第6章 国民経済計算とGDP

この章のねらい ここからマクロ経済学(一国全体の経済)に入ります。マクロを学ぶには、まず 「一国の経済活動の大きさを、どうやって1つの数字で測るのか」というものさしを理解する必要があります。 そのものさしの代表が GDP(国内総生産) です。GDPが分かると、この後に出てくる 「景気」「乗数」「物価」「インフレ」「為替」といったマクロの話が、すべて"このものさしの上での動き"として 見えるようになります。まずは本章で、マクロ経済を測る共通言語を身につけましょう。

過去問での出方:この章は、経済学・経済政策で毎年ほぼ確実に1〜2問出る超頻出分野です。 出方は大きく3タイプ。①「GDPに含まれる/含まれない」の仕分け問題(H29・R03・R05・H30・R04…ほぼ毎年)、 ②名目・実質・物価指数の計算問題(H30・R05・R07…電卓なしで解ける簡単な四則計算)、 ③各種所得概念(GDP・GNI・NI)や産業連関表の読み取り(H23・H22・H27…)。 いずれもパターンが決まっていて、覚えれば確実に得点できる、コスパの高い分野です。


6-0 この章の地図

この章は、「GDPとは何か(定義)」→「名目と実質を分ける(物価の影響を取り除く)」→ 「GDPの仲間たち(GNI・NIなど)と産業のつながり(産業連関表)」という順で進みます。

6-1 GDPの定義と三面等価の原則
   … 付加価値/含む・含まないの仕分け(★毎年出る)
   │
6-2 名目GDP・実質GDPとGDPデフレーター
   … 物価の影響を取り除く/ラスパイレス・パーシェ(★計算で稼ぐ)
   │
6-3 各種所得概念(GDP・GNI・NI)と産業連関表
   … GDPの仲間の一覧/投入係数の読み取り

最初に、この章でいちばん大事な一言を頭に入れてください。

GDPとは「一定期間内に、国内で新しく生み出された付加価値の合計」

この一文がすべての土台です。「新しく」「国内で」「付加価値」の3つのキーワードが、 仕分け問題(含む・含まない)の判断基準そのものになります。


6-1 GDPの定義と三面等価の原則

いちばん短い定義

GDP(Gross Domestic Product=国内総生産) とは、

一定期間(ふつう1年)に、国内新たに生み出された付加価値の合計」

です。3つのキーワードを、初めての方向けにかみくだきます。

  • 一定期間に(フロー):その1年間に生産された分だけを数えます。過去に作られたもの(中古品)や、 もともと持っていた財産の値上がりは含みません。
  • 国内で:日本の"国土の中"で生み出された分。誰が(日本人か外国人か)作ったかは問いません (=「国内」概念。「国民」概念との違いは6-3で扱います)。
  • 付加価値:売上(産出額)から、他から買ってきた原材料など(中間投入)を差し引いた、 その段階で新しく生み出された価値のこと。

「付加価値」とは何か ― 二重計算を避ける工夫

なぜ「付加価値」で数えるのでしょうか。それは、同じ価値を二重に数えないためです。 パンができるまでを例にすると分かりやすいです。

 農家 ── 小麦 100円 ──→ 製粉所 ── 小麦粉 150円 ──→ パン屋 ── パン 250円 ──→ 消費者

  農家の付加価値   = 100 -   0 = 100円
  製粉所の付加価値 = 150 - 100 =  50円
  パン屋の付加価値 = 250 - 150 = 100円
  ─────────────────────────────
  付加価値の合計   = 250円  ← 最終生産物(パン)の価格と一致!

もし各段階の売上(100+150+250=500円)を全部足すと、小麦や小麦粉の価値を何重にも数えてしまう(二重計算)。 そこで各段階で「新しく足された価値(付加価値)」だけを合計します。すると、ちょうど最終生産物の価格(250円)に一致します。

💡 覚え方:GDP=付加価値の合計最終生産物の価値の合計。この2つは同じ金額になります。 「各段階の売上を全部足す」のは中間生産物を二重計算する誤り(試験の定番の引っかけ)。

