第1章 生産管理の基礎と生産形態
この章のねらい 運営管理(オペレーション・マネジメント)の前半=「生産管理」の入り口です。 個々のテーマ(生産計画、資材・在庫管理、IE、品質管理…)を学ぶ前に、 「そもそも生産管理は何を目指すのか(QCD)」「工場にはどんな作り方の型があるのか(生産形態)」という 土台となる地図を頭に入れます。ここが分かっていると、第2章以降の細かい手法が"どの型の話か"を 見失わずに済みます。
過去問での出方:この章のテーマは、運営管理の第1問前後でほぼ毎年顔を出します。 とくに①管理目標(PQCDSME)と評価指標の定義、②生産形態の分類(受注/見込、個別/ロット/連続 など)、 ③ライン生産とセル生産は、単純な用語の正誤問題として狙われる得点源です。 指標の分母・分子の向き、用語の言い換えを正確に覚えるだけで得点できます。
1-0 この章の地図
この章は、「何を目指すか(目的)」→「どんな型で作るか(生産形態)」→「代表的な作り方(ライン/セル)」→ 「どう良くするか(生産性・合理化)」という順に進みます。まず全体像をつかみましょう。
1-1 生産管理の目的 … QCD・生産の4M・生産の3S(ことばの土台)
│
1-2 生産形態の分類 … 受注/見込、個別/ロット/連続 ほか(★最頻出)
│
1-3 ライン生産とセル生産 … 代表的な2つの作り方(★頻出)
│
1-4 生産性と合理化 … 評価指標・ECRS・5S(計算も出る)
│
まとめ → 対応過去問表 → 次章予告
💡 そもそも「生産管理」とは JIS(日本産業規格)では、生産管理を「所定の品質・原価・数量および納期で生産するため、 または Q(品質)・C(原価)・D(数量・納期)に関する管理を行う活動」と位置づけています。 ひとことで言えば「良いもの(Q)を・安く(C)・必要な量だけ間に合わせて(D)作る」ための舵取りです。
1-1 生産管理の目的(QCDと4M・3S)
いちばん大事な3文字:QCD
生産管理が目指すゴールは、伝統的に QCD の3つで表されます。 この3つは、あとで出てくるトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)の関係でもあり、 そのバランスをとるのが生産管理の腕の見せどころです。
| 記号 | 意味 | ねらい |
|---|---|---|
| Quality | 品質 | 決められた品質を確保する(不良を出さない) |
| Cost | 原価 | ムダを省いて安く作る(原価低減) |
| Delivery | 納期・数量 | 必要な量を・決めた期日に間に合わせる |
QCDを広げた「PQCDSME」
近年の試験では、QCDを現場の管理目標にまで広げた PQCDSME がよく問われます(H21 第2問・H24 第2問・H30 第1問・R02 第1問)。 7つの頭文字を、意味とセットで覚えましょう。
| 記号 | 読み | 管理する対象(=何を良くする活動か) |
|---|---|---|
| P | Productivity / Production | 生産性・生産量 |
| Q | Quality | 品質(不良を減らす) |
| C | Cost | 原価(コスト低減・経済性向上) |
| D | Delivery | 納期・数量(決めた量を期日どおりに) |
| S | Safety | 安全(労働災害を防ぐ) |
| M | Morale | 意欲・モラール(勤労意欲を高める) |
| E | Environment | 環境(職場環境・地球環境への配慮) |
⚠️ 混同注意:Sを「標準化」と読ませる引っかけ H21 第2問は、「S=作業の標準化や標準部品の使用を進める活動」という選択肢を誤りとして出しました。 S は Safety(安全)です。「標準化・単純化」は S ではなく、生産性(P)や原価(C)に関わる活動。 頭文字の"意味のすり替え"が定番の引っかけなので、
