🏠 中小企業診断士試験 解答・解説サイト(1次・2次) 2次試験 過去問の部屋

中小企業診断士 第2次試験 / 事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

80分の歩き方

2次試験で差がつくのは、知識量よりも「80分をどう使うか」です。開始の合図から解答用紙を裏返すまでの手順を、5つのフェーズに分けて時刻つきで整理しました。

解答時間 80分 設問数 4問前後 解答字数 400〜600字

Overview

まず、80分の「予算」を決める

2次試験は、時間が余る試験ではありません。与件文を読みながら考え、考えながら書く——という進め方をすると、たいてい最後の1問が字数不足で終わります。先に時間の予算を決めて、その中で作業を打ち切るのが基本方針です。

下の配分は、事例Ⅰ〜Ⅲ(記述中心の事例)を想定した一例です。書く時間に30分を確保しているのがポイントで、ここを削らないために前半の作業を時計で強制終了します。

0分20分40分60分80分
0–3 準備・全体把握
3–15 設問解釈
15–35 与件文読解
35–50 対応づけ・骨子
50–80 記述・最終確認

※ 時間配分に唯一の正解はありません。ここでの配分は「書く時間を先に取り分ける」という考え方を形にしたもので、自分の演習記録に合わせて調整してください。

The 5 Phases

フェーズごとに、やることを1つに絞る

0:00–0:03 3 MIN

準備:読む前に、紙を整える

いきなり与件文に飛び込まない時間です。手を動かすだけの作業なので、緊張していても確実にこなせます。

  • 受験番号を記入し、解答欄の字数を確認する。「100字」か「120字」かで骨子の作り方が変わります。
  • 与件文の各段落に、丸数字で番号を振る。あとで設問と対応づけるときの住所になります。
  • 第1段落と最終段落だけ読む。業種・規模・従業員数と、社長が今何をしたいのかが分かります。
ありがちな失敗焦って与件文を読み始め、内容が頭に入らないまま2周目に突入して10分を失う。最初の3分は「読まない時間」と決めておきます。
0:03–0:15 12 MIN

設問解釈:与件文を読む前に、探すものを決める

2次試験でもっとも費用対効果の高い時間です。与件文を読む前に設問だけを読み、「何を探しに行くのか」をあらかじめ決めてしまいます。ここが空白のまま与件文を読むと、全部が重要に見えてきます。

  • 題意を特定する。理由か、課題か、助言か。「理由を述べよ」に助言を書けば、内容が良くても加点されません。
  • 制約条件に印をつける。「〜を除いて」「〇〇年時点で」「中小企業診断士として」。制約は減点ポイントであり、同時にヒントでもあります。
  • レイヤーを判定する。全社戦略か、事業戦略か、機能戦略(組織・人事/マーケ/生産)か。答えるべき抽象度が決まります。
  • 想定される切り口を余白にメモする。事例Ⅰなら採用・配置・育成・評価・報酬、事例Ⅱなら誰に・何を・どのように・効果、事例Ⅲなら生産計画と生産統制。
ありがちな失敗設問解釈を3分で切り上げて与件文に進み、結局読み直しが増える。ここは急がず、12分使い切るつもりで。
0:15–0:35 20 MIN

与件文読解:探しに行く、拾いに行く

設問という地図ができた状態で読みます。目的は「理解」ではなく「回収」。使えそうな記述に印をつけ、どの設問で使うかを段落の横に書き込んでいきます。

  • 強み・弱み・機会・脅威を色分けする。色は3色で十分です。増やすほど手が止まります。
  • 時制を意識する。創業期・成長期・現在で、組織や取引先がどう変わったか。事例Ⅰは特に、過去の経緯が解答根拠になります。
  • 社長の思い・ビジョンに印をつける。助言問題の方向性は、ほぼここに縛られます。
  • 数値・固有名詞を囲む。従業員数、取引先数、比率、地域名。解答に入れると具体性が出ます。
ありがちな失敗与件文を丁寧に読みすぎて35分を超える。時計が35分を指したら、理解が浅くても次に進みます。不足は骨子作りの段階で拾い直せます。
0:35–0:50 15 MIN