三面等価の原則

一国の経済活動は、見る角度を変えても同じ大きさになります。これを 三面等価の原則 といいます。

見る面 何を測るか 別名
生産面 各生産段階の付加価値の総計 GDP(国内総生産)
分配面 生み出された付加価値が誰に所得として分配されたか(雇用者報酬・営業余剰など) GDI(国内総所得)
支出面 誰が何に支出したか(消費・投資・政府支出・純輸出) GDE(国内総支出)
    ┌──────────── 同じ大きさ ────────────┐
  生産面 GDP  =  分配面 GDI  =  支出面 GDE
 (付加価値)  (所得として分配) (消費+投資+…で支出)
  • この3つは事後的(=実際に実現した結果)には必ず一致します(恒等的に一致)。 計画段階(事前)の見込みどうしは一致するとは限りません。「事後的に一致」がキーワードです(H20 第1問)。
  • 支出面のGDP(GDE) の中身は、次の式でよく問われます。
 GDP(支出面)= 民間消費(C)+ 投資(I)+ 政府支出(G)+(輸出 - 輸入)
                                                    └── 純輸出(NX)──┘

📝 過去問はこう出る(H20 第1問) 三面等価と各概念の空欄補充。正解の組合せは 「A=事後的/B=付加価値/C=国内総支出/D=国内純生産」。 - 「事前的」→ ×(事後的に一致するのが原則) - 「中間生産物の価値」→ ×(付加価値でないと二重計算になる) - 「国民総支出」→ ×(支出面のGDPは"国内"総支出) - GDPから固定資本減耗を引くと NDP=国内純生産("国民"純生産ではない) → H20 第1問

GDPに「含まれるもの/含まれないもの」★毎年出る

この章の最頻出テーマです。判断は先ほどの3キーワード(新しく・国内で・付加価値)に立ち返れば解けます。 迷いやすいものを表で整理します。

具体例 理由
含む ○ 持ち家の帰属家賃 自分の持ち家に「自分で家賃を払っている」とみなして計上(帰属計算
含む ○ 農家の自家消費 自分で作って自分で食べる分も、生産された付加価値なので帰属計算で計上
含む ○ 警察・消防など公共サービス 市場価格がないので、政府が要した経費(人件費等)で評価して計上
含む ○ 政府最終消費支出・公的資本形成(公共投資) 政府が財・サービスを実際に購入する支出
含む ○ 市場での消費(旅行・買い物など) 市場を通す財・サービスの購入
含まない × 家事労働(家庭内の掃除・料理など) 市場を通さず、帰属計算の対象外
含まない × 移転支出(年金・生活保護・補助金・お小遣い・贈与) 生産の対価ではなく、単なる所得の再分配。付加価値を生まない
含まない × 中古品の購入(中古住宅・中古車など) 過去に生産済み。今期の生産ではなく、資産の移転にすぎない
含まない × 株価・地価の値上がり(キャピタルゲイン) 保有資産の評価額の変動であり、新たな生産ではない
含まない × 財政投融資(政府による貸付・出資) 資金の融通=金融取引にすぎない

⚠️ 混同注意:「帰属計算」される例外を丸暗記する GDPは「市場で取引された付加価値」が原則ですが、例外的に市場を通さなくても計上するものがあります。 それが ①持ち家の帰属家賃、②農家(生産者)の自家消費、③公共サービス(政府が経費で評価)。 この3つは"例外的に含む"の頻出パターンです。逆に家事労働は帰属計算しない(区別が引っかけの急所)。

💡 覚え方:「含まない」は3グループで覚える移転(年金・お小遣い・贈与=タダであげる)、②中古・キャピタルゲイン(今作ったものじゃない)、 ③金融取引(財政投融資・株の売買=お金の移動だけ)。この3つは「新しい生産じゃない」から含まれません。

📝 過去問はこう出る(複数年で同じ論点) - R05 第4問:含むのは「農家の自家消費」「持ち家の帰属家賃」。「家事労働」「移転支出」は含まない。 → R05 第4問 - H29 第3問:含むのは「公共サービスの提供」「農家の自家消費」。「株価の上昇」「中古住宅の購入」は含まない。 → H29 第3問 - R03 第3問:含むのは「温泉旅行(市場での消費)」「プレゼントの購入」。「大掃除(家事労働)」「孫へのお小遣い(移転)」は含まない。 → R03 第3問 - H30 第5問:政府支出のうち含むのは「公的資本形成」「政府最終消費支出」。「移転支出」「財政投融資」は含まない。 → H30 第5問 - R04 第3問:帰属家賃・自家消費は家計最終消費支出に含む(○)。住宅購入は総固定資本形成、自動車購入は家計最終消費支出(混同に注意)。 → R04 第3問


6-2 名目GDP・実質GDPとGDPデフレーター

なぜ「名目」と「実質」を分けるのか

GDPは「金額(円)」で測るので、モノの量が同じでも、値段(物価)が上がれば金額は増えてしまいます。 たとえば去年と全く同じ量のパンを作っても、パンの値段が2倍になれば、金額で見たGDPは2倍。 でも実際に作った"パンの量"は増えていません。これでは経済が本当に成長したのか分かりません。 そこで2種類のGDPを使い分けます。