S=安全と紐づけて覚えましょう。
生産の4M ― 現場を構成する4つの要素
生産現場は、次の4つの資源(インプット)で成り立っています。頭文字がすべて M なので 4M と呼びます。
| 4M | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| Man | 人 | 作業者・技能・多能工 |
| Machine | 設備 | 機械・治工具・ライン |
| Material | 材料 | 原材料・部品 |
| Method | 方法 | 作業手順・工程・レイアウト |
- 不良や納期遅れなど問題が起きたとき、「どの M に原因があるか」で切り分けて考えると整理しやすくなります。
- (発展)これに Measurement(測定) を加えて 5M、さらに環境を加えて 5M+1E とすることもあります。
生産の3S ― 合理化の3原則(標準化・単純化・専門化)
生産を効率化する土台となる考え方が 3S です。R03 第2問でそのまま問われました。
| 3S | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 標準化 | Standardization | 材料・部品・作業方法などを共通のルールに統一する |
| 単純化 | Simplification | 種類・工程を減らして簡素にする(不要なバリエーションを整理) |
| 専門化 | Specialization | 人・設備を特定の仕事に集中させて習熟・効率を上げる |
⚠️ 混同注意:3S に「平準化」は入らない R03 第2問は、「標準化・単純化・平準化の3S」という選択肢を誤りとして出しました。 3S の3つ目は専門化(Specialization)です。「平準化(生産量をならすこと)」は別の概念(→ 第2章の生産計画)。 3つともS で始まる英語、と押さえると引っかかりません。
📝 過去問はこう出る(H21 第2問) PQCDSME の各記号と活動の対応を問い、「最も不適切なもの」を選ばせる問題。 正解(=誤り)は「S ― 作業の標準化や標準部品の使用を進める活動」。S は Safety(安全)なので、 標準化を S の説明にするのは誤り。C(原価低減)・D(納期遵守)・M(モラール向上)の対応は正しく書かれていました。 → H21 第2問
1-2 生産形態の分類 ★最頻出
工場の「作り方の型」を、いくつかの切り口(分類軸)で整理します。 試験は、この分類軸の取り違え(例:受注/見込の話なのに"流し方"の話にすり替える)を狙ってきます。 まず「どの軸の話か」を意識するのがコツです。
分類軸① 受注時期による分類:受注生産/見込生産
「いつ作り始めるか(注文を受けてからか、需要を見越して先にか)」で分けます。
| 受注生産 | 見込生産 | |
|---|---|---|
| 作り始めるタイミング | 顧客の注文を受けてから | 需要を見越して先に(在庫を持つ) |
| 品種と量 | 多品種少量になりやすい | 少品種多量になりやすい |
| 何がカギか(管理の重点) | 納期をどれだけ守れるか | 需要予測の精度・在庫量・欠品率 |
| 需要変動の吸収 | 生産量の調整で対応 | 製品在庫で吸収する |
| 例 | 注文住宅、オーダースーツ、産業機械 | 家電、日用品、飲料 |
📝 過去問はこう出る(H27 第2問) 「見込生産の特徴」の正しい組み合わせを選ぶ問題。正解は b と c。 - b:需要変動はなるべく製品在庫で吸収する(○) - c:営業情報や市場調査から需要予測を行い生産量を決める(○) 一方、「a:多品種少量生産」「d:納期をどれだけ守れるかが管理のポイント」は受注生産の特徴なのでバツ。 見込生産=少品種多量・在庫で吸収、と押さえます。 → H27 第2問
