第8章 システムの性能と信頼性
この章のねらい 情報システムを「速さ(性能)」と「壊れにくさ・止まりにくさ(信頼性)」という2つのモノサシで 評価する章です。ここは経営情報システムの計算問題の主戦場で、とくに稼働率の計算(直列・並列)は ほぼ毎年のように顔を出します。用語(スループット/MTBF/フェールセーフ など)も定義の暗記で 得点しやすく、計算のやり方さえ手順で覚えれば、安定した得点源になる分野です。
過去問での出方:大きく3パターンです。①性能用語の対応づけ(H19第10問、H27第11問)、 ②稼働率の計算(R07第9問、R01第13問、R07第24問)、③信頼性設計・冗長化の用語 (R07第10問、H27第12問、H26第7問、H19第11問)。①③は用語のすり替えを見抜けば正解でき、 ②は計算式さえ手が動けば確実です。難しく見えて、実は"型"が決まっている分野です。
8-0 この章の地図
この章は、「性能(速さ)」→「信頼性の測り方(稼働率)」→「信頼性を高める技術」の順に進みます。 まず"何を測るのか(8-1・8-2)"を押さえ、その上で"どう壊れにくくするか(8-3)"へ進むと迷いません。
8-1 性能評価 … 速さのモノサシ
│ レスポンス/スループット/ターンアラウンド/MIPS・FLOPS/ベンチマーク
│
8-2 稼働率と信頼性 ★計算 … 止まりにくさのモノサシ
│ MTBF・MTTR/稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)
│ 直列=掛け算/並列=1−(1−a)^n
│
8-3 高信頼化技術 … 壊れても止めない工夫
RAID/デュアル・デュプレックス/フォールトトレラント
フェールセーフ・フェールソフト/バックアップ
💡 大きな地図:性能(8-1)と信頼性(8-2・8-3)をまとめて評価する枠組みが RASIS です。 RASISは8-2の冒頭で扱いますが、この章全体を束ねる"見出し"だと思っておくと整理しやすくなります。
8-1 性能評価 ― システムの「速さ」を測る
3つの時間系のモノサシ
システムの"速さ"は、どこからどこまでを測るかで呼び名が変わります。ここが定番の引っかけポイントです。
| 用語 | 何を測るか(区間) | ひとことで |
|---|---|---|
| レスポンスタイム(応答時間) | 処理要求を出し終えた時点 → 応答が始まるまで | 反応が返り始めるまでの速さ |
| ターンアラウンドタイム | 処理要求を開始した時点 → 結果の出力が終わるまで | 依頼してから全部終わるまでの速さ |
| スループット | 単位時間あたりに処理できる仕事の量(件数) | どれだけさばけるか(処理量) |
[要求を入力し始める] [結果が全部出終わる]
│ │
│───────── ターンアラウンドタイム ───────────────│
│ │
│[要求を出し終える] │[応答が出始める]
└── レスポンスタイム ──┘
- レスポンスタイムは「反応が返り始めるまでの時間」。オンライン処理・対話処理で重視されます。
- ターンアラウンドタイムは「依頼してから結果が全部そろうまでの時間」。バッチ処理で重視されます。
- スループットは「時間(速さ)」ではなく「量(件数)」のモノサシ。ここが最大の区別点です。
スループットは「量」、レスポンスは「速さ」
スループットは、単位時間あたりに処理できる仕事量を表します。CPUの命令処理だけでなく、 入出力(周辺機器とのやり取り)まで含めた総合的な実効処理能力を示すのがポイントです。
⚠️ 混同注意:スループット vs レスポンスタイム - スループット=処理"量"(件数/単位時間)… 多いほど良い - レスポンスタイム/ターンアラウンドタイム=待ち"時間" … 短いほど良い H27第11問は「スループット=レスポンスタイムで評価する」という選択肢を誤りにしています。 "量"と"時間"は別のモノサシ、と紐づけて覚えましょう。
オーバーヘッド
オーバーヘッドとは、指示した処理そのものとは直接関係のない、 システム全体の制御・管理に使われる資源(時間・CPU)のことです。 たとえばOSがタスクを切り替える処理などがこれにあたり、オーバーヘッドが大きいほど実効的な処理能力は下がります。
CPUの処理速度:MIPS と FLOPS
CPUそのものの速さを表す単位も出題されます。名前と中身を一対一で押さえます。
