第11問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 日本企業は、中国やアセアン諸国等の新興国に向けて、大企業のみならず中小中 堅企業も数多く進出している。中小中堅企業は、大手取引先の海外生産拠点への部 品供給や技術支援を目的に海外進出をする場合が多い。その一方で、近年、 ① 小売業 やサービス業分野はもとより一部の製造業でも現地市場への浸透を目指す海外進出 が増加しており、成功事例も多くなっている。 他方、アジアでは自国の経済が発展するにつれて現地の有力企業が台頭し、海外 企業と激しく競争する例がみられるようになった。わが国の多くの企業では高所得 層のハイエンド市場に現地市場戦略の重心をシフトする例が少なくない。しかし、 人口が多く、将来的に大きく成長する可能性のある ② 中所得層や低所得層の潜在的な 市場への浸透を図ることも重要であることを看過してはならない。 DKJC-1C 12 設問 ¼ 文中の下線部①で指摘されている現地市場への浸透の成功事例は、業種の特性 や進出国の状況などによって多様である。成功している現地対応策に関する記述 として、最も不適切なものはどれか。
- ア M&A をした企業の現地人材に自社のビジョンや戦略の理解を促し、現地 に大幅な経営権限を与えて、現地に即した経営を展開して現地化を図る。
- イ ジアの新興国市場の発展可能性を評価して、新興国対応のために製品の企 画から生産、販売までの事業単位を編成して、現地市場への対応強化を図る。
- ウ 現地市場への浸透や市場の拡大のスピードを速めるためには、現地法人のガ バナンスを強化して、派遣した日本人だけによる生産販売活動に切り換える。
- エ 現地の市場で優位に立つのは、日本国内や海外のライバル企業であることも 多いので、ライバル企業の戦略を分析して自社の現地優位性を確立することを 重視する。
- オ 新興国で小売や飲食サービスのチェーン展開を図るために、ブランドを重視 して、事業コンセプトに沿った現地でのオペレーションを実施する。 DKJC-1C 設問¼ 文中の下線部②で指摘するような市場への浸透について注意すべきことに関す る記述として、最も適切なものはどれか。
- 現地の大衆市場でコモディティ化が進行する製品分野では、改良型製品を 次々に市場に投入するスピードを発揮できれば、価格競争を回避し得る。
- 現地の大衆市場では低価格を武器とする現地企業と競合して不採算に陥りや すいので、現地対応の低価格製品を日本国内の生産で供給する体制をとる。
- 現地の大衆市場では薄利多売が有効であるが、損益分岐点が押し上げられる ため、営業費用等の変動費を下げる必要がある。
- 現地の低所得層の市場では、商品配送に支障をもたらす道路事情や商品知識 に乏しい顧客が散在しているなどのため、濃密でコストのかかる人的接触重視 によるアプローチも求められることに注意しなければならない。 DKJC-1C
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正解:ウ
解答:設問1=ウ(参考:設問2=エ)
〔リード〕新興国市場への現地市場浸透(ローカライゼーション)戦略。現地化・現地人材活用・現地ニーズ対応が成功の鍵。中所得・低所得層(ボリュームゾーン/BOP)への浸透では、現地に密着した低コスト対応や人的接触が必要。本設問の公式正解は「ウ」。
【設問1】現地対応策として最も不適切なもの
- ア(○):M&A先の現地人材に自社ビジョンを浸透させつつ大幅な経営権限を与え、現地に即した経営で現地化を図る。適切。
- イ(○):新興国対応のため企画から生産・販売までの事業単位を編成し現地対応を強化する。適切。
- ウ(×):現地化を進めるべき局面で「派遣した日本人だけによる生産販売活動に切り換える」のは現地市場浸透に逆行する。最も不適切。
- エ(○):ライバル企業の戦略を分析し自社の現地優位性を確立する。適切。
- オ(○):チェーン展開でブランドを重視し、事業コンセプトに沿った現地オペレーションを実施する。適切。
【設問2(参考)】中・低所得層市場への浸透で注意すべき最も適切なもの=エ
- ア(×):改良型製品を投入しても、コモディティ化した大衆市場で価格競争を回避できるとは限らない。
- イ(×):現地対応の低価格製品を「日本国内生産」で供給すればコスト高となり、低価格競争に対応できない。
- ウ(×):薄利多売で損益分岐点が押し上げられるとき下げるべきは固定費等であり、「営業費用等の変動費」という整理は不正確。
- エ(○):低所得層市場では道路事情や顧客の商品知識不足から、コストのかかる人的接触重視のアプローチも求められる。最も適切。
よって 設問1の公式正解は ウ。