分類軸② 品種と生産量による分類:多品種少量/少品種多量
「種類が多く1種類あたり少ないか、種類が少なく1種類あたり多いか」で分けます。 その中間が中品種中量です。この軸は、後で出るレイアウトや設備の選び方に直結します。
多品種少量 ───────────── 中品種中量 ───────────── 少品種多量
(種類が多く量は少ない) (種類が少なく量は多い)
受注生産寄り/柔軟性重視 見込生産寄り/効率重視
機能別レイアウト・汎用設備 製品別レイアウト・専用設備
- 多品種少量生産:種類ごとに作り方が違うので、柔軟性が命。機能別(工程別)レイアウトや汎用設備が向く。
- 少品種多量生産:同じものを大量に作るので、効率が命。製品別レイアウト(ライン)や専用設備が向く。
📝 過去問はこう出る(H30 第2問) 「加工方法が多様で、需要が不安定な多品種少量生産」に適した施策を問う問題。正解は 「加工品の流れが一定でないので、機能別レイアウトを導入した」。 多品種少量では流れが品種ごとに変わるため、同種の機能(機械)をまとめる機能別レイアウトが向きます。 一方「専用ラインの導入」「完成品在庫で需要変動に対応」は少品種多量向けの発想でバツ (寿命の短い製品を在庫すると陳腐化リスク大)。 → H30 第2問
分類軸③ 仕事の流し方による分類:個別/ロット/連続
「モノをどう流すか」で分けます。量が少ない順に 個別 → ロット → 連続と並びます。
| 流し方 | 別名 | どう流すか | 向いている生産 |
|---|---|---|---|
| 個別生産 | ジョブショップ的 | 注文ごとに1個(1件)ずつ作る | 多品種少量・受注生産 |
| ロット生産 | 中量生産・断続(バッチ)生産 | 同じ品種をまとめた数量(ロット)単位で、品種を切り替えながら繰り返す | 中品種中量 |
| 連続生産 | 大量生産・フロー | 同じ品種を途切れなく大量に流す | 少品種多量・見込生産 |
- ロット生産は「個別生産」と「連続生産(大量生産)」の中間に位置します(=断続生産)。
- 1つのロットに含まれる個数を ロットサイズ、その数量を決める活動を ロットサイジングと呼びます。
- 1つのロットの中は、一般にすべて同じ品種で構成されます。
📝 過去問はこう出る(H22 第2問) 「ロット生産に関する記述」で「最も不適切なもの」を選ぶ問題。正解(=誤り)は 「受注生産と見込生産の中間的な生産形態」。ロット生産は"流し方(生産量)"による分類で、 個別生産と連続生産の中間(=断続生産)が正しい位置づけです。 受注/見込は"受注時期"による別の分類軸なので、そこに中間として置くのは軸の取り違えでバツ。 ロットサイズ・ロットサイジング・ロットサイズ在庫の定義は正しく書かれていました。 → H22 第2問
分類軸④ 加工品の流れの形:フローショップ型/ジョブショップ型
「工程を通る経路」の形で分けます。レイアウト(設備の並べ方)の話と直結します。
| フローショップ型 | ジョブショップ型 | |
|---|---|---|
| 流れ方 | 全製品がほぼ同じ経路を一方向に流れる | 製品ごとに経路が異なる |
| レイアウト | 製品別レイアウト(ライン) | 機能別(工程別)レイアウト |
| 向く生産 | 少品種多量 | 多品種少量 |
📝 過去問はこう出る(R01 第2問) 「加工品の流れの違いによって区別される用語の組み合わせ」を選ぶ問題。正解は 「フローショップ型とジョブショップ型」。これがまさに"流れの形"による区分です。 引っかけとして、「押出型と引取型」は生産指示の方式(プッシュ/プル、情報の流し方)、 「多品種少量と少品種多量」は品種と量、「見込生産と受注生産」は受注時期による区分で、 どれも"加工品の流れの形"ではありません。軸のすり替えに注意。 → R01 第2問
つまずきポイント:分類軸は「組み合わせ」で整合する
