第9章 事業承継と再生支援
この章のねらい 中小企業政策(第II部)の中でも、近年もっとも出題が厚いのがこの「事業承継」と「再生支援」です。 経営者の高齢化・後継者不在が社会問題化したことを背景に、国は次々と支援策を整備してきました。 そのため本章のテーマは、ほぼ毎年どこかで必ず1〜2問出る「頻出・得点源」です。
過去問での出方:大きく3つの塊で問われます。①事業承継税制(=相続税・贈与税の納税猶予。特例措置の 拡充内容が定番。R05・R07で連続出題)、②事業承継・引継ぎ支援センター/中小M&Aガイドライン/PMI (後継者不在への対応)、③再生支援(中小企業活性化協議会・マル経融資・再チャレンジ支援)です。 制度の名称変更が多い分野なので、「今はこう呼ぶ」を押さえておくと引っかけを外せます。
9-0 この章の地図
事業承継は「誰に継ぐか」で3類型(親族内・従業員・社外=M&A)に分かれます。 この章は、まず承継そのものを後押しする支援策(税制・センター・M&A)を学び、 最後に「うまくいかなくなった会社をどう立て直すか」の再生支援へと進みます。
9-1 事業承継支援
├ 事業承継・引継ぎ支援センター(相談・マッチングの窓口)
├ 経営承継円滑化法(①民法特例 ②金融支援 ③事業承継税制 の3本柱)
└ 事業承継税制(=相続税・贈与税の納税猶予/特例措置で大幅拡充)★最頻出
│
9-2 M&Aによる引継ぎ(後継者不在への対応)
├ 中小M&Aガイドライン(進め方・手数料・テール条項)
├ PMI(M&A"後"の統合)/DD・ノンネーム等の用語
└ 後継者人材バンク
│
9-3 経営改善・再生支援
├ 経営改善計画策定支援(405事業・早期経営改善計画)
├ 中小企業活性化協議会(旧・中小企業再生支援協議会)
├ 第二会社方式/民事再生/事業再生ADR
└ 再チャレンジ支援(再挑戦支援資金)
⚠️ この分野は「名称変更」が多い:本章に出てくる制度は、近年つぎつぎと名前が変わっています。 過去問では旧称のまま出るので、旧称と現行名の両方を対にして覚えるのがコツです(後述の表)。
9-1 事業承継支援
なぜ「事業承継」が政策の重点なのか
事業承継とは、会社の経営を現経営者から後継者へ引き継ぐことです。 中小企業は経営者個人の能力・意欲への依存度が高く、円滑な承継は企業の存続に直結します。 ところが経営者の高齢化が進む一方で後継者が見つからず、黒字なのに廃業する企業が増えました。 経営資源(技術・雇用・取引先)が失われることを防ぐため、国は支援体制を整えています。
📝 過去問はこう出る(R02 第7問・設問1) 総務省「就業構造基本調査」で、経営の担い手数を1992年と2017年で比較する問題。正解は 「59歳以下は減少、60歳以上は増加」(=経営者の高齢化の反映)。 統計の具体数値ではなく「高齢化=担い手が高齢層にシフトしている」という傾向を押さえれば解けます。 ※白書・調査の数値は年版で変わります。最新版で傾向を確認してください。 → R02 第7問
事業承継の3類型(=誰に継ぐか)
中小企業庁「事業承継ガイドライン」は、承継の形態を次の3つに整理しています。形態ごとのメリットが頻出です。
| 類型 | 誰に継ぐか | 代表的なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 親族内承継 | 経営者の子など親族 | 内外の関係者から心情的に受け入れられやすい/早期決定で長期の準備期間が確保でき、所有と経営を一体で承継しやすい | 親族に適任者がいるとは限らない |
| ② 役員・従業員承継(社内承継) | 役員・従業員 | 経営者としての能力のある人材を見極めて承継できる/事業の一貫性を保ちやすい | 後継者に株式取得の資金力が乏しいことが多い |
| ③ 社外への引継ぎ(M&A) | 社外の第三者 | 親族・社内に適任者がいなくても広く候補者を外部に求められる | 相手(買い手)探しが難しい(→ 9-2) |
