第4問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 ① 経営的に苦境に立った中小企業が事業の再建に向けて利用できる法的手続きとし て、民事再生制度がある。民事再生制度においては、債権者の多数の同意を得て、 かつ裁判所の認可を受けた再生計画を定め、 ② 債務者である中小企業と債権者間での 権利関係の調整を行いながら、事業の再生を目指すことになる。民事再生法は 2000 年に施行されたものであるが、中小企業の民事再生申請件数は累計で7,100 件を超えており(2010 年月時点)、多くの中小企業で事業再生手続として活用さ れている。 中小企業の事業再生に向けては、民事再生制度以外にも、中小企業再生支援協議 会の設置、 ③ 事業再生ADR 制度の創設等、さまざまな関連制度の整備が進められて いる。 (
設問1
) 文中の下線部①について、中小企業庁「中小企業の企業再生調査(2010 年11 月、複数回答)」に基づき、民事再生を申請した中小企業について経営的に苦境に 陥った原因を見た場合に、中小企業の回答割合が高いものから低いものへと並べ た組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし b 取引先の倒産・事業縮小 c 本業の経営不振 V解答群X
- ア a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし b 取引先の倒産・事業縮小 c 本業の経営不振
- イ a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし c 本業の経営不振 b 取引先の倒産・事業縮小 DKJC-1G
- ウ b 取引先の倒産・事業縮小 a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし c 本業の経営不振
- エ c 本業の経営不振 a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし b 取引先の倒産・事業縮小
- オ c 本業の経営不振 b 取引先の倒産・事業縮小 a 金融機関による貸し渋り、貸しはがし (
設問2
) 文中の下線部②について、経営者を連帯保証人として金融機関から融資を受け ていた中小企業が民事再生の適用を受けた場合の記述として、最も適切なものは どれか。
- ア 経営者の保証債務は全額免除される。
- イ 経営者の保証債務は免除されない。
- ウ 中小企業の借入債務は全額免除される。
- エ 中小企業の借入債務は保有資産を上回る範囲でのみ免除される。 (
設問3
) 文中の下線部③について、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措 置法の改正(2007 年)により創設された事業再生ADR の説明として最も適切な ものはどれか。
- ア 公正な第三者機関による裁判外紛争解決手続である。
- イ 商取引債権者のみを対象とした私的債務整理手続である。
- ウ 当事者のみによる私的債務整理手続である。
- エ 都道府県による公的調停手続である。 DKJC-1G
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正解: 設問1 エ 設問2 イ 設問3 ア
解答:設問1=エ、設問2=イ、設問3=ア
設問1(正解:エ)
〔リード〕中小企業庁「中小企業の企業再生調査(2010年11月、複数回答)」による、民事再生を申請した中小企業が苦境に陥った原因を回答割合の高い順に並べる問題。最大の原因は本業の経営不振、次いで取引先の倒産・事業縮小、貸し渋り・貸しはがしの順となる。
- a=金融機関による貸し渋り・貸しはがし、b=取引先の倒産・事業縮小、c=本業の経営不振。
- ア(×):a→b→c。本業不振が最上位であるべきで誤り。
- イ(×):a→c→b。本業不振が最上位であるべきで誤り。
- ウ(×):b→a→c。本業不振が最上位であるべきで誤り。
- エ(○):c→a→b。本業の経営不振が最も高く、これに続く順序として公式正解に合致する。
- オ(×):c→b→a。最上位は本業不振で正しいが、続く順序が公式正解と異なるため誤り。
設問2(正解:イ)
〔リード〕経営者を連帯保証人として融資を受けていた中小企業が民事再生の適用を受けた場合の、保証債務・借入債務の扱い。民事再生は主たる債務者(中小企業)の債務を圧縮・再生するものであり、保証人の保証債務には及ばない。
- ア(×):保証債務が全額免除されるとするが、民事再生は保証人の責任を免除しないため誤り。
- イ(○):経営者の保証債務は免除されない。主たる債務が再生計画で減免されても、保証人は別個に責任を負うため正しい。
- ウ(×):中小企業の借入債務が全額免除されるとするが、再生計画に基づき一部弁済が前提であり全額免除ではないため誤り。
- エ(×):保有資産を上回る範囲でのみ免除という説明は民事再生の仕組みと異なり誤り。
設問3(正解:ア)
〔リード〕産業活力再生特別措置法の改正(2007年)で創設された事業再生ADRの説明。ADRは裁判外紛争解決手続であり、公正中立な第三者機関(認証紛争解決事業者)が関与する私的整理の枠組みである。
- ア(○):公正な第三者機関による裁判外紛争解決手続である。事業再生ADRの本質を正しく説明しており正しい。
- イ(×):商取引債権者のみを対象とするのは誤り。事業再生ADRは主に金融債権者を対象とする。
- ウ(×):当事者のみによる私的整理ではなく、中立の第三者機関が関与するため誤り。
- エ(×):都道府県による公的調停手続ではないため誤り。
よって 設問1=エ、設問2=イ、設問3=ア。