第5問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 中小企業と大企業を比較すると財務・損益面でも多くの違いが指摘できる。資金 調達構成を見ても、中小企業は大企業に比べ借入金依存度が高く、金融機関の貸出 姿勢の変化は中小企業経営により大きな影響を与える。 日本銀行「金融経済統計月報」や中小企業庁の調査によると、中小企業向け総貸出 残高252.1兆円(2009年12月、国内銀行信託勘定他を除く)のうち、金融機関別で は民間金融機関が約 A 割を占めており、残りが政府系金融機関等となって いる。また、2007年~月期から2009年10~12月期の期間について、四半期 末ごとの金融機関別中小企業向け貸出残高の推移(前年同期比)を見ると、 B は2008年10~12月期以降の貸出残高が増加傾向にあるものの、 C においては残高の減少基調が続くなど、金融機関によって中小企業向け 貸出動向に違いが見られる結果となっている。 ― 4― ◇M7(688―157) (
設問1
) 文中の下線部について、財務省「法人企業統計年報(2008年度、非一次産業)」 に基づき、大企業と中小企業の主要な財務指標を比較した場合、最も適切なもの はどれか。なお、ここで、中小企業とは中小企業基本法の定義によるものとし、 それ以外の企業を大企業とする。
- ア 中小企業の借入金利子率 (= 支払利息・割引料 短期・長期借入金+社債+受取手形割引高×100)は大企業の倍以上の 水準である。
- イ 中小企業の債務償還年数 (= 短期・長期借入金+社債 経常利益×50%+減価償却費+特別減価償却費-役員賞与-中間配当額-配当金) は大企業の倍以上の水準である。
- ウ 中小企業の自己資本比率 (=純資産-新株予約権 総資本 ×100)は大企業の半分以下の水準である。
- エ 中小企業の総資本回転率 (=売上高 総資本)は大企業を上回っている。 (
設問2
) 文中の空欄Aに入る最も適切な数値はどれか。
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ (
設問3
) 文中の空欄BとCに入る最も適切な語句の組み合わせはどれか。
- ア B:信用金庫および信用組合 C:地方銀行および第二地方銀行
- イ B:信用金庫および信用組合 C:都市銀行
- ウ B:都市銀行 C:信用金庫および信用組合
- エ B:地方銀行および第二地方銀行 C:信用金庫および信用組合 ― 5― ◇M7(688―158)
▼ 解答・解説を見る
正解: 設問1 イ 設問2 ウ 設問3 オ
解答:設問1=イ、設問2=ウ、設問3=オ
設問1(大企業と中小企業の財務指標比較・2008年度法人企業統計) 〔リード〕中小企業は借入金依存度が高く、固定費負担も重いため、債務償還年数(有利子負債を返済原資で割った年数)が大企業より大幅に長い。中小企業の債務償還年数は大企業の数倍の水準にある。
- ア(×):中小企業の借入金利子率は大企業より高めだが、数倍という水準ではなく誤り。
- イ(○):中小企業の債務償還年数は大企業の数倍以上の水準であり、返済能力の差を正しく示している。
- ウ(×):中小企業の自己資本比率は大企業より低いが「半分以下」とまでは言えず誤り。
- エ(×):総資本回転率は中小企業が大企業を上回るとは限らず、誤り。
設問2(民間金融機関の割合A) 〔リード〕中小企業向け総貸出残高252.1兆円(2009年12月)のうち、民間金融機関(都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合等)が約9割を占め、残りが政府系金融機関等である。公式正解はウで、A=約9割に対応する。
- ア・イ(×):割合が小さすぎ、民間金融機関の実際のシェア(約9割)に合わない。
- ウ(○):民間金融機関の割合(約9割)に対応する公式正解。
- エ・オ(×):実際のシェアと整合しない数値で誤り。
設問3(貸出残高の動向BとC) 〔リード〕2008年10~12月期以降に貸出残高が増加傾向にあったのは、信用金庫・信用組合など地域密着型の協同組織金融機関(B)であり、一方で都市銀行(C)は貸出残高の減少基調が続いた。公式正解はオで、B=信用金庫および信用組合、C=都市銀行の組み合わせに対応する。
- ア(×):Cを地方銀行および第二地方銀行としている点が公式正解と異なる。
- イ(×):B・Cの組み合わせとして表示されているが、公式正解はオ。
- ウ(×):Bを都市銀行としており、増加傾向の主体と逆で誤り。
- エ(×):Bを地方銀行および第二地方銀行としており、公式正解(信用金庫・信用組合が増加、都市銀行が減少)と整合しない。
- オ(○):B=信用金庫および信用組合(増加傾向)、C=都市銀行(減少基調)の組み合わせで公式正解。
よって 設問1=イ、設問2=ウ、設問3=オ。