第8章 連結会計
この章のねらい 会社が別の会社を支配下に置く(子会社にする)と、「親会社1社だけの決算書」では グループ全体のお金の実態が見えなくなります。そこでグループをまるごと1つの会社とみなして 作り直すのが連結財務諸表です。この章では、①どこまでをグループに入れるか(連結の範囲)、 ②親会社の投資と子会社の資本をどう相殺し、差額ののれんをどう処理するか、 ③支配までは至らない会社をどう扱う持分法、④グループ内部の取引をどう消すか、を学びます。
過去問での出方:連結会計は財務・会計でほぼ毎年1問出る超・頻出テーマです。 出方は大きく2タイプ。(A)計算問題(のれん・非支配株主持分を電卓で出す)と、 (B)正誤問題(連結のルールを言葉で問う)。どちらもパターンが決まっているので、 本章の手順と数値例を覚えれば、得点源にできる分野です。過去13問を軸に解説します。
8-0 この章の地図
連結会計は「グループを1つの会社とみなして決算書を作り直す」作業です。 その作り直しは、次の4ステップで進みます。この順番を頭に入れておくと迷いません。
8-1 連結の範囲を決める … どの会社を「子会社」として取り込むか(支配力基準)
│ そのうえで
├→ 資本連結(投資と資本の相殺) … 親の「投資」と子の「資本」を消す
│ └→ 差額=のれん(買収プレミアム)を計算し、償却する
│
8-2 持分法/非支配株主持分 … 支配まで至らない会社(関連会社)は持分法
│ 子会社の他人(外部株主)分=非支配株主持分
│
8-3 内部取引の消去 … グループ内部だけの売買・貸借・利益を消す
│ ├→ 債権債務の相殺(売掛金と買掛金など)
│ └→ 未実現利益の消去(在庫に残った"身内の儲け"を消す)
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連結財務諸表の完成
- 8-1〜8-2は「会社をどう合体させるか(合算・のれん・持分法)」の話。
- 8-3は「合体させたあと、グループ内部だけのやり取りを消す」仕上げの話。
まずは「連結=グループを1社にまとめること」という一言をしっかり押さえましょう。
8-1 連結の範囲(支配力基準)と資本連結・のれん
そもそも「連結財務諸表」とは
連結財務諸表とは、ひとことで言えば
「親会社と子会社の集団(企業グループ)を、まるで1つの会社であるかのようにみなして 作り直した決算書」
です。親会社1社の決算書(=個別財務諸表)だけでは、子会社に不良資産を押し付けて 親会社をきれいに見せる、といった操作ができてしまいます。グループ全体で見ないと本当の姿が 分からないので、投資家保護のために連結が求められます。
作り方の出発点は、親会社と子会社の個別貸借対照表を「合算」し、必要な調整を加えることです。 ここで大事なのは、合算するのは親会社と子会社だけという点。関連会社(8-2で登場)は 合算せず、投資勘定に反映するだけなので、合算の対象には入りません(R01 第3問の選択肢エが この点を問いました)。
どこまでを子会社に入れるか ―「支配力基準」
「子会社」かどうかは、株を何%持っているかだけでは決まりません。日本では 支配力基準という考え方で判定します。これは「他の会社の意思決定機関(株主総会など)を 実質的に支配しているか」で見る、という基準です。
具体的には、次のいずれかに当てはまると子会社と判定されます(H23 第6問が出題)。
| 判定パターン | 中身 |
|---|---|
| ① 議決権の過半数を自己所有 | 自分で50%超を持っている(いちばん基本の形) |
| ② 40%以上+実質支配 | 自己で40%以上50%以下を持ち、緊密者・同意者と合わせて過半数 |
| ③ 40%未満でも実質支配 | 自己所有は40%未満だが、緊密者・同意者と合わせて過半数を占め、かつ意思決定機関を支配している事実がある |
⚠️ つまずきポイント:40%未満のときは「過半数」だけでは足りない ③のケース(自己所有が40%未満)は、緊密者・同意者と合わせて過半数になるだけでは子会社と言えません。 それに加えて「役員の過半を送り込んでいる」「重要な融資をしている」といった 支配を裏付ける追加の事実が必要です。ここがH23 第6問の急所でした。