これらの軸はバラバラではなく、自然に組み合わさります。整合しない組み合わせが引っかけになります。
受注生産 ─── 多品種少量 ─── 個別/ロット生産 ─── ジョブショップ型(柔軟性重視)
見込生産 ─── 少品種多量 ─── ロット/連続生産 ─── フローショップ型(効率重視)
📝 過去問はこう出る(H20 第11問) 「生産形態の組み合わせとして、最も関連性の弱いもの」を選ぶ問題。正解(=弱い)は 「見込生産 ― 多品種少量生産 ― 連続生産」。 連続生産は少品種多量に適すので、「多品種少量」と「連続生産」は矛盾します。 「受注生産―多品種少量―個別/ロット」「見込生産―少品種多量―ロット」はどれも整合的でした。 → H20 第11問
💡 覚え方:受注生産の"3点セット"/見込生産の"3点セット" - 受注生産=多品種少量・個別(ロット)・納期がカギ(ジョブショップ) - 見込生産=少品種多量・連続(ロット)・需要予測と在庫がカギ(フローショップ) どちらの世界の話かを最初に見分ければ、選択肢の正誤が一気に判定できます。
1-3 ライン生産方式とセル生産方式 ★頻出
代表的な2つの作り方を比べます。ライン生産=分業して流す、セル生産=少人数でまとめて作る、が大枠です。
ライン生産方式
作業を工程(作業ステーション)に分けて割り付け、品物がライン上を移動しながら加工が進む方式です。 少品種多量生産に向きます。
- モノが動き、作業者(と設備)は所定位置に静止するのが基本形。 「作業者がステーションを移動する」という記述は逆で誤り(頻出の引っかけ)。
- タクト生産方式:全作業者が同時に着手し、一定時間(タクト)で同時に終了。終わると品物が次工程へ移動する。
- ライン生産では、各工程の作業時間をそろえる ラインバランシング(ライン編成) が生産効率のカギ。 工程間の負荷のアンバランスは、工程間在庫で吸収するのではなく、ライン編成で解消するのが本筋。
📝 過去問はこう出る(H23 第8問) 「ライン生産方式に関する記述」で最も適切なものを選ぶ問題。正解は 「移動作業方式では、作業者と品物が同時に移動し、作業者は所定の作業域内で所定の作業を行う」。 引っかけとして、「タクト生産方式では作業者が一斉に次のステーションへ移動する」「ライン生産では作業者が ステーションを移動するにつれて加工が進む」はいずれも"移動するのは品物"が正しく、バツ。 → H23 第8問
ラインバランシングの計算(編成効率・バランスロス)
ラインの良し悪しは、編成効率(ラインバランス効率)とバランスロスで測ります。R05 第6問で計算問題として出ました。
- サイクルタイム(ピッチタイム):各作業ステーションに与えられる時間。ふつう一番遅い工程の時間が決める。
- 編成効率 = 各工程の作業時間の総和 ÷(工程数 × サイクルタイム)
- バランスロス = 1 − 編成効率
- 1時間あたり生産量 = 3,600秒 ÷ サイクルタイム(秒)
【計算例:R05 第6問】 4工程で、各工程の作業時間が 工程1=25秒/工程2=28秒/工程3=30秒/工程4=22秒(総和105秒)、 サイクルタイム=一番遅い工程3の30秒のとき
① 編成効率 = 105 ÷(4 工程 × 30 秒)= 105 ÷ 120 = 0.875 = 87.5%
② バランスロス = 1 − 0.875 = 0.125 = 12.5%
③ 1時間の生産量 = 3,600 秒 ÷ 30 秒 = 120 個/時
📝 過去問はこう出る(R05 第6問) 上の手順どおり計算し、正解は「⒜バランスロス=12.5%、⒝生産量=120個」。 サイクルタイム=最も遅い工程の作業時間、生産量=3,600÷サイクルタイムの2点を押さえれば解けます。 → R05 第6問
セル生産方式
1人または少人数の作業者が、U字型などに配置した設備をぐるっと使って、複数工程をまとめて受け持つ方式です。 多品種少量生産に向き、多能工(複数の作業ができる人)を必要とします。
