企業経営理論 H22年度 第8問

第8問

エレクトロニクス業界においては、自前で開発した技術にこだわる自社技術志向 企業と、グローバルに中間財や他社技術を導入して対応しようとする国際水平分業 志向企業とでは、製品のコモディティ化への対応が異なっている。 下図は、つの企業の市場シェアの変化をコモディティ化に関連づけてイメージ 化したものである。この図を参考にしながら下記の設問に答えよ。 製品のコモディティ化と市場シェア ― 8― ◇M3(295―59) (設問) 図のような現象に関連する状況についての記述として、最も不適切なものはど れか。

第8問の図
  1. 国際市況価格で原材料やキーデバイスを仕入れても、同業者も同様に振る舞 うことができる分野では、価格優位の長期の維持は難しく、収益低下によって 誰もが儲からない競争になりがちである。
  2. 国際水平分業志向企業は、グローバルに調達した安い原材料やキーデバイス で生産コストの安い国で生産を行いながら価格競争力を高めるのが合理的であ る。
  3. 自社技術志向企業が価格競争力を失うのは、自前主義で時間のかかる独自技 術の開発を貫こうとするためなので、コモディティ化のスピードに遅れた自社 技術は積極的に破棄してその市場からの撤退を進めなければならない。
  4. 製品技術の優位性が薄らいでくると、国際的な中間財受託生産企業がキーデ バイス等の供給を通じて、新規業者の参入を推し進めるので、急速に価格競争 が激化する。 (設問) 自社技術志向企業がコモディティ化に対応する戦略に関する記述として、最も 不適切なものはどれか。
  5. 新しい技術を加えた製品を次々に発売して、キーデバイス等の供給企業の追 随を振り払う。
  6. 技術の知的財産権を守り、急激なコモディティ化に歯止めをかけるように対 応する。
  7. 国際水平分業志向企業に技術を供与して、低価格をとる企業の間のライバル 競争を煽り、それら企業を採算割れに追い込む。
  8. 国内や海外での市場を分析して、現地のニーズに合った製品の供給体制を構 築する。
  9. 自社技術を磨いて、新興工業国の国際水平分業志向企業が作れない高機能製 品に生産販売を集中する。 ― 9― ◇M3(295―60)
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正解:

解答:設問1=ウ、設問2=ウ

〔リード〕製品のコモディティ化(汎用品化)と市場シェアの関係を題材に、自社技術志向企業と国際水平分業志向企業の対応を問う。本ファイルは設問1(選択肢の前半ア〜エ)と設問2(後半ア〜オ)を含む。いずれも「最も不適切」型。

【設問1】コモディティ化に関連する状況の記述として最も不適切なものはどれか。

  • ア(×):国際市況価格で原材料・キーデバイスを仕入れても同業者も同様に振る舞える分野では、価格優位を長期維持しにくく、収益低下で誰も儲からない競争に陥りがち。コモディティ化の本質を捉えた適切な記述。
  • イ(×):国際水平分業志向企業が、グローバルに調達した安い原材料・キーデバイスで生産コストの安い国で生産し価格競争力を高めるのは合理的で適切。
  • ウ(○:最も不適切):自社技術志向企業が価格競争力を失う一因は自前主義の開発に時間がかかる点だが、だからといって「自社技術を積極的に破棄し市場から撤退を進めなければならない」とは言えない。差別化・高機能化・知財防衛など対抗策があり、自社技術こそ差別化の源泉となり得る。短絡的な撤退論で最も不適切。
  • エ(×):製品技術の優位性が薄れると、国際的な中間財受託生産企業がキーデバイス供給を通じて新規参入を後押しし、価格競争が急速に激化する。コモディティ化の進行を的確に描いており適切。

【設問2】自社技術志向企業がコモディティ化に対応する戦略として最も不適切なものはどれか。

  • ア(×):新技術を加えた製品を次々に投入し、キーデバイス供給企業の追随を振り払うのは、技術リードで差別化を維持する適切な戦略。
  • イ(×):知的財産権を守り急激なコモディティ化に歯止めをかけるのは、自社技術志向企業の適切な防衛策。
  • ウ(○:最も不適切):自社技術を国際水平分業志向企業に供与してライバル競争を煽り採算割れに追い込む、という策は、差別化の源泉である自社技術を競合に渡してコモディティ化を自ら加速させるもので、自社技術志向企業の戦略として本末転倒。最も不適切。
  • エ(×):国内外市場を分析し現地ニーズに合った供給体制を構築するのは、適切な市場対応戦略。
  • オ(×):自社技術を磨き、新興国の水平分業企業が作れない高機能製品に集中するのは、差別化集中の王道で適切。

よって 設問1=ウ、設問2=ウ

#競争戦略#国際経営#組織構造

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