第13章 物流・ロジスティクス
この章のねらい 運営管理の後半(店舗・販売管理分野)でも、物流・ロジスティクスは毎年ほぼ4〜5問が安定して出題される、 いわば「取りこぼしたくない定番分野」です。過去問(H19〜R07)で75問と、章別でもとりわけ出題数が多く、 しかも同じ論点が形を変えて繰り返し問われます。ここをしっかり固めれば、運営管理全体の底上げになります。
過去問での出方:大きく分けて、①輸送手段・モーダルシフト(第34問前後)、②ユニットロード(第35〜36問)、 ③物流センターの機能・運営(DC/TC・クロスドッキング・ピッキング。第36〜38問)、④共同輸配送・3PL、 ⑤物流ABC・実車率/積載率などの計算、の5つの型があります。 用語の正誤を問う知識問題が中心で、引っかけのパターンが決まっているため、対策の費用対効果が高い分野です。
13-0 この章の地図
物流は「モノを運ぶ・保管する」という現場の話です。まず物流の5つの機能という土台を押さえ、 そこからロジスティクス→SCMという「全体最適の考え方」へ広げ、最後に輸配送の効率化と 物流センターの運営という実務テーマに落としていきます。
13-1 物流の5機能 … 輸送・保管・荷役・包装・流通加工+情報(ことばの土台)
│
13-2 ロジスティクスとSCM … 部分最適→全体最適/在庫の一元管理・ブルウィップ効果
│
13-3 輸配送の効率化 … 共同配送・モーダルシフト・3PL・ミルクラン(★頻出)
│
13-4 ユニットロード&物流センター … 一貫パレチゼーション/DC・TC・クロスドッキング・ピッキング(★最頻出)
第34問前後で「輸送手段」、第35〜38問で「ユニットロード」「物流センター」が並ぶのが、 近年の運営管理の定番の並びです。まずは全体像をつかんでから、各節に進みましょう。
13-1 物流の5つの機能と情報
物流とは何か
物流(物的流通)とは、ひとことで言えば
「モノを、必要な場所へ・必要なときに・必要な状態で届けるための一連の活動」
です。商品を作っても、お客さまの手元に届かなければ売上になりません。その「届ける」を支えるのが物流です。
物流を支える「5つの機能」
物流は、次の5つの機能に分けて理解します。これは物流の"部品"の一覧表だと思ってください。
| 機能 | かみくだくと | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 輸送・配送 | モノを場所から場所へ動かす | トラック・鉄道・船・飛行機での運搬 |
| ② 保管 | モノを一定期間しまっておく | 倉庫・物流センターでの在庫保管 |
| ③ 荷役(にやく) | 積む・降ろす・運ぶ・仕分ける | フォークリフト作業、ピッキング、仕分け |
| ④ 包装 | モノを守り・まとめる | 段ボール梱包、パレット積み、緩衝材 |
| ⑤ 流通加工 | 販売しやすいよう手を加える | 値札付け、詰め合わせ、小分け、検品 |
💡 覚え方:「輸・保・荷・包・流(ゆ・ほ・に・ほう・りゅう)」の5つ。 このうち荷役は「積み降ろし・運搬・仕分け」をまとめた言葉で、読み方も含めて狙われます(→ 13-4)。
6番目の"縁の下の力持ち"=物流情報
上の5機能をつなぎ、全体をスムーズに動かすのが物流情報です。 「どこに・何が・いくつあるか」「いつ届くか」をやりとりすることで、5機能が初めて連携します。
- EDI(電子データ交換):受発注・出荷などのデータを企業間で電子的にやりとりする仕組み。
- ASN(事前出荷通知/事前出荷明細):商品が届く前に「何をいくつ送るか」を相手先へ知らせるデータ。 受け取る側は、届く前に検品・入荷の準備ができます。
- JTRN:国内で統一された物流EDIの標準の一つ。
⚠️ 混同注意:荷役 と 流通加工 - 荷役=運ぶ・積む・降ろす・仕分ける(モノの"位置"を変える作業) - 流通加工=値札付け・小分け・詰め合わせなど(モノに"付加価値"を加える作業) どちらも物流センターの中で行われますが、試験では入れ替えて問われます。
13-2 ロジスティクスとSCM
物流 → ロジスティクス → SCM へと広がる
言葉が3つ出てきて紛らわしいので、まず「どんどん範囲が広くなる」と整理してください。
物流(フィジカル・ディストリビューション)
= モノを運ぶ・保管する「作業」そのもの
↓ 調達から販売まで一元的に管理
ロジスティクス
= 社内の物流を統合し、在庫・コストを最適化する「経営の仕組み」
↓ 取引先も含めチェーン全体で最適化