📝 過去問はこう出る(H23 第6問) 「親会社として最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=不適切)は選択肢イで、 「自己所有40%未満の議決権を、緊密者・同意者と合わせて過半数を占めるだけ」で親会社としていました。 40%未満では過半数に加えて「意思決定機関を支配している事実」が別途必要なので、これを欠く記述は誤り。 → H23 第6問
💡 覚え方:株の数ではなく「実質的に牛耳っているか」で判定するのが支配力基準。 だから40%未満でも子会社になり得るし、逆に持株が多くても支配していなければ子会社にならないこともあります。
資本連結 ―「投資」と「資本」を相殺する
親会社と子会社を単純に合算すると、二重計上が起きます。 親会社の資産にある「子会社株式(=投資)」と、子会社の「純資産(=資本)」は、 同じものを親・子の両方から見ているだけだからです。そこで、この2つを相殺して消します。 これを資本連結(投資と資本の相殺消去)と呼びます。
親会社の「子会社株式(投資)」 ←→ 子会社の「資本(純資産)」
この2つをぶつけて相殺 → 消える
ぴったり消えずに残った差額 = のれん
仕訳のイメージ(子会社を100%支配し、投資=資本の場合)は次のとおりです。
(借)資本金・利益剰余金など(子の純資産) ××× (貸)子会社株式(親の投資)×××
のれん ―「買収プレミアム」の正体
多くの場合、親会社は子会社の純資産(正味の財産)より高い値段を払って買収します。 その差額がのれんです。ひとことで言えば
のれん = 買収のために払った金額(取得原価) - 受け入れた純資産(時価評価後)
のプラスの差額で、「超過収益力(=帳簿には載らないブランド力・技術力・顧客基盤など、 将来お金を稼ぐ力)に対して払った上乗せ分」を意味します(R03 第4問の正解肢がこの定義)。
- のれんは無形固定資産として資産に計上します。
- ⚠️自分の会社が自力で築いたブランド(自己創設のれん)は計上できません。 のれんは「お金を払って買った(有償取得した)」場合にだけ資産に載せられます(R03 第4問選択肢ア)。
📝 過去問はこう出る(R03 第4問) 「のれんに関する記述」の正誤問題。正解はウ「のれんは被買収企業の超過収益力に対する対価とみなされる」。 「自己創設のれんも計上できる(×)」「5年以内に償却(×→正しくは20年以内)」 「負ののれんは特別損失(×→特別利益)」がすべて引っかけでした。 → R03 第4問
のれんの償却 ― 日本基準は「20年以内」
計上したのれんは、日本基準では20年以内の効果の及ぶ期間にわたり、 定額法など合理的な方法で規則的に償却します(費用として毎期少しずつ取り崩す)。
⚠️ 混同注意:数字の引っかけが定番 - のれんの償却期間 = 20年以内(「5年以内」「40年」などはすべて誤り。H28 第3問・R03 第4問) - 「中小企業の会計に関する指針」でも、のれんは原則として償却する(「償却しない」は誤り。H28 第3問) ※ なお国際会計基準(IFRS)ではのれんを規則償却せず減損のみで対応しますが、 診断士試験は日本基準(20年以内で償却)を前提に答えます。
負ののれん ― 安く買えたときの「おまけの利益」
逆に、純資産より安く買えることもあります。このとき生じるマイナスの差額が負ののれんです。 負ののれんは負債でも資産でもなく、発生した期の「特別利益(負ののれん発生益)」として、 損益計算書に一括計上します(H25・H28・R03・R05でくり返し問われています)。
⚠️ 負ののれんの2大引っかけ - 「負ののれんを固定負債に計上する」→ 誤り(負債ではない。R05 第4問選択肢ウ) - 「負ののれんは特別損失」→ 誤り(利益です。特別利益。R03 第4問選択肢エ)
計算の手順 ― のれん・負ののれんを出す3ステップ
計算問題は次の3ステップで機械的に解けます。H23 第5問(吸収合併)を例にやってみましょう。
【問題】 1株時価5万円の新株1,000株を発行してX社を吸収合併。X社の合併時の 資産の時価7,000万円、負債の時価4,000万円。のれんはいくらか。
Step1:取得原価(払った金額)を出す
交付株式の時価 = 1,000株 × @5万円 = 5,000万円
Step2:受け入れた純資産を「時価」で出す
資産の時価7,000 - 負債の時価4,000 = 3,000万円 ← ★簿価ではなく時価!
