第2問
東京に本社があるX 株式会社(以下「X 社」という。)は、事業再編の一環として、 会社分割の手法を利用して、札幌支店における事業全部を、札幌にある関連会社の Y 株式会社(以下「Y 社」という。)に移転することを検討している。この場合、X 社 又はY 社の債権者であるA 社~D 社のうち、X 社又はY 社において、債権者保護 手続(通知・公告)を行う必要がある債権者として最も適切なものの組み合わせを下 記の解答群から選べ。なお、会社法第758条第号・第760条第号に掲げる事項 についての定めはなく、また、簡易分割にも該当しないものとする。 A社:X 社本社の事業に関する債権者で、分割対象の負債にはせず、分割後もX 社で取引及び支払を行う。 B 社:X 社札幌支店の事業に関する債権者で、分割対象の負債として、分割時点の 負債をY 社が引き継ぎ(X 社は支払の義務を負わない)、分割後はY 社だけ が取引及び支払を行う。 C 社:X 社本社及び札幌支店の事業に関する債権者で、札幌支店分の負債について は、分割対象の負債として、Y 社が引き継いで支払うこととしたいが、区別 がはっきりしない部分もあるので、分割時点の負債全額について、X 社が支 払うこととし、分割後は、X 社、Y 社それぞれが自社の分を支払う。 D社:Y 社の債権者
- ア A 社とB 社
- イ A 社とC 社
- ウ B 社とD 社
- エ C 社とD 社 ― 2― ◇M5(688―109)
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正解:ウ
解答:ウ
〔リード〕吸収分割(会社分割)の債権者保護手続(各別の催告・公告)は、分割によって不利益を受けるおそれのある債権者を対象とする。分割会社(X社)側では、分割後に分割会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者(=承継会社Y社が債務を引き継ぎ分割会社が免責される債権者)が対象となる(会社法789条1項2号)。承継会社(Y社)側では、その債権者は資産・負債構成が変動し責任財産に影響を受けるため、原則としてすべての承継会社債権者が対象となる(799条1項2号)。
- A社(×・保護不要):X社本社の債権者で分割対象負債ではなく、分割後もX社が取引・支払を行う。X社に従前どおり請求でき不利益がないため催告・公告は不要。
- B社(○・保護必要):X社札幌支店の債権者で、Y社が債務を承継しX社は支払義務を負わない(免責的)。分割後に分割会社X社へ請求できなくなるため、X社における債権者保護手続の対象(789条1項2号)。
- C社(×・保護不要):分割時点の負債全額についてX社が支払うこととしており、X社に対する請求権を引き続き有する。免責されないため不利益がなく保護手続は不要。
- D社(○・保護必要):承継会社Y社の債権者であり、Y社の財産状態が分割により変動するため、Y社における債権者保護手続の対象(799条1項2号)。
保護が必要なのは B社とD社。よって ウ。