第13問
次の文章は、ゲームソフトの開発・制作等の事業を営んでいる株式会社甲の代表 取締役社長(以下「甲社社長」という。)と、中小企業診断士であるあなたとの会話で ある。この会話の空欄A~Eに入る用語の組み合わせとして最も適切なものを下記 の解答群から選べ(※法令名は略称による。)。 甲社社長:「ちょっと、困ったことが起こって。」 あなた :「どうされたのですか?」 甲社社長:「うちの会社(甲社)は、携帯電話向けSNS(ソーシャル・ネットワーキ ング・サイト)用のゲームソフトを開発して、大学生や社会人向けのソ フトをX 社に、中高生向けのソフトをY 社にそれぞれ供給しているん だけど、今回、X 社との間のゲームソフト制作・開発委託契約を更新す る話合いの中で、同業他社に同種のゲームソフトを提供しないことを当 社に義務付ける内容の条項を追加するようにX 社から要求されている んだ。しかもリーガルチェックの段階で、うち(甲社)がX 社の担当者 に対してこの新条項に難色を示したら、『この条項の追加を受け入れて もらえなければ、御社(甲社)のゲームソフトを当社(X 社)のSNS の会 員向けゲームカテゴリーから外すことも考えなければならない。』と言わ れたんだよ。カテゴリーから外されると、うち(甲社)のゲームは新規会 員の獲得ができず、ダウンロード済みの顧客からの課金収入しかなく なってしまうので、死活問題になっちゃうよ。」 あなた :「ちょっと待ってください、社長。X 社は携帯電話向けSNS 用のオンラ インゲームでは、割以上のシェアを握っていて業界トップでしょう。 そういう会社が社長の言われるような行為をしているとなると、 A に該当する疑いがあり、 B で禁止されている C の問題となる可能性があります。そんな新条項の追加要求に 応じる必要はないと思いますよ。」 甲社社長:「確かにそうなんだけど、うちのようなベンチャー企業は、どうしても 大手のオンラインゲーム会社の要求をのまざるを得ないんだよなあ。何 ― 14― ◇M5(688―121) しろ、Y 社が主催しているゲームフェアに参加させてもらったときは、 ほとんどうち(甲社)のゲームが来場者の目に触れるようなブースもな かったのに、協賛金を負担するように要請されて支払ったこともあった んだ。」 あなた :「社長、どこまでお人好しなんですか。そんな御社(甲社)の売上にとっ て直接的なメリットのない協賛金を負担させていたとなると、Y 社の行 為は D に該当する可能性が高いですから、やっぱり C の問題となりますよ。そういう大手のむちゃな要求ばかりのんで、当面 の受注は取れても、長い目で見れば御社(甲社)のためになりませんよ。」 甲社社長:「うーん、そうなるとやっぱりどこかに相談しないと。どこか役所でこ ういう問題を相談できるところはないの?」 あなた :「 B では C に該当する行為の排除措置を命ずる権限が E に与えられていますし、 B に違反する事実があれ ば、だれでもその事実を E に報告して適当な措置をとるように 求めることができますから、そこに相談するのが筋だと思います。」
- ア A:拘束条件付取引 B:独占禁止法 C:不当な取引制限 D:共同の取引拒絶 E:中小企業庁
- イ A:再販売価格の拘束 B:下請法 C:不公正な取引方法 D:差別対価 E:公正取引委員会
- ウ A:抱合せ販売等 B:特定商取引法 C:不当な取引制限 D:優越的地位の濫用 E:消費者庁
- エ A:排他条件付取引 B:独占禁止法 C:不公正な取引方法 D:優越的地位の濫用 E:公正取引委員会 ― 15― ◇M5(688―122)
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕独占禁止法の不公正な取引方法に関する事例。
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A:排他条件付取引——X社が「同業他社に同種ゲームソフトを提供しないこと」を義務付ける条項を要求する行為は、競争者との取引を制限する排他条件付取引にあたる疑いがある(一般指定11項)。
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B:独占禁止法——これらを規制する法律は独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)。
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C:不公正な取引方法——排他条件付取引も優越的地位の濫用も、独占禁止法が禁止する「不公正な取引方法」の類型である。
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D:優越的地位の濫用——売上に直接メリットのない協賛金を、取引上優位なY社が甲社に負担させる行為は、優越的地位の濫用にあたる可能性が高い(独占禁止法2条9項5号)。
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E:公正取引委員会——不公正な取引方法に該当する行為への排除措置命令の権限を持ち、違反事実の報告(申告)先となるのは公正取引委員会(独占禁止法45条等)。
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ア(×):B「中小企業庁」(正しくは公正取引委員会)が誤り。排除措置命令や申告先は公取委。
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イ(×):B「下請法」・C「不公正な取引方法」だがD「差別対価」が事例(協賛金負担)に合わず、また排他条件付取引等は独占禁止法本体の問題。Eは公取委で正しいがA・B等が不整合。
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ウ(×):B「特定商取引法」・C「不当な取引制限」・E「消費者庁」がいずれも誤り。本件は独占禁止法・不公正な取引方法・公取委の問題。
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エ(○):A排他条件付取引/B独占禁止法/C不公正な取引方法/D優越的地位の濫用/E公正取引委員会で、事例にすべて整合する。
よって エ。