- 設備の並べ方は、類似の部品をグループにまとめる GT(グループテクノロジー)の考え方に基づく セル型(グループ別)レイアウト。同種の機械をまとめる機能別レイアウトとは異なる。
- 1人完結型セル(屋台方式):1人が全工程を担う。多能工=熟練が必要。工程数が少なく扱いやすい製品が向く。
- 巡回方式セル:数人が分担しつつセル内を回る。
- ライン生産に比べ、品種・数量の変動に柔軟(ライン編成をやり直さずに済む)。
| ライン生産方式 | セル生産方式 | |
|---|---|---|
| 誰が動くか | 品物が動く/作業者は定置・分業 | 少人数がまとめて担当(多能工) |
| レイアウト | 製品別(ライン) | セル型(GTによるグループ化) |
| 向く生産 | 少品種多量 | 多品種少量 |
| 変動への強さ | 弱い(編成し直しが必要) | 強い(柔軟) |
| 必要な作業者 | 単能工でも可 | 多能工が必要 |
📝 過去問はこう出る(H19 第20問) セル生産方式(セル型レイアウト)の記述を問う問題。正解は 「GTの原理により類似の部品がグループ化される」。 引っかけとして、「類似機械をまとめて配置」は機能別レイアウトの説明、 「多能工を必要としない」は逆(セルは多能工が必要)、「高価で専用的な設備の大量生産に適する」も誤り。 → H19 第20問
📝 過去問はこう出る(H21 第10問) 1人生産方式(セル的)とライン生産方式を比較する問題。正解(=不適切)は 「ライン生産方式では、工程間在庫が工程間負荷のアンバランスを吸収するのに有効」。 ライン生産は同期化して流すのが基本で、アンバランスはラインバランシングで解消するもの。 「1人生産方式は高い能力(多能工)が必要」「変動が大きい場合に有効」「ラインではラインバランシングが重要」は正しい。 → H21 第10問
📝 過去問はこう出る(R07 第14問) ラインからセルへ切り替える考え方を問う問題。正解は 「1人完結型セルの数=日々の必要生産数量 × 1個当たり作業時間 ÷ 稼働可能時間」で求める、という記述。 引っかけとして、「経験の少ない作業者を優先配置」(→ 多能工=熟練が必要)、 「PQ分析で生産量の多い製品から1人完結型セルへ」(→ 多量品はラインが有利。逆)、 「工程数が多く作業時間の長い製品を1人完結に」(→ 少ない製品が向く。逆)はいずれもバツ。 → R07 第14問
1-4 生産性と合理化(評価指標・ECRS・5S)
生産の評価指標 ― 分母・分子の向きに注意
生産活動の良し悪しを測る指標は、定義(何を何で割るか)が正確に問われます(R02 第1問・R05 第1問・H30 第1問)。 「分母と分子が逆」の選択肢が定番の引っかけです。
| 指標 | 定義(式) | 何を見るか |
|---|---|---|
| 生産性 | 産出量 ÷ 投入量 | 投入に対しどれだけ産出できたか(大きいほど良い) |
| 労働生産性 | 産出量(生産量)÷ 労働量 | 人の投入あたりの成果 |
| 歩留り(ぶどまり) | 産出(良品)量 ÷ 投入量 | 投入した材料のうち良品になった割合 |
| 操業度 | 実際生産量 ÷ 生産可能量 | 設備能力をどれだけ使えたか |
| 生産速度(生産率) | 単位時間あたりに処理される仕事量 | どれだけ速く作れるか |
| 可用率(アベイラビリティ) | 動作可能時間 ÷(動作可能時間+動作不能時間) | 設備が使える状態にある割合(信頼性・保全) |
| 強度率 | 延べ労働損失日数 ÷ 延べ実労働時間数 × 1,000 | 労働災害の重さ(安全 S の指標) |
| 不適合率 | 不適合品数 ÷ 検査総数 | 品質 Q の指標 |
| 遊休時間(アイドルタイム) | 動作可能な状態で作業を停止している時間 | 使われていないムダ時間 |