何で評価するか 意味
名目GDP その年(当年)の価格 × その年の数量 物価変動を含んだ"見かけ"の大きさ
実質GDP 基準年の価格 × その年の数量 物価変動を取り除いた"本当の量"の大きさ

実質GDPは、価格を基準年に固定することで、「物価が上がったせいで増えて見える分」を取り除きます。 だから経済成長を測るときは実質GDPを使うのが基本です。

計算のしかた(例題で覚える)

商品A・商品Bの2つだけの経済を考えます(基準年を2020年とします)。

          2020年(基準年)        2022年(当年)
 商品A    価格200円 × 数量10個    価格210円 × 数量 8個
 商品B    価格100円 × 数量 5個    価格100円 × 数量 8個

① 2022年の名目GDP(当年価格 × 当年数量):

  210×8 + 100×8 = 1,680 + 800 = 2,480円

② 2022年の実質GDP(基準年価格 × 当年数量):

  200×8 + 100×8 = 1,600 + 800 = 2,400円

ポイントは、実質GDPでは価格を基準年(2020年)のものに固定して、数量だけ当年(2022年)を使うことです。

GDPデフレーター ― 物価の"総合ものさし"

名目と実質の比から、その国全体の物価水準を測る指標が GDPデフレーター です。

 GDPデフレーター = (名目GDP ÷ 実質GDP)× 100
  • デフレーターが100より大きい(名目>実質)→ 基準年より物価が上がっている(インフレ)。
  • デフレーターが100より小さい(名目<実質)→ 基準年より物価が下がっている(デフレ)。

そして、名目・実質・物価の成長率には次の関係があります(近似)。

 名目GDP成長率 ≒ 実質GDP成長率 + 物価上昇率(デフレーター上昇率)

⚠️ ここが頻出(H19 第1問の急所)デフレのとき(物価が下がる)は、名目GDP成長率が実質GDP成長率を「下回る」。 2000年代の日本はデフレ傾向だったので、「名目が実質を上回る」という記述はでバツになりました。 「物価が下がる=名目のほうが小さくなる」とセットで覚えましょう。 → H19 第1問

ラスパイレス指数とパーシェ指数

物価指数(物価の平均的な動きを表す数字)には、どの年の数量を"重み(ウェイト)"に使うかで2種類あります。 ここは毎年のように計算問題で問われます。

重みに使う数量 ひとこと 代表例
ラスパイレス指数 基準年の数量 昔の買い方で今の物価を測る 消費者物価指数(CPI)
パーシェ指数 比較年(当年)の数量 今の買い方で今の物価を測る GDPデフレーター
 ラスパイレス指数 = Σ(当年価格 × 基準年数量) ÷ Σ(基準年価格 × 基準年数量) × 100
 パーシェ指数     = Σ(当年価格 × 当年数量)   ÷ Σ(基準年価格 × 当年数量)   × 100

💡 覚え方スパイレスの「ラ」=(基準年で固定するから計算が"楽")。 ーシェの「パ」=パッと今(当年=今の数量を使う)。 試験では「CPI=ラスパイレス」「GDPデフレーター=パーシェ」の対応がそのまま問われます(H28 第5問)。

H30 第4問の数値例(基準年2015年、A・Bとも2015年は100円×10個):

           2015年(基準)      2017年(当年)
 商品A     100円 × 10個      110円 ×  9個
 商品B     100円 × 10個       90円 × 11個
  • 名目GDP(2017年)=110×9 + 90×11 = 990 + 990 = 1,980円
  • 実質GDP(2017年)=100×9 + 100×11 = 900 + 1,100 = 2,000円
  • ラスパイレス指数=(110×10+90×10)÷(100×10+100×10)×100 = 2,000÷2,000×100 = 100
  • パーシェ指数=(110×9+90×11)÷(100×9+100×11)×100 = 1,980÷2,000×100 = 99

📝 過去問はこう出る(H30 第4問/R05 第5問) どちらも「名目・実質GDPとラスパイレス・パーシェ指数を正しく計算できるか」を問う計算問題です。 落とし穴は名目と実質の取り違え。「基準年価格で計算するのが実質」「当年価格で計算するのが名目」を 反射的に区別できるようにしておきましょう(H30では正解の記述が「ラスパイレス=100」)。 → H30 第4問R05 第5問

