第7問
GDP と外国貿易に関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 いま、自国と外国の国モデルを仮定し、自国と外国の生産物市場の均衡条件が それぞれ次のように与えられるとする。 Y =C +I +G +X -M Y*=C*+I*+G*+X*-M* ここで、Y:GDP または所得、C:消費、I:投資、G:政府支出、X:輸出、 M:輸入であり、記号の右肩に*を付したものは外国の変数である。なお、自国の 輸出X は外国の輸入M*に等しく、自国の輸入M は外国の輸出X*に等しい。 自国の消費関数と輸入関数はそれぞれ C =c Y M =m Y で示され、c:限界消費性向、m:限界輸入性向である。また、投資支出と政府支 出はおのおのI =I0、G =G0である。 同様に、外国の消費関数と輸入関数はそれぞれ C*=c*Y* M*=m*Y* である。外国においても、投資支出と政府支出はおのおのI*=I* 0、G*=G* 0で ある。 このとき、自国と外国の生産物市場の均衡条件は次のように表される。 Y =c Y +I0+G0+m*Y*-m Y Y*=c*Y*+I* 0+G* 0+m Y -m*Y * この結果、自国のGDP の決定式は Y =(-c*+m*) (I0+G0)+m*(I* 0+G* 0) (-c*) (-c +m)+m*(-c) になる。 ― 6― ◇M1(743―8) 同様に、外国のGDP の決定式は Y*=(-c +m) (I* 0+G* 0)+m(I0+G0) (-c) (-c*+m*)+m(-c*) で表される。 上記の国のGDP 決定式から、自国や外国の財政政策の変更が両国のGDP に いかなる影響を与えるかが明らかにされる。 (
設問1
) 文中の下線部について、自国の政府支出G が増加した場合の経済効果の説明 として最も適切なものはどれか。
- ア 外国では経常収支の悪化を通じてGDP が拡大する。
- イ 外国のGDP の拡大を通じて自国の輸出が誘発され、自国のGDP 拡大効果 は大きくなる。
- ウ 自国では経常収支の改善を通じてGDP が拡大する。
- エ 自国のGDP を増加させるが、外国のGDP を減少させ、近隣窮乏化を引き 起こす。 (
設問2
) 文中の下線部について、外国の政府支出G*が増加した場合の経済効果の説明 として最も適切なものはどれか。
- ア 外国では経常収支の改善を通じてGDP が拡大する。
- イ 外国のGDP を増加させるが、自国のGDP を減少させてしまう。
- ウ 自国では経常収支の悪化を通じてGDP が減少する。
- エ 自国では輸出が誘発され、経常収支の改善を通じてGDP が拡大する。 ― 7― ◇M1(743―9)
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正解: 設問1 イ 設問2 エ
解答:設問1=イ、設問2=エ
〔リード〕2国モデルの外国貿易乗数。自国の所得増は輸入Mを増やし、それは外国の輸出X*=相手国の需要となって外国GDPを押し上げ、さらに外国の輸入増を通じて自国に跳ね返る(フィードバック効果)。この相互依存を踏まえて経済効果を判断する。
設問1(自国の政府支出G増)
- ア(×):自国のG増→自国所得増→自国の輸入M増。これは外国にとって輸出増であり、外国の経常収支は「改善」しGDPは拡大する。「経常収支の悪化を通じて」とする点が誤り。
- イ(○):自国G増は自国の輸入増を通じて外国GDPを拡大させ、その外国の所得増が外国の輸入=自国の輸出を誘発する。このフィードバックにより自国のGDP拡大効果はさらに大きくなる。正しい。
- ウ(×):自国の所得拡大は輸入を増やすため、自国の経常収支はむしろ悪化方向。「経常収支の改善を通じて」とする点が誤り。
- エ(×):本モデルでは自国G増は外国GDPも拡大させる(相手国を犠牲にしない)。外国GDPを減少させる「近隣窮乏化」は生じない。誤り。
設問2(外国の政府支出G*増)
- ア(×):外国G*増→外国所得増→外国の輸入M*増(=自国の輸出増)。外国の経常収支はむしろ悪化方向で、「改善を通じて」とするのは誤り(GDP拡大自体は正しいが理由が不適切)。
- イ(×):外国G*増は自国の輸出を誘発し自国GDPを増加させる。自国GDPを減少させるとする点が誤り。
- ウ(×):自国は輸出増により経常収支が改善しGDPは拡大する。「悪化を通じてGDP減少」とするのは逆で誤り。
- エ(○):外国G*増→外国所得増→外国の輸入=自国の輸出が誘発され、自国は経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。正しい。
よって 設問1=イ、設問2=エ。