💡 ここが引っかけ:「所有と経営の一体的な承継」「心情的に受け入れられやすい」は親族内承継の特徴です。 これを役員・従業員承継のメリットとして書いた選択肢はバツ。メリットと類型の"取り違え"を狙ってきます。
📝 過去問はこう出る(R02 第7問・設問2/H30 第9問) R02設問2の正解は「親族内承継=心情的に受け入れられやすい/役員・従業員承継=能力のある人材を見極められる」。 H30第9問は、M&Aで重視する条件を規模別に見る統計問題で、正解は 「全規模で最も高いのは『従業員の雇用の維持・確保』/規模が大きいほど『会社や事業の更なる発展』を重視」。 中小企業経営者は雇用への責任感が強い、という傾向がベースにあります。 → R02 第7問 / H30 第9問
承継の進め方(事業承継ガイドラインの5ステップ)
「事業承継ガイドライン」(平成28年策定)は、親族内・従業員承継を次の5ステップで進めるよう示しています。
Step1 事業承継に向けた準備の必要性の認識(まず"気づく")
↓
Step2 経営状況・経営課題等の把握(=「見える化」)
↓
Step3 事業承継に向けた経営改善(=「磨き上げ」)
↓
Step4 事業承継計画の策定
↓
Step5 事業承継の実行
📝 過去問はこう出る(H29 第18問) 5ステップの穴埋め。正解は「A=経営状況・経営課題等の把握、B=事業承継に向けた経営改善」。 =「見える化 → 磨き上げ」の順。「マッチング実施」は社外承継(M&A)の流れで使う語であり、 親族内・従業員承継のステップに混ぜた選択肢はバツ。 → H29 第18問
事業承継・引継ぎ支援センター(相談窓口)
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継・引継ぎに関する公的な相談窓口で、全都道府県に設置されています。 専門家による助言・情報提供のほか、M&A等を活用した後継者マッチング支援を行います。
- 後継者不在の企業と、起業を志す個人などをつなぐ「後継者人材バンク」も利用できます。
- よろず支援拠点とは別組織です(センターがよろず支援拠点内に置かれているわけではない、が定番の引っかけ)。
- すでにマッチング相手がいる場合でも、円滑な引継ぎに向けた支援を受けられます。
⚠️ 名称の変遷(重要):かつては「事業引継ぎ支援センター」でしたが、 ※現行では令和3年(2021年)に事業承継ネットワークと統合され「事業承継・引継ぎ支援センター」となりました。 過去問(H28・H30)は旧称「事業引継ぎ支援センター」で出題されています。名称が変わっても機能は同じです。
📝 過去問はこう出る(H28 第28問/R04 第13問) H28第28問の正解は「専門家等が助言・情報提供を行い、M&A等を活用した後継者マッチング支援を行う」。 「よろず支援拠点に設置」「税理士が常駐し相続税相談」はバツ。 R04第13問は相談社数・成約件数の推移で、正解は「相談社数・成約件数とも増加傾向」 (M&Aへの関心の高まりを反映)。 → H28 第28問 / R04 第13問
経営承継円滑化法の「3本柱」
事業承継支援の中核となる法律が「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」です。 都道府県知事の認定を前提に、次の3つの支援をパッケージで用意しています。
| 柱 | 内容 | ひとことで |
|---|---|---|
| ① 遺留分に関する民法の特例 | 後継者に贈与された自社株式等を、遺留分算定の基礎財産から除外(除外合意)/価額を固定(固定合意)できる | 相続争いで株が分散するのを防ぐ |
| ② 金融支援 | 都道府県知事の認定を前提に、日本政策金融公庫等の融資や信用保証の別枠化(信用保証枠の実質的拡大) | 承継に伴う資金ニーズに対応 |
| ③ 事業承継税制 | 認定を受けた後継者の相続税・贈与税を納税猶予・免除(次項で詳述) | 承継時の税負担を軽くする |