Step3:差額を取る
のれん = 取得原価5,000 - 受入純資産3,000 = 2,000万円(正解:イ)
⚠️ ここが急所①:純資産は「時価」で評価し直す 買収では、受け入れる資産・負債を時価に評価替えしてから純資産を計算します(パーチェス法)。 H25 第6問は、売掛金・棚卸資産・備品をそれぞれ時価に置き換えて純資産を出す問題でした。 受入純資産の時価 = (売掛金150,000+棚卸資産450,000+備品220,000) - 借入金300,000 = 520,000千円 のれん = 買収価額620,000 - 520,000 = 100,000千円(正解:イ)。 簿価のまま計算すると必ず間違えます。
📝 過去問はこう出る(H23 第5問/H25 第6問) どちらも「のれん=取得原価-時価純資産」の一本道。 H23 第5問は取得原価を交付株式の時価(1,000株×@5万=5,000万)で測るのがポイント。 選択肢エ「3,000万円」は"受入純資産そのもの"を答えさせる引っかけでした。 → H23 第5問 / H25 第6問
8-2 持分法と非支配株主持分
「支配」までいかない会社 ― 関連会社と影響力基準
株を持っていても、支配(子会社)とまではいえないが、無視できない影響力を持つ会社があります。 これを関連会社と呼び、影響力基準(財務・営業・事業の方針決定に重要な影響を与えられるか)で判定します。 目安は議決権の20%以上(20%未満でも実質的に重要な影響があれば関連会社)です。
⚠️ 混同注意:子会社と関連会社の判定基準は別物 - 子会社 … 支配力基準(意思決定機関を支配している。過半数所有など) - 関連会社 … 影響力基準(重要な影響を与えられる。20%以上が目安) R01 第3問選択肢アは「40%未満でも重要な影響を与えられれば子会社」としていて誤り。 それは子会社ではなく関連会社の話です。
持分法 ―「一行連結」というやり方
関連会社(や非連結子会社)は、子会社のように資産・負債を合算しません。 代わりに、投資勘定の金額を、持分(もち分)割合に応じた純資産・損益の変動分だけ増減させるという シンプルな方法をとります。これが持分法で、決算書に「1行」だけで反映するので 「一行連結」とも呼ばれます(H26 第8問)。
連結(完全連結)と持分法の違いを整理すると、次のとおりです。
| 連結(子会社) | 持分法(関連会社等) | |
|---|---|---|
| 資産・負債を合算するか | する(まるごと取り込む) | しない(投資勘定の増減だけ) |
| 純資産への反映 | 全部取り込み、外部分は非支配株主持分へ | 自社に帰属する持分相当額だけ |
| 損益への反映 | 全部取り込み、外部分は非支配株主損益へ | 持分割合分だけを「持分法による投資損益」 |
| 別名 | 全部連結・完全連結 | 一行連結 |
📝 過去問はこう出る(H26 第8問) 持分法の正誤問題。正解はウ「純資産のうち投資会社に帰属する部分だけが投資会社の純資産となる」。 「資産と負債を合算する(×=それは連結)」「当期純利益の全額が投資会社の利益になる(×=持分割合分だけ)」 「少数株主損益が計上される(×=持分法では計上されない)」が引っかけでした。 → H26 第8問
⚠️ 表示区分の引っかけ:持分法による投資損益は「営業外」 持分法による投資利益・損失は、連結損益計算書の営業外収益(または営業外費用)に表示します。 「特別利益・特別損失に表示する」は誤りです(R01 第3問選択肢ウ)。
非支配株主持分 ―「子会社の他人(外部株主)の分」
親会社が子会社の株を100%持っているとは限りません。たとえば70%だけ持っている場合、 残り30%は親会社グループ以外の株主(外部株主)が持っています。 この外部株主に帰属する子会社純資産の部分を非支配株主持分(旧・少数株主持分)と呼びます。
