第1問
A、B、C、D の人は、株式会社を設立することを考えている。名全員が発 起人となり、資本金額は1,200万円を予定しており、各人の出資内容は以下のとお りである。また、A、B、C は取締役となり、D は監査役となる。D は税理士であ る。これに関し、下記の解答群のア~エに示す人の発言のうち最も適切なものを 選べ。 (出資内容) A:現金50万円、X 社株式250万円分(X 社は東京証券取引所一部上場企業) B :商品300万円分 C :現金200万円、什器備品類100万円分 D:現金300万円
- ア A の発言 「私が現物出資するX 社株式は、上場企業の株式であるので、定款認証の日 のか月前から前日までの終値の平均の金額を基準として算定してあれば、検 査役の検査は不要となるはずだ。」
- イ B の発言 「私が現物出資する商品は、税理士であるD がその金額が相当であることに ついて証明してくれれば、検査役の検査は不要となるはずだ。」
- ウ C の発言 「A、B が現物出資する物について検査役の検査が不要となれば、私が現物 出資する什器備品類だけなら100万円分なので、検査役の検査は不要となるは ずだ。」
- エ D の発言 「検査役の検査が必要となると面倒だから、A が出資する株式は150万円 分、B が出資する商品は250万円分として、それぞれ現金を増やそう。そうす れば、現物出資の総額が500万円だから、検査役の検査は不要なはずだ。」 ― 1― ◇M5(688―108)
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕現物出資(変態設立事項)には原則として検査役の調査が必要だが、会社法33条10項により次のいずれかに該当すれば不要となる。①現物出資・財産引受けの目的財産の総額が500万円を超えないとき、②市場価格のある有価証券で、定款記載価額が市場価格として法務省令で定める方法により算定した額を超えないとき、③価額が相当であることについて弁護士・公認会計士・税理士等の証明(不動産は加えて不動産鑑定士の鑑定評価)を受けたとき。本問の現物出資総額はX社株式250万円+商品300万円+什器備品100万円=650万円で、500万円を超えている。
- ア(×):市場価格のある有価証券の特則(33条10項2号)の基準時点は「定款認証の日における最終市場価格」等であって、「定款認証の日の◯か月前から前日までの終値の平均」ではない。基準の取り方が誤り。
- イ(×):弁護士・公認会計士・税理士等の証明(33条10項3号)は適法だが、Dは本件の監査役(設立時役員)に就任予定であり、現物出資をする発起人・設立時取締役等および証明対象財産の譲渡人等は証明者になれない(33条11項各号の欠格事由)。設立時監査役となるDは証明者となれず、検査役不要とはならない。
- ウ(×):500万円基準(33条10項1号)は現物出資・財産引受けの目的財産の「総額」で判定する。A・Bの分が仮に不要でも、Cの什器備品100万円だけを取り出して判定するのではなく、総額650万円で判定するため検査役は必要。考え方が誤り。
- エ(○):A株式250万円→150万円、B商品300万円→250万円に減らし現金を増やせば、現物出資総額は150万円+250万円+C什器100万円=500万円となる。500万円を超えないので33条10項1号により検査役の調査は不要となる。会社法上適切な発言。
よって エ。