📝 消費者物価指数(CPI)の性質も問われる(H28 第5問) - CPIは代表的な品目(バスケット)を選んで調査("すべての商品"ではない)。 - CPIは消費者が実際に支払う小売価格が対象なので、消費税などの間接税を含んだ価格で測る。 - 生鮮食品を除く総合指数=コアCPI(値動きの大きい生鮮食品を除いて基調を見る)。 - 総務省のCPIはラスパイレス方式。 → H28 第5問


6-3 各種所得概念(GDP・GNI・NI)と産業連関表

GDPの"仲間たち" ― 総/純、国内/国民の掛け合わせ

GDPには似た名前の指標がたくさんあります。混乱しやすいので、2つの軸で整理すると一気にスッキリします。

  • 軸①:国内 か 国民(居住者)か … "国内の土地で"作ったか、"自国民(居住者)が"作ったか
  • 軸②:総(Gross)か 純(Net)か固定資本減耗(機械・設備の目減り分)を引く前か・引いた後か
              総(Gross=目減りを引く前)   純(Net=目減りを引いた後)
  国内       GDP(国内総生産)        →   NDP(国内純生産)
  (Domestic)      ↑↓ 海外との要素所得のやり取りで変換
  国民       GNI(国民総所得)        →   NNP(国民純生産)
  (National)  =旧GNP

GDPとGNI(旧GNP)の関係が特に頻出です。両者の差は「海外との要素所得(賃金・利子・配当など)のやり取り」です。

 GNI(国民総所得)= GDP + 海外からの要素所得の受取 - 海外への要素所得の支払
                            └────── 海外からの純所得受取 ──────┘

これをGDPについて解くと(設問がこの形で出ます):

 GDP = GNI + 海外への要素所得の支払 - 海外からの要素所得の受取

=GDPに戻すときは、受取・支払の符号がになる点が引っかけです(H23 第1問)。

📝 過去問はこう出る(H23 第1問) 「GDP = GNP +〔 〕」の空欄を選ぶ問題。正解は 「海外への要素所得支払 - 海外からの要素所得受取」。 「海外からの受取 - 海外への支払」は GNP = GDP +〔 〕 の側の式で、GDPに戻す形では符号が逆。 「固定資本減耗+間接税-補助金」などは、総→純や市場価格→要素費用の別の変換項目であり、 GDPとGNPの差ではありません。 → H23 第1問

国民所得(NI)まで、上から順にたどる

指標は「総 → 純」「市場価格表示 → 要素費用表示」の2段階で下りていきます。数字を覚える必要はなく、 引き算の"意味"を押さえれば十分です。

  GNI(国民総所得・市場価格)
    - 固定資本減耗            (設備の目減り分を引く → 純の概念へ)
  ─────────────────
  = NNP(国民純生産・市場価格)
    - (間接税 - 補助金)      (税・補助金の分を調整 → 要素費用表示へ)
  ─────────────────
  = NI(国民所得・要素費用表示)
  • 固定資本減耗:生産に使った機械・建物などが1年でどれだけ古くなり価値が減ったか(減価償却に相当)。 これを引くと「純(Net)」の概念になります。
  • 間接税 - 補助金:消費税などの間接税は価格を押し上げ、補助金は価格を押し下げます。これを調整すると、 純粋に生産要素(労働・資本)が受け取った対価=要素費用表示国民所得(NI)になります。

⚠️ 混同注意:2種類の「引き算」を取り違えない - 総→純にするための引き算は 固定資本減耗。 - 市場価格→要素費用にするための引き算は 間接税 - 補助金。 - 国内⇄国民の変換は 海外との要素所得のやり取り。 この3つの"変換項目"を混ぜた選択肢が定番の引っかけです(H23・R04で登場)。

📝 国民経済計算(SNA)の考え方も問われる(R04 第3問) - 「国民(居住者)」概念は国籍ではなく、その国に継続して居住し経済活動の中心があるかで判断。 - 乳牛・果樹などの育成生物資源は固定資産として計上され、GDPに算入される。 - 住宅購入は総固定資本形成自動車など耐久消費財の購入は家計最終消費支出(両者を混同させる誤答に注意)。 - 帰属家賃・自家消費は家計最終消費支出に含む(帰属計算)。 → R04 第3問

産業連関表と投入係数

産業連関表は、「どの産業が、どの産業から、いくら仕入れて(中間投入)、いくら生産したか」を 一覧にした大きな表です。経済全体の産業どうしのつながりを読み取れます。表の基本的な見方は次のとおりです。