- 非支配株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部に表示します。 ⚠️「負債の部」に計上するのは誤り(R05 第4問選択肢ア/R01 第3問選択肢イ)。
- 表示の順序も出題されます。連結の純資産の部は 株主資本 → 評価・換算差額等 → 新株予約権 → 非支配株主持分(旧・少数株主持分)の順です(H19 第5問)。
📝 過去問はこう出る(H19 第5問) 連結貸借対照表の純資産の部の並び順と株主資本の金額を問う問題。 株主資本=資本金10,000+資本剰余金1,000+利益剰余金5,200-自己株式1,600=14,600となり、 かつ「株主資本→評価・換算差額等→新株予約権→少数株主持分」の順に並ぶ選択肢エが正解でした。 → H19 第5問
計算の手順 ― 非支配株主持分とのれんを同時に出す
支配が100%未満の連結では、のれんと非支配株主持分をセットで問われます。 H30 第4問(B社株式の80%を85百万円で取得。B社純資産=諸資産200-諸負債120=80。簿価=時価)で 手順を確認しましょう。
まず子会社の純資産を出す:B社純資産 = 諸資産200 - 諸負債120 = 80百万円
① 非支配株主持分 = 子会社純資産 × 外部株主の割合
= 80 × (1 - 0.80) = 80 × 0.20 = 16百万円
② のれん = 取得原価 - (子会社純資産 × 親の持株割合)
= 85 - (80 × 0.80) = 85 - 64 = 21百万円
→ 正解:のれん21・非支配16(エ)
⚠️ ここが急所②:かける割合を間違えない - 非支配株主持分 = 子会社純資産 × 外部株主の割合(1-親の持株比率) - のれん = 取得原価 - 子会社純資産 × 親の持株比率 「非支配」には外部の割合(20%)、「のれん」には親の割合(80%)を掛けます。 H30 第4問の誤答肢は、どちらかの割合を取り違えたものでした。
📝 過去問はこう出る(H20 第7問) H30と同じ型で、のれんと少数株主持分(現・非支配株主持分)の計算式を選ばせます。 J社資本=資本金7,000+利益剰余金3,000=10,000。I社が70%を8,000で取得。 のれん = 8,000 - (7,000+3,000)×0.7 = 1,000/少数株主持分 = (7,000+3,000)×0.3 = 3,000(正解:ウ)。 ⚠️少数株主持分は子会社の資本金+利益剰余金の全体に0.3を掛けます。親会社の利益剰余金12,000を混ぜると誤り。 → H20 第7問 / H30 第4問
8-3 連結上の内部取引消去(債権債務・未実現利益)
親会社と子会社を合算しただけでは、グループ内部だけのやり取りが二重に残ってしまいます。 グループを「1つの会社」とみなす以上、自分の中でのお金の動きは無かったことにする(消去する)必要があります。 これが内部取引の消去です。消すものは大きく3種類あります。
① 債権・債務の相殺消去 ― 自分への貸し借りは消す
親会社が子会社に売った代金の未回収分(親の売掛金)は、子会社から見れば 親への支払い義務(子の買掛金)です。同じ取引を親と子の両側から見ているだけなので、 グループ内では消えて当然。全額を相殺消去します。
⚠️ ここが急所③:親子間の債権債務は「全額ゼロ」 R07 第10問選択肢イは、「親が子に売掛金500、子が親に売掛金100 → 相殺して400が残る」としていて誤り。 正しくは親子間の債権債務は全額相殺してゼロ(400は残りません)。 (借)買掛金 ××× (貸)売掛金 ××× のように、対応する債権・債務を丸ごと消します。
同じ発想で、グループ内部の配当金も消します。親会社が子会社から受け取った配当金は、 グループ内でお金が右から左に動いただけなので、受取配当金を消去します(H24 第5問)。