SCM(サプライチェーン・マネジメント)
= 原材料メーカー→部品→完成品→卸→小売まで、
企業の枠を越えて全体最適を目指す「連携の仕組み」
- ロジスティクス:バラバラだった調達・生産・販売の物流を一本につなげて管理し、 「在庫を持ちすぎず、欠品もさせない」ことを目指します。在庫の一元管理がその中心です。
- SCM:さらに取引先企業も巻き込んで、鎖(チェーン)全体で在庫・情報を共有し、 ムダ(過剰在庫・欠品・機会損失)を減らす考え方です。
ブルウィップ効果 ― 情報がずれると在庫が暴れる
SCMを学ぶうえで欠かせないのがブルウィップ効果(bullwhip effect)です。 "bullwhip"=牛追いのムチ。手元を少し振っただけで、ムチの先が大きくしなる様子にたとえた言葉です。
【小売】実需のわずかな変動
│ 「少し多めに注文しておこう」
▼
【卸】注文が少し増幅
│ 「念のため多めに発注」
▼
【メーカー】注文が大きく増幅 ← 川上ほど注文の振れ幅が拡大!
- 意味:最終消費者の需要はわずかしか変わっていないのに、川上(メーカー側)にさかのぼるほど、 発注量の変動が大きくなってしまう現象です。
- なぜ起きるか:各社が「念のため多めに」と安全在庫を上乗せし、しかも下流の実需(POSデータ)が 上流に伝わっていないため、注文情報だけを見て過剰反応してしまうからです。
- 対策:POS(販売時点)データを鎖全体で共有し、実需に基づいて補充する。 この発想が、次に出てくるVMI・CRPにつながります。
情報で在庫を減らす仕組み(VMI・CRP)
| 用語 | 読み・意味 | ひとことで |
|---|---|---|
| VMI | ベンダー主導型在庫管理 | 納入業者(ベンダー)が小売の在庫情報を見て、主体的に補充を行う |
| CRP | 連続補充方式 | POSデータ等に基づき、売れた分だけ自動で連続補充する |
⚠️ 混同注意:VMI と CRP(超頻出の引っかけ) - 「納入業者が在庫管理・補充を主導する」= VMI - 「売れた分だけ(POSデータで)自動補充する」= CRP(連続補充) H24第43問では、「POSデータから購入した分だけ補充するのをVMIという」という肢が誤り(正しくはCRP)、 「納入業者に発注業務を委託するのをCRPという」という肢も誤り(それはVMIの説明)と、 2つを入れ替えた引っかけが出ました。定義を逆に当てはめた肢に注意します。
📝 過去問はこう出る(H24 第43問) 物流情報システムの用語(VMI・JTRN・ASN・CRP)の正誤を組み合わせで問う問題。 正しいのは「JTRNは国内統一物流EDI標準の一つ」と「納品前に納品予定数等を事前送付するのがASN」の2つ。 VMIとCRPの定義を入れ替えた肢はバツ。 → H24 第43問
13-3 輸配送の効率化
物流業界は、トラックドライバー不足やCO2削減の要請から、「いかに効率よく運ぶか」が最大のテーマです。 ここは計算・記述ともに毎年出るので、用語をしっかり区別しましょう。
効率を測るモノサシ ― 実車率・積載率
トラック輸送のムダを測る2つの指標です。言葉が似ているので必ず区別します。
| 指標 | 定義 | かみくだくと |
|---|---|---|
| 実車率(じっしゃりつ) | 総走行距離のうち、荷を積んで走った距離の割合 | 「空(から)で走ったムダ」がどれだけ少ないか |
| 積載率(せきさいりつ) | 最大積載量に占める、実際に積んだ荷の量の割合 | 「荷台がどれだけ埋まっていたか」 |
- 実車率は「距離」の話(=空車走行を減らすと上がる)。
- 積載率は「量」の話(=荷台の空きスペースを減らすと上がる)。
📝 過去問はこう出る(R07 第36問) A社・B社が協力して「帰り荷の確保」(A社の荷を運んだ後、帰り道でB社の荷を積む)を行ったとき、 実車率と積載率がどう変わるかを条件から判定する計算問題。 積載率は、積んで走る区間で運ぶ荷の量も最大積載量も変わらないので不変。 実車率は、実車距離は同じまま空車(帰りの空走)距離が短くなるため上昇。 正解は「実車率は上昇したが、積載率は変わらなかった」。 「積んだ荷は同じ量か/空で走る距離が減ったか」を分けて考えるのがコツです。 → R07 第36問
共同輸配送(共同物流)
共同輸配送とは、複数の企業が輸送や保管をまとめて共同で行うことです。 1社ずつバラバラに運んでいたトラックを1台にまとめれば、積載率が上がり、コストもCO2も減ります。