📝 過去問はこう出る(R02 第17問) 経営承継円滑化法の総合的支援について「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「経営革新に要する経費の3分の1補助」。補助金は同法の支援内容ではありません。 ①民法特例・②金融支援(信用保険の別枠化)・③納税猶予はすべて同法の柱で適切。 「3本柱に補助金は入らない」と覚えましょう。 → R02 第17問
事業承継税制(納税猶予)★この分野の最頻出
事業承継税制は、経営承継円滑化法の認定のもとで、後継者が取得した一定の資産にかかる 贈与税・相続税の納税を猶予(一定要件で最終的に免除)する制度です。2つのタイプがあります。
| タイプ | 対象 | 前提となる計画 |
|---|---|---|
| 法人版事業承継税制 | 会社の非上場株式など | 特例承継計画 |
| 個人版事業承継税制 | 個人事業者の事業用資産 | 個人事業承継計画 |
猶予されるのは 贈与税・相続税 です(固定資産税・登録免許税は対象外=引っかけ)。
法人版は、平成30年度税制改正で抜本的に拡充され、従来の「一般措置」に加えて、 10年間の特例措置(適用には特例承継計画の都道府県知事への提出が必要)が創設されました。
一般措置 vs 特例措置(拡充の中身が超頻出)
| 論点 | 一般措置(従来) | 特例措置(拡充後) |
|---|---|---|
| 対象株式数 | 発行済議決権株式総数の3分の2まで | 上限撤廃(全株式) |
| 納税猶予割合 | 相続税は80% | 100% |
| 後継者の人数 | 1人 | 最大3人まで |
| 雇用確保要件 | 5年平均で8割維持が必須(満たせないと猶予打切り) | 実質的に弾力化(満たせなくても理由報告等で猶予継続が可能) |
⚠️ 数字の引っかけに注意: - 後継者は「最大3人」(×5人・×2人)。 - 特例措置の適用には特例承継計画の提出が必要(提出期限は※改正で延長されています。最新の期限を確認)。 - 雇用要件は「8割維持すれば猶予」ではなく、特例では満たせなくても猶予を継続できる方向に緩和。
📝 過去問はこう出る(R05 第27問/R07 第30問) R05設問1の空欄は「特例承継計画」(活性化計画・経営改善計画・経営発達支援計画は別制度)。設問2の正解は 「対象株式数の上限撤廃・納税猶予割合100%」。 R07設問1は猶予される税=「贈与税・相続税」。設問2は特例措置の正誤で、 「全株式が対象(正)/最大5人へ緩和(誤)=最大3人が正しい」。 R05・R07と2年連続で特例措置が問われた、まさに最重要論点です。 → R05 第27問 / R07 第30問
⚠️ 混同注意:法律名と略称 - 経営承継円滑化法=事業承継を「円滑化」する総合支援の法律(民法特例・金融支援・税制の3本柱)。 - 中小企業経営強化法(経営革新・創業)とは別物。名前が似ていますが役割が違います。
9-2 M&Aによる引継ぎ(後継者不在への対応)
後継者不在なら「社外の第三者」に継ぐ
親族・社内に後継者がいない場合、事業を第三者に譲るM&A(社外への引継ぎ/第三者承継)が有力な選択肢です。 黒字廃業による経営資源の散逸を避け、雇用や技術を守る狙いがあります。
中小M&Aガイドライン
中小M&Aガイドライン(令和2年3月策定。平成27年の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂)は、 中小企業経営者とM&A支援機関の双方に、適切なM&Aの進め方を示すものです。
- 手数料の目安を提示:仲介手数料(着手金・月額報酬・中間金・成功報酬)の考え方や具体的事例を示す。
- セカンド・オピニオン:他のM&A支援機関への意見聴取を原則として許容する契約とするよう促す。
- テール条項(契約終了後の一定期間内に成立したM&Aにも手数料を認める条項)は、支援機関に有利で 利益相反のおそれがあるため、対象・期間を限定するなど限定的に扱う(=「一般的な運用」として推奨はしない)。