② 未実現利益の消去 ― 在庫に残った"身内の儲け"を消す
親会社が子会社に、原価に利益を上乗せして商品を売ったとします。 その商品が子会社でまだ売れ残っている(期末在庫に残っている)と、 まだグループの外部には売れていないのに、上乗せ利益だけが計上されている状態になります。 この「まだ実現していない利益」を未実現利益と呼び、消去します。
親会社 ──(原価100に利益20を上乗せして120で販売)──→ 子会社
│
子会社の期末在庫に120で残っている
└→ 上乗せの利益20は「まだ外部に売れていない」
= 未実現利益20 を消去する
ダウンストリームとアップストリーム ― 消し方が違う
未実現利益の消し方は、どちらからどちらへ売ったかで変わります。ここが最頻出の急所です。
| 方向 | 呼び方 | 消去のしかた |
|---|---|---|
| 親 → 子(親が売り手) | ダウンストリーム | 全額消去(非支配株主に負担させない) |
| 子 → 親(子が売り手) | アップストリーム | 全額消去したうえで、非支配株主にも按分負担させる |
- ダウンストリーム(親→子):売った利益はもともと親(=親会社株主)のものなので、 全額を消し、負担はすべて親会社側。非支配株主には按分しません。
- アップストリーム(子→親):売った利益は子会社のものなので、消去した効果を 持株比率に応じて親と非支配株主で分け合う(非支配株主持分にも影響する)。
📝 過去問はこう出る(H24 第5問) 連結当期純利益を出すために、P社・S社の利益合計から控除する額の式を選ぶ問題。 控除するのは次の3つ: 1. 少数株主損益 = S社当期純利益 × 少数株主持分比率 2. 受取配当金(P社がS社から受け取った配当。内部取引なので消去) 3. 未実現利益(S社期末在庫のP社からの上乗せ分。親→子のダウンストリームなので全額消去) 正解はイ(3つをすべて加算)。誤答肢ウ・エは、未実現利益を持分比率で按分していて誤り (ダウンストリームは按分せず全額消去)。 → H24 第5問
💡 覚え方:ダウン(親→子)は全額、アップ(子→親)は按分。 「売り手が親なら親が全部かぶる、売り手が子なら外部株主にも分ける」とイメージすると忘れません。
補足:連結決算の実務ルール(正誤問題で問われる小ネタ)
計算とは別に、言葉の正誤問題で問われる細かいルールもあります。よく出るものを押さえましょう。
- 連結損益計算書の当期純利益は、親会社分+子会社分の全額(非支配株主分を含む)。 そこから非支配株主に帰属する分を分けて、最後に「親会社株主に帰属する当期純利益」を示します。 R07 第10問選択肢アは、親1,000+子500=1,500が当期純利益なのに、非支配分を先に引いた1,350を 「当期純利益」と呼んでいて誤り(1,350は"親会社株主に帰属する分")。
- のれん償却は期間按分。期の途中で買収したら、その年は月割りで計算します。 R07 第10問選択肢ウは、10/1買収なら 200÷10年 × 6/12 = 10百万円(20ではない)。
- 子会社の決算日が連結決算日と3か月以内のズレなら、子会社の正規の決算をそのまま使ってよい (R05 第4問選択肢イ=正しい記述)。
