企業経営理論 R05年度 第35問

第35問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。  消費者ニーズの充足や顧客満足の向上を目指すマーケティングにとって、消費者 を理解することは不可欠である。企業は、消費者の購買意思決定プロセスや消費者 に及ぼす心理的効果についての理解を通して、適切なマーケティングを実行してい く必要がある。

設問1

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 購入したブランドの欠点と購入しなかったブランドのベネフィットなどを考 えた結果、生じる認知的不協和には、自分なりの基準に見合う商品が見つかれ ば購入に至るタイプの消費者よりも、選択に膨大な時間と手間をかけて最高の 選択をしようとするタイプの消費者の方が陥りやすい。
  2. 購買意思決定に必要な情報探索は、広告や販売員の説明といった売り手主導 のマーケティング情報を探すという外部情報探索と、クチコミなどの買い手に よるマーケティング情報を探すという内部情報探索とに分類される。
  3. 購買意思決定プロセスのスタートは、消費者が満たされていない特定のニー ズを認識することから始まるが、こうしたニーズのうち、企業がアンケート調 査を実施しても把握することができないニーズは真のニーズである。
  4. 消費者の意思決定に及ぼす準拠集団の影響の中で、消費者が自分のイメージ を高めたりアイデンティティを強化できると期待して、憧れや尊敬を抱く集団 と同じブランドを購入したり利用したりするという形で現れる影響のことを情 報的影響という。
  5. 製品関与は、製品やサービスの購入の必要性や緊急性、店舗環境や品揃えな どの購買状況の魅力によって左右される関与のことであり、製品関与が高くな るほど購買決定における情報探索活動は活発になる。

設問2

文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. アンカリング効果は、全く同じコーヒーが1,000 円で提供されていた場合 に、高級ブランド店が立ち並ぶエリアにあるカフェではそれほど高価に感じな いが、若者向け商品を低価格で提供するカジュアルな店が立ち並ぶエリアにあ るカフェでは高価に感じるような現象を説明することができる。
  2. サンクコスト効果は、事前に購入する回数券の使用期限が近づくほど利用頻 度を増加させることによって使い切ろうとする消費者心理を説明することがで きる。
  3. バンドワゴン効果は、小さなカップにあふれそうな量を盛り付けることで人 気のジェラート店が、今までと同じ量を入れても余裕がある大きさのカップに 変更した結果、以前よりも顧客が商品に価値を感じなくなるという現象を説明 することができる。
  4. プロスペクト理論は、交通費や昼食費は数百円の支出でも痛みを感じて節約 しようとするにもかかわらず、コンサートや洋服といった自分の好きなことや モノに対しては数百円の支出の増加は気にならないという現象を説明すること ができる。
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ア、設問2=ア

消費者の購買意思決定プロセスと心理的効果に関する2設問。

設問1(購買意思決定プロセス)

  • ア(○):認知的不協和は、選択に膨大な時間と手間をかけて最高の選択をしようとするタイプ(マキシマイザー)の方が、自分の基準に見合えば満足するタイプ(サティスファイサー)よりも陥りやすい。正しい。
  • イ(×):売り手主導の情報を探すのが「外部情報探索」とあるが、内部情報探索は自分の記憶からの探索を指し、クチコミ探索は外部情報探索に当たる。内部・外部の定義が誤り。
  • ウ(×):アンケート調査で把握できないニーズを一律に「真のニーズ」とするのは不適切。潜在ニーズと真のニーズの区別が雑で誤り。
  • エ(×):憧れ・尊敬する集団と同じブランドを使う形の準拠集団の影響は「同一視的(価値表出的)影響」であり、「情報的影響」とするのは誤り。
  • オ(×):購入の必要性・緊急性や購買状況の魅力によって左右されるのは「状況関与(購買状況関与)」であり、「製品関与」の説明としては誤り。

設問2(心理的効果)

  • ア(○):アンカリング効果は、周囲の店の価格水準(参照点)によって同じ1,000円のコーヒーの高い・安いの感じ方が変わる現象を説明できる。正しい。
  • イ(×):回数券の期限が近づくほど使い切ろうと利用頻度を増やす現象は、サンクコスト(埋没費用)効果よりも期限・損失回避に関わる説明で、サンクコスト効果の典型例として適切とはいえず誤り。
  • ウ(×):盛り付け・容器の大きさで価値の感じ方が変わる現象はバンドワゴン効果(多数派への同調)では説明できない。誤り。
  • エ(×):支出項目によって痛みの感じ方が異なる現象は「メンタル・アカウンティング(心の会計)」で説明されるもので、プロスペクト理論の典型例として挙げるのは不適切。誤り。

よって 設問1=、設問2=

#組織行動・コミットメント#マーケティング戦略#製品・ブランド戦略#消費者行動

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