              (買う側:列)
              A産業  B産業  最終需要  生産額
  (売る側:行)
  A産業        30    150     120     300
  B産業        60    250     190     500
  粗付加価値   210   100
  生産額       300   500
  • タテ(列) に読むと、その産業が何をどれだけ投入して生産したか(原材料の仕入れ+付加価値=生産額)。
  • ヨコ(行) に読むと、その産業の生産物がどこへ売られたか(他産業への中間投入+最終需要=生産額)。
  • 付加価値 = その産業の生産額 - 中間投入の合計(その産業が新たに生み出した価値)。

投入係数は、「ある産業が1単位(1円)生産するのに、どの産業からいくら投入が必要か」を表す比率です。

 投入係数 = (ある産業から当該産業への中間投入額)÷(当該産業の生産額)

上の表で「A産業が1単位生産するのに必要な、B産業からの投入の係数」を求めると:

  B産業からA産業への投入(60) ÷ A産業の生産額(300) = 0.2

📝 過去問はこう出る(H22 第17問/H27 第22問) - H22 第17問:投入係数の計算。「A産業1単位あたりのB産業からの投入」= 60 ÷ 300 = 0.2。 分母は"投入される側(当該産業)"の生産額を使う点がポイント(30÷300などとの取り違えに注意)。 → H22 第17問 - H27 第22問:表のセルの読み取り+「付加価値=生産額 - 中間投入合計」の計算。 行と列が交わるセルを正しく読めるかが問われます。 → H27 第22問

💡 覚え方(投入係数):投入係数は「タテ割り」。ある産業(列)を1単位作るのに必要な 各産業(行)からの投入を、その産業の生産額で割る。分母は必ず「作る側の生産額」です。


この章のまとめ(試験直前チェック)

  • ☐ GDP=一定期間に・国内で・新しく生み出された付加価値の合計(3キーワードで仕分け)
  • 付加価値=産出額 - 中間投入。各段階の付加価値の合計=最終生産物の価値(二重計算を避ける
  • 三面等価:生産面=分配面=支出面が事後的に一致(事前ではない)
  • ☐ 支出面GDP=消費C+投資I+政府支出G+純輸出(輸出-輸入)
  • 含む○:持ち家の帰属家賃/農家の自家消費/公共サービス/政府最終消費支出・公的資本形成
  • 含まない×:家事労働/移転支出(年金・お小遣い・贈与)/中古品/株・地価の値上がり/財政投融資
  • 名目GDP=当年価格×当年数量実質GDP=基準年価格×当年数量(成長を測るのは実質)
  • GDPデフレーター=(名目÷実質)×100。デフレ時は名目成長率<実質成長率
  • ラスパイレス=基準年数量ウェイト(CPI)パーシェ=当年数量ウェイト(GDPデフレーター)
  • コアCPI=生鮮食品を除く総合/CPIは間接税を含む価格・代表品目のバスケットで調査
  • GNI(旧GNP)=GDP+海外からの純要素所得受取(国内⇄国民は要素所得で変換)
  • 総→純は固定資本減耗を引く市場価格→要素費用は間接税-補助金で調整NI(国民所得)
  • 投入係数=(ある産業からの中間投入)÷(作る側の産業の生産額)(分母は作る側の生産額)

この章に対応する主な過去問

年度・問 論点 リンク
H20 第1問 三面等価の原則・各GDP概念 問題
H29 第3問 GDPに含まれるもの(公共サービス・自家消費) 問題
R05 第4問 GDPに含まれる要素(帰属家賃・自家消費) 問題
R03 第3問 GDPに含まれる経済活動(家事労働・移転) 問題
H30 第5問 GDPに含まれる財政支出 問題
R04 第3問 国民経済計算(SNA)の考え方 問題
H30 第4問 名目・実質GDPとラスパイレス・パーシェ 問題
R05 第5問 名目・実質・物価指数の計算 問題
H19 第1問 実質GDP成長率とGDPデフレータの推移 問題
H28 第5問 消費者物価指数(CPI) 問題
H23 第1問 GDPとGNPの関係 問題
H22 第17問 産業連関表(投入係数) 問題
H27 第22問 産業連関表(中間投入と付加価値) 問題

次章予告 ▶ 第7章「消費関数と乗数理論(45度線分析)」 本章で登場した「支出面のGDP(C+I+G+純輸出)」を掘り下げます。ケインズ型消費関数、 貯蓄・投資の均衡、そして頻出の45度線分析による均衡GDPの決定と乗数効果を扱います。 本章と並んで、経済学・経済政策で毎年出る最重要分野です。