📝 過去問はこう出る(R05 第4問/R01 第3問/R07 第10問) いずれも連結の正誤問題。正解肢と急所は次のとおりです。 - R05 第4問:正解イ(決算日3か月以内はそのまま連結可)。非支配は純資産の部(アは負債で誤り)、 負ののれんは特別利益(ウは固定負債で誤り)。→ R05 第4問 - R01 第3問:正解イ(非支配株主持分は純資産の部)。40%未満で重要な影響なら関連会社(アは子会社で誤り)、 持分法投資損益は営業外(ウは特別で誤り)。→ R01 第3問 - R07 第10問:正解エ(非支配株主持分=500+子会社純利益100×30%=530)。 当期純利益は合算1,500、債権債務は全額相殺、のれん償却は月割り。→ R07 第10問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 連結財務諸表=親会社と子会社のグループを1社とみなして作り直した決算書(合算するのは親+子だけ/関連会社は含めない)
- ☐ 子会社の判定=支配力基準(過半数所有/40%以上+実質支配/40%未満でも過半数+支配の事実)
- ☐ 40%未満は「過半数」だけでは不十分、支配の事実が別途必要(H23 第6問)
- ☐ 資本連結=親の「投資(子会社株式)」と子の「資本(純資産)」を相殺消去
- ☐ のれん=取得原価 - 受入純資産(時価評価後)の正の差額=超過収益力への対価(自己創設のれんは計上不可)
- ☐ のれんは無形固定資産として日本基準は20年以内に規則償却(「5年」「償却しない」は誤り)
- ☐ 負ののれん=発生期の特別利益(負債でも特別損失でもない)
- ☐ のれん計算は純資産を時価で評価し直す/取得原価は交付株式の時価で測る
- ☐ 関連会社=影響力基準(20%以上が目安)→ 持分法(一行連結)で反映
- ☐ 持分法は資産負債を合算せず、帰属分だけを投資勘定・損益に反映/投資損益は営業外
- ☐ 非支配株主持分=子会社純資産のうち外部株主分。連結BS純資産の部に表示(負債ではない)
- ☐ 表示順=株主資本→評価・換算差額等→新株予約権→非支配株主持分(H19 第5問)
- ☐ 計算:非支配=純資産×外部割合/のれん=取得原価-純資産×親の割合(割合の取り違え注意)
- ☐ 内部取引消去:親子間の債権債務は全額相殺(ゼロ)、内部配当金も消去
- ☐ 未実現利益:ダウンストリーム(親→子)は全額消去/アップストリーム(子→親)は非支配へ按分
- ☐ 連結PLの当期純利益は親+子の全額(非支配分を含む)/のれん償却は期中買収なら月割り/決算日ズレは3か月以内ならそのまま連結可
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H19 第5問 | 連結BS純資産の部の記載順序 | 問題 |
| H20 第7問 | のれん・少数株主持分の計算 | 問題 |
| H23 第5問 | 吸収合併におけるのれんの計算 | 問題 |
| H23 第6問 | 連結の範囲(支配力基準・子会社判定) | 問題 |
| H24 第5問 | 内部取引消去(未実現利益・受取配当金) | 問題 |
| H25 第6問 | 会計上ののれんの計算(時価評価) | 問題 |
| H26 第8問 | 持分法(一行連結) | 問題 |
| H28 第3問 | のれんの償却・負ののれん | 問題 |
| H30 第4問 | のれんと非支配株主持分の計算 | 問題 |
| R01 第3問 | 連結会計の基本(判定・表示) | 問題 |
| R03 第4問 | のれんの意義・償却 | 問題 |
| R05 第4問 | 連結会計の基本(決算日・負ののれん) | 問題 |
| R07 第10問 | 連結財務諸表(当期純利益・のれん償却・非支配) | 問題 |
次章予告 ▶ 第9章「ファイナンスの基礎(貨幣の時間価値とDCF)」(ここから第II部 ファイナンス) ここまでの第I部(簿記・会計)を終え、いよいよ第II部「ファイナンス」に入ります。 第9章では、ファイナンスの土台となる「お金の時間価値」(今の100万円と1年後の100万円は価値が違う)と、 それを使って将来キャッシュフローを評価する現在価値・DCF法を学びます。 第8章のコラムで少し触れた「割引現在価値」の考え方が、ここから本格的に主役になります。