- 支援機関の基本姿勢として、事業者の利益の最大化と支援機関同士の連携の重要性を提示。
📝 過去問はこう出る(R03 第17問) 「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「テール条項を『一般的な運用』とすることを行動指針としている」。 ガイドラインはテール条項を限定的・例外的に扱うよう求めており、一般化を推奨してはいません。 セカンド・オピニオンの許容、手数料の目安、利益最大化・連携はすべて適切。 → R03 第17問
M&Aの用語(PMI・DD・ノンネーム)
M&Aのプロセスに登場する用語が、意味の取り違えを狙って出題されます。
| 用語 | 意味 | どの段階か |
|---|---|---|
| ノンネームシート | 会社名が特定されないよう概要を簡単に要約した資料 | 相手探しの初期 |
| デューデリジェンス(DD) | 対象会社の財務・法務・事業等の実態と価値を調査すること(主に譲受側が専門家に依頼) | 契約前の精査 |
| クロージング | 最終契約締結後に、株式・財産の譲渡を実際に行う工程 | 契約成立時 |
| PMI(Post Merger Integration) | M&A成立後に、引き継いだ事業の継続・成長へ向けて行う統合・すり合わせの取り組み | M&A後 |
中小企業庁は「中小PMI支援メニュー」を策定し、マッチング成立後の統合まで支援を広げています。
💡 覚え方:PMIは「M&Aの後」の話。DDは「買う前の調査」。この時間軸を混同させる選択肢が定番です。
📝 過去問はこう出る(R04 第30問/H30 第15問) R04第30問はPMIの定義。正解は「M&Aで引き継いだ事業の継続・成長に向けた統合・すり合わせの取り組み」。 「最終契約後の譲渡工程(=クロージング)」「専門家によるリスク精査(=DD)」は別用語でバツ。 H30第15問はデューデリジェンス=「M&A等の取引の際に行われる会社の価値の調査」、 窓口=「事業引継ぎ支援センター」、後継者人材バンク=「起業を志す個人とマッチング」。 → R04 第30問 / H30 第15問
9-3 経営改善・再生支援
「支援→再生→再チャレンジ」の流れ
苦境にある企業に対しては、早めの経営改善から、本格的な事業再生、そして再起を図る 再チャレンジ支援まで、段階に応じた支援策が用意されています。
経営改善計画策定支援(405事業・早期経営改善計画)
金融支援(リスケジュール等)を必要とする中小企業が、認定支援機関の助力を得て経営改善計画を作成する際、 その費用の一部を補助する制度です。予算費目にちなみ「405事業」とも呼ばれます。 より軽度な段階向けには、資金繰り改善などを目的とした早期経営改善計画策定支援(プレ405)もあります。
- 診断士は認定支援機関として、この計画策定を実務で支援する立場になります(本科目と実務が直結する論点)。
中小企業活性化協議会(旧・中小企業再生支援協議会)
中小企業活性化協議会は、各都道府県に設置され、収益力の改善・事業再生・再チャレンジを ワンストップで支援する公的機関です。窓口相談から、個別支援チームを編成した再生計画の策定支援まで行います。
- 主要債権者(金融機関)等と連携しながら、具体的で実現可能な再生計画の策定を支援します。
- 再生計画の策定を支援する機関であり、補助金を交付する機関ではありません(=定番の引っかけ)。
⚠️ 名称と根拠法の変遷(頻出の引っかけ): - かつては「中小企業再生支援協議会」で、根拠法は産業活力再生特別措置法(産活法)でした(※中小企業支援法ではない)。 - ※現行では、令和4年(2022年)4月に「経営改善支援センター」と統合され「中小企業活性化協議会」に改組。 根拠法も産業競争力強化法に整理されています。過去問(H21・H24等)は旧称「中小企業再生支援協議会」で出題。