| 単位 | 読み・意味 | 何を測るか |
|---|---|---|
| MIPS | Million Instructions Per Second | 1秒間に実行できる命令の数(百万命令/秒) |
| FLOPS | FLoating point Operations Per Second | 1秒間の浮動小数点演算の回数(科学技術計算向け) |
| クロック周波数(GHz) | 1秒間のクロック数 | CPU内部の動作の速さの目安 |
- MIPS=命令の数、FLOPS=小数計算の回数。この違いだけでも選択肢を切れます。
- ただし、これらは理論値・単純な尺度で、実際の体感速度(スループット)と一致するとは限りません。
ベンチマーク ― 実際に動かして測る
ベンチマーク(ベンチマークテスト)とは、標準的なプログラムを実際に動かして性能を測定・比較する方法です。 MIPSやFLOPSのような理論値だけでは分からない、実務に近い総合性能を評価できます。
💡 覚え方:カタログの数字(MIPS・FLOPS)は"スペック"、ベンチマークは"実走テスト"。 車でいえば「最高出力の数値」と「実際にコースを走ったタイム」の違いです。
📝 過去問はこう出る(H19 第10問) 4つの記述と用語を対応させる問題。正解は a=スループット(単位時間あたりの仕事量)、b=オーバーヘッド(制御・管理に使われる資源)、 c=ターンアラウンドタイム(要求開始→結果出力完了)、d=レスポンスタイム(要求送出完了→応答開始)。 「c=レスポンスタイム」のように区間を取り違えた選択肢が引っかけです。 → H19 第10問
📝 過去問はこう出る(H27 第11問) スループットの説明として正しいものを選ぶ問題。正解は 「命令の処理量や周辺機器とのやり取り等を総合的に加味した、単位時間あたりの処理件数」。 「マルチタスクの多重度で評価」「主記憶の書き換え速度で評価」「レスポンスタイムで評価」は すべてスループットの定義とズレていてバツ。 → H27 第11問
8-2 稼働率と信頼性 ★計算の主役
まず全体像:RASIS(ラシス)
システムの"安定して使えるか"を評価する5つの観点をまとめたものが RASIS です。頭文字で覚えます。
| 頭文字 | 英語 | 日本語 | ざっくり言うと |
|---|---|---|---|
| R | Reliability | 信頼性 | 故障しにくさ(=MTBFで測る) |
| A | Availability | 可用性 | 使いたいときに使える度合い(=稼働率で測る) |
| S | Serviceability | 保守性 | 直しやすさ(=MTTRで測る) |
| I | Integrity | 保全性(完全性) | データが壊れず正しく保たれること |
| S | Security | 安全性(機密性) | 不正アクセス・情報漏えいへの強さ |
⚠️ 混同注意:R01第13問では「MTBFとMTTRの数値だけ」が与えられます。 このとき計算できるのは信頼性(MTBF)と可用性(稼働率)だけ。 安全性(S)と保全性(I)は、MTBF・MTTRからは判断できません。ここが引っかけの急所です。
MTBF と MTTR ― 2つの平均時間
| 略語 | 正式名 | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| MTBF | Mean Time Between Failures | 平均故障間隔(=平均して何時間"動き続けられる"か) | Between=故障と故障の"間"=動いている時間 |
| MTTR | Mean Time To Repair | 平均修復時間(=故障してから直るまで平均何時間かかるか) | Repair=修理=止まっている時間 |
- MTBF は大きいほど良い(長く動き続けられる=信頼性が高い)。
- MTTR は小さいほど良い(すぐ直る=保守性が良い)。
←MTBF(動いている)→ ←MTTR→ ←MTBF(動いている)→ ←MTTR→
■■■■■■■■■■■■■■□□□□■■■■■■■■■■■■■■□□□□
(稼働) (修理)(稼働) (修理)
稼働率(可用性)の公式
稼働率(Availability・可用性)は、「全時間のうち、どれだけの割合で使えているか」です。 分母は「動いていた時間+止まっていた時間」=MTBF+MTTR、分子は「動いていた時間」=MTBFです。
稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)
【計算ステップ】1台の稼働率を求める(R01第13問より)
システムAは MTBF=480時間、MTTR=20時間。稼働率を求めます。
- 分母をつくる:MTBF+MTTR = 480+20 = 500
- 分子を置く:MTBF = 480
- 割り算:480 ÷ 500 = 0.96(=96%)
同じくシステムB(MTBF=532、MTTR=28)は 532 ÷ (532+28) = 532 ÷ 560 = 0.95(95%)。 → 可用性(稼働率)はA(0.96)>B(0.95)でAが上。一方、信頼性(MTBF)はB(532)>A(480)でBが上。 "稼働率が高い方が信頼性も高い"とは限らない、という点が学びどころです。
直列システムと並列システム ― 組み合わせの計算
複数の装置を組み合わせたときのシステム全体の稼働率は、つなぎ方(直列か並列か)で計算が変わります。 各装置の稼働率を a(0<a<1)とします。
■ 直列システム(1つでも止まると全体が止まる)
─[ 装置1 ]─[ 装置2 ]─ … 両方そろって初めて稼働
すべての装置が同時に動いているときだけシステムが動きます。よって稼働率は掛け算です。
直列の稼働率 = a₁ × a₂ × …(同じ装置n台なら a^n)
- 掛け算なので、つなぐほど(直列を増やすほど)稼働率は下がります(例:0.9×0.9=0.81)。
■ 並列システム(どれか1つ動いていれば全体が動く)
┌[ 装置1 ]┐
──┤ ├── … どちらか一方でも動けば稼働
└[ 装置2 ]┘
どれか1台でも動いていればシステムが動きます。こういう「または」の計算は、 "全部同時に壊れる確率"を1から引くのがコツです。1台が壊れる確率は (1−a)、n台全部壊れる確率は (1−a)ⁿ。
並列の稼働率 = 1 −(1−a)ⁿ
- 引き算で冗長性を足すので、並列を増やすほど稼働率は上がります(例:a=0.9を2台並列なら 1−0.1×0.1=0.99)。
💡 覚え方:直列="AND"=掛け算(下がる)/並列="OR"=1から引く(上がる)。 信頼性を上げたいなら、部品を並列(冗長化)にする——これが8-3の高信頼化技術の原理そのものです。
【計算ステップ】直列と並列の合わせ技
装置Xの稼働率を r とします。「Xを2台直列にした部分」と「Xを2台並列にした部分」を比べてみましょう。
- 2台直列:r × r = r²(例:r=0.9 → 0.81)
- 2台並列:1−(1−r)² = 1−(1−0.9)² = 1−0.01 = 0.99
- → 並列(0.99)> 単体(0.9)> 直列(0.81)。 同じ装置でも、直列を増やすほど下がり、並列を増やすほど上がることが数字で確認できます。
これがR07第9問の考え方です。3つの構成a・b・cは直列と並列の混ざり方が違うだけなので、 「直列が多い構成ほど低く、並列(冗長)が多い構成ほど高い」と当たりをつければ、正確な計算をせずとも高い順に並べられます。
【計算ステップ】稼働率のSLA(R07第24問より)
実務寄りの応用として、サービスレベル目標(SLA)の稼働率計算も出ました。ポイントは 「計画停止(メンテナンス)は分母に含めない」ことです。
- 条件:1年=8,760時間。計画停止=毎月2回×10時間×12か月=240時間。計画停止以外の停止許容=年間142時間以内。 1. 合意済みサービス時間(分母):8,760 − 240 = 8,520時間(計画停止は除外) 2. 実際に動く時間(分子):8,520 − 142 = 8,378時間 3. 最低稼働率:8,378 ÷ 8,520 = 0.98333… ≒ 98.3%
⚠️ つまずきポイント:計画停止(合意済みの止める時間)は"故障ではない"ので、 稼働率の分母から先に引くのが約束事です。ここを引かずに計算すると答えがずれます。
📝 過去問はこう出る(R01 第13問) MTBF・MTTRから2システムのRASISを比較する問題。正解は 「可用性はA(0.96)>B(0.95)でAが優れる」。 「信頼性はAが優れる」は逆(MTBFはB>A)でバツ。 安全性・保全性はMTBF・MTTRからは判断不可なのでこれらの比較選択肢もバツ。 → R01 第13問
