経営法務 H22年度 第7問

第7問

中小企業診断士であるあなたは、顧問先の会社の社長甲から、甲の子が勤務して いた会社が倒産したとして相談を受けた。甲の子が勤務していた会社の破産の概要 及び甲の子が会社に対して有している債権の内容は以下のとおりである。そのうえ で、あなたと甲との会話を踏まえて下記の設問に答えよ。 甲 :「配当はあるのでしょうか。」 あなた:「破産の場合、配当する順番が決まっているから、それに従うことになり ます。」 甲 :「具体的にはどうなるのですか。」 あなた:「まず、破産財団から、 A に対する配当を行います。これには破 産管財人の費用その他破産財団の管理・換価及び配当に関する費用などが 含まれます。 A に全額配当してもまだ破産財団に余剰があるとい う場合には B に対する配当を行います。 B に全額配当してもまだ破産財団に余剰がある場合には、一般破 産債権に対する配当が行われますが、通常は、全額弁済できないので、按 分して配当されることになります。」 甲 :「そうすると、今回の場合どうなるのでしょう。」 あなた:「仮に、現状を前提にして考えると、破産財団1,000万円から、破産管財 人の費用その他破産財団の管理・換価及び配当に関する費用200万円がま ず支払われます。そして、残りの破産財団800万円から、 A に該 当する税金や未払給料への配当など、先ほどお話した順番で配当がされま す。ですから、お子さんの場合、配当額は、 C ということになり ます。ただし、配当額は、破産財団の管理等に要した費用などで大きく変 動しますから、詳しくは破産管財人に問い合わせて下さい。また、未払給 料については、独立行政法人労働者健康福祉機構で行っている未払賃金の 立替払制度もありますから、こちらの利用も検討してもよろしいかと思い ます。」 ― 8― ◇M5(295―124) 【破産した会社の概要】 決算期 毎年月日~月31日 破産手続開始決定日時 平成22年月日(水)午後時 現在の破産財団 約1,000万円 破産管財人の費用その他破産財団の管理・換価及び配当に関する費用(見込額) 約200万円 税金の滞納分 平成19年分 約100万円 平成20年分 約150万円 平成21年分 約500万円 合計約750万円 未払給料(甲の子を含む10名分) 平成21年月~月分 約50万円 平成21年月~月分 約100万円 平成21年10月分~12月分 約300万円 合計約450万円 【甲の子が有する債権の概要】 平成21年月~月分の未払給料 約15万円 平成21年10月~12月分の未払給料 約30万円 合計約45万円 (

設問1

) 会話中の空欄A・Bに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。

  1. A:共益債権 B:別除権
  2. A:財団債権 B:優先的破産債権
  3. A:別除権 B:財団債権
  4. A:優先的破産債権 B:共益債権 ― 9― ◇M5(295―125) (

設問2

) 会話中の空欄Cに入る文章として最も適切なものはどれか。

  1. 債権額全額の約45万円
  2. 債権額約45万円の分のの約万円
  3. 平成21年10月から12月分の未払給料全額にあたる約30万円
  4. 平成21年10月から12月分の未払給料約30万円の分のの約15万円 ― 10― ◇M5(295―126)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=イ、設問2=ウ

〔リード〕破産における配当の優先順位は、(1)財団債権(破産手続によらず随時弁済、最優先)、(2)優先的破産債権(一般の先取特権その他の優先権ある債権)、(3)一般破産債権、の順。破産管財人の報酬・破産財団の管理換価費用は財団債権。租税債権や労働債権はその性質・時期により財団債権または優先的破産債権となる。特に給料債権は、破産手続開始前3か月間のものが財団債権(破産法149条1項)、それ以前の未払給料は優先的破産債権となる。

設問1(空欄A・B)

  • A=破産管財人費用等を含み最優先で配当→ 財団債権
  • B=財団債権の次に配当される→ 優先的破産債権
  • ア(×):A共益債権・B別除権。共益債権は民事再生・会社更生の概念で破産では用いず、別除権は担保権者の権利で配当順位ではない。
  • イ(○):A財団債権・B優先的破産債権。配当順位の説明として正しい。
  • ウ(×):A別除権・B財団債権。Aが誤り。
  • エ(×):A優先的破産債権・B共益債権。順序・用語ともに誤り。

設問2(空欄C=子の配当額)

破産財団1,000万円から財団債権である管財費用200万円を控除し残800万円。子の未払給料のうち、破産手続開始前3か月間にあたる平成21年10~12月分(約30万円)は財団債権として全額が配当・弁済される。一方、それ以前の平成21年7~9月分(約15万円)は優先的破産債権だが、租税滞納分(約750万円)など他の優先的破産債権と合わせると残余財団を超え、按分配当となりほとんど配当が期待できない。したがって子の配当額は、財団債権として全額弁済される10~12月分の約30万円となる。

  • ア(×):全額の約45万円。7~9月分は優先的破産債権で按分となり全額は受けられない。
  • イ(×):45万円の一定割合とする計算は根拠を欠く。
  • ウ(○):平成21年10~12月分の未払給料全額にあたる約30万円。開始前3か月の給料は財団債権として全額弁済されるため正しい。
  • エ(×):10~12月分を按分するとする点が誤り。当該部分は財団債権で全額弁済される。

よって 設問1=イ、設問2=ウ

#計算・配当#倒産・事業再生#民法・契約・PL

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