- 同業種でも異業種でも行われます(「異業種では行わない」は誤り)。
- 配送先が共通でなくても、ルートを工夫すれば共同化できます(「配送先が違えば行わない」は誤り)。
- 共同配送(一緒に運ぶ)だけでなく、共同保管(同じ拠点にまとめて保管)もあります。
- 物流事業者を指定するのは発荷主とは限らず、着荷主(納品先)が主導する形もあります。
⚠️ つまずきポイント:共同配送で積載効率(積載率)は上がるものの、 各企業が顧客へ届ける配送数量そのものが減るわけではありません(H28第36問の正解肢)。 「効率が上がる」=「運ぶ量が減る」ではない、という点を混同しないようにします。
📝 過去問はこう出る(H28 第36問) 共同物流の記述を選ぶ問題。正解は「共同配送で積載効率は高まりうるが、各企業の配送数量が減ることはない」。 「異業種では行われない」「配送先が異なると行われない」「共同保管はしない」「着荷主が指定することはない」は すべて共同物流を狭く決めつけた誤りです。 → H28 第36問
モーダルシフト
モーダルシフトとは、トラックが担ってきた幹線(長距離)の貨物輸送を、鉄道や船舶へ切り替えることです。 "モード(輸送手段)をシフト(転換)する"という意味です。
【従来】────トラックで長距離────▶
【シフト後】─鉄道/船舶で長距離─▶(発着地の集配は引き続きトラック)
- ねらい:鉄道・船舶は大量一括輸送に強く、CO2排出も少ないため、 環境負荷の軽減と長距離のコスト削減が期待できます。
- 複合一貫輸送を"促進"する:トラックと鉄道・船舶を組み合わせるので、阻害ではなく後押しします。
- 注意点(デメリット):大量にまとめて運ぶため出荷ロットは大きくなる傾向。 また積替えやダイヤの制約でリードタイム(届くまでの時間)は長くなりがちです。
⚠️ 混同注意:モーダルシフトで「出荷ロットは小さくなる」は誤りの定番。 鉄道・船舶は"まとめて運ぶ"のが強みなので、ロットは大きくなります(H24第38問の正解=誤り肢)。
📝 過去問はこう出る(H24 第38問) モーダルシフトの記述で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「出荷ロットが小さくなる場合が多い」。実際は大量輸送のためロットは大きくなる。 「環境負荷軽減」「長距離のコスト削減」「リードタイムが長くなる」は正しい記述です。 → H24 第38問
主な輸送手段の特徴
輸送手段の名前と特徴を結びつける問題も頻出です。特に船の2方式とトラックの2形態は狙われます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| RORO船(roll-on roll-off) | トラック・トレーラーが自走で船に乗り入れてそのまま運ぶ船。積替え不要で効率的 |
| LOLO船(lift-on lift-off) | クレーンで吊り上げてコンテナ等を積み降ろしする船(RORO船と対比) |
| 路線便(特別積合せ) | 不特定多数の荷を積み合わせて運ぶ。途中の営業所で積替え・仕分けを行う |
| 貸切便(チャーター) | 1荷主で1台を貸切。発地から着地まで積替えなしで直行 |
⚠️ つまずきポイント:輸送トンキロ当たりのCO2排出量は、トラックが多く、鉄道・船舶が少ない。 「トラックはCO2が少ない」は誤りの定番です(だからこそモーダルシフトが推進される)。
📝 過去問はこう出る(R01 第34問) 輸送手段の特徴で「最も適切なもの」を選ぶ問題。正解は 「RORO船は、車両をそのまま船内へ積み込んで輸送できる」。 「トラックはCO2排出量が少ない」「路線便は積替えなしで直行」などは特徴を取り違えた誤りです。 → R01 第34問
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)
3PLとは、荷主企業の物流業務を、第三者(物流専門会社)がまるごと請け負うサービスです。 "第三者(サードパーティ)"が物流を担うので3PL。単なる運送の外注ではなく、 物流戦略の立案・設計から実行までを提案・受託するのが特徴です。
- アセット型:自社でトラックや倉庫を保有して提供するタイプ。
- ノンアセット型:自社では保有せず、外部の物流資源を組み合わせて提供するタイプ。
- 利点:単なるコスト削減だけでなく、専門会社ならではの高度な物流サービスを受けられる。
- ゲインシェアリング:コスト削減で生まれた成果を、荷主と3PL事業者で分け合う包括契約もある。
