企業経営理論 H23年度 第20問

第20問

次のケースを読み、あなたがA 社のコンサルタントとして診断するとすれば、 経営者への助言として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 「創業以来、個性的な開発者による小規模なプログラムの受注開発を請け負って きたA 社は、その成長とともに、次第により大きな規模の企業から複雑なプログ ラムの開発を受注するように主な事業ドメインをシフトしてきた。従業員数も急激 に増加してきたが、年ほどたつと、取引先企業のコスト削減要求が強くなり、一 方で競争も激化し、売上高の伸び率も鈍化してきた。それまで開発者同士を切磋琢 磨させるために導入していた個人へのインセンティブシステムを廃止し、従業員も 削減し始めた。またこの時期から、創業当初からいた個性的な開発者たちが次々と A 社を辞職していき、利益率も悪化し始めた。 そこでA 社は、個人へのインセンティブシステムを復活させ、従業員のモチ ベーションを高めようと組織改革に取り組んだ。しかし、取引先企業からは納期の 遅れや品質面での苦情が多数寄せられるようになり、その修復にコストがかかるよ うになり、一時的に利益率は回復したものの、その後、かえって利益率は低下して しまった。」

  1. 開発者たちの創造性を高めるため、個人へのインセンティブの幅を大きく し、従業員間の競争を促進する。
  2. 個人へのインセンティブの幅を小さくし、プロジェクト単位での顧客満足度 を報酬に反映させるようにする。
  3. 従業員を削減し、個人の責任を明確にするとともに、個人へのインセンティ ブの幅を大きくする。
  4. 職務のルーティン化を進め、個人へのインセンティブの幅を削減し、人件費 総額を圧縮する。
  5. 創業当初からいた個性的な開発者たちをA 社に戻すため、特別の給与体系 を用意する。 ― 22― ◇M3(688―67)
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正解:

解答:イ

〔リード〕A社は、複雑なプログラムの受託開発へと事業がシフトし、業務が個人完結型からチーム(プロジェクト)協働型へ変化している。にもかかわらず個人インセンティブを復活させた結果、メンバー間の協力が損なわれ、納期遅れ・品質低下を招いた。タスクの相互依存性が高い業務には、個人競争ではなくチーム成果に基づく報酬が適合する。

  • ア(×):個人インセンティブの幅を拡大し競争を促すと、協働が阻害され、納期・品質問題がさらに悪化する。現状の失敗を繰り返す助言で不適切。
  • イ(○):個人インセンティブの幅を縮小し、プロジェクト単位の顧客満足度(チーム成果)を報酬に反映させる。相互依存性の高い協働業務に整合し、協力・品質・納期を改善できる。最も適切。
  • ウ(×):さらなる人員削減と個人インセンティブ拡大は、協働を弱め開発体制を毀損する。複雑開発の品質確保に逆行し不適切。
  • エ(×):複雑で創造的なプログラム開発をルーティン化することは困難で、品質・付加価値を損なう。事業特性に合わず不適切。
  • オ(×):辞めた個性的開発者を特別給与で呼び戻しても、組織が抱える協働・報酬設計の根本問題は解決せず、対症療法にすぎない。

よって

#経営戦略・全社戦略#人的資源管理#消費者行動

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