第3問
A 株式会社(以下「A 社」という。)とB 株式会社(以下「B 社」という。)は、A 社を 吸収合併消滅会社、B 社を吸収合併存続会社として、おおむね以下のスケジュール で吸収合併を実施する予定である。その際、A 社の吸収合併の手続に関する記述と して最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、A 社の定款には、関連する事 項について特段の定めはなく、また、A 社は、発行する株式の全てが譲渡制限株式 であり、かつ、取締役会設置会社であるものとする。 平成24年月20日(月)吸収合併契約の調印 平成24年月14日(水)吸収合併契約承認の株主総会 平成24年月日(日) 吸収合併の効力発生日
- ア A 社では、吸収合併契約書を本店に備え置く必要があるが、本件の場合、吸 収合併契約調印の翌日の平成24年月21日から備置きを実施しなければ、本 件吸収合併は無効となる。
- イ A 社の株主に対しては、株主総会の招集通知と株式買取請求権に関する通知 をしなければならないが、前者は株主総会の週間前まで、後者は吸収合併の 効力発生日の20日前までと決まっているので、同時に通知することはできな い。
- ウ A 社の債権者が社だけの場合であっても、A 社では、その債権者に対して 本件吸収合併について通知するだけでなく、吸収合併の公告を行わなければな らない。
- エ 今回の吸収合併の場合、効力発生日が日曜日にあたり、法務局で登記を受け 付けてもらえないため、A 社の登記上、解散の理由は、実際に登記申請した日 に合併した旨記載され、平成24年月日に合併した旨は記載されない。 ― 3― ◇M5(688―110)
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正解:ウ
解答:ウ
〔リード〕吸収合併消滅会社A社の手続。事前開示書面の備置き、株主総会の承認、株式買取請求、債権者異議手続、効力発生日の各ルールを問う。
- ア(×):消滅会社は吸収合併契約等の事前開示書面を本店に備え置く必要があるが(会社法782条)、備置開始日は「株主総会の日の2週間前の日」等のうち最も早い日からであって、「契約調印の翌日から」ではない。また備置きの時期が遅れても直ちに合併が無効となるわけではない。
- イ(×):株主総会の招集通知(取締役会設置会社は原則2週間前、ただし全株式譲渡制限会社では1週間前まで短縮可)と、株式買取請求権に関する通知・公告(効力発生日の20日前まで。785条3項)とは、時期が重なる範囲で同時に行うことが可能であり、「同時に通知できない」とはいえない。
- ウ(○):吸収合併消滅会社は債権者異議手続として、官報による公告に加え、知れている債権者に対する各別の催告を行わなければならない(789条2項)。債権者が1社だけであっても、定款で公告方法を日刊新聞・電子公告としていない限り公告と催告の双方が必要であり、本記述は適切。
- エ(×):吸収合併の効力は合併契約で定めた効力発生日に当然に生じる(750条1項)。登記は対抗・公示のための手続にすぎず、効力発生日が日曜で登記申請日が後日になっても、解散の登記には契約所定の効力発生日に合併した旨が記載される。
よって ウ。