財務・会計 H22年度 第17問

第17問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 D 社は現在、新規設備の導入を検討中である。D 社では、この投資案件の意思 決定を正味現在価値法に基づいて判定することにしている。そこでD 社は、正味 現在価値法において 割引率として用いられるべき資本コストの推計に取り掛かって いる。 D 社は、今回の投資案件において、投資に必要とされる資金の調達を全額長期 借入によって行うことにしている。この借入金の金利は%である。 また、D 社は企業目標として平均的に有利子負債と株主資本との割合を: で維持することにしており、現在の株式資本コストについても検討することにし た。D 社では、経験的に自社の株式投資収益率とTOPIX の変化率との間に何らか の関係性があることを認識していた。そこでD 社は、自社の株式投資収益率 (RD t)とTOPIX の変化率(RTt)との間に次式のような関係があるものとして、過 去の観察データに基づいて次式のα とβ を実証的に推計することにした。 RD t =α +βRTt +et ただし、et の期待値はゼロ、分散は一定と仮定される。 ― 16― ◇M2(295―45) (

設問1

) 文中の下線部のように、この場合において投資判定基準として用いられるべ き資本コストの説明として最も適切なものはどれか。

  1. 過去のROA の平均値を用いる。
  2. 株式資本コストを用いる。
  3. 企業全体の平均的な負債と株主資本との比率を用いた加重平均資本コストを 用いる。
  4. 長期借入金利を用いる。 (

設問2

) 文中の下線部のような関係性を仮定して証券収益率の期待値を推計するモデ ルとして最も適切なものはどれか。

  1. 項モデル
  2. APT
  3. CAPM
  4. ンデックス・モデル ― 17― ◇M2(295―46)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ウ、設問2=エ

〔リード〕資本コスト(割引率)の選択と、市場指標との単回帰で証券収益率を推計するモデルを問う。

設問1(ウ)

投資案件が全額借入で調達されても、投資判定の割引率には借入金利ではなく、企業全体の目標資本構成(有利子負債と株主資本の割合)に基づく**加重平均資本コスト(WACC)**を用いるのが原則。特定の資金源の個別コストではなく、企業全体の機会費用を反映させるため。

  • ア(×):過去ROAの平均は会計上の収益性指標で資本コストではない。
  • イ(×):株式資本コストのみでは負債部分を無視しており不適。
  • ウ(○):目標とする負債・株主資本比率による加重平均資本コスト(WACC)。正しい。
  • エ(×):今回の調達が借入でも、その個別の長期借入金利だけを用いるのは不適。

設問2(エ)

収益率を「RD t = α + βRTt + et」のように、市場全体(TOPIX)の変化率に対する単回帰で表すモデルは**(シングル・)インデックス・モデル(市場モデル)**。市場ポートフォリオ(指数)という単一要因で個別証券の収益率変動を説明する。

  • ア(×):2項モデルはオプション価格評価の離散モデルで無関係。
  • イ(×):APT(裁定価格理論)は複数のマクロ要因で説明する多因子モデル。単一指数の式とは異なる。
  • ウ(×):CAPMは均衡下の期待収益率を示す理論式(E(R)=Rf+β(E(Rm)-Rf))。回帰式そのものではなく、αとβを実証推計する記述とは設問の意図がずれる。
  • エ(○):インデックス・モデル。市場指数への単回帰でαとβを推計する記述に合致。

よって 設問1=、設問2=

#経営分析・財務指標#投資意思決定・NPV#資本コスト・WACC#証券投資・ポートフォリオ#デリバティブ

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