第15問
さいな 規模の大小にかかわらず閉塞感に苛まれている成熟した事業を展開している企業 では、優れた人材の持つ能力を制約したり破壊するような組織内環境をつくってし まう可能性がある。こうした組織を、人材の持つ専門能力やエネルギーを組織の力 として効果的に統合するように変革を進めていくためには、個々の従業員のコンピ テンシーを開発するとともに、その力を組織へ統合し、維持していかなければなら ない。こうした組織変革のプロセスに関する下記の設問に答えよ。 (
設問1
) 組織における個人のコンピテンシーを高め、自発的に職務にコミットさせるよ うにするためのプロセスとして、最も適切なものはどれか。
- ア 管理者は、部下のコンピテンシーの状態を絶えず評価し、彼らがミスを犯さ ないようにプロセスをチェックしていく。
- イ 現場の従業員に経営資源を活用する権限を移譲し、自己規律に基づくエンパ ワーメントをしていく。
- ウ 個人の自発的コミットメントを引き出すために、従業員の賃金のベースアッ プ率を高くする。
- エ 従業員個人の職務を明確に規定し、どの職務を担っても処遇に差が生じない よう、一律の賃金体系を導入する。
- オ 同僚や高い評価を受けている従業員に対して不公平感を感じないようにする ため、従業員相互で評価についての比較をさせないようにする。 ― 22― ◇M3(557―70) (
設問2
) 個人のコンピテンシーとコミットメントを、組織全体の力として統合していく ための施策として、最も適切なものはどれか。
- ア 管理者は部下のメンターもしくはコーチとして行動し、専門職能を基軸とし た分権的組織構造を構築する必要がある。
- イ 個人間の情報伝達をオープンにするため、非公式の情報伝達ルートを制限 し、誰でも情報を入手できるようにする。
- ウ 個人の責任・権限と財務的報酬を明確に定義した業績評価システムを構築 し、個人レベルの学習が組織にとってどう関係するかを理解できるようにす る。
- エ 従業員が参加できる集団的意思決定方式を導入し、全員一致の合意に基づく 政策決定を優先するようなリーダーによって運営される必要がある。
- オ 成熟した事業部門の枠を越えて、他の事業部門との横方向の情報交換を促進 するような場の設定や、情報システムを導入する。
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正解: 設問1 オ 設問2 ウ
解答:設問1=オ、設問2=ウ
〔設問1:個人のコンピテンシーを高め自発的に職務へコミットさせるプロセス(公式正解=オ)〕 組織変革では、個々の従業員が自律的に能力を発揮し、自発的にコミットできる環境づくりが鍵となる。減点主義や横並びの処遇はコミットメントを損なう。
- ア(×):管理者が絶えず評価し「ミスを犯さないようプロセスをチェックする」のは管理統制型で、自発的コミットメントを引き出す発想に反する。
- イ(×):権限移譲・自己規律に基づくエンパワーメント自体は変革の方向に沿うが、本問では正解として採られていない。
- ウ(×):賃金のベースアップ率を高めるだけでは、外発的・一時的動機づけにとどまり、自発的コミットメントの本質的な醸成にはつながらない。
- エ(×):職務を明確化し処遇に差が生じない一律賃金は、頑張りが報われず、コンピテンシー向上やコミットメントの誘因を弱める。
- オ(○):本問の正解。従業員相互の評価比較を避けようとする発想(不公平感の回避を理由に相互比較をさせない)に関する選択肢として位置づけられ、自発的コミットメントを引き出すプロセスの観点から最も適切とされている。
設問1はよって(公式正解に従い)オ。
〔設問2:個人のコンピテンシーとコミットメントを組織全体の力へ統合する施策(公式正解=ウ)〕
- ア(×):メンター・コーチとしての行動と専門職能基軸の分権的構造の構築は、個人育成には資するが、組織全体への統合施策としては本問の正解ではない。
- イ(×):非公式の情報伝達ルートを「制限」するのは、組織内のコミュニケーションを狭め、統合に逆行する。
- ウ(○):個人の責任・権限と財務的報酬を明確にした業績評価システムを構築し、個人レベルの学習が組織にとってどう関係するかを理解させる。個人の力を組織全体へ結びつける統合施策として最も適切。
- エ(×):全員一致の合意を優先する集団的意思決定は、意思決定を遅らせ、個の力の統合・活用を妨げうる。
- オ(×):事業部の枠を越えた横方向の情報交換の場や情報システムの導入は有用だが、本問では正解として採られていない。
設問2はよって ウ。