企業経営理論 H20年度 第11問

第11問

企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべ き情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、 下記の設問に答えよ。 (設問) 機能別部門組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 機能別部門組織では、各機能部門が専門機能を基礎に編成されているため、 全社的なコントロールを担当する次世代のトップマネジメントを養成すること が難しい。
  2. 機能別部門組織では、高度な分権化が進展しているため、トップマネジメン トへの集権化の程度は低い。
  3. 機能別部門組織では、それぞれの部門が異なる機能を担当しているため、変 化する環境でも部門間コンフリクトが発生する可能性は低い。
  4. 機能別部門組織の利点は、機能部門ごとの専門化の利益を最大限に発揮でき る点にあり、その分、規模の経済は犠牲になる。
  5. 機能別部門組織は、単一製品-市場分野に進出している企業に採用される傾 向が高く、あまり大規模な操業には適さない。 ― 16― ◇M3(743―63) (設問) 事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  6. 事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理 されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちに なる。
  7. 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機 構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
  8. 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することに なり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。
  9. 事業部制組織は、複数の製品-市場分野に進出している企業で採用される傾 向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。
  10. 事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関 する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた 新規事業を創造しやすくなる。 ― 17― ◇M3(743―64) (設問) 機能部門-事業部門からなる恒常的なマトリックス組織に関する記述として、 最も適切なものはどれか。
  11. マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応 し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。
  12. マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限 を持つので、従業員は人の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。
  13. マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネ ジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負 担は大きくなる。
  14. マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業 が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。
  15. マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業 活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。 ― 18― ◇M3(743―65)
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正解:

解答:ア(設問1)

〔リード〕機能別部門組織に関する記述として「最も適切」なものを選ぶ(設問1)。

  • ア(○):機能別部門組織は各部門が専門機能(製造・販売・研究開発など)で編成されるため、部門責任者は自部門の専門知識に偏り、全社的視点で経営を統括する次世代トップマネジメントの育成が難しい。機能別組織の典型的欠点で適切。
  • イ(×):機能別組織は意思決定がトップに集まる集権的構造であり、「高度な分権化が進展」「集権化の程度は低い」という記述は逆で誤り。
  • ウ(×):各部門が異なる機能を担い相互依存するため、環境変化時には部門間コンフリクトがむしろ発生しやすい。「発生する可能性は低い」は誤り。
  • エ(×):機能別組織は同一機能を集約することで規模の経済を享受できるのが利点であり、「規模の経済は犠牲になる」は誤り。
  • オ(×):機能別組織は単一製品-市場分野の企業に適し、専門化による効率で大規模操業にも適する。「あまり大規模な操業には適さない」は誤り。

よって、設問1は最も適切な

(注:本問は設問2〔事業部制組織〕・設問3〔マトリックス組織〕を含む長文問題だが、本ファイルの公式正解として登録されているのは設問1の「ア」であるため、設問1のみ解説する。)

#経営戦略・全社戦略#競争戦略#組織構造#組織行動・コミットメント

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