📝 過去問はこう出る(H29 第13問) RASISの穴埋め。正解は A=MTBF(信頼性、大きいほど良い)、B=MTTR(保守性、小さいほど良い)、 C=信頼性・D=可用性。「点検・予防は信頼性と可用性を高める」「二重化は個々の機器の信頼性は変えられないが システムの可用性を高める」という文脈がカギ。MTBF÷(MTBF+MTTR)は稼働率(可用性)の式であって 信頼性の尺度ではない、という点で誤りの選択肢を切ります。 → H29 第13問
📝 過去問はこう出る(R07 第9問・第24問) 第9問は装置Xを3台組み合わせた構成a・b・cの稼働率を高い順に並べる問題(正解:c、b、a=オ)。 直列=掛け算で下がる/並列=1−(1−r)ⁿで上がるの原則で判断します。 第24問はSLAの最低稼働率(正解:98.3%=エ)。計画停止を分母から除くのが急所。 → R07 第9問 / R07 第24問
8-3 高信頼化技術 ― 壊れても止めない工夫
信頼性を高める技術は、大きく2つの発想に分かれます。①そもそも壊さない(フォールトアボイダンス)と、 ②壊れても機能を保つ(フォールトトレランス)。この対比が土台になります。
考え方の2大アプローチ
| アプローチ | 発想 | 中身 |
|---|---|---|
| フォールトアボイダンス(故障回避) | 壊れないようにする | 部品一つひとつの品質を上げ、そもそも故障を起こさせない |
| フォールトトレランス(耐故障) | 壊れても止めない | 装置を冗長化(多重化)し、故障してもシステム全体は動き続ける |
- フォールトトレラントシステムは、②の考え方を徹底し、一部が壊れても稼働を続けられるよう 部品を二重・三重に持たせたシステムです。8-2で見た「並列=冗長化で稼働率が上がる」の実装形です。
障害が起きた"あとの振る舞い":フェール○○/フール○○
故障や誤操作が起きたときに、どう振る舞うかの設計思想です。似た名前が多く、定義の取り違えが頻出です。
| 用語 | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|
| フェールセーフ(fail-safe) | 故障時に安全な側に倒す(被害を最小に、危険を生じさせない) | 信号機が故障したら赤(止まれ)で固定する |
| フェールソフト(fail-soft) | 故障時に性能を落としても主要機能は動かし続ける | 一部機能を切り、限定運転で営業継続 |
| フォールバック(縮退運転) | 故障時に限定的ながら稼働を続けている状態(フェールソフトの結果の状態) | エンジン片方停止でも低速で飛行を続ける |
| フールプルーフ(fool-proof) | 人の操作ミスがあっても危険・異常が起きないようにする | 洗濯機はフタを開けると止まる/ふた無しでは動かない |
| フォールトマスキング | 故障が起きても外部に波及させず正常な出力を保つ(誤りを隠す) | 多数決回路で1つの誤りを打ち消す |
⚠️ 混同注意:フェールセーフ vs フールプルーフ - フェールセーフ="故障(fail)"時に安全側へ … 機械が壊れたときの話 - フールプルーフ="愚か者(fool)"の操作ミスに強い … 人が間違えたときの話 R07第10問は「フォールトトレランス=操作ミスがあっても異常が起こらない設計」という選択肢を誤りにしています (それはフールプルーフの説明)。"fail=故障"か"fool=人のミス"かで見分けます。
⚠️ 混同注意:フェールソフト vs フェールオーバ - フェールソフト=一部機能を落としてでも動かし続ける(1台のシステム内で縮退) - フェールオーバ=故障時に待機系システムへ処理を切り替える(別系統へバトンタッチ) R07第10問は「フェイルオーバ=一部機能を低下させて限定的に稼働」という選択肢も誤りにしています (それはフェールソフト)。切り替えるのがフェールオーバ、粘るのがフェールソフトです。
冗長構成の種類:デュアル/デュプレックス
同じシステムを2つ用意する(二重化する)とき、2台の使い方で呼び名が変わります。ここは頻出です。
| 構成 | 2台の使い方 | 特徴 | コスト |
|---|---|---|---|
| デュアルシステム | 2台を並行して同じ処理をさせ、結果を照合する | 常に二重チェック。信頼性が非常に高い | 高い |