📝 過去問はこう出る(H24 第19問) 「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は「中小企業支援法に基づき設置」。 出題時点の根拠法は産活法であり、根拠法の取り違えが誤り。 「47都道府県の認定支援機関に設置」「個別支援チームで再生計画策定支援」は適切。 → H24 第19問
法的整理・私的整理の道具(第二会社方式・民事再生・ADR)
再生の手段には、大きく裁判所を使う法的整理と、当事者間で調整する私的整理があります。
| 手法 | 中身 | ポイント |
|---|---|---|
| 民事再生 | 裁判所の認可を受けた再生計画に基づき、債務を圧縮しつつ事業を継続する法的整理 | 主債務が減免されても、経営者の保証債務は免除されない(別個の責任) |
| 第二会社方式 | 収益性のある事業を新会社(第二会社)に承継し、不採算事業・過剰債務を旧会社に残して整理する手法 | 経営承継円滑化法の認定で、許認可の承継特例・税負担軽減・公庫の特別融資等の支援を受けられる |
| 事業再生ADR | 公正中立な第三者機関が関与する裁判外紛争解決手続(私的整理の枠組み) | 主に金融債権者を対象。産活法改正(2007年)で創設 |
📝 過去問はこう出る(H24 第4問/H22 第27問) H24第4問(民事再生):正解のポイントは「経営者(連帯保証人)の保証債務は免除されない」(設問2)と、 事業再生ADR=「公正な第三者機関による裁判外紛争解決手続」(設問3)。 H22第27問(第二会社方式):支援策として「最も不適切なもの」は 「中小企業再生支援協議会による補助金」。協議会は計画策定を支援する機関で補助金は出しません。 許認可承継・税負担軽減・公庫の特別融資は適切。 → H24 第4問 / H22 第27問
再チャレンジ支援(再挑戦支援資金)
一度事業に失敗した経営者の再起を後押しするのが、日本政策金融公庫の再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)です。 主な対象要件は次のとおりです。
- 廃業歴等を有する個人、または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること。
- 廃業の理由・事情がやむを得ないものであること。
- 廃業時の負債が、新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みであること。
- 廃業後、おおむね5年以内であること(※年数要件が引っかけの定番)。
📝 過去問はこう出る(H26 第18問) 融資対象要件として「最も不適切なもの」は「廃業後7年以内」。正しくはおおむね5年以内で、年数が過大。 他の3つ(対象者・やむを得ない事情・負債の整理見込み)は適切な要件。 数値要件(5年)を差し替える引っかけに注意。 → H26 第18問
(参考)マル経融資 ― 経営改善のための小口融資
再生の手前、小規模事業者の経営改善を資金面で支えるのが マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)です。金融支援の超頻出テーマなので要点を押さえます。
- 無担保・無保証人・低利で、日本政策金融公庫が融資(実際の貸付は公庫)。
- 指導要件:商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を原則6か月以上受けていること。
- 居住要件:原則として同一の商工会・商工会議所の地区内で1年以上事業を行っていること。
- 融資限度額:通常枠は2,000万円。返済期間は運転資金7年以内・設備資金10年以内。
- 申込み・推薦の窓口は地区の商工会・商工会議所(=公庫へ直接ではない)。
⚠️ 数字と窓口の混同注意:指導は「6か月」、居住は「1年」。限度額は「2,000万円」、運転資金の返済は「7年」。 申込みは商工会・商工会議所(推薦を受ける)で、貸付を行うのは公庫。この役割分担が引っかけの定番です。