⚠️ つまずきポイント:3PLでは、物流拠点ネットワークの設計まで3PL事業者が提案・受託します。 「拠点設計などは荷主側が行う必要がある」は誤り(H21第29問の正解=誤り肢)。丸ごと任せられるのが3PLの売りです。
📝 過去問はこう出る(H21 第29問) 3PLの記述で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「物流拠点ネットワークの設計などは荷主側で行う必要がある」。3PLは戦略設計まで担うのが特徴。 「アセット型/ノンアセット型がある」「高度なサービスを受けられる」「成果を分け合う契約もある」は正しい。 → H21 第29問
ミルクラン(引取物流/巡回集荷)
ミルクランとは、荷受け側(小売業など)が自分のトラックで納入業者を巡回し、まとめて集荷する方式です。 牛乳メーカーが各農家を回って集乳した故事から"ミルクラン"と呼ばれ、日本語では引取物流・巡回集荷といいます。
【従来の納品】各メーカーが別々に小売へ配送(トラックが何台も来る)
【ミルクラン】小売のトラック1台が A社→B社→C社 と巡回して集荷
- ねらい:荷受け側が物流の主導権を握り、望ましい時間帯に効率よく集荷でき、 バラバラの納品便を1台にまとめてトラック台数・コストを削減できます。
- コスト負担:従来メーカー側が負担していた配送費が浮くため、その分の負担調整(納入価格の引き下げ等)を メーカー・卸に求めることがあります(「求めることはない」は誤り)。
📝 過去問はこう出る(H21 第34問) 引取物流(ミルクラン)の記述で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「引取のための輸送コストの負担をメーカーや卸売業者に求めることはない」。 実際には配送費が浮く分の負担調整を求めることがあります。 → H21 第34問
13-4 ユニットロードと物流センターの運営
ユニットロードと一貫パレチゼーション
ユニットロードシステムとは、バラバラの貨物をパレットやコンテナで一定の単位(ユニット)にまとめて、 荷役・輸送・保管を行う仕組みです。荷物を"かたまり"にすることで、機械でまとめて扱えるようになります。
- 一貫パレチゼーション:出荷から到着まで、同じパレットに載せたまま荷姿を崩さずに運ぶこと。 途中で積み替えても、パレットごと動かせるので手間が激減します。
導入効果(メリット):
| 効果 | 中身 |
|---|---|
| 荷役の機械化・省力化 | フォークリフト等でまとめて扱える(人手が減る) |
| 荷姿の維持 | 出荷地点から着地点まで崩さず納品できる |
| 包装費の削減・破損防止 | 個別包装が簡素化でき、まとめて守れる |
| 国際複合一貫輸送が可能 | コンテナ化で陸・海・空をまたいで一貫輸送できる |
注意点(デメリット):パレットやコンテナという容器そのものを回収・管理する必要があり、 回収が遅れると滞留・偏在(ある場所に余り、別の場所で不足)が起こりやすくなります。
⚠️ つまずきポイント:「ユニットロードでパレット・コンテナの滞留や偏在を防止できる」は誤り。 むしろ容器の回収管理という新たな課題が生じます(H23第37問の正解=誤り肢)。
📝 過去問はこう出る(H23 第37問) ユニットロードシステムの導入効果で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「コンテナやパレットの滞留や偏在を防止できる」。省力化・荷姿維持・包装費削減・国際複合一貫輸送は正しい効果。 → H23 第37問
物流センターの2タイプ ― DC と TC
チェーン小売業の物流センターには、大きく在庫を持つ/持たないの2タイプがあります。
| タイプ | 正式名 | 特徴 |
|---|---|---|
| DC(在庫型) | Distribution Center | 商品を在庫として保管し、店舗の注文に応じて出荷。在庫があるのでリードタイムを短くしやすい |
| TC(通過型) | Transfer Center | 在庫を持たず、入荷品を保管せずに仕分けて即出荷(通過させる) |
クロスドッキング
クロスドッキングとは、入荷した商品を倉庫に保管せず、その場で店舗別に仕分けてすぐ出荷する方式です。 入荷ドックと出荷ドックを"横切る(クロス)"ように荷を通過させるイメージで、TC(通過型)で多く使われます。
【入荷】メーカー・卸から到着
│ (保管しない!)