対応づけ・骨子:書く前に、勝負を決める

ここで解答の内容は決まります。残り30分は「決まったものを字数に収める作業」にしたい。逆に言えば、骨子ができていないまま書き始めないということです。

  • 設問番号を与件文の余白に割り振る。どの設問にも使われない段落が多く残っていたら、見落としを疑います。
  • 因果でメモを作る。「根拠(与件)→ 打ち手 → 効果」の3点セットが、記述の最小単位です。
  • 要素数を決める。100字なら2〜3要素、150字なら3〜4要素が目安。要素を詰めすぎると因果が消えます。
  • 切り分けを確認する。複数の設問に同じ内容を書いていたら、どちらかの読み違いです。

骨子メモの例(事例Ⅰ・100字・理由を問う設問)

根拠:④段落 ベテラン依存/技術の属人化 打ち手:OJT+マニュアル化で技術移転 効果:技能継承が進み品質安定 → 受注拡大に対応

↓ この3行を、因果でつないで字数に収める

理由は、技術がベテランに属人化していたためである。OJTとマニュアル化により若手への技術移転を進め、技能継承と品質の安定を図り、受注拡大に対応できる体制を構築するため。

ありがちな失敗骨子を飛ばして書き始め、60字書いたところで「効果が入らない」と気づいて消しゴムを使う。消して書き直す3分は、骨子に使う3分より高くつきます。
0:50–1:20 30 MIN

記述:1問7分で、全問埋める

4問なら1問あたり7分弱、残り2分で最終確認という計算です。書きやすい設問から手をつけて構いません。重要なのは、難問に時間を吸い取られて白紙を作らないこと。2次試験は部分点の試験です。

  • 結論から書く。「理由は〜」「課題は〜」と冒頭で題意に答え、そのあとに根拠と効果を続けます。
  • 指定字数の8割以上を埋める。書くことが尽きたら、与件の固有名詞や数値で具体性を足します。
  • ①②で並べる。複数要素を書くときは番号を振ると、採点者に要素が見えます。
  • 最後の2分で、設問番号のズレと誤字を確認する。解答欄の取り違えは、内容に関係なく失点します。
ありがちな失敗1問目に15分かけ、最後の設問が20字で終わる。時計を見て、7分経ったら書きかけでも次の設問へ移り、余った時間で戻ります。

Case IV

事例Ⅳは、別の時計で動く

事例Ⅳ(財務・会計)は計算問題が中心なので、上の配分はそのまま使えません。方針は「確実に取れる問題を先に確保し、重い問題は後回し」。特にNPV(正味現在価値)は、深追いすると他の問題を巻き添えにします。

事例Ⅳの時間配分(一例)
時刻やること狙い
0:00–0:05全設問を確認し、難易度でA/B/Cに仕分け解く順番を決める。捨てる問題もここで決める
0:05–0:25第1問の経営分析(指標の選定と計算、記述)配点が大きく、毎年出る。ここは満点を狙う
0:25–1:00個別問題をA→Bの順に解く(CVP、キャッシュフローなど)取れる問題から確実に。1問15分を超えたら撤退
1:00–1:15記述問題(リスク、意思決定の留意点など)を埋める計算不要で加点できる。白紙は必ず避ける
1:15–1:20単位・符号・転記の確認百万円か千円か、△(マイナス)の付け忘れがないか

計算過程を書く欄がある問題では、答えが合わなくても過程を書けば部分点の可能性が残ります。時間切れが近いときほど、空欄より途中式です。

Checklist

80分のあいだ、これだけは守る

練習で決めて、本番では決めない

本番で時間配分を考え始めると、それだけで思考の容量を使ってしまいます。この手順は、過去問演習のたびに同じ形で回して、身体に入れておくためのものです。演習後に「どのフェーズが何分かかったか」を記録していくと、自分用の配分に修正できます。

本ページは、過去問演習の進め方を筆者の視点で整理したものであり、試験実施機関の公式見解ではありません。

年度別の過去問・設問文分析は 2次試験 過去問の部屋 に掲載しています。 1次試験を含む総合トップは 中小企業診断士試験 解答・解説サイト へ。