経営法務 H25年度 第4問

第4問

事業承継に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX 株式会社以 下「X 社」という。 の代表取締役であり、かつ、X 社の全株式を保有する甲氏との 間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X 社 は、取締役会設置会社である。 甲 氏:「私ももう70 歳です。そろそろ第一線から退いて、後継者と考えている長 男の乙に株式をすべて譲り、私は、取締役相談役といった形で経営にかか わっていきたいと考えています。ただ、長男はまだ40 歳で、経営者とし てはまだ少し若いような気がするので、少し不安が残ります。」 あなた:「それでしたら、甲さんが現在保有している株式はすべて乙さんに譲りつ つ、新たに甲さんに A を発行したらいかがでしょうか。そうすれ ば、甲さんの賛成がなければ、X 社の株主総会決議事項又は取締役会決 議事項の全部又は一部を決議できないようにできます。」 甲 氏:「なるほど。そのような株式を発行することができるのですね。」 あなた:「ただし、この株式を発行した場合、 B ので、注意してください DKJC-1E 4 ね。」 甲 氏:「分かりました。」

設問1

会話の中の空欄Aに入る語句として最も適切なものはどれか。

  1. 拒否権付株式
  2. 取得条項付株式
  3. 取得請求権付株式
  4. 役員選任権付株式

設問2

会話の中の空欄Bに入る記述として最も適切なものはどれか。

  1. 乙さんが経営努力を重ねてX 社の株式の価値が上がれば上がるほど、乙さ ん以外の相続人の遺留分の額が増加してしまうことになる
  2. 議決権のない株式を有する株主について、優先的に配当を行うなどの配慮が 必要になる
  3. 甲さんが万が一お亡くなりになった場合、乙さん以外の相続人が乙さんに対 して遺留分減殺請求を行う可能性が高まる
  4. 甲さんと乙さんとの間で株主総会決議事項又は取締役会決議事項について意 見が食い違って調整できないときは、何も決められない状態に陥る危険がある DKJC-1E
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ア、設問2=エ

事業承継における種類株式の活用を問う問題。全株式を後継者(乙)に譲りつつ、先代(甲)の同意がなければ決議できないようにしたい、という会話の意図に合う株式を選ぶ。

設問1(答:ア) A:拒否権付株式

  • ア 拒否権付株式(○):株主総会・取締役会の決議事項につき、その種類株主総会の決議(=甲の賛成)がなければ効力を生じないとできる株式(いわゆる黄金株)。甲の意図に合致。
  • イ 取得条項付株式(×):会社が一定事由の発生により株主から強制取得できる株式。拒否権とは無関係。
  • ウ 取得請求権付株式(×):株主が会社に取得を請求できる株式。拒否権とは無関係。
  • エ 役員選任権付株式(×):種類株主総会で取締役・監査役を選任できる株式(指名委員会等設置会社・公開会社では発行不可)。役員選任に限られ、決議全般の拒否権にはならない。

設問2(答:エ) B:注意すべき記述

  • エ(○):拒否権付株式を発行すると、甲と乙の意見が対立して調整できないとき、決議事項が何も決められなくなる(デッドロック)危険がある。これが最大の注意点であり正解。
  • ア(×):株式価値上昇と遺留分の関係は、株式そのものの問題であり拒否権付株式の発行に固有の注意点ではない。
  • イ(×):拒否権付株式は議決権を否定する株式ではないため、「議決権のない株式の株主への優先配当」という説明は的外れ。
  • ウ(×):遺留分減殺請求の可能性は相続一般の問題で、拒否権付株式発行に固有の注意点ではない。

よって 設問1=ア、設問2=エ

#会社の種類・設立#株式・機関#計算・配当#民法・契約・PL

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