企業経営理論 H22年度 第6問

第6問

先端的な技術分野では、研究開発に要する資金が大きくなるにつれて、企業間の 技術や部材の調達をめぐって、これまでにない提携関係が多く見られるようになっ てきた。そのような提携に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. レクトロニクス産業では、EMS と呼ばれる中間製品の安価な供給メーカー から、半導体や液晶ディスプレイなどを買い付けて、価格競争力を確保する動き が国際的に見られる。
  2. ーエレクトロニクス化が進むにつれて、車載組み込みのソフトやハードの開 発コストが膨大になっているので、ライバルメーカーが共同してその標準化に取 り組む共同体が、欧州や日本に設立されている。
  3. 技術が複雑多様化するにつれて、すべての技術を自前で持つことが不可能に なったので、研究開発テーマによっては、異業種他社の参加を広範囲に求めるこ とが多くなった。
  4. 技術規格が定まらない新規技術分野では、いくつかの企業が連携して技術規格 の標準化を目指す動きが活発であるが、その帰趨は技術の優位性に依存してい る。
  5. 国際競争力を保つべく、同業者が連携して、規模の経済を狙って業界内でコア な標準部品の生産を特定企業に集中し、生産から撤退した企業はそこから供給を 受ける仕組みが見られるようになった。 ― 6― ◇M3(295―57)
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正解:

解答:エ

〔リード〕先端技術分野での企業間提携・標準化に関する記述として「最も不適切」なものを選ぶ。デファクト標準の確立は技術の優位性だけで決まらず、提携・補完財・普及戦略など市場メカニズムに左右される点がポイント。

  • ア(×):エレクトロニクス産業でEMS(電子機器受託製造サービス)から半導体・液晶などを買い付け価格競争力を確保する動きは、国際的に広く見られる事実で適切。
  • イ(×):カーエレクトロニクス化で車載ソフト・ハードの開発コストが膨大化し、ライバル同士が共同で標準化に取り組む共同体(コンソーシアム)が欧州・日本に設立されているのは事実で適切。
  • ウ(×):技術の複雑多様化により全技術の自前保有が不可能となり、研究開発テーマによって異業種他社の参加を広く求める(オープン・イノベーション)のは適切。
  • エ(○:最も不適切):技術規格の標準化競争において、その帰趨(どの規格が標準になるか)は「技術の優位性に依存している」とは言えない。デファクト標準は技術の優劣だけでなく、陣営の数、補完財の充実、普及速度、価格、ネットワーク外部性など市場要因に強く左右される(技術的に優れた規格が敗れる例も多い)。断定的で最も不適切。
  • オ(×):国際競争力維持のため同業者が連携し、規模の経済を狙ってコアな標準部品の生産を特定企業に集中し、撤退企業がそこから供給を受ける仕組みは、現実に見られる提携形態で適切。

よって

#競争戦略#技術経営・イノベーション#M&A・提携

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