▼ すぐ店舗別に仕分け
【出荷】各店舗へ即配送
- メリット:在庫を持たないので保管コストがかからず、鮮度の高い商品を素早く店舗へ届けられる。
- 成立条件:保管しない分、入荷のタイミングを事前に調整し、できれば入荷時点で店舗別に小分け (プリパッケージ)されていることが望ましい。
- 適した商品:チルド食品・日配品など高回転・短鮮度の商品にこそ向いています(「適さない」は誤り)。
⚠️ 混同注意:クロスドッキング と ピッキングは別物 - クロスドッキング=入荷品を保管せず仕分けて即出荷(通過型の機能) - ピッキング=出荷指示に基づき、保管場所から商品を取り出して取り揃える作業 R06第37問では、ピッキングの説明をクロスドッキングと言い換えた肢が誤りになりました。
📝 過去問はこう出る(H20 第26問/R06 第37問) H20第26問はクロスドッキングの説明で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「チルド食品や日配品にはクロスドッキング方式は適さない」。実際は高回転・短鮮度品にこそ適します。 R06第37問は物流センターの機能で「最も適切なもの」を選ぶ問題。正解は 「物流センターを利用すると複数納入業者からの納品を取りまとめ、店舗の荷受作業を軽減できる」。 → H20 第26問 / R06 第37問
ピッキングの2大方式
ピッキングとは、注文に応じて保管場所から商品を集める作業です。摘み取り型と種まき型の2つが基本です。
| 方式 | 別名 | やり方 | イメージ |
|---|---|---|---|
| オーダー別(シングル) | 摘み取り方式 | 1オーダーごとに、作業者が棚を周回して集める | 買い物カゴを持って店内を1周 |
| 品種別(トータル) | 種まき方式 | 全注文をまとめて品種単位で集め、後で注文先別に仕分ける | まず全部集めて、後で振り分け |
- 摘み取り方式(オーダー別・シングルピッキング):受注1件ごとに保管場所を回って集める。
- 種まき方式(品種別・トータルピッキング):品種ごとにまとめて集め、あとで店舗(オーダー先)別に配分する。
- リレー式:複数の作業者が作業範囲を分担し、中継しながらピッキングを完結させる方式。
⚠️ つまずきポイント:「摘み取り=オーダー別(1注文ずつ)」「種まき=品種別(まとめて集めて後で仕分け)」。 H25第35問では、この摘み取り/種まきの説明や、リレー式の説明を入れ替えた肢が誤りになりました。
📝 過去問はこう出る(H25 第35問) ピッキング方式の定義を組み合わせで問う問題。正しいのは 「シングルピッキング=1人が受注単位ごとに周回する摘み取り型」と 「品種別・オーダー別複合=品種単位で集めた直後に受注先ごとに仕分ける」の2つ。 品種別ピッキングやリレー式の説明を取り違えた肢は誤りです。 → H25 第35問
物流ABC(活動基準原価計算)
物流ABCとは、出荷・配送・検品といった「活動(アクティビティ)」ごとに作業時間・作業量を把握し、 活動を基準に物流コストを割り振る分析手法です。ABC=Activity-Based Costing。
- どんぶり勘定になりがちな物流費を、活動単位で"見える化"できます。
- これにより、顧客別の採算分析や、「出荷1ケースあたりのコスト」といった単位原価が算出できます。
⚠️ つまずきポイント:物流ABCが注目するのは「活動(アクティビティ)」です。 「人・施設・機器に注目してコストを分析する」は誤り(H24第37問の正解=誤り肢)。あくまで"活動"基準です。
