

骨格
強みは、①【技術・資源】②【関係性・体制】(体言止めで列挙)
過去問の解答例
平成26年度 事例Ⅲ 第1問 の解答例強みは評価の高い超精密・超小型加工技術と熱処理・メッキを含む一貫生産体制。弱みは売上の約9割をX社に依存する取引構造である。この問題を見る →
令和4年度 事例Ⅰ 第1問 の解答例強みは、高品質な苺や有機野菜の生産技術と有機JAS・JGAP認証、経験豊富な従業員の連携、菓子メーカーとの商品開発力である。弱みは、役割分担の曖昧さ、需給調整の難しさ、従業員定着率の低さである。この問題を見る →
書くときの注意
  • 体言止めで詰める。「〜である」を繰り返すと字数が足りなくなる。
  • 強みは他社と比べて優れている点。自社にあるだけの事実は強みではない。
  • 後の設問でその強みを使うことが多い。ここで挙げた強みと、助言問題の打ち手を一貫させる。

型 4助言・提案型

設問文に「助言」73問(最多)

2次試験でもっとも多い型。与件の企業に対して、診断士として打ち手を提案する。列挙と効果の明示が得点の分かれ目。

骨格
施策は、①【誰に・何を・どのように】②【同】③【同】。これにより【効果】を図る。
過去問の解答例
令和4年度 事例Ⅰ 第2問 の解答例施策は、①明確な役割分担と作業の標準化・マニュアル化で未経験者も働きやすくし、②教育・OJTやベテランの技術承継で育成し、③公正な評価・処遇と地域への溶け込み支援を行い、帰属意識を高め定着させる。この問題を見る →
令和4年度 事例Ⅲ 第3問 の解答例対応策は、①プレス加工の段取作業を外段取り化・標準化し小ロット生産に対応する。②大ロット固定の生産計画を確定受注量に応じた計画に見直し過剰在庫を削減する。③多能工化と応援体制で能力制約を緩和する。この問題を見る →
書くときの注意
  • 与件にない打ち手を書かない。一般論の助言は、それらしく読めても加点されにくい。
  • ①②③で並べる。採点者に要素が見える形にする。
  • 最後は必ず効果で締める。打ち手の羅列で終わると因果が切れる。

型 5メリット・デメリット型

「メリット」8問

ある選択肢を採った場合の利点と欠点を問う型。両方を対称に書けているかが見られる。

骨格
メリットは、①【利点】②【利点】。デメリットは、①【欠点】②【欠点】
過去問の解答例
平成26年度 事例Ⅲ 第3問 の解答例メリットは、①X社の国内調達を1社に集約され受注が拡大・安定する事、②業務委託費という新たな収益を得られる事、③顧客の発注情報をオンラインで直接入手でき、需要変動への対応力が高まる事である。この問題を見る →
書くときの注意
  • 数を揃える。メリット3つ・デメリット1つのような非対称は、配点の取りこぼしになる。
  • デメリットはリスクの指摘で終わらせず、可能なら与件の事情に結びつける。
  • 字数が厳しいときは、各1〜2要素に絞って両方を必ず書く。

型 6効果型

「効果」10問

打ち手がもたらす結果を問う型。直接の効果と、経営上の効果の二段で書けると厚みが出る。

骨格
効果は、【直接の効果】により、【経営上の効果】
過去問の解答例
平成28年度 事例Ⅱ 第3問 の解答例メリットは、料理を通じ自社製品の味や使い方を顧客に直接体験・訴求でき認知度とブランドを高められる点。効果は、来店客の反応や嗜好を直接把握して新製品開発や品揃え改善に活かし、顧客との関係を強化できる。この問題を見る →
書くときの注意
  • 二段で書く。「作業時間が減る」で止めず、「生産性が向上し短納期化できる」まで進める。
  • 事例ごとに締めの語彙が違う(下の表を参照)。
  • 効果は定量的に書ける場合は数字を使うと具体性が出る。

型 7違い・比較型

「違い」4問

自社と競合、過去と現在、A案とB案などを比較する型。出題数は少ないが、書き方を知らないと崩れる。

骨格
【A】【特徴】であるのに対し、【B】【特徴】である。
過去問の解答例

※ 出題数が少なく、掲載中の解答例に代表例がないため、骨格のみ示します。

書くときの注意
  • 比較の軸を先に決める。価格なのか、対象顧客なのか、体制なのか。
  • 両者を同じ軸で書く。Aは価格、Bは品揃えの話、では比較になっていない。
  • 「〜のに対し」という対比の接続を使うと、採点者に構造が伝わる。

4. 字数別の要素数の目安

指定字数要素数書き方の目安
40字1要素理由か効果を1つだけ。修飾は削る。
60字1〜2要素因果1本+補足1つが限界。
80字2要素①②の列挙か、根拠+打ち手+効果の3点セット。
100字2〜3要素もっとも多い字数。①②で並べ、最後に効果。
120字3要素①②③の列挙が収まる。
150字3〜4要素要素を並べたうえで、効果を1文で締められる。

要素を詰め込みすぎると因果が消え、少なすぎると字数が余ります。骨子の段階で要素数を決めてから書き始めると、書き直しがなくなります。当サイトの解答例の平均は89字・中央値97字で、100字前後が2次試験の標準的な解答単位です。

5. 事例別・締めの語彙218の解答例での登場数

事例解答例によく出る語締め方の例
事例Ⅰ
組織・人事
育成 13件 / 定着 9件 / 権限(委譲)10件 / 評価 7件 / 後継者 5件 / 帰属意識・一体感 4件「〜により士気を高め、定着率を向上させる」「〜し、次世代の育成と組織の活性化を図る」
事例Ⅱ
マーケ・流通
来店 10件 / 固定客 6件 / リピート 5件 / 客単価 5件 / ブランド 4件 / 口コミ 3件「〜により新規顧客を獲得し、固定客化を図る」「〜し、客単価と来店頻度を高める」
事例Ⅲ
生産・技術
標準化 29件 / 納期 18件 / 品質 12件 / 在庫 11件 / 多能工 9件 / 段取 8件「〜を標準化し、生産性を高めて短納期化する」「〜により在庫を削減し、納期遵守率を高める」

事例Ⅲで「標準化」が29件と突出しているのが象徴的です。事例ごとに、効果を語る語彙がほぼ決まっています。逆にいえば、事例Ⅲの解答に「士気向上」と書いても評価されにくい。事例に合った語彙で締めることが、そのまま得点につながります。

6. やってはいけない書き方

やりがちなことなぜまずいか・どう直すか
与件にない打ち手を書く一般論の助言は、それらしく読めても加点されにくい。必ず与件の記述に紐づける。
題意とズレた形式で書く理由を問われて助言を書く、課題を問われて原因だけ書く。書き出しで題意に直答すれば防げる。
打ち手の羅列で終わる「①〜する。②〜する。」で終わると因果が切れる。最後に効果を置く。
字数が8割に届かない書くことが尽きたら、与件の固有名詞・数値で具体性を足す。空白は0点。
主語・対象があいまい「誰に」「どの部門で」を書く。事例Ⅱは特に、ターゲットの明示が要素になる。

型を身につける練習法

このページの位置づけ 引用している解答例は当サイトが作成したもので、試験実施機関が公表した模範解答ではありません。集計も当サイトの解答例を対象にした独自のものです。型の骨格をつかむ材料として使ってください。
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