⚠️ 定番の引っかけ:分母・分子の反転/指標と評価対象のミスマッチ - 生産性・歩留り・労働生産性は「産出 ÷ 投入」。「投入 ÷ 産出」と書いてあれば逆=誤り(R02・R05)。 - 指標と評価対象のずれも狙われる:不適合率は品質(Q)の指標で職場環境(E)ではない、 可用率は設備(保全)の指標で納期(D)ではない(H30 第1問)。 - 単位時間あたりの仕事量を測るのは生産速度であって、リードタイム(着手〜完了の所要時間)ではない(R02)。
📝 過去問はこう出る(R02 第1問) 管理目標と尺度の対応の正誤を問う問題。正解は 「動作可能な状態で作業を停止している時間を、遊休時間として求めた」(定義どおり)。 引っかけは、歩留り・生産性を「産出量に対する投入量の比(=投入÷産出)」とした分母分子の反転、 「単位時間に処理される仕事量」をリードタイムと誤ったもの。 → R02 第1問
📝 過去問はこう出る(R05 第1問) 歩留り・操業度・生産性の定義の正誤を問う問題。正しい組合せは「a:誤、b:正、c:誤」。 - a(誤):単位時間あたりの仕事量は生産速度であり、歩留りではない。 - b(正):操業度=実際生産量 ÷ 生産可能量(定義どおり)。 - c(誤):生産性=産出 ÷ 投入であり、「産出に対する投入の比(投入÷産出)」は逆。 → R05 第1問
📝 過去問はこう出る(H30 第1問) PQCDSME の管理目標と評価指標の対応を問う問題。正解は 「安全(S)を評価するために強度率(=延べ労働損失日数 ÷ 延べ実労働時間数 × 1,000)を用いた」。 引っかけは、不適合率(品質 Q の指標)を職場環境(E)に、可用率(設備の指標)を納期(D)に対応させたミスマッチ、 および労働生産性を「労働量 ÷ 生産量」と分母分子逆にしたもの。 → H30 第1問
同期化とGT(合理化の考え方)
- 同期化:各工程の生産速度・稼働時間・材料の供給時刻などを一致させ、 仕掛品の滞留や工程の遊休をなくすこと。ライン生産の理想の姿です。
- GT(グループテクノロジー):多種類の部品を、形状・寸法・素材・工程などの類似性で分類・グループ化し、 多品種少量生産に大量生産的な効果を与える手法。セル型レイアウトの土台。
⚠️ 混同注意:GTとベンチマーキング R03 第2問は、部品を類似性で分類・グループ化することを「ベンチマーキング」と呼んだ選択肢を誤りにしました。 それは GT(グループテクノロジー)の説明です。ベンチマーキングは他社などの優良事例と比較して学ぶ手法で、別物。 → R03 第2問
改善の道具① ECRS(イクルス)の原則
作業や工程のムダを見直すときの着眼の順番です。E → C → R → S の順に検討すると効果が大きい、と覚えます。
| 記号 | 原則 | 意味(問い) |
|---|---|---|
| E | Eliminate(排除) | その作業をなくせないか(一番効果大) |
| C | Combine(結合) | 複数の作業をまとめられないか(または分離できないか) |
| R | Rearrange(交換・順序変更) | 順序や場所を入れ替えられないか |
| S | Simplify(簡素化) | もっと単純にできないか |
💡 覚え方:まず「やめられないか(E)」から考えるのがポイント。 いくら順序を工夫(R)したり簡単に(S)しても、そもそも不要な作業を残していては効果が薄いからです。
改善の道具② 5S(現場管理の基本)
職場をきれいに保ち、ムダ・ムラ・ムリを見えるようにする現場管理の基本が 5S です。
| 5S | 意味 |
|---|---|
| 整理(Seiri) | 要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てる |
| 整頓(Seiton) | 要るものをすぐ取り出せるように置く |