📝 過去問はこう出る(R06 第18問) 空欄補充。正解は「居住要件=1年以上」「限度額=2,000万円」「運転資金=7年以内」「窓口=地区の商工会」。 「6か月以上(=指導要件との混同)」「3,000万円」「5年以内」「最寄りの公庫へ直接」はすべてバツ。 マル経はH19・H21・H25・H27・H30・R03・R06と繰り返し出題される定番です。 → R06 第18問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 事業承継の背景=経営者の高齢化・後継者不在(担い手は60歳以上へシフト)
- ☐ 承継の3類型=親族内/役員・従業員/社外(M&A)。メリットの取り違えに注意
- ☐ 「所有と経営の一体的承継・心情的に受入れやすい」=親族内承継の特徴
- ☐ ガイドラインの5ステップ=認識→見える化→磨き上げ→計画策定→実行
- ☐ 事業承継・引継ぎ支援センター=全都道府県/助言・M&Aマッチング/後継者人材バンク(※旧称:事業引継ぎ支援センター)
- ☐ 経営承継円滑化法の3本柱=①民法特例(除外・固定合意)②金融支援(信用保証別枠化)③事業承継税制(補助金は入らない)
- ☐ 事業承継税制=贈与税・相続税の納税猶予(固定資産税・登録免許税は対象外)
- ☐ 特例措置=対象株式の上限撤廃(全株式)/猶予割合100%/後継者最大3人/雇用要件は弾力化、前提は特例承継計画
- ☐ 中小M&Aガイドライン=手数料の目安/セカンド・オピニオン許容/テール条項は限定的(一般化しない)
- ☐ PMI=M&A"後"の統合、DD=買う前の調査、ノンネーム=会社名を伏せた概要
- ☐ 中小企業活性化協議会(※旧・中小企業再生支援協議会。根拠法は旧・産活法、※中小企業支援法ではない)=再生計画策定支援(補助金は出さない)
- ☐ 民事再生:主債務が減免されても経営者の保証債務は免除されない/事業再生ADR=裁判外紛争解決手続
- ☐ 第二会社方式=優良事業を新会社へ承継(許認可承継・税軽減・公庫融資の支援)
- ☐ 再挑戦支援資金=廃業後おおむね5年以内(7年は誤り)
- ☐ マル経融資=無担保・無保証・低利/指導6か月・居住1年・限度2,000万円・運転7年/窓口は商工会等、貸付は公庫
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| R07 第30問 | 事業承継税制(特例措置) | 問題 |
| R05 第27問 | 法人版事業承継税制(特例承継計画・拡充内容) | 問題 |
| R02 第17問 | 経営承継円滑化法による総合的支援 | 問題 |
| R02 第7問 | 事業承継の類型・動向(担い手・形態別メリット) | 問題 |
| H30 第9問 | 事業承継・M&A(規模別に重視する条件) | 問題 |
| H29 第18問 | 事業承継ガイドライン(5ステップ) | 問題 |
| H28 第28問 | 事業引継ぎ支援センター | 問題 |
| R04 第13問 | 事業承継・引継ぎ支援センター(推移) | 問題 |
| R03 第17問 | 中小M&Aガイドライン(テール条項) | 問題 |
| R04 第30問 | M&AにおけるPMI(中小PMI支援メニュー) | 問題 |
| H30 第15問 | 社外への事業承継支援(DD・後継者人材バンク) | 問題 |
| H24 第19問 | 中小企業再生支援協議会(根拠法) | 問題 |
| H24 第4問 | 民事再生制度・事業再生ADR | 問題 |
| H22 第27問 | 第二会社方式による事業再生支援 | 問題 |
| H26 第18問 | 再チャレンジ支援融資制度 | 問題 |
| R06 第18問 | マル経融資(要件・限度額・窓口) | 問題 |
次章予告 ▶ 第10章「経営革新・創業支援と経営基盤の強化」 本章の「守り(承継・再生)」に対し、次章は「攻め」の支援策です。中小企業等経営強化法に基づく 経営革新計画・経営力向上計画、創業・ベンチャー支援、そして各種補助金(ものづくり・持続化・IT導入)を扱います。