| デュプレックスシステム | 一方を主系(現用)、他方を従系(待機)にする | 待機系は普段は別処理や待機。障害時に切替 | 比較的安い |
デュプレックスの待機系は、その"待たせ方"でさらに3つに分かれます(H26第7問)。
| 方式 | 待機系の状態 | 切替の速さ | コスト |
|---|---|---|---|
| ホットスタンバイ | 常に電源ON・プログラム動作可能な状態で待機 | 速い(即切替) | 高い |
| ウォームスタンバイ | ある程度準備した中間状態で待機 | 中間 | 中間 |
| コールドスタンバイ | 普段は電源OFF、障害時に起動 | 遅い | 安い |
💡 覚え方:温度で覚えます。ホット(熱い)=すぐ動ける、コールド(冷たい)=電源すら切ってある、 ウォームはその中間。熱いほど即応できるが、その分コストも高い、という関係です。
そのほかの冗長・分散構成
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| クラスタリング | 独立した複数のコンピュータを相互接続し、一部が故障しても他機が肩代わりして全体の停止を防ぐ |
| ロードシェア(負荷分散)システム | 複数のCPU・コンピュータで処理を分担し、負荷を分散する総称 |
| ロードバランサ | 複数サーバへアクセスを振り分け、負荷を均等化する装置(負荷分散の実装) |
RAID ― 複数ディスクを束ねて速度・信頼性を高める
RAID(レイド)は、複数のハードディスクを1つにまとめ、速度や信頼性を高める仕組みです。 まとめ方(レベル)によって性格が変わります。試験でよく出るのは0・1・5の3つです。
| レベル | 呼び名 | 仕組み | 速度 | 冗長性(壊れても平気か) |
|---|---|---|---|---|
| RAID0 | ストライピング | データを複数ディスクに分散して書く | 速い | なし(1台壊れると全滅) |
| RAID1 | ミラーリング | 同じデータを2台に同時に書く(複製) | 普通 | あり(片方壊れても復旧可) |
| RAID5 | パリティ分散 | データと誤り訂正情報(パリティ)を分散配置 | 速い | あり(1台までなら復旧可) |
⚠️ 混同注意:RAID0だけは"冗長化"ではない RAID0(ストライピング)は速度を上げるだけで、信頼性は逆に下がる(1台でも壊れると全データを失う)点に注意。 "RAID=信頼性向上"と思い込むと引っかかります。信頼性を上げるのはRAID1(ミラーリング)やRAID5です。
ストレージ接続とバックアップ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| NAS | LANに直接つなぎ、ファイル単位でネットワーク経由アクセスするストレージ |
| SAN | ファイバチャネル等でブロック単位で接続する、ストレージ専用の高速ネットワーク |
| クラウドバックアップ | 手元(オンプレミス)のデータをクラウド上へバックアップすること(向きに注意) |
| イメージバックアップ | ディスク全体・システム状態を丸ごと(ディスクイメージとして)複製すること |
| ロールバック | 障害時に更新前のログを使い、トランザクション実行前の状態に戻す処理 |
| ウォームサイト(予備サイト) | 機器を用意しておき、障害時にバックアップから復元し業務を再開できる代替拠点 |
⚠️ 混同注意(R06第15問より) - クラウドバックアップ=オンプレミス→クラウド(「クラウド→手元」は逆でバツ) - イメージバックアップ=ディスクを丸ごと複製(「画像・動画データのバックアップ」ではない) 定義の"向き"や"対象"をすり替えた選択肢に注意します。
📝 過去問はこう出る(R07 第10問) 信頼性設計の用語対応。正解は「フォールトアボイダンス=部品個々の信頼性を高めて故障を起こさせない設計」。 「フェイルオーバ=一部機能低下で限定稼働(→本当はフェールソフト)」「フォールトトレランス=操作ミスでも異常なし (→本当はフールプルーフ)」など、定義のすり替えを見抜けば正解できます。 → R07 第10問
