第12問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 中小企業の財務構造を大企業と比較した場合、 ① 金融機関借入比率は高く、自己資 本比率は低いことが指摘できる。この要因のひとつとして、 ② 情報の非対称性が大き く、信用力の乏しい中小企業にとっては、 ③ 資本市場からの資金調達が容易でないこ とがあげられる。 (
設問1
) 文中の下線部①について、中小企業庁の調べに基づき、金融機関別中小企業向 け貸出残高の推移を、2006 年から2011 年の期間について見た場合、最も適切な ものはどれか。ここで政府系金融機関とは、日本政策金融公庫の中小企業事業と 国民生活事業、商工組合中央金庫をいう。中小企業とは中小企業基本法の定義に 準ずるものとする。
- ア 国内銀行の貸出残高は、増加傾向にある。
- イ 政府系金融機関の貸出残高は、減少傾向にある。
- ウ 中小企業向け総貸出残高に占める政府系金融機関のシェアは、約 割で推移 している。
- エ 中小企業向け総貸出残高は、減少傾向にある。 DKJC-1G (
設問2
) 文中の下線部②について、情報の非対称性からは様々な問題が発生する。この うち金融機関が、融資後に発生が懸念される融資先のモラルハザードを防ぐため に行っている方法として、最も不適切なものはどれか。
- ア レジットスコアリングモデルの利用
- イ 経営財務情報提供の義務付け
- ウ 資金使途の制限
- エ 不動産担保の徴求 (
設問3
) 文中の下線部③について、直接金融による資金調達手法として、最も適切なも のはどれか。
- ア 売掛債権担保付借入
- イ 社債の発行
- ウ 当座借越(貸越)契約の締結
- エ 動産担保付借入 DKJC-1G
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正解: 設問1 エ 設問2 ア 設問3 イ
解答:設問1=エ、設問2=ア、設問3=イ
設問1(金融機関別中小企業向け貸出残高の推移、2006〜2011年)
- ア(×):国内銀行の貸出残高は増加傾向、ではなくこの時期は伸び悩み・減少基調で適切でない。
- イ(×):政府系金融機関の貸出残高が減少傾向、とは言えず(リーマンショック後はセーフティネット融資等で増加局面もある)適切でない。
- ウ(×):政府系金融機関のシェアが「約割」で推移、という記述は実態と合わず適切でない(政府系のシェアは1割台にとどまる)。
- エ(○):中小企業向け総貸出残高は減少傾向にある。中小向け貸出全体が縮小していた当時の実態に合致。
設問2(情報の非対称性、融資後のモラルハザード防止策として最も不適切なもの) モラルハザードは契約後(融資実行後)に生じる問題で、資金使途制限・財務情報提供義務付け・担保徴求などの事後的モニタリング手段で対処する。
- ア(×・不適切):クレジットスコアリングモデルの利用は、融資審査時(事前)の与信判断手法であり、逆選択(アドバース・セレクション)対策に分類される。融資後のモラルハザード防止策とはいえず、設問が問う「最も不適切なもの」に該当。
- イ(○):経営財務情報提供の義務付けは、融資後の継続モニタリングとしてモラルハザード防止に有効。
- ウ(○):資金使途の制限は、融資資金の目的外使用を防ぐモラルハザード対策。
- エ(○):不動産担保の徴求は、借り手の規律づけによりモラルハザードを抑制する。
設問3(直接金融による資金調達手法) 直接金融とは、資本市場を通じて投資家から直接資金を調達する手法。
- ア(×):売掛債権担保付借入は金融機関からの借入=間接金融。
- イ(○):社債の発行は、市場(投資家)から直接資金を調達する直接金融に該当。
- ウ(×):当座借越(貸越)契約は金融機関との借入契約=間接金融。
- エ(×):動産担保付借入は金融機関からの借入=間接金融。
よって 設問1=エ、設問2=ア、設問3=イ。