📝 過去問はこう出る(H24 第37問) 物流ABCの記述で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「人、施設、機器に注目してコストを分析する」。物流ABCは活動(アクティビティ)に注目します。 「活動ごとに作業時間・作業量を把握」「顧客別採算分析ができる」「出荷1ケースあたりコストを算出できる」は正しい。 → H24 第37問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 物流の5機能=輸送・保管・荷役・包装・流通加工(+つなぐ物流情報)
- ☐ 荷役=積み降ろし・運搬・仕分け/流通加工=値札付け・小分け・詰め合わせ(取り違え注意)
- ☐ ASN=納品前に納品予定を事前送付/EDI=企業間データ交換/JTRN=国内統一物流EDI標準
- ☐ 範囲は 物流 ⊂ ロジスティクス ⊂ SCM(だんだん広がる)
- ☐ ブルウィップ効果=実需はわずかでも、川上ほど発注変動が拡大/対策はPOSデータ共有
- ☐ VMI=納入業者が主導して補充/CRP=売れた分だけ自動で連続補充(2つを入れ替えた引っかけ注意)
- ☐ 実車率=空車走行を減らすと上がる(距離)/積載率=荷台の空きを減らすと上がる(量)
- ☐ 共同輸配送:異業種でも配送先が違っても可/積載効率は上がるが配送数量は減らない
- ☐ モーダルシフト=トラック→鉄道・船舶/ロットは大きく・リードタイムは長く(環境負荷は減る)
- ☐ RORO船=車両を自走で積む/路線便=積み合わせて途中で積替え/トラックはCO2が多い
- ☐ 3PL=物流を丸ごと受託(拠点設計まで担う)/アセット型・ノンアセット型・ゲインシェアリング
- ☐ ミルクラン(引取物流)=荷受け側が巡回集荷/浮いた配送費の負担調整を求めることがある
- ☐ ユニットロード=パレット・コンテナでまとめる/省力化・荷姿維持・包装費減/容器の滞留・偏在に注意
- ☐ DC=在庫型(リードタイム短い)/TC=通過型/クロスドッキング=保管せず仕分け即出荷(TCで多い)
- ☐ クロスドッキングはチルド・日配品に適する(適さないは誤り)
- ☐ ピッキング:摘み取り=オーダー別(1注文ずつ周回)/種まき=品種別(まとめて集め後で仕分け)
- ☐ 物流ABC=活動(アクティビティ)基準でコスト分析(人・施設・機器に注目、は誤り)
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| R01 第34問 | 輸送手段の特徴(RORO船・路線便) | 問題 |
| H24 第38問 | モーダルシフト | 問題 |
| H21 第29問 | 3PL(サードパーティ・ロジスティクス) | 問題 |
| H21 第34問 | 引取物流(ミルクラン) | 問題 |
| R07 第36問 | 共同輸配送・実車率/積載率 | 問題 |
| H28 第36問 | 共同物流 | 問題 |
| H24 第43問 | 物流情報システム(VMI・ASN・CRP) | 問題 |
| H23 第37問 | ユニットロードシステム | 問題 |
| H20 第26問 | クロスドッキング | 問題 |
| R06 第37問 | 物流センターの機能(DC/TC・一括物流) | 問題 |
| H25 第35問 | ピッキング方式(摘み取り・種まき) | 問題 |
| H24 第37問 | 物流ABC(活動基準原価計算) | 問題 |
次章予告 ▶ 第14章「資材・在庫管理」 本章の「在庫の一元管理」から一歩進み、在庫をいくつ・いつ発注するかという管理手法を学びます。 発注点方式・定期発注方式、経済的発注量(EOQ)の計算、ABC分析による重点管理などを扱います。