📝 過去問はこう出る(H27 第12問) 高信頼化アプローチの対応問題。正解は ①フォールトアボイダンス(故障を起こさせない)、②フォールトトレランス(故障時も主機能続行)、 ③フォールバック(限定的に稼働を続ける状態=縮退運転)、④フェールセーフ(被害を最小に安全側へ)。 → H27 第12問
📝 過去問はこう出る(H26 第7問・H19 第11問) H26第7問は冗長化の穴埋め。デュアル=2台並行で同処理、デュプレックス=主系+従系、 コールドスタンバイ=電源OFF待機、ホットスタンバイ=電源ON待機が正解。 H19第11問はデュアル/ロードシェア/コールドスタンバイ/クラスタリングの対応が正解。 → H26 第7問 / H19 第11問
📝 過去問はこう出る(R05 第10問・R06 第15問) R05第10問はストレージ用語。RAID0=ストライピング(高速・冗長性なし)、RAID1=ミラーリング、 SAN=ブロック単位の専用ネットワーク、NAS=ファイル単位でLAN接続が正解。 R06第15問はバックアップ用語の正誤(正解:オ)。ロールバックとウォームサイトが正、 クラウドバックアップ(向きが逆)とイメージバックアップ(対象が違う)が誤り。 → R05 第10問 / R06 第15問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ レスポンスタイム=要求送出完了→応答開始/ターンアラウンドタイム=要求開始→結果出力完了
- ☐ スループット=処理"量"(件数/時間)(レスポンス・ターンアラウンドは"時間"。区別が急所)
- ☐ オーバーヘッド=制御・管理に使われる余分な資源/MIPS=命令数・FLOPS=浮動小数点演算
- ☐ ベンチマーク=実際に動かして測る(理論値のMIPS・FLOPSと区別)
- ☐ RASIS=信頼性・可用性・保守性・保全性・安全性(MTBF/MTTRから計算できるのは信頼性と可用性だけ)
- ☐ MTBF=平均故障間隔(大きいほど良い)/MTTR=平均修復時間(小さいほど良い)
- ☐ 稼働率 = MTBF ÷(MTBF+MTTR)
- ☐ 直列=掛け算(a^n・つなぐほど下がる)/並列=1−(1−a)ⁿ(冗長化・つなぐほど上がる)
- ☐ SLAの稼働率は計画停止を分母から除く(R07第24問=98.3%)
- ☐ フォールトアボイダンス(壊さない) vs フォールトトレランス(壊れても動かす)
- ☐ フェールセーフ=安全側へ/フェールソフト=縮退でも動かす/フールプルーフ=操作ミスに強い
- ☐ デュアル=2台並行で照合/デュプレックス=主系+従系(ホット/ウォーム/コールドスタンバイ)
- ☐ RAID0=高速だが冗長性なし/RAID1=ミラーリング/RAID5=パリティ分散(RAID0は信頼性向上ではない)
- ☐ NAS=ファイル単位・LAN接続/SAN=ブロック単位・専用ネットワーク
- ☐ クラウドバックアップは手元→クラウド/ロールバックは更新前ログで実行前に戻す
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H19 第10問 | 性能用語(スループット・オーバーヘッド等) | 問題 |
| H19 第11問 | 信頼性構成(デュアル・クラスタリング等) | 問題 |
| H26 第7問 | 冗長化・多重化(デュアル・スタンバイ) | 問題 |
| H27 第11問 | スループット | 問題 |
| H27 第12問 | 高信頼化のアプローチ | 問題 |
| H29 第13問 | RASIS(MTBF・MTTR) | 問題 |
| R01 第13問 | 稼働率の計算・RASIS比較 | 問題 |
| R05 第10問 | ストレージ技術(RAID・SAN・NAS) | 問題 |
| R06 第15問 | バックアップ | 問題 |
| R07 第9問 | 稼働率(直列・並列) | 問題 |
| R07 第10問 | 信頼性設計(フェールセーフ等) | 問題 |
| R07 第24問 | サービスレベル目標(稼働率) | 問題 |
次章予告 ▶ 第9章「データベース」(ここから第II部) 第I部(コンピュータの仕組み)を終え、第II部ではシステムを支える"データの扱い方"に進みます。 第9章では、データを効率よく正確に管理するデータベース——関係モデル、正規化、SQL、 トランザクション管理(ACID)などを扱います。本章で登場したロールバックも、そこで再会します。