| 清掃(Seisou) | きれいに掃除し、異常に気づけるようにする |
| 清潔(Seiketsu) | 整理・整頓・清掃を維持する(きれいな状態を保つ) |
| 躾(Shitsuke) | 決めたことを守る習慣をつける |
- 3S・4M・ECRS・5S はいずれも「ムダを省いて効率を上げる」ための道具立て。名前と中身の一対一暗記が得点に直結します。
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 生産管理の目的=QCD(品質・原価・納期)、広げてPQCDSME(P生産性・Q品質・C原価・D納期・S安全・M意欲・E環境)
- ☐ S は Safety(安全)(「標準化」ではない)/強度率は安全 S の指標
- ☐ 生産の4M=Man・Machine・Material・Method(+Measurementで5M)
- ☐ 生産の3S=標準化・単純化・専門化(「平準化」は入らない)
- ☐ 分類軸①受注時期:受注生産(多品種少量・納期がカギ)/見込生産(少品種多量・需要予測と在庫がカギ)
- ☐ 分類軸②品種と量:多品種少量(柔軟性・機能別)/少品種多量(効率・製品別)
- ☐ 分類軸③流し方:個別 → ロット(=断続・中間) → 連続/ロットサイズ・ロットサイジング
- ☐ 分類軸④流れの形:ジョブショップ型(経路バラバラ)/フローショップ型(同一経路)
- ☐ ライン生産=品物が動く・分業・少品種多量/作業者が動くは誤り、工程間在庫で吸収も誤り
- ☐ 編成効率=総作業時間 ÷(工程数 × サイクルタイム)、バランスロス=1−編成効率、生産量=3,600÷サイクルタイム
- ☐ セル生産=少人数・多能工・多品種少量・GTによるセル型レイアウト/柔軟性が高い
- ☐ 評価指標は産出 ÷ 投入(生産性・歩留り・労働生産性)/操業度=実際生産量 ÷ 生産可能量(分母分子の反転に注意)
- ☐ 改善の道具:ECRS(排除→結合→交換→簡素化)、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、同期化、GT
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H21 第2問 | 管理目標(PQCDSME)と活動の対応 | 問題 |
| H30 第1問 | 管理目標(PQCDSME)と評価指標 | 問題 |
| R02 第1問 | 管理目標と尺度(歩留り・生産性・遊休時間) | 問題 |
| R05 第1問 | 評価指標(歩留り・操業度・生産性) | 問題 |
| H20 第11問 | 生産形態の組み合わせ | 問題 |
| R01 第2問 | 加工品の流れによる分類(フロー/ジョブショップ) | 問題 |
| H22 第2問 | ロット生産 | 問題 |
| H27 第2問 | 見込生産の特徴 | 問題 |
| H30 第2問 | 多品種少量生産と機能別レイアウト | 問題 |
| H23 第8問 | ライン生産方式(移動/静止・タクト) | 問題 |
| H21 第10問 | 1人生産方式とライン生産方式の比較 | 問題 |
| H19 第20問 | セル生産方式(GT・セル型レイアウト) | 問題 |
| R05 第6問 | ラインのバランスロスと生産量(計算) | 問題 |
| R07 第14問 | ライン生産からセル生産への切り替え | 問題 |
| R03 第2問 | 生産管理の基本理論(3S・同期化・GT) | 問題 |
次章予告 ▶ 第2章「生産計画と生産統制」 本章で作り方の"型"をつかんだので、次は「いつ・何を・どれだけ作るか」を決める段階に進みます。 需要予測、基準生産計画、MRP(資材所要量計画)、日程計画(大日程・中日程・小日程)、 そして進捗・現品・余力の生産統制と、頻出の